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石碑に刻まれたルーン文字が明かすバイキング女王の絶大な権力

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(著) (編集)

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 デンマークのルーンストーンに刻まれた文字を3Dスキャンを使って解読したところ、絶大なる権力をもつバイキング女王に捧げられたものである可能性が高いことが判明した。

 調査対象となったのは2種のルーンストーンで、一つは、デンマーク建国の父とされる王、ハーラル1世(通称青歯王:ブルートゥース)が、自分の父ゴームと母テューラを記念して作った「イェリング・ストーン」で、もう一つは「ラヴナンゲ=トゥ・ストーン」と呼ばれるものだ。

 どちらもテューラというバイキングの女性について言及しており、もし同一人物であれば、彼女はバイキング時代のデンマークで最も多く碑文に名前が記された人物となる。

ルーンストーンに出てくる同じ名前の女性は同一人物なのか?

 研究チームは、これら2種類の石のグループに出てくるテューラという女性は、同じ人物のことを記しているのではないかと考えた。

 これが正しいとすると、テューラがバイキング時代(800年 – 1050年)のデンマークのルーンストンに、もっとも多く登場する人物ということになる。

「私たちは、イェリング・ストーンとラヴナンゲ=トゥ・ストーンの関連性を見つけるために、これらに文字を刻んだ共通の彫刻家が見つかるかどうか確認しようとしました」論文の筆頭著者である、デンマーク国立博物館のリスベット・M・イマー博士は語る。

「関連があるとすると、このふたつのグループのすべての石が、デンマーク王ハーラル1世の母であるテューラのことを示している可能性が高いことになります」

 この仮説を証明するために、イマー博士とスカンディナビアの複数の研究所チームは、ルーンストーンの3Dモデルを作成して、形状や彫刻技法、使われている言語を分析した。その結果は『Antiquity』誌に発表されている。

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分析されたルーン文字を赤字で強調した、第2イェリング・ストーンの3Dモデル / image credit:Antiquity (2023)。DOI: 10.15184/aqy.2023.108

ルーンに刻まれていた名前は同一のバイキング女王の名だった

 研究チームは異なる彫刻家によって刻まれた特徴的な印を見分けるために、保存状態のいいルーンストーンに刻まれた溝の形状を比較してみた。

 その結果、第2イェリング・ストーンとラヴヌンゲ=トゥ・ストーンのグループであるラボルグ・ストーンのルーン文字に類似性が見つかった。これは同一人物によって彫られたことを示している。

 従って、両方の石に言及されているテューラは、おそらく同じ人物、つまりデンマーク女王であり、ハーラル1世王の母親を示しているものと思われる。

 これは、テューラが非常に大きな権力を持ち、高名な人物だったことを表している。おそらく彼女は、夫を通してではなく、自分自身の土地と権威を確立していたのだ。

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ラヴナンゲ=トゥ・ストーンのひとつ、ラボルグのルーンストーン / image credit:Roberto Fortuna / CC BY-SA 4.0

絶対的権力を持っていた女王

これほど多くのルーンストーンにその名が刻まれているバイキング時代の人物は、男女ともにデンマークにはいません。

これは、息子のハーラルの統治下で王国をまとめあげるのに、テューラがまぎれもなく重要な役目を果たしていたことをはっきり示しています

 イマー博士は言う。

 重要なのは、デンマークのバイキング時代には、これまで考えられていたよりも、女性が大きな影響力を持っていたことを意味していることだ。つまり、バイキングの女性たちが、自ら権力を掌握し、夫や未成年の息子に代わって、国を統治することが可能だったことを示している。

 これはまた、デンマーク国家の形成に関する私たちの知識に重要な意味をもつことになる。

「現在の分析とルーン文字の地理的分布を組み合わせると、テューラはデンマーク王国の形成にとって重要人物のひとり、いや、重要人物そのものだったことさえうかがえます」

ブルートゥースの由来

 余談だが現在我々はブルートゥース(Bluetooth)を当たり前のように使っているが、実はこの名前の由来は、ハーラル1世に由来する。

 958年にデンマークとノルウェーを統一したハーラル1世は、神経の死んだ歯があり、それがダークブルーとグレーの色をしていたことから青歯王(ブルートゥース)」と呼ばれるようになった。

 ハーラル王が2つの国を統一したように、「乱立する無線通信規格を統一したい」という想いから、開発に携わったスウェーデンの通信機器メーカー「エリクソン」社の技術者がこの近距離無線通信規格「ブルートゥース」と名付けたそうだ。

 また、ブルートゥースのロゴも、デンマークのイェリングのルーンストーンのルーン文字で、ハーラル・ブロタンの頭文字のH(ᚼ)とB(ᛒ)を組み合わせたものに由来している。

References:A lady of leadership: 3D-scanning of runestones in search of Queen Thyra and the Jelling Dynasty | Antiquity | Cambridge Core / Runestones reveal the power of a Viking queen / written by konohazuku / edited by / parumo

References: :A lady of leadership: 3D-scanning of runestones in search of Queen Thyra and the Jelling Dynasty | Antiquity | Cambridge Core / Runestones reveal the power of a Viking queen

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この記事へのコメント 19件

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  1. 冒頭からブルートゥースで頭に入ってこなかったけど最後の余談でめちゃめちゃ勉強になりますた

    あのマークがルーン文字に由来するとは

    • +13
  2. ハーラル1世の孫がヴィンランド・サガのクヌート王だっけ

    • +7
  3. 俺の知ってるバイキングの女王はビッケの母ちゃんだけだなぁ 少なくともハルバル父さんよりは強かった

    • +4
    1. >>7
      テューラって名前も良いし、実在した当時最も名を刻まれたバイキング女王って素材としては一級品だよなあ

      • +3
  4. ブルートゥースの事を青歯と略してる人が良くいるが、元ネタそのものだったのね。
    勉強になりました。

    • +4
  5. 現在の短距離通信規格Bluetoothの名前の由来はかなり有名だよね。

    • +2
  6. どういう組織なんだ?
    あいつらって国家的規模の存在なん?
    ただの海賊じゃねえの?

    • -3
  7. お前の息子、もうちょっと長い距離でつながるようにできんか?

    • 評価
  8. 以前にもカラパイアで青歯王については紹介されてたね。
    ここカラパイアで予習したところだ!

    • +2
  9. これアレでしょ?
    必要なアイテム持ってると特定の文字のところが光るやつでしょ?
    その光ってるところを順番にタッチすると何かが起きるんだ

    • +1
  10. 歴史はともかく、ブルーツゥースの規格は良い印象がない…
    ワイヤレスイヤホンで使わざるをえないから使ってるけど

    • 評価
    1. >>19
      初期に「つながらない・すぐ外れる」問題で腹立って、イヤホンは有線に戻した

      あと(ローマ字入力限定で)「トゥ」が入力しづらいのがイヤw(「TWU」で入力できる)
      フリックorかな入力なら問題にならんのだけど

      • 評価
  11. 赤毛の男と冒険したとかどうとか……

    • 評価
  12. デンマーク人の品格は、当時からなのかも。
    以前、旅先タイで、西洋人には珍しい、現地のルールを厳格に守ろうとするデンマーク人に会ったことがある。それ以来、デンマーク人には一目置いていた。

    • 評価

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