ジェイムズ・ウェッブ望遠鏡が発見した何百もの放浪惑星の謎
 ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は最近、宇宙空間を漂う不可解な「放浪」惑星を500以上検出した。これらの恒星を持たない「自由浮遊惑星」は、長年にわたり科学者たちを悩ませてきた。

 だが新たな研究によりその謎が解き明かされるかもしれない。

 宇宙を放浪する謎の惑星たちは、大きな恒星によってさらわれて迷子になっているのかもしれないという。

 もともとは太陽のような恒星の周りを回っていたのに、そのそばを通過した天体の重力によって、無理やり引き離されてしまった可能性があるという。

宇宙を放浪する謎の惑星たち

 地球は太陽の重力に縛られ、太陽を中心に公転している。だが宇宙にはそのような恒星の重力に縛られず、銀河を直接公転する惑星がある。これを「自由浮遊惑星」という。

 こうした放浪する惑星が最初に発見されたのは20年前のことだ。それ以来、いくつもの自由浮遊惑星が発見されてきた。
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自由浮遊惑星のコンセプトアート / image credit:NASA/JPL-Caltech

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が大量の浮遊惑星を発見

 その中でも2023年はとりわけ大量に発見されかつ謎めいているものが多かった。

 ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が、オリオン大星雲の中で500以上の自由浮遊惑星を検出したのだ。

 驚いたことに、木星の0.7〜13倍の質量を持つこれらの惑星のうち80個が、互いに互いを公転し合う連星だったのだ。

 これらはJupiter-Mass Binary Object(木星質量連星)の頭文字をとって「JuMBO」と呼ばれている。
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これまで発見されたJuMBOのほとんどは、オリオン大星雲にある/Image credit: ESA; by Chris Evans, Mark McCaughrean, Sandor Kruk, and Sam Pearson

これらの浮遊惑星はなぜ宇宙を放浪することになったのか?

 JuMBOも自由浮遊惑星も、一体なぜ宇宙を放浪することになったのか? これは長年天文学者を困惑させている宇宙のミステリーだ。

 もちろん仮説ならある。1つは、ガスや塵の雲がそれ自体の重力で崩壊して形成されるというもの。これはいわば恒星が誕生するプロセスの小型版のようなものだ。

 もう1つの仮説は、もともとは太陽のような恒星を公転していたのに、大きな天体がそのそばを通過した時、重力に捕まってさらわれたというものだ。
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無数の星々が誕生しているオリオン大星雲。ここではいくつもの自由浮遊惑星も見つかっている/Image credit: NASA / Hubble Space Telescope

大きな恒星によってさらわれ迷子になってしまった可能性

 コーネル大学の天体物理学ドン・ライ教授らは、JuMBOなどの自由浮遊惑星が誕生するプロセスを解明するために、太陽のような恒星を中心とする惑星系のシミュレーションを行った。

 条件を変えながら何万回と繰り返されたシミュレーションでは、中心にある恒星と同じくらいの大きさのまた別の恒星を通過させ、惑星系内の惑星が弾き出されるかどうか観察した。

 特に問題となるのが、木星サイズの2つの惑星が一緒に弾き出される確率である。

 その結果、JuMBOが形成される可能性が高いのは、惑星同士がお互いに近い軌道を回っているか、木星の4倍までの質量を持つ場合であることがわかった。

 だが、たとえ最も弾き出される確率が高い条件であっても、木星サイズの2つの惑星が同時に追い出される確率は1%未満だった。

 つまり、これによってJuMBOが誕生したと考えるには、かなり低い確率なのだ。

 それとは対照的に、惑星1つだけが弾き出されて、たった1つだけの自由浮遊惑星が誕生する確率は、その数百倍も高かった。

 こうしたことからライ教授らは、シミュレーションで行われたような恒星の飛来が、オリオン大星雲の自由浮遊惑星を誕生させたのではないかと考えている。

JuMBOは恒星誕生の小型版のようなプロセスで誕生した可能性

 一方、JuMBOについては、むしろガスや塵が崩壊して形成されたという説の方が妥当かもしれない。

 確かなことはわからないが、いずれにせよこのシミュレーションは一種の物理実験として、今後観測を行ううえでのヒントになる。

 たとえば、密集した星団の惑星系に起きることの解明や、惑星が捕獲されてできたようなエキゾチックな惑星系探しに役立つとのことだ。

 この研究の未査読版は現在『arXiv』(2024年3月12日投稿)で閲覧できる。

References:Hundreds of mysterious 'rogue' planets discovered by James Webb telescope may finally have an explanation | Live Science / written by hiroching / edited by / parumo
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コメント

1

1.

  • 2024年04月11日 20:09
  • ID:eq5qnUUI0 #
2

2. 匿名処理班

  • 2024年04月11日 20:41
  • ID:eJILsOUt0 #

自由浮遊惑星の中には宇宙船のように利用されている星もあるかもしれない

3

3. 匿名処理班

  • 2024年04月11日 22:33
  • ID:9XzBY.Bh0 #

帰る宛もなくさ迷う白い星〜
このフレーズが浮かんだ

4

4. 匿名処理班

  • 2024年04月11日 22:33
  • ID:LmSanahQ0 #

>>2
そして、文明を持つ自由浮遊惑星が寄り集まり、ついに自由惑星同盟が誕生した。
銀河の歴史がまた1ページ…

5

5. 匿名処理班

  • 2024年04月11日 22:43
  • ID:MWqYReH20 #

きっと神様のテストデータたち

6

6. 匿名処理班

  • 2024年04月12日 00:04
  • ID:iW.ON2m00 #

自由、自主、自立、自尊

7

7. 匿名処理班

  • 2024年04月12日 04:01
  • ID:89guxqky0 #

1%なんて宇宙規模で考えれば十分すぎる確率だろう

8

8. 匿名処理班

  • 2024年04月12日 06:07
  • ID:SRrAXf550 #

プラネットって放浪者が語源だから、放浪する放浪星?

9

9. 匿名処理班

  • 2024年04月12日 07:25
  • ID:MWDLX.u70 #

お鍋ではありません

10

10. 匿名処理班

  • 2024年04月12日 08:39
  • ID:KfoHMANl0 #

彗星帝国かな?

11

11. 匿名処理班

  • 2024年04月12日 08:59
  • ID:Kc3lct120 #

恒星なんかでも連星とか星団の中をブラックホールが通過するとフライバイみたいな感じで弾き飛ばされるものがあると思うんですわ。それの惑星版じゃないかな。

12

12. 匿名処理班

  • 2024年04月12日 09:05
  • ID:L.JkjPGg0 #

>>3
スペース1999とは懐かしいな

13

13. 匿名処理班

  • 2024年04月12日 11:25
  • ID:o43MnFIF0 #

>>7
もう一度…もう一度記事を読んで理解するのです…

14

14. 匿名処理班

  • 2024年04月12日 13:16
  • ID:0BZkzesk0 #

自由浮遊惑星と褐色矮星が正確には区別できていない場合もある
これで、察することができるよね

15

15. 匿名処理班

  • 2024年04月12日 13:19
  • ID:MWDLX.u70 #

>>12
マーチン・ランド―とバーバラ・ベインでおます

16

16. 匿名処理班

  • 2024年04月12日 19:25
  • ID:ixA.2fOc0 #

自動惑星ゴルバ?

17

17.

  • 2024年04月12日 19:36
  • ID:24WuINBU0 #
18

18. 匿名処理班

  • 2024年04月12日 20:48
  • ID:c.PPxSlf0 #

俺みたいな素人から見れば自由浮遊惑星なんてあって当然なんだけどな

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