メインコンテンツにスキップ

ハリウッド史上最も危険な撮影だった野生動物映画『ロアーズ』犠牲者は70人以上

記事の本文にスキップ

25件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 1978年、未曾有の挑戦が始まった。100頭以上のライオン、トラなどの大型ネコ科動物と人間が生活する姿を描いた映画「ロアーズ」の製作が開始されたのだ。

 完成までに11年もの月日を費やし、1981年に公開されたこの映画は、ハリウッド史上最も危険な試みだったと言えよう。

 ライオンやトラに襲われた関係者の数は70人以上にのぼった。その舞台裏を見ていこう。

約100人が襲われ70人以上が負傷したカオスな撮影現場

 映画『ロアーズ(原題:Roar)』は、アフリカで猛獣と生活する父を訪ねてきた母と子供たちが、様々な騒動に巻き込まれる様子を描いたパニック・コメディー映画だ。

 これまで作られた映画の中でもっとも大胆かつ無謀極まりない映画で、撮影中、70人以上のキャストやクルーが頭の皮を剥がされたり、左耳を食いちぎられたりして重傷を負った。襲われた人数は100人にのぼる。

 「凶暴なコメディ」と宣伝されたこの映画は、150頭以上のライオン、トラ、その他獰猛な大型ネコ科動物たちが登場し、完成までに11年という驚異的な年月が費やされた。

 女優メラニー・グリフィスと彼女の実母でもある女優ティッピ・ヘドレンをメインキャストとしたこの映画は、次々発生する容赦ない災難によってメチャクチャになった。

 当然といえば当然だが、撮影中、主演スターを含むスタッフたちが動物たちに襲われて、次々と大怪我を負ったのだ。

 当時ティッピの夫だった監督兼俳優のノエル・マーシャルも、ライオンに襲われてあやうく片腕を失いそうになって逃げ出した。製作に関わったティッピも一頭に激しく殴打されて、患部が壊疽するほどの重傷を負った。

 こうした事故が次々と起こり、頭の皮を剥がされたり、耳を食いちぎられそうになったりと、複数のスタッフが重傷を負った。

ロアーズ製作のいきさつ

 この映画の始まりは1969年にさかのぼる。

 ティッピと夫が映画『サタンズ・ハーベスト』の撮影中、モザンビークにあるゴロンゴーザ国立公園で廃プランテーションハウスを偶然に見つけたことがきっかけだった。

 うち捨てられたボロボロのそのハウスには、ライオンの群れが閉じ込められていて、夫妻は大型ネコ科動物の窮状に光を当てようとひらめいた。

 ふたりはロサンゼルスの自宅にライオンを引き取って育て始め、6年間動物たちと共に暮らして映画の構想を練った。

 『ロアーズ』はタンザニアの保護区で暮らす、ティッピ演じる妻マドレーヌとマーシャル演じる野生動物保護活動家の夫のハンク、その子どもたちの物語だ。

 話はライバルの2頭の雄ライオンが覇権を争い、それがきっかけで野生動物たちが家族に牙をむく一連の出来事へと展開する。

撮影期間は11年

 1976年にカリフォルニアで撮影が始まったこのプロジェクトは、当初6ヵ月の制作予定だったが、最初から負傷者が多数続出したため長期戦となった。

最初の数日間で一頭のライオンがノエルに襲いかかってもみあいになり、56針も縫う大怪我を負ったと、ノエルの息子ジョン・マーシャルは語った。

この画像を大きなサイズで見る

 それでも撮影は財政的な制約の中で続けられた。

 140名のスタッフのうちおよそ70名が負傷した。雌ライオンに襲われて片目を失いそうになり、50針も縫うはめになって撮影を離脱したメラニー・グリフィスも含まれている。

 母親のティッピもまたゾウの鼻に持ち上げられて足首骨折という重傷を負った。

 波乱づくめのこの無謀な映画制作では、監督、その他スタッフ、撮影技師までもがライオンに襲われて、大手術を受けなくてはならなくなった。

 さらに撮影中にライオンやトラが病気になり、14頭が死亡した。

 1978年2月、ダムの決壊によって壊滅的な大洪水が起こり、さらに混乱に拍車がかかって被害は大きくなった。

 15頭の大型ネコ科動物が逃げ出し、増水で孤立したスタッフたちの救出劇が大々的に行われた。

 結局11年の歳月を経て1981年2月22日、『ロアーズ』はやっとのことで公開されたが、アメリカでは上映されなかった。

 ティッピ・ヘドレンはライオンの利益まで要求する配給契約を断り、動物たちのためになる利益を優先した。

この画像を大きなサイズで見る

 ティッピは1983年にロアーズ財団を立ち上げ、カリフォルニア州にシャンバラ保護区を作って、映画に登場する大型猫科動物たちに安全な避難所を提供した。

 彼女は自伝『The Cats Of Shambala』の中で、撮影現場で起きた悲劇について詳しく述べている。

 『ロアーズ』はドイツと日本では成功をおさめたが、興行収入的には失敗、1700万ドルの高額予算に対して、世界で200万ドルの興行収入しか得られなかった。

 しかし、2015年にティム・リーグが権利を取得してドラフトハウス・フィルムズのもとで米国で公開されてから、カルト的な地位を獲得した。

 『ロアーズ』のキャッチフレーズには「撮影中に動物は一切傷つけていない。だが70名の人間のキャストとスタッフは被害にあった」と皮肉めいた文言がつけられている。

 現在、93歳のティッピ・ヘドレンは、シャンバラ保護区で相変わらずライオンに囲まれて暮らし続けている。

References:Surviving ‘Roar’: The Most Dangerous Film Ever Made – Stage 32 / More than 70 mauled by lions in making of wild film about big cats living among humans / written by konohazuku / edited by / parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 25件

コメントを書く

    1. >>1
      子猫物語 という映画があってだな、、
      何匹もの主役が犠牲になったとか?

      • 評価
  1. 何だか松島トモ子さんの体験が猫との戯れレベルに感じる。

    • +8
  2. なんだかなぁ
    そりゃみんな覚悟してきてるんだろうけど⋯

    • +10
    1. >>7
      うーん
      なのに後世で名もそれ程知られていないし誰も知らないなんて…

      • +3
  3. 人間はな、そりゃ覚悟のうえで仕事してるだろうさ。
    動物達はどうなのよ。
    動物達にとっては相当なストレスになったんじゃないの?
    映画撮るにしてもやり方を考えないとね。
    現代なら大炎上モノでしょうね。

    • +9
  4. 最初の映像からして死人が出そうな気しかしない
    よくゴーサインが出たな……

    • +2
  5. この頃「グレートハンティング」とか「食人族」とか、頭おかしいグロ映画が流行ってた

    • +5
  6. メラニーグリフィス久しぶりに名前きいた

    • +2
  7. 70人以上のキャストやクルーが頭の皮を剥がされたり、左耳を食いちぎられたりして重傷を負った。
    さらに撮影中にライオンやトラが病気になり、14頭が死亡した。

    …ってちょっと正気と思えない
    こんなに犠牲を出してまで作る必要のあるモノだったのか

    • +15
    1. >>14
      元から高い目標があったわけではなくて、単にコンコルド錯誤な気がする。
      ここまで来たなら、完成させないともったいない。

      • +1
  8. 思ったより無茶苦茶で、思ったより良い話だ

    • +1
  9. パニック(そうね…)・コメディー(!?)・映画(実験では?)

    • +3
  10. ティッピ・ヘドレン・・・ヒッチコック「鳥」の主演女優さんですね。

    • +4
  11. コンプラもへったくれもなかったのね~

    メラニー・グリフィスが
    そんなに大怪我をしていたなんて知らなかったわ。

    • 評価
  12. ライオンって意外と繁殖力強いしな
    苦労して保護なんてアホらしい

    • -5
  13. ロアーズをETと同時上映で子供の時に観ました!
    ETの記憶はゼロですが、ロアーズは良く覚えています
    世間の評価はETの方が高いのでしょうが、私の記憶に残ったのはロアーズの方です

    • +4
    1. 友達と観に行って、死ぬほど大笑いした記憶があります
      今観たらゾッとするんかな

      • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

サブカル・アート

サブカル・アートについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

動物・鳥類

動物・鳥類についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。