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イエス・キリストはキノコの幻覚であると主張して自身の経歴を全て台無しにした英国の考古学者

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 1960年代、英国の著名な学者が、とてつもなくワイルドな理論を提唱し、自分のキャリアを台無しにした。

 考古学者であり死海文書の研究者でもある、ジョン・マルコ・アレグロ氏が、イエスキリストは生きている人間ではなく、キノコによる幻覚だったと主張したのだ。

 イエス・キリストがキリスト教を創始した人物である意を有するのは事実だが、その存在自体を否定したこの主張は、当時多くの人々の反感を買った。

イエス・キリストは実在するのか?

 聖書を、あらゆることにおける、文字どおりの真実を表していると信じている人もいれば、歴史的現実とは程遠いかもしれないが、解読が必要な神のメッセージを含む寓意物語だとみなしている人もいる。

 この古代の物語集の中で、イエスキリストの歴史的な証明は、もっともさかんに議論されている。

 本当に、こういう名前の男性が存在したのか? 福音書の矛盾を考えると、彼は本当にベツレヘムで生まれたのだろうか?

 もしそうだとしたら、どうして彼の物語の特徴は、古い宗教伝統に共通するたくさんの特徴を反映しているのだろう?

 ここで、さまざまな議論に口をはさむ余地はないが、英国の考古学者ジョン・マルコ・アレグロ氏(1923年2月17日~1988年2月17日)はここにこめられた暗喩を探し求めたひとりであることは確かだ。そしてその暗喩を彼は見つけたという。

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死海文書の発見と解読を任されたアレグロ氏

 1947年、ベドウィンの羊飼いたちが、人里離れた荒涼としたユダヤ砂漠で、たくさんの壺に納められた古文書を偶然に発見した。

 現在、「死海文書」として知られるこれらの文書には、のちに聖書の聖典に組み込まれることになる最古の書物が含まれていて、ユダヤ教とキリスト教の歴史の理解に多大な影響を与えることになった。

 しかし、発見当時は当然未訳だったため、その重要性はまだ知られていなかった。ここで、アレグロ氏が登場する。

 アレグロ氏は、これら貴重な古文書の解読を任された最初の学者のひとりだった。

 1955年、彼は、この文書のうち最大の銅の巻物を英国のマンチェスター大学へ送り、そこで小分けにして解読するほうがいいと判断した。

 アレグロ氏たちは、文書の解読に着手した。何年も苦労して作業し、多くの意見の相違を経て議論が交わされ、ついに文書は発表された。

 1958年、アレグロ氏はこのテーマに関する本『死海文書』と『The People of the Dead Sea Scrolls』という2冊の本の執筆にとりかかった。この2冊は、今でも非常に大きな影響力をもつ。

 それから、話は奇妙なことになっていく。

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photo by iStock

イエス・キリストはキノコの幻覚か?

 1970年、アレグロ氏は『The Sacred Mushroom and the Cross』という新しい本を出版し、1979年には、『The Dead Sea Scrolls and the Christian Myth』という本を出した。

 両著とも、実はキリスト教は、白い斑点のある赤い傘のような毒キノコ、ベニテングタケの影響下にある人たちによって生み出された秘密の性カルト集団の隠れ蓑であるという、驚愕の自説を強調したものだった。

 この困惑するような見解の中で、イエスは毒キノコとのその影響を象徴する生きた存在だった。

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 語源学の点から、アレグロ氏は初期キリスト教は、死海文書に登場する新約聖書の文書を通じて、シャーマニズムの実践を記録したエッセネ派というカルトによって創造されたものだと主張した。

 伝道者たちが福音書を作るために、これらの文書を書き写したとき、彼らは本文の真の意味について誤解を招く解釈をした、とアレグロ氏は力説する。

 この記述の中では、イエスという人間は実際には存在せず、毒キノコを使って幻覚体験をさせるカルト集団が存在しただけだ。

 言うまでもなく、アレグロ氏の見解は、1970年代の広範なカウンターカルチャー運動以外では受け入れられなかった。

 アレグロ氏は、彼の最初の死海文書の翻訳を却下したキリスト教批評家に復讐しようとして、こうした突拍子もない主張をでっちあげただけだと信じる者もいれば、才能ある言語学者が誤った考えに暴走しただけだと言う者もいる。

 いずれにせよ、アレグロ氏の解釈は、彼が研究した史料の内容と同じくらいひどく風変わりなものであることは確かだろう。

References:John M. Allegro / Was Jesus A Hallucinogenic Mushroom? One Scholar Certainly Thought So | IFLScience / written by konohazuku / edited by / parumo

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この記事へのコメント 53件

コメントを書く

  1. 実在しなきゃここまで歴史に影響与えないんじゃないの

    • -18
  2. キリストの体ってパンとワインで構成されてるものだと思ってたけどキノコだったのか…

    • +28
  3. 解読を最初に任されてこの解釈に至ったってのはそれなりに説得力ある気がするけど、あまりにも都合が悪すぎたか
    イエスに限らず大抵の神様やら伝説はこんな感じで説明が付きそうではあるよね
    尾ひれがついて広まっていくのも想像できるし
    いかにタブーでも忖度なしの結論を出したのは学者として正しいと思うよ

    • +10
  4. 英国の考古学者「いやー、めんご、めんご。実はあの時、変なキノコを食って幻覚をみていたんだわ」
    英国の学会「うーん、無罪!」

    • +9
  5. ワイは教徒やないから条件反射で反発したりはしないけど、書誌学的な手続きをどれだけ堅実に踏んだのか、は気になるところですわね。
    そもそも、ベニテングダケはどこから出てきたんやろ。
    聖書にそんなの出てきたかなあ。

    それにしても死海文書。
    エヴァTVシリーズをリアタイした世代としては、懐しワードですわ。
    死海文書の解説書読んで、「予言は?予言どこ?(´・ω・`)」ってなったのは良い思い出。

    • +11
    1. >>8
      エヴァはアニメの中でも特にナンチャッテを本当のことかのように描くのが上手い
      つまるところ中二病なんだけど、表現者としての技法が上手い

      その結果大量に生み出された解釈本はどれも作者のデタラメ
      制作者が、「そこまで考えてねーよ」と言い出す始末であった

      • 評価
  6. 幻想でも良いけどキノコじゃなくても良いと思うわ

    • +2
    1. >>10
      神秘体験は一部のてんかんの症状や苦行などで体を極限状態に追い込んだ結果の幻覚とも言われているね

      • +2
    2. >>10 自分がヤバいキノコを食べてしまったから説!!
      幼い頃不思議の国のアリス解説本を買ったら全部ヤバいマッシュルームのせいと論じてて口からマッシュルーム出たわよw
      それ思い出すわぁ
      きっと自分がヤバいマッシュルーム食べちゃったんだろうなって当時思った

      • -1
  7. まあ、聖母マリアが出現する奇跡は起きても、キリストが出現する奇跡の話は無いような気がするけどねw(それがキリストが存在しなかったという根拠にはならないけど)

    • 評価
  8. 日本人は幸か不幸か多神教であるが故に理解し難いのは当然なのだろうけど
    一神教の人たちにとっては如何なる理由であっても唯一信じる神を否定されるのは許されないことなのでしょうね

    • +1
    1. >>14
      日本には八百万の神というようにキノコの神様も居るけど
      自分の信じている神様を「それはキノコが見せた幻想だ!」って言われたら
      怒る人だっているよね

      • +4
      1. >>19
        キリスト教には主と主の子供たるキリストがいるので、キリストは主の下僕で主の子供、神の名前は無い

        • -2
      2. >>19
        いわゆる日本神話もその神もただの幻想に過ぎないよ。残念ながら、未だにそういうモノを肯定したり崇拝してる人間がいるのも事実。
        ただ本気で信じる人間は敗戦前や江戸時代以前よりは減ったから、まだマシだとは思うけど。別に信じてないけど何となくで初詣に着いて行くぐらいならセーフだと思う。

        • -4
        1. >>42
          神話は幻想ではなくてフィクション
          ただそんな指摘は野暮でナンセンスなので誰もしない 大事な事には変わらないし
          それは日本が戦前だろうが江戸時代だろうが同じこと 日本ではずっとそうなんだよ
          だから聖書にガチな宗教は実は驚きなんだな

          • 評価
    2. >>14
      キリストは神じゃないっすよ
      トリニティ的な意味では神と言えなくはないかもですが

      • +1
      1. >>21
        >>41
        キリストは神の子だから神より下位だとか
        キリストは神じゃないとかいってますが
        三身一体(神、子、精霊)が正しいと会議で決めたので
        現在のキリスト教ではどちらも間違いです。

        • +1
        1. >>54
          キリスト教の神はヤハウェ
          キリストは神と同等の神性を持つという考えが三位一体(神=キリスト=精霊)ですよ
          キリストが神ではないのはその通りです

          • -2
          1. >>57
            ヤハウェっていうのはユダヤ教における唯一神の呼び方であって、
            キリスト教独自の聖典である新約聖書にはその名前は出てこない
            キリスト教徒はふつう自分たちの神のことをヤハウェって呼んだりはしない
            (イスラム教徒がアッラーのことをヤハウェとは呼ばないのと一緒)

            イエス・キリストは神と同等の神性を持つのではなく「神そのもの」だというのが三位一体の考え方
            だから「キリスト教」なんだし、
            宗教画とかでも神の姿はもっぱらキリストその人(ロン毛でヒゲの兄ちゃん)として描かれることが多い

            • 評価
      2. ※21 ※41 ※57
        イエス・キリストは神そのものではなく神の息子に過ぎない、
        っていうのはアリウス派っていう有名な「異端」
        325年のニケーア公会議で明確に異端認定されてて決して「主流派」の教義ではない

        現在のカトリックやプロテスタントや東方正教などの主流派キリスト教会では、
        「父なる神」「子(イエス)」「聖霊」は同じ唯一の神の異なる三つの現われであって、
        キリストは神の息子であると同時に神そのもの、
        っていうのが絶対譲れない教義の根幹になってる(三位一体説)

        直感的・論理的に理解し難いってのはわかる
        (そもそも古代にアリウス派が広まったのも、そっちの方が直感的にわかりやすいってのがあったので)
        でも少なくとも「イエスは神の息子であって神そのものとは別」って解釈は「キリスト教」の中ではかなり少数派だという事実は、常識として知っておいた方が良い
        世界史の教科書にも出てくるぐらいすっごい基本的な事実なので

        • -1
        1. >>58
          お地蔵さんが良い例えかもしれません。
          地蔵菩薩であり閻魔大王である。
          だけどお地蔵さんを閻魔大王とは呼ばないですよね。

          • 評価
        2. >>58 聖書に「三位一体」という言葉は出てこないと聞いたけど、その内容は聖書に載っていて、現在でも主流という事でいい?

          • 評価
          1. >>62
            >聖書に「三位一体」という言葉は出てこない
            そもそも旧約聖書にキリストの存在は無く、
            新約聖書はキリストの行いを記述したものですから
            三位一体という言葉自体が出てくる余地が無いです。

            58の人が書いていますが
            キリスト教が分派しまっくて
            更にグノーシス派やらアリウス派やらが大きくなってきたので
            「325年のニケーア公会議」で
            神(父)、子(キリスト)、聖霊が同一であり、
            その他の考えは全て異端である。
            と決めたのです。

            • 評価
  9. 遺跡での発掘調査、出土品や様々な痕跡から仮説が立てられ、その上で新たな発掘調査・研究を進めていくのが考古学の基本中の基本。
    こういう科学的アプローチは宗教学でも同じでバチカン(ローマ教皇庁科学アカデミー)や知恩院(知恩院浄土宗学研究所)でも実践されているよね。

    それをなんだ。「シャーマニズムの実践を記録したエッセネ派というカルト」ってなんなのだ?
    死海文書や見つかった遺物のどこにそういったカルトやの暗喩があるの?
    キリストの実在性を問うのも水の上を歩いたとか三日後に復活したと信仰されるようになった経緯を研究するのも考古学・宗教学として正しいけど、トンデモと思われる仮説ならその根拠・裏付けを明示してくれないと査読もされんよ。

    • +4
  10. 聖徳太子も実在しなかったんじゃないか説ある

    • +3
    1. >>17
      でもぶっちゃけ実在しなくても困らないよね
      いつ誰が作った話かは重要だけど

      • +1
    2. >>17
      「聖徳太子」が死後に贈られた称号かつ、功績のいくつかは死後に編纂された際に本人のものではないものまで彼がやった事にされただけで、用明天皇の第二皇子というれっきとした実在人物です。
      あと明確な名前が記録に残されてない(身分や出自や存在は記録されてる)ってのが存在しない説に尾ひれ広まっただけ。
      しかも上宮之厩戸豊聡耳命、厩戸豊聡耳皇子命、豊聡耳法大王など当時の表記が一定しないから正確な本名がどれなのか、それらは称号や通称なのかがわかんないってだけで名前が一切記載されてないとかではない。
      そもそも本名がなんだったかや、当時なんて呼ばれてたのかはっきりしない歴史上の人物は男女ともに日本には大勢居ます。
      本名あるけど公式には記載しないで「○○ん家の子」とか「○○の妻」とかあだ名や通称だけ書かれる立場の人って文化・習慣があったせいなわけ。

      • 評価
  11. キノコどっから来たw
    しかも性カルト集団とか盛り盛りやな
    イエスキリストが実在しなかったとしてもこういう結論にまで足を伸ばすのは何かしらの意図を感じられてもしょうがないかも知らん

    • +4
  12. 誰よりも真剣に研究した彼の見解なのに…
    根拠なく頭から否定してる様はガリレオの時と同じ(現段階ではアレグロ氏の見解が”事実”かどうかは分からないが)
    なんも進歩してない

    • -3
  13. 要するにベニテングタケを食べるとキリストの幻覚が見えると・・?
    つまり毒キノコの種類の数だけ神が存在する・・そして日本はキノコ大国・・八百万の神・・

    • +1
    1. >>22
      うちの先祖某所で祀られてるんだけどわしキノコの子孫だったのか
      たけのこ派でご先祖様に申し訳ない

      • 評価
  14. 日本に住んでる自分からすると「釈迦もアマテラスも実在しない幻想」と言われてもそうかもねーとしか思わないな。大事なのは伝わってる教えだろうに。

    • 評価
    1. >>26
      その「伝わってる教え」の根幹を成すのが、「イエスが人類の原罪を背負って代わりに処刑されたから自分達は救われる」という観念だから、そこを崩されたら全てが瓦解するんでは…?

      日本で言うなら、アマテラスくらい明らかに神話描写なキャラの実在性より(卑弥呼に比定する説もあるっちゃあるが…)、歴史考察としてでも 天皇家の血統の連続性に疑義を挟むのはタブー感ある、って方に近い気もする。

      • +2
      1. >>40
        日本国のスタンスとしては、日本神話は全て史実であることになってるんだそうな

        • -2
  15. どう考えたって荒唐無稽な奇跡を事実とするよりは、それがキノコによる集団幻覚だったって方がより真実に近い気がするわ
    現代ですらツッコミどころ満載な宗教信じきってる人がゴロゴロいるんだし、まして古代においておや

    • -2
    1. >>29
      奇跡うんぬんの盛り盛り話じゃなくて、
      「ナザレのイエス」なるユダヤ教の異端派閥の指導者で
      ローマ帝国に処刑された大工の息子が
      実在する人物か全くの架空か、って論点じゃないの?

      • +7
      1. >>33
        そういう意味で言うとローマ帝国側や、当時の歴史家にナザレのイエスについての言及や記録がちゃんとあるんで実在人物確定なんだよね…
        あとエッセネ派って現在の研究だとイエスとの関係は全く無いユダヤ教分派だったことが判明している。
        なんでエッセネ派がキリスト教作ったって解釈をジョン・マルコ・アレグロ氏はしたのかかなり謎。

        • 評価
  16. イエス・キリストの話はすべて「自称弟子」たちが語ってることだからなぁ

    • +7
  17. キリスト教がそうだったかは知らんけど
    宗教と夢や幻覚(🍄等で強制的に見るのも含めて)は付き物だわね
    本邦でも夢に弘法大師が出てとか
    座禅をしていて云々みたいな記録多いわね

    • +4
  18. 様々な土着宗教が存在してて、キリスト自身は敬虔なユダヤ教徒でユダヤ教原理主義を説いた。
    その後弟子達がキリストを神とする新しい宗教を創り、発展において様々な宗教概念や文化を吸収内包した。

    そりゃ矛盾やメチャクチャな内容も出てくるだろうし、それで宗教としての正当性が揺らぐかと言えばそうでもない。

    • +1
  19. タケノコ原理主義者たちを敵に回したようだな・・

    • +3
  20. あんな砂だらけの乾燥した地にキノコは生えるの?

    • 評価
  21. キリスト教・ユダヤ教の考古学調査は「聖書の記述が正しい」ことを前提に調査と結論が作られるものが多く、学術的な信頼性はかなり疑問符が付く。

    …のだけど、流石にこれはなぁw

    • +2
  22. つまりイエス・キリストはきのこ人間だったんだよ……!!
    な、ry

    • 評価
  23. キノコのトリップ作用でキリスト教が生まれた可能性はあるかもね。精神病患者が教祖になることもあるしね。ただ言語が必要性から生まれたように、宗教自体が悲嘆に陥っている人の心を安定させるのに必要不可欠なのではないかと思っている。普段宗教幽霊を信じない自分でさせ今はいない大切な人が夢に出てきたらまだ自分の中では生きているような感じがして信じることによって心に平穏をもたらしてくれる。

    • 評価

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