
インドネシアの丘の中腹に、ひっそりと隠れていた巨大なピラミッドのような構造物は、ストーンヘンジやギザのピラミッドよりも遥かに古く、人間によって建造された最古の巨大構造物かもしれないという。
グヌン・パダンというこの遺跡は、西ジャワ島の丘陵地に並ぶ、古代の石造建築物群だ。
地元の人々にとっては、ここは神聖な場所であり、彼らはこうした建造物を頂上に続くテラスとしての階段ピラミッドを意味する「プンデン・ベルンダック」と呼んでいる。
グヌン・パダンのピラミッド構造の遺跡
インドネシア西ジャワ州チアンジュール県カリャムクティ、チャンパカ地区にある巨石記念物遺跡「グヌン・パダン」は、私たちが知っているような農耕や文明が始まる前に、死火山の頂上に建てられた、世界最古の可能性のあるピラミッド型建造物だ。すでに多くの研究者たちは、「グヌン・パダン」のこれを人間の創意工夫の驚くべき証だと考えている。
この遺跡に人造の建造物やピラミッドが本当にあるのかどうか、あるいはこうした岩の並びの多くが自然の力がなしえた結果なのか、について議論があることは確かだ。
しかし、現地の言葉で「悟りの山」を意味するグヌン・パダンを広範に分析したところ、古代文明が大昔の溶岩でできた自然の丘を細心の注意を払って彫り進め、ピラミッド建造物の中心を形成したことがうかがえる。
インドネシアの科学者からの新しいデータによると、内部には、未知のものでいっぱいの大きな部屋が隠されている可能性もあるという。

世界最古の巨石構造
この遺跡の最初の放射性炭素年代測定の結果は、最終氷河期のある時期、今から1万6000年以上前、おそらくは2万7000年前までさかのぼる頃に、最初の建設が始まった可能性があることを示している。トルコにある巨石群ギョベクリ・テペが、現在知られている世界最古の巨石建造物であると考えられているが、これは1万1000年前のものだ。

グヌン・バダンに関する現在の研究結果は、長年にわたる慎重な分析を経て得られたものだ。
2011年から2015年の間、インドネシアの国立研究開発庁の地質学者、ダニー・ヒルマン・ナタウィジャジャ氏率いる、考古学者、地質学者、地球物理学者の研究チームは、コア掘削、地中探知レーダー、地下画像処理などのさまざまな技術を使って、この文化遺産の探索を行った。
ナタウィジャジャ氏らは、グヌン・パダンは複雑で高度な段階を踏まえて建設され、最深部は地下30メートルになると言っている。

複雑な構造と再建の歴史
研究者たちは、この構造物の中核部分は、紀元前2万5000年から1万4000年の間に建てられ、その後、数千年間放置されていたのではないかと考えている。再び建設が始まったのは、紀元前7900年から6100年頃で、さまざまな岩や砂利まじりの土壌でピラミッドの中心部を拡張し、その後は紀元前6000年から5500年の間にさらに建設作業が行われたという。
興味深いのは、この時点で建設者たちが、意図的に古い部分を埋めたか、その上に建てたように見えることだ。
このピラミッドの最後の建築者は、紀元前2000年から1100年頃にやってきて、今日見えている「プンデン・ベルンダック」の光景である、石のテラスや表土も追加したのだろう。
このピラミッドのユニット3とユニット2を建設した者は、これまで考えられていた狩猟採集文化とは相容れない、驚くべき石工技術を持っていたに違いない、と論文は書いている。
ただし全て人間が建造したかどうかは不明
グヌン・パダンに長いこと人が居続けていたことを考えると、ここが重要な役割をもっていたがゆえに、古代の人々が惹きつけられ、繰り返し住みつき、改造したりしたと推測するのが理にかなっていると思われる。先史時代にここに住んでいた人たちは誰なのか、どうしてこのようなものを造ったのかを理解するためには、さらに発掘を進めなくてはならない。
地震波を使って、丘の中腹を探ってみたところ、長さ15メートル、天井までの高さ10メートルの隠れた空洞もしくは部屋があることがわかった。
ただし注意しなければならないのは、これらすべてが人間の手によって造られたものなのかどうかは、まだ不明な点だ。
研究チームは、この場所をさらに深く掘り下げていきたいと思っている。なんらかの部屋にぶちあたったら、カメラを挿入して、なにがあるかを調べるつもりだ。
この研究は、考古学、地質学、地球物理学の手法を統合した包括的なアプローチが、隠された古代の巨大構造物をいかに見つけ出すことができるかを例証するものだ。
議論の余地はまだあるものの、間違いなくこれからもグナン・パダンのことを耳にすることになるだろう。
この研究は『Archaeological Prospection , 2023" target="_blank" title="">Archaeological Prospection』誌(2023年10月20日付)に発表された。
References:Archaeological Prospection | Archaeological Journal | Wiley Online Library / Giant Pyramid Buried in Indonesia Could Be The Oldest in The World, Researchers Say : ScienceAlert / written by konohazuku / edited by / parumo
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コメント
1. 匿名処理班
ホモサピエンス以外の絶滅した化石人類が作ったのかもしれない、という意味だな。
我々の近縁種だが、しかし我々の先祖ではない別種のサルたちが石を積んでピラミッドを造り、高度な土木技術や数学や天文学を駆使していたかもしれない、と。
2.
3. 匿名処理班
地中のピラミッドとな
ロマンの塊やん
4. 匿名処理班
>>1
サルというかネアンデルタール人、デニソワ人、か・・・
5. 匿名処理班
酒井勝軍による調査で葦嶽ピラミッドが世界最古のピラミッド(2万3千年前に作られた)と判明しているので、おそらく日本からインドネシアに技術やその意義が伝わり、ずっと後になってエジプトにも伝来したのだろう。その意味で2万7000年前というのは少し眉唾かもね。しかし日本って凄い。
6. 匿名処理班
元々自然発生した地形の所に岩などを旧人類が追加したのでわ?
7. 匿名処理班
農耕が行われるようになったことで定住型文化が発生し巨石建造物が作られると考えられているので、まさに「狩猟採集文化とは相容れない、驚くべき石工技術を持っていた」というのが最大の謎。
ただ、定住型の狩猟採集文化ではナトゥーフ文化(紀元前1万2500年から9500年)という例があるので、紀元前2万5000年から1万4000年(まさに最終氷期寒冷期と重なる)にこの地域が温暖で湿潤であれば定住しなんらかの高度な文化が発生していたのかもしれない。
可能性はゼロではないが、定住文化の発生が1万年遡ることになるトンデモ説になるけどね。
古いわ成り立ちが複雑だわ匙を投げたくなるけど、考古学者は諦めないw
8. 匿名処理班
人が手を加えた山や人が作った丘陵構造物を、なんでもかんでもピラミッドの一言に纏めるのはともかく、それらが全て”同一の観念”から作られていると考えるのは傲慢
その上、その観念がかけ離れた此地で生まれ拡散した、と言いだすのは蒙昧でもって理智を覆う愚行
>ただし全て人間が建造したかどうかは不明
あくまで、地質学的作用による構造の生成や変化の可能性を指してるのだろうけど、この見出しだけ見て、宇宙人ガーとか言いだす人間がいそう
9.
10. 匿名処理班
>>5
こういう日本起源説増えてきたよね
なんだかなー
11. 匿名処理班
>>10
俺の親父も、日本が一番最初に発見・発明したらしい!って話を鼻息荒くして話すわ
微分積分とか核兵器とかを西洋よりも早く発見してるんだそうな
なんかの本に書いてあったらしいその話を聞いてると、んんー(笑)ってなるわ
12. 匿名処理班
Wiki見ると、年代推定は恣意的に古くなるように行ったのではないかと、だいぶ疑問視されているらしい。
ようするに「トンデモ」の部類じゃないかと他の考古学者からは見られている。
13. 匿名処理班
>>5
あれは自称ピラミッド専門家が言い出したことで考古学的裏付けは無いんだよ
今のところオカルト
14. 匿名処理班
>>7
ギョベクリ・テペの最古層が農耕開始に先立っていると考えられているので、順番としては宗教が定住と農耕を産んだ可能性が高いと思うよ。
この遺跡の年代が間違い無ければ、さらにその考えに傾く。
15. 匿名処理班
>>5
その名前の時点で「あ。オカルト話だ!」で終わる話なんだが…信じる人いるの?
>>7
> この地域が温暖で湿潤であれば
赤道直下ではあるので、温暖であったことには間違えはないと思う
赤道化まで凍るような、ほぼスノーボールアース状態になってしまったら流石に…
16. 匿名処理班
>>11
「微分積分」に関しては日本…とわず世界的にあったのよ
ただそれをちゃんと体系立てて、学問としてという話ならば欧州になってくる
あとあれ。和算に関しては調べてみると面白くていいよ。庶民の楽しみにもなっていたしw
核兵器の話は仁科芳雄氏の研究の拡大解釈かなぁ?
あと原子爆弾の可能性も世界各国で同時多発的に研究がされているので
その着想が日本が一番最初というわけは絶対にないわw
17. 7
>>14
そこだ。ギョベクリ・テペ周辺は当時農耕が発生する条件を揃えておる。
然るに、まだ農耕の痕跡が見つかっていないだけで実際には農耕が始まっていた!と、ワシはそう睨んでおる!←宗像教授レベルの話で聞き流してね。
>>15
これも当時の植生がわかればなあ…
マジでナトゥーフ文化より1万年前に定住型の狩猟採集文化があったかもしれない。
そして、この場所は神聖な場所と木の実等の保管場所を兼ねたものだったかもしれない。
18.
19. 匿名処理班
>>10
増えてきたんじゃなくて、昔からこういうのはあった。
30年前には漫画のスプリガンでもそういうネタで1話分作られてたし(炎蛇伝説)
むしろ最近はもう語る人も少なくなってきたんじゃないかな
20. 匿名処理班
>>19
今の時代に1980年代ぐらいのオカルトブームがなんかまた勃興しているイメージ
しばらく前にテレビで韓国の人がUFO呼び出しをやっていて、矢追純一かよって思ったわw
21. 匿名処理班
いまジャングルになってて人が近寄れない所ほど古代遺跡だらけって説面白いなと思った
22. 匿名処理班
>>1
いや、そうではなくて、これが自然の洞窟や山の加工である可能性のことを指していると思うぞ。
ホモサピエンス以外の人類が巨大建造物を作っていたとしたら、それはもはや人類史をひっくり返す空前絶後の大ニュースだ。
23. 匿名処理班
このピラミッドの山頂に無数に転がっている柱状節理らしき岩は、ナンマドール遺跡の石組みにそっくりなんだよね。
地理的にも近いし、何らかの関連性があると思ってる。真相が明らかになると人類史がひっくり返るから逆に真相は表にはなかなか出てこない気もしている。