メインコンテンツにスキップ

画面上での読書は、紙の本での読書より理解力が低下し情報を保持しづらいことが判明

記事の本文にスキップ

49件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 最近では電子書籍も一般化しており、スマホやタブレット、PCで文章を読む機会が増えた人が多いだろう。だが画面での読書は、紙での読書に比べて、理解力が低下し、情報を保持しにくいという。

 オーストラリア、マッコーリー大学のエリック・ライヒル教授らは、デジタル時代の読書についてレビューを行い、その結果を『Trends in Cognitive Science』(2023年9月9日付)で発表している。

 本の読書でも、スマホやPCのような画面の読書でも、書かれた文字を見て、解釈するという基本的なプロセスは変わらないのに、なぜ理解力に差が出るのか?

 その 要因の1つとして、紙が「静的」な読書であるのに対して、画面(スクリーン)は「動的」な読書であることがあげられるという。

読書は新しい情報伝達手段

 マッコーリー大学のライヒル教授の説明によると、人間の脳の発達という点から見ると、読書はかなり新しい情報伝達手段なのだという。

私たちは読むために進化したわけではありません。また、そのために必要な認知系と視覚系の連携はじつに複雑です

 文字を読むためには、注意力をさっと転換し、高度な言語表現までが必要になる。そうした脳の処理はどれも動的に行われ、それぞれに60~200ミリ秒かかる。

だから、ただ話して聞くだけなら自然にできるようになりますが、読書には何年もの修練が必要になります

スクリーン劣性効果

 ただでさえ読書は脳にとって新しく慣れない作業なのに、画面(スクリーン)での読書はまさに最近になって発明されたばかりのものだ。

 これまでに行われたさまざまな調査研究が、画面で文章を読むと、本のような紙よりも理解しにくいことを示している。これは何語だろうと、どんな文字だろうとすべてに当てはまる。

 これを「スクリーン劣性効果(screen inferiority effect)」という。

この画像を大きなサイズで見る
photo by Unsplash

なぜ画面の読書は頭に入りにくいのか?

 なぜ画面での読書は、紙より理解しにくいのか?

 はっきりとした理由はわかっていない。だがリリ・ユー博士は、さまざまな要因が絡んでいるだろうと説明する。

 たとえば、読書の内容だ。小説のような物語ならば、画面でもそれほど理解力は変わらない。ところが教科書で勉強をするときなど、情報量の多い文章を画面で読むと、理解力が低下するという。

 心理的な要因も関係しているかもしれない。勉強では、速く読まなねばならないと気があせる。このような場合、画面での読書は、紙よりも効率が悪くなる。

 また画面の読書は、内容の矛盾に気づきにくく、そのために読者は騙されやすくなるという研究結果もあるという。

 あるいは目の疲れ・明るさ・快適さなどの物理的要因や、習慣などが関係している可能性もある。

この画像を大きなサイズで見る
photo by Unsplash

本の読書は静的で、画面の読書は動的

 このように画面の読書が理解しにくい要因として、ライヒル教授らが1つ指摘するのは、紙の読書が”静的”であるのに対し、画面の読書が”動的”であることだ。

 スマホの登場は、読書の習慣を大きく変えることになった。スマホの読み物は、短くて、堅苦しくないものが多く、流し読みしがちだ。

 しかも画面のそこかしこに、広告やら通知やらリンクやら、気を散らせるものが表示されている。そうした画面を見つめながら、文章への集中を維持するのはなかなか大変なことかもしれない。

 画面の読書が私たちの理解力を低下させる一方で、そもそも本のような印刷物への集中力が落ちている人たちもいる。

 ライヒル教授によれば、”ながら作業”ばかりで、集中力があまり続かなくなっているのだという。

テレビを見ている時や誰かと話している時でも、スマホでSNSを眺めていたり、ゲームをしていたりすることがあります。どれにもまともに集中していないのです

 しかもそうしたコンテンツは短くても、魅力的で、脳内でたっぷりドーパミンが放出されるよう動的に作られている。

 一方、本は静的で、動くものも点滅するものもない。刺激になれた脳には、退屈な代物かもしれない。

この画像を大きなサイズで見る

読む力を取り戻すために

 懸念されるのは、こうしたスクリーン劣性効果は、読む力がまだ未熟な人ほど大きな影響を受ける恐れがあることだ。

 つまり、これから読む力を培わねばならない子供たちが一番悪影響を受けるかもしれないのだ。

画面で読み方を学んでいる子供たちにどのような影響があるのか、まだわかっていません。それがわかるまでには、10年か15年はかかるでしょう

 残念ながら、本への集中力を回復させるために、手っ取り早い方法はないという。そのための唯一の方法は、ただ本を読む時間を増やし、地道に読書を続けることだ。

 自分にとって面白そうな本を選び、明るくて快適な場所に座り、スマホやテレビなど気が散るものはできるだけ遠ざけておく。

 時間はかかるかもしれない。それでも「努力する価値はあります」と、ライヒル教授は話している。

追記:(2024/02/11)本文を一部訂正して再送します。

References:Screen test: Paper still wins in the reading stakes | The Lighthouse / Dynamic reading in a digital age: new insights on cognition: Trends in Cognitive Sciences / written by hiroching / edited by / parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 49件

コメントを書く

  1. 最近、ラジオで高橋源一郎さんが似た様な事を言っとったな

    • +1
    1. >>2 何年も前にほんまでっかTVでも医者が同じことを言ってたし研究結果も10年以上前からあるよねー

      自分もKindleで読んだ本の内容全く覚えてないから体感でわかる

      • +1
  2. 雑誌、漫画、小説など1日一冊以上いろいろと読むほうだが、数は電子書籍が多いのに記憶に残っているのは紙媒体が多い気がするなあ

    • +11
  3. 画面の方がなんとなくしんどいのは経験則で分かるけど謎だよね。自分は画面の光が眩しくなくても本能的には不快で集中に影響してるのかなと。

    • +16
  4. 自分の場合はページを戻って見たいところを探すときは
    紙のほうが感覚的にわかりやすい
    そういう点でなら教科書で差が出やすいのは納得だけど
    理解力に差ってのはよくわかんないな

    • +9
    1. >>6
      自分はむしろ、教科書や参考文献の類こそ
      「あの章の、あそこらへんで見たはず…」というのを
      「Ctrl + F」ですぐ検索できない紙媒体は、
      パラパラめくりながら苛立つことがある。
      巻末索引はあっても、部分的だし。

      逆に、漫画はやっぱり紙で見たい。
      ページめくった後の見開きシーンとか、
      なんとなく感動の大きさが違う気がする。
      小説も、紙の手触りと、電子ブックの硬い質感だと
      どことなく気分的な情感が異なる印象ある。

      • 評価
  5. 光の刺激や乱視で画面との相性良くないとか
    眼との相性それぞれあって意外と難しい問題だと思う
    義務教育の子供達もタブレット端末使う事増えたし研究進展すると良いね

    • +7
  6. 今の30代以上の子供の頃から紙の本で読むことに慣れてきた世代と、
    子供の頃からすでにスマホやタブレットでの読書に慣れてきた世代とでは
    また違いは出たりしないのかな。
    電子端末での読書への慣れが原因だとするのなら。

    • +16
  7. >小説のような物語ならば、画面でもそれほど理解力は変わらない。ところが教科書で勉強をするときなど、情報量の多い文章を画面で読むと、理解力が低下するという。

    ↑ここめちゃめちゃ重要なとこだろ
    記事タイトルだけだと読書は尽く紙媒体でないと理解が劣るみたいに勘違いされるぞ
    記事の内容的にはどちらかというと読書どうこういうより電子媒体による学習効果の話では?

    • +16
  8. 何かを通して見ると感覚が変わるってだけのことでは?
    カメラで撮影してると「傍観者」になっちゃう現象とかあるし
    目で実体を見るのとはやっぱ違うよ

    • +1
  9. >> しかも画面のそこかしこに、広告やら通知やらリンクやら、気を散らせるものが表示されている。
    表示しなければいいんじゃないの?w
    画面か紙かという問題じゃないと思うけど。
    まあ時代の過渡期によくある、新しい文化への拒絶反応に過ぎないと思うわ。
    子供らの世代はこのあたり軽く乗り越えていくわけで。

    • -12
  10. あーなんかわかる。
    ネットの情報ほど見てはいるんだけど
    すぐ忘れちゃうとか

    昔のアニメで紙の本を読みなよとかあったな
    心が整理されるみたいな事言ってたけど
    あながちありかも

    • +10
    1. >>15
      同じ映像作品を映画館で観た場合と自宅で観た場合
      明らかに映画館で観た場合のほうがより強く印象に残るのにも似ている気がする
      映画館という非日常空間だからこそ没入しやすいのかもしれない
      それと同様に電子書籍よりも紙媒体のほうが没入しやすいのかもしれませんね

      • +3
  11. 紙媒体だと読む以外の動作はほぼ一律めくるだけだけど、ネット媒体の物は操作の統一感が微妙
    大体同じではあるけどプラットフォーム毎に最適化が求められる
    完全な没入には如何しても邪魔になる感じがするな

    • +3
  12. 体感的には分かるけど、スクリーン劣化効果っていうのが全く同じ視覚情報を紙とスクリーンで比べた結果なのか、広告とかも含めた自然なスマホの状態と本で比べたのかよく分かんないな

    • +1
  13. これは説明されなくてもちょっと分かる
    目疲れるしながら読みで頭に全然入らない

    • +6
  14. 電子書籍は内容以前にその本を『所有』していることさえ忘れがちだわ

    • +6
  15. できれば紙で読みたいけど嵩張るんだよね
    死んだ後の片づけを考えて紙の本はあきらめた

    • +9
  16. ネットでも読むけどどうしても流し読みになるなあ
    何度も読み返したい面白かったものはやっぱり紙の本がいい

    • +6
  17. なろうで気に入った作品を実書で読むと物足りない現象だな。
    書籍に慣れ親しんだせいかと思っていたけどみんなそうなんだね

    • 評価
  18. 実際同じ紙でもイラスト付きカラー教科書より文字白黒の方が理解力高いって結果出てたから
    気が散らないような構成が必要なのかな

    • +2
  19. screen inferiority effect、これの日本語環境での研究はあるのかしら。発見や研究自体はもう数十年とあるのですね。デジタル環境そのものや機材の表示原理や質もみるみる移行していくから最新の知見を得るのもたいへんそう。
    大人がつくるディスプレイ表示を前提の学習教材や論文・資料が、子供や学生にとっては想定ほどの効果を得られない…彼らと自分らになんの違いが…って謎続く時代が数世代続くってことにもなるのだろか。業者間競争や開発も大変かな。

    いくつかつまみ読むと同じスクリーン上の学習でもPDFで読むよりめくる効果を追加したソフト使用のほうが劣化の影響を受けにくいという実験(仮説?)あるのも面白いですね。青空文庫をプレーンテキストでいくかめくって読むリーダーなどリッチテキストやハイパーテキストでいくかみたいな話だろか。まあそりゃそうかーとも感覚的には思うけれどそれが研究全体のうちの一部の試みに過ぎなくても出力されてくるのはやっぱり興味深い。

    • 評価
  20. 広告でないkindleで比べてよ
    個人的には開いたページを押さえる手間が無い分楽で良い、風呂場でも読めるしね

    • +2
  21. っていうかね、純粋に目が疲れるんだわ。紙は発光しないからやっぱ楽よ

    • +7
  22. 古代ギリシアですでに記録に残ってる
    「今時の若いものは症候群」みたいな論文だなw
    自動車は煩くて臭いので
    文化的な馬車には勝てないと言ってた時代と同じ

    • -19
  23. 電子書籍で1000冊くらいは持ってるけど、他のページの見取り図とかを見比べながら読むのは紙のほうが優れてる
    電子書籍で端末を2台用意するのも手ではあるんだけどそれでも紙のほうが上かな

    • +4
  24. 自分はネットで見つけた込み入ったヤヤコシイものは打ち出して紙にしてからよむ
    その方が理解が進むので。

    どっかの脳の先生が言ってたけど、画面で見る場合
    脳のリソースを余計につかっているかららしい。
    光のドットをつなげて読むことに脳を使うのだそうだ。
    つまり画面を読むときには個人比で少しバカになってる、ということかな?
    かなり古いソースなので今の画面はそのあたり結構解消されているはずだから
    その理屈が今も通用するのかどうかわからない。

    • 評価
  25. 年のせいか、字が小さい紙書籍よりは字を拡大できる電子書籍だなあ
    kindle paperwhiteは目が疲れなかった
    パソコン上やタブレット・スマホは光るから疲れる

    • +4
  26. >>広告やら通知やらリンクやら
    それ割れで見てるからじゃないのか?

    • -5
  27. あ〜、これは実感としてある
    俺自身の脳が紙の本に慣れきっていて
    電子書籍対応にアップデートできないのかと
    思っていたが、一般的な傾向だったのか?

    • +2
  28. >小説のような物語ならば、画面でもそれほど理解力は変わらない。
    >ところが教科書で勉強をするときなど、情報量の多い文章を画面で読むと、理解力が低下するという。

    これ物凄く実感ある、マンガや小説はもう電子メディアでいいやって感じだが、教科書を電子化すると頭が悪くなる予感。

    • +2
  29. 新聞もネットで読むのと紙の新聞で読むのとで読後感が違う
    それぞれ脳の別の領域を使ってるような感じがする

    • 評価
  30. 記憶そのものと言うか、紙の本だと”この話はこの辺”と紙の厚さで予測できるけど、電子書籍では予測がつきにくい感はあるわな。

    • +4
  31. これ、本当実感するよ
    比較的紙と似た感じのkindle paper whiteで読んでも同じ
    読めるは読めるけど本当に記憶に残らない

    • +2
  32. スマホで読んでも集中出来なくて、結局図書館で借りた本がある。逆にドグラ・マグラは青空文庫で流し読みしてやっと読破出来た。

    • +2
  33. 私の場合「読書」は端末が合っている。
    「学習」は音声で聞くとよく理解できる。
    「暗記」は紙のノートに繰り返し書く事で覚える。
    紙の本の出番はあまり無いが、間違いなく気分は上がる。

    • 評価
  34. 漫画とか娯楽小説は、圧倒的省スペース性の電子書籍が勝ってると思うけど、
    参考書とか技術書に関してはまだまだ紙が上だと思ってる。

    しおり挟んだり、注釈入れたり、指を挟んだり、ドッグイヤーしたり、
    別な切り抜きや写真を挟んだり・・・。
    自分の思いつく限りの工夫で読みやすくできるというメリットが電子書籍には足りない。

    • +4
  35. 書く人はどうなんだろう。キーボードと紙では違いがあるのだろうか。

    • +1
  36. これは体感で何となくわかる。
    そしてやはりそう言うことってあるんだなと納得できた。
    最近、小学校とかで教科書をタブレット化とかしてるけど良い事ではないのかもね。

    • +4
  37. なんかそんな気はしていた。
    でも本当は紙がいいけど、置き場所を考えたら電子に移行していかざるを得ないんだよなあ……。
    今頑張って、電子に慣れようとしているところ。

    • +1
  38. 自分はPCの方が頭に残るな。目が疲れないメーカーのディスプレーを使って画面も見やすく
    調整して、ブラウザ等もカスタマイズして必要な情報はマーカー付けたり、テキスト保存したりして必要な情報は残すようにして覚えている。またPCだと分からない英単語や漢字などは直ぐに調べられるし、本を持たなくていいから紙の媒体より楽。ただPC以外だと上記の操作が逆にし辛いのでまだ紙の媒体の方がいい。

    • 評価
  39. 何年か前にも報告されてたなぁ
    当時は脳と人間の認識の分野から報告だったけど・・・
    どう足掻いても、自分が関わる事は無いので
    対応できる人は限られるだろうね

    • 評価
  40. 漫画や小説は記憶に残ってるのにまとめサイトは昨日何読んたかまるで思い出せないのはこれが原因だったのかw

    • +1
  41. 幼少期から慣れ親しんでいる場合、また違った結果が出るかも

    • +2
  42. 学習障害の知り合いは電子媒体だと読めるってことで紙媒体は撮影してから読んでる
    自分は逆で電子書籍の長文は頭に入ってこない
    脳って面白いな

    • +1
  43. 研究してる奴の頭が悪いとしか言えないな
    画面に広告が出るから理解力がそがれるとか、電子媒体の教科書が広告が出る仕様なのなら教科書に採用するなよ
    TVを見ながら教科書を読むと理解度が下がる、だが我々はなぜ理解度が下がるのかわからない

    • -5
  44. 電子書籍で小説よく読むけどkindleで読んだから内容覚えてられないとかないぞ
    教科書類が紙の方が絶対いいのは経験上そう

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

料理・健康・暮らし

料理・健康・暮らしについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。