メインコンテンツにスキップ

中世のフィンランドの戦士は男女の性別にとらわれない「ノンバイナリー」だった可能性

記事の本文にスキップ

48件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 フィンランドで発見された1000年前の墓地が再調査されたところ、埋葬されていた人物は、男性と女性という典型的な二分法(バイナリー)にとらわれない「ノンバイナリー」だった可能性が明らかになった層だ。

身体的性に関係なく、男女二元論にとらわれないノンバイナリーは古くから存在し、少なくともフィンランドではその存在が差別の対象になったり、偏見の対象にはならなかったようだ。

 その遺体は丁重に埋葬されており、中世初期の鉄器時代を生きたこの人物は周囲から認められ、きちんと敬意を払われていたことがうかがえる。

 研究者によると、当時の人の社会的アイデンティティは性別で判断されず、別のものさしで測られていたことを示す証拠かもしれないそうだ。 

000年前の青銅の柄の剣

 1968年、フィンランドのスオンタカ給水塔(Suontaka Vesitorninmaki)で行われていた水道菅工事の現場から、ほぼ1000年前の柄が青銅で作られた剣が発見された。

 これをきっかけに見つかった墓には宝飾品が収められており、亡骸は当時の一般的な女性の服装をしていたと考えられている。

 しかし意外なことに、墓には通常なら男性の遺体と一緒に収められる1振りの剣(2振りとの解釈もあり)も埋葬されていたのだ。

 そのため、この墓には中世初期に存在した強力な女性リーダーや女兵士が埋葬されていたか、あるいはじつは2人分の墓で、女性と男性が一緒に埋葬されていたのではないかと推測されるようになった。

この画像を大きなサイズで見る
発見された墓のイメージ図 / image credit: Cambridge University Press

遺体に男性に起きる性染色体異常を発見

 しかし最近になってトゥルク大学(フィンランド)の研究グループが、土の中から発見されたDNAの解析を試み、その結果を『European Journal of Archaeology』(7月15日付)で発表している。

 それによると、どちらの説も否定する結果であったという。

 DNAはかなり損傷が進んでいたが、分析からはその性染色体が「XXY」であることが明らかになっている。「クラインフェルター症候群」と呼ばれる人たちのものと同じだったのだ。

 クラインフェルター症候群は男性に起きる性染色体異常で、通常のXY染色体にくわえて、さらに余分なX染色体がある。

 そのために解剖学的には男性でありながら、精子が作られなかったり、体型が華奢で、女性のような乳房が膨らんだりといった特徴が現れることがある。

 ただし、ごく軽微でほとんど気付かれないようなケースも多いし、クラインフェルター症候群だからといってノンバイナリーであるわけではない。

この画像を大きなサイズで見る
墓に埋葬されていた剣 / image credit:The Finnish Heritage Agency (CC BY 4.0)

社会的アイデンティティは性別とは別に形成されていた?

 研究グループのウラ・モイラネン氏によれば、埋葬されていた遺体は、当時個人の社会的アイデンティティが、従来の性別とは別に形成されていたことを示す一事例かもしれないという。

仮にその人物にクラインフェルター症候群の特徴がはっきり現れていたとしたら、中世初期には厳密な女性とも男性ともみなされなかったかもしれません。

墓の埋葬品からは、この人が受け入れられていただけでなく、尊敬されていたことがわかります。しかし生物学的な性別が人のアイデンティティを直接決定しているわけではありません。

 今回の研究からは、遺体と一緒に埋葬された剣は青銅の柄を持つもので、もう1振りは後になって収められただろうことも明らかになっている。

 このことも、埋葬されていた人物がコミュニティにとっていかに大切で、人々がその思い出を偲んでいただろうことを示していると考えられるそうだ。

References:Weapon grave of Suontaka, Hattula in Finland reveals flexible gender roles in the early Middle Ages / written by hiroching / edited by parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 48件

コメントを書く

  1. フィンランドってことは多分ヴァイキングだね。彼等は女性でもリーダーになれて、記事のものとは別に女戦士の墓が発掘されたりしている。
    そんな下地があったから、記事の様な中性的な人でもリーダーになれたんだろうね。

    • -1
  2. クラインフェルター症候群は、髭のない太った男性になることも多いよね
    あと第二次性徴がこないでヒョロッと身長が伸びるタイプ
    この埋葬者はどんな形質が現れてどう捉えられたのだろうか

    • +8
  3. そりゃ男女を完全に分断したのはキリスト教だからな
    今起きてる問題のほとんどはキリスト教のせい

    • +17
  4. 筆者はノンバイナリーの意味を理解してない

    ノンバイナリーなら戦士の男女比率が同数でなければならないが
    そんな記録は全世界で存在しない

    たった一例、女性と男性が一緒に埋葬されていただけで
    「社会的アイデンティティは性別とは別に形成されていた」だなんて
    無茶苦茶にもほどがある

    • +8
    1. ※4
      アマゾン族伝説の元になったといわれるスキタイ族は、戦傷を受けていたり、武器と一緒に埋葬された女性の墓がかなり多く発掘されている。

      男性と同じくらい女性戦士がいた部族は歴史的にいたんだろうけど、それをノンバイナリーという概念でどう捉えるかは現代人の解釈の問題とも思う。

      • +10
    2. ※4
      またフリージェンダー論者の記事だろうねこれも。
      タイトルのノンバイナリーと墓の埋葬された人物とは全然関係ないようにしか思えないんだけど、無理やりつなげて「中世にも性別にとらわれない社会が~」とか言ってるだけだよなあ。

      • +2
    3. >>4
      胸やらを隠せば、ちょい中性的な男、くらいで済んでたろうしな。
      死後に見られたところで、じゃあ埋葬やめっか、ってなるわけないし。

      • +2
  5. 北欧神話で両性的な神と言うとロキが思い浮かぶがインドで先天的多肢の子が崇められるように両性偶有的な容貌が神聖視されていたのかも

    • +15
  6. 北欧やロシアは男女同権が進んでますよね。それは大昔から男女同義務を前提とした文化が根付いていたから。過酷な環境では女性が家長を務める必要もあったからと言われています。
    第二次大戦のフィンランドでは女性人口のほぼ半数が何らかの形で戦争に参加し、対するソ連では女性兵士が最前線で男性と肩を並べて命がけで戦っていました。

    • +5
  7. 同性愛者にだけ都合の良いように解釈を
    固めちゃって後から否定の材料が見つかっても
    聞く耳持たないみたいなのはやめような。

    • +5
  8. 昔の染色体異常で高い地位についていたと言うことは特別な何かとして扱われていそうだ

    • +6
  9. エジプト時代でも女王は多くいたようで、英仏戦争時にも女性の
    兵士が大活躍した記録も残ってる
    女男って騒ぐのは現在に残る社会欠陥かもしれん

    • +14
  10. 実力主義なだけじゃん。
    評価をされて尊敬されてたとしても、その人自体はその地位に上り詰めるまでに差別を受けながら踏ん張って築いた地位なんだと思うんだけど。

    • +2
  11. 古代はなぁ、日本もそうだけど
    「まだ男女差別がやれるほど社会や生活に余裕もなければ人材もない」
    …てのが実情よ、本当

    文明の黎明期という物理的にも精神的にも文化的にもクッソ忙しいこの時期に、性別で役割分担なんてやってられねえよ才能あるなら男女問わず参加しやがれってことなのよ
    飛鳥時代から奈良時代にかけて実務バリバリの女官が活躍してたのもそれだしな

    勿論だからってそれ以降の男女差別ありありの世界を進んでるなんて言う気は毛頭ないぞ、当たり前だけど

    • +21
    1. >>11
      農民や漁民なんかも特にそういう傾向多いよね。
      もちろん性別や年齢で出来ることの効率は違うから分業化はされていただろうけど、男も女も同じように働かないと生活や社会が回らないから生きていけない。
      男女格差が顕著に広がっていったのは富裕層や中流階級が増えてきて、仕事の場所が村から都市へ変わった近世からだって聞いたことある。

      • +6
      1. >>15
        ニホンザルも同じ傾向が見られるのが面白い
        野生のニホンザルは母系集団を中心にいわゆる明確な「ボス」が存在しない群れを作っているというのが現在出ている調査の結果なんだが、飼育下に置かれて餌の心配がなくなった途端にオスがイキリ出してその中からボス猿が生まれるらしい

        • +3
    2. ※11
      大混乱がようやく収まり人出の足りない上に異民族色の強い隋唐朝なんかは女性の権力が結構強いですしね、まあその後の儒教的体制において徐々に女性の出番は削られていきますが

      • +1
  12. 文明の最初期って大抵女性の地位、そんなに低くないよね
    子孫繁栄の礎だからってのも有るが大事にされてる
    そこから徐々に力とか資金力とか判り易い基準に価値を置く様になってくのは何処も一緒なんだろうな

    • +15
  13. 東北では伝統的に男女とも「おれ」という一人称を使うけど、それは厳しい環境で男も女も関係なく一働き手としてみなされていたことがバックグラウンドにある、という説を聞いたことがある。

    彼らも同じだったのかもね。
    男が男らしさを誇示したり、女が女らしさの枠に留まるのはある程度のゆとりがあってこそなのかも

    • +7
    1. ※13
      そもそも、「おれ」を男言葉とする概念のほうが新しく、
      元々は性別の区別は無い単語だと聞いたが。
      「おら」なんかは、今でもそんな感じで
      男女問わず田舎者ってイメージだし。

      • +5
      1. ※29
        うちの婆さん一人称は”わし”だったわ。

        • +1
  14. タイトルだけ見て、中世フィンランドの戦士は性別不問の完全実力主義なのかと思った。
    たった一例、染色体以上の中性的な容姿だったであろう男性戦士がいたようだってだけか。

    • +6
  15. 自己の解釈どころか願望が先立って歴史を判断しかねない学者だな・・・

    • +8
  16. インドにはヒジュラという男女両方の性別を持つ
    シャーマンやミュージシャンのような人達がいるらしい

    • +7
  17. というか、この墓の埋葬者はあくまでも男性であって、
    埋葬品に装飾品があったから女性ではないかと誤った推測をしていたってだけ。
    高貴な血筋の人物なら相応の待遇で埋葬されて当然でしょう。
    それが何故ノンバイナリーだとか言い出したのか。

    高校時代の同級生にクラインフェルター症候群っぽい人がいて、
    身体が細いのに胸が膨らんでたものの、
    周囲の誰も茶化したりせずあくまでも普通の男性としてしか見て無かった。

    • +6
  18. サンプル数1じゃあ、仮説としても大胆過ぎないか

    • +11
  19. 有力な氏族長が傍に置いた愛妾兼護衛とか有力者に先立たれた妻とか幾らでも可能性はあるのになぜにノンバイナリーだったと発想が飛躍するのか。
    もしくはあれか?最近流行りの私の肉体は女だが本当は男だ系の人だったとか?
    ノンバイナリーが素晴らしい夢の様な文化だとか思い違いもはなはだしい。

    • +4
  20. Vesitorniは確かに給水塔だけどVesitorninmäkiは訳すと給水塔の丘になる。固有名詞(地名)なのかどうかは調べがつかなかった。

    FYI: Ulla Moilanen ウッラ・モイラネン

    • 評価
  21. ノンバイナリーって性自認の話だよね?
    一人の古代人が「私は男でも女でもない」と自ら表明した記録でもあれば古代にも現代で言うノンバイナリーの人がいたと言えるけど、
    実際は本人の性自認が定かでない以上、発掘された遺体の身体的特徴や装身具から推察される情報だけで突然ノンバイナリーという用語が出てくるのは、「ノンバイナリーを自認する人は中性的な外見をしていて中性的に振る舞う事を好み一定の社会的地位についているはずだ」って偏見ゆえじゃなかろうか。

    • +8
  22. 実力があればどんな社会でも個人として認められるよ。
    そこで「お前は女だからダメだ」とか言い出すのは一部の人間だけで、現実は利益とか立場が優先される。人間そこまで頭悪くない。
    そもそも、ヨーロッパで男尊女卑が根付いた最大要因はキリスト教で、北欧はその影響が遅かった。それだけ。

    • -10
    1. ※30
      自分が世界中のあらゆる世代の社会がどうであったかを把握してるかのような言い分に呆れる。
      今現時点でもインドや中東でどれだけ女性の権利が抑圧されてるか。
      日本でだって女性だというだけで職場で評価されない人がどれだけいるのか。
      何も判ってない。

      • +14
    2. >>30
      それは夢見すぎ
      そもそも女性が社会の公の枠組みから排除されており、利益や立場において優位な地位につけない社会なんて古今東西ある
      実力をつける機会があること自体が特権である時代や社会なんて珍しくない
      あなたの意見はその前提を無視して「あなたが認められないのは女性だからではなくてあなたの実力のせいなんですよ」と言っているようなもん

      • +14
    3. >>30
      実力があっても性別やコネには勝てないよ。人間に期待し過ぎよそれ。人間は脳の造りは悪くないけど頭は悪い生き物さね。歴史が物語ってる。人間は間違いなく馬鹿よ。

      • +4
  23. 女戦士って美しくてかっこいいから憧れるよな

    今回はクラインフェルター症候群だったけど、
    俺はリアル戦乙女が過去に存在していたと信じてるよ
    ジャンヌダルクみたいな泣き出すけど現場で旗を掲げるような英雄がもっと見つかってほしい

    • +1
  24. ゲルマンの女はみんな髭生えてるし

    • 評価
  25. あえて酷い推測をしてみると、この女性の遺体そのものが有力な男性戦士の”副葬品”だった可能性。
    まあ戦士の格好させる必要は無いからその線は薄いけれども。

    • -5
  26. そもそもノンバイナリーって性自認の問題ですよね。亡くなっている方の性自認なんて服装だけではわからないし、性差による役割分担がなかったっていうのとはまた違う話のはずですが。

    • +2
  27. 性別による差別はないが、社会階層(カースト)による差別はある。
    ってのが昔の社会の常識ではないかな。
    農民の男が「オレは男性様だゾ ! 」と威張ったところで、武士や貴族のお姫様の方が偉い。とまぁ、こういう状態。

    • +3
  28. >墓の埋葬品からは、この人が受け入れられていただけでなく、尊敬されていたことがわかります。しかし生物学的な性別が人のアイデンティティを直接決定しているわけではありません。

    日本人としてはこの件がどの程度画期的な発見なのかピンとこないが、

    これが驚きをもって紹介される程度には、
    現代の欧米では、身体的な性別が、個のアイデンティティ・社会的位置づけに与える影響がデカいんだろうな。
    そりゃフェミニズム運動もジェンダー論もLGBT運動も、西欧から始まるわけだよな。彼らの社会には、アジア人には想像もつかないほど強烈な、呪いのような “性別” の呪縛があるんだろう。

    だからってアジアまで彼らと同じ社会事情を抱えてると思い込んで、グイグイと運動を押し付けてくるのはとても困るが。

    • 評価
    1. >>42
      アブラハム系信仰の国はみんな呪われてる。そうとしか思えん思想で凝り固まって勝手に騒いで喧嘩してトラブルを巻き散らかす。

      • 評価
  29. スカンジナビア半島の神話を見る限り(と言うかスカンジナビアの語源自体が女戦士の神であるスカジが語源だから)女性が地位のある役職についてたことはあり得ても、騎士階級で男女差がなかったのは100%有り得んわ。
    仮に騎士階級がノンバイナリーなら歴史上の偉人が女性だったり、出土する鎧が女性用だったり、ほかの国でも出てるものがもっと多く出てもおかしくない。

    • +3
  30. いわゆる天使が中性または両性具有という説もこのことに関連しているのだろうか
    こういったまれに起こる性の事例が神々の悪戯として神聖視されたものだったのかもしれない

    • 評価
  31. Apex Legendsっていうゲームにも、北欧神話の神を信仰するブラッドハウンドっていうキャラがいるけど、
    ノンバイナリーの設定なんだよね
    なかなか面白い

    • 評価
  32. これ、単純にこの人は「女性」であり「戦士」だったってだけの話でしょ?

    女性として生きてたけど、男性並みの力があったから戦士としても実績残せたってだけで、
    別にそもそも戦士が男じゃないといけないとか決まってたわけではないかもしれないじゃん?
    そういう決め付けこそがジェンダーステレオタイプに縛られてる

    • -1
    1. ※49
      >この人は「女性」であり「戦士」だったってだけの話でしょ?

      違う。
      性分化異常だと バシッと男女に二分しづらい面はあるし
      個人差にもよるけど、
      クラインフェルター症候群の人(XXY)は
      基本的にはあくまで「男性」で、
      性器が小さく不妊だったり
      部分的に女性っぽい身体特徴が顕れるってだけ。

      • +1
      1. ※50
        いや、そういうこむつかしい話をしてるんじゃなくて、
        女性の衣装を着て武具が一緒に埋葬されてたんだから、この人が単純に文化的に「女性戦士」として人生を送っただけでしょって話
        SexじゃなくてGenderの話をしてる

        • 評価
  33. 男も女もゴリラパワーがないと厳しい時代

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

歴史・文化

歴史・文化についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。