メインコンテンツにスキップ

青の錬金術師。月の土で太陽電池を作る「ブルー・アルケミスト」計画にNASAが出資

記事の本文にスキップ

21件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 Amazonの創業者ジェフ・ベゾフ氏が宇宙に進出するために設立したブルー・オリジン社では、現代の錬金術とでもいうべき方法を研究している。

 直訳すると青の錬金術師となる「ブルー・アルケミスト」計画は、月の土からさまざまな資源を抽出し、最終的に太陽電池の原料となるピュアなシリコンを生成するというもの。

 これは人類が本格的に宇宙に進出するためには、きわめて重要な技術である。

 NASAも同じ認識であるようで、同機関はこのほどブルー・アルケミストの開発を支援するために、3500万ドル(約50億円)の契約を締結したそうだ。

宇宙での資源確保

 将来、人類が月や遠くの惑星で暮らせるようになるかどうかは、そこでの物資や資源をどうやって確保するかにかかっている。

 必要な物資を地球から持ち運ぶというやり方もあるだろう。だが、そのためのコストは莫大なもので、運ぶための時間や労力だって地上の比ではない。

 そこでNASAをはじめとする宇宙機関は、できる限り現地調達することが、この問題を克服する最善の方法だと考えている。

この画像を大きなサイズで見る

月の土から太陽電池を作る錬金術

 ブルー・オリジン社が2021年から研究開発を行なっている「ブルー・アルケミスト」は、それを可能にするための方法だ。

 アルケミストは”錬金術師”という意味なのだが、ブルー・アルケミストは月の土で錬金する。月の土、地表の堆積層「レゴリス」を処理して、資源や太陽電池を作り出すのである。

この画像を大きなサイズで見る

 1600度で溶かしたレゴリスを非接触型システムで移動させながら、電気分解などで各種元素を除去する。こうしたプロセスによって、まず酸素を沸騰させて回収。さらに鉄・アルミニウム・ケイ素(シリコン)などの金属を抽出する。

この画像を大きなサイズで見る

 そして最終的に出来上がるのは、太陽電池にピッタリな純度99.999%以上のシリコンだ。

 太陽電池のコーティングに使われるガラスさえも、ブルー・アルケミストによって作られるシリコンでまかなうことができる。

 現時点でのブルー・アルケミストは、月の土の粒の大きさや成分を真似て作った模擬レゴリスで実験が行われている。だが、そのプロセスはどれも月で実際に行えるものばかりだ。

この画像を大きなサイズで見る

環境に優しい錬金術の為、地球上でも利用できる

 ブルー・オリジン社によれば、ブルー・アルケミストは排出物を出さず環境にも優しいため、地球上で使用してもいいのだという。

 この錬金術においては、毒性のあるプロセスや爆発するようなプロセスもない。

 ブルー・オリジン社で宇宙システム開発を統括するパット・レミアス氏は、今回の契約締結について次のように声明を出している。

宇宙空間にある膨大な資源を利用して、地球に利益をもたらすことは、私たちの使命の一つです。

私たちのイノベーションを推進するために、NASAからこのような投資を受けたことに感激しているとともに、身の引き締まる思いです

 「まずは人類を月に帰還させ、それから月での生活を始めるのです」と彼女は語る。

 なお今回の契約が目標とするのは、2026年までにブルー・アルケミストの自律性を実証することであるそうだ。

Blue Origin Reveals MAJOR NEW Breakthrough On The Moon!

References:Blue Alchemist to make solar cells on the Moon using moondust / Blue Origin Awarded NASA Partnership to Turn Lunar Regolith into Solar-Power Systems on the Moon | Blue Origin / written by hiroching / edited by / parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 21件

コメントを書く

  1. >将来、人類が月や遠くの惑星で暮らせるようになるかどうかは、そこでの物資や資源をどうやって確保するかにかかっている。

    月に関してはその通りだ
    だが、遠くの惑星に関しては間違っている

    仮に遠くの惑星が火星を対象とした場合、月から火星までの距離と地球から火星までの距離は誤差だ

    地球で作ったほうが遥かに簡単に安くできるから、月で作るメリットなど無い

    • -8
    1. >>1
      月で作れるんなら火星でも他の惑星でも作れる。現地で作れるんなら距離問題は解決する。

      • +4
    2. >>1
      月の重力は地球の1/6なので打ち上げコストは小さくできるよ。

      • +6
      1. >>7
        これね。しかも大気が無いので軌道に上げる効率もよくなる。マスドライバーでの射出もできる
        他の惑星に使う部品が月で造れるならば、月で造った方が数倍安くなる

        • +3
  2. まずは地球上の岩石・堆積物からシリコンを抽出する技術を確立するのが先でしょうね。まあそれが出来たら、それを月の環境に適合させるだけで済む。地球だろうが月だろうが隕石だろうが岩石惑星であれば、シリコン原子は酸化シリコン化合物の形で大量に存在する。岩石の殆どはSiO2の酸化鉱物で構成されるからな。

    • 評価
  3. 月の土でシリコンの純度上げても従来と同じ太陽電池ではあるんだよね
    現状の太陽電池が全然環境に良くないのは良いの?
    安全な廃棄方法確立するとか、エネルギー効率上げるとか、もう少し改良した方が良い様な

    • -4
    1. >>5
      太陽光発電の研究はNASAの仕事じゃないんでしょ

      • +4
  4. 地球でさえ、温暖化したり、地下水で陥没したり、めちゃくちゃなのに、
    月を開発することで、月や地球への影響などは無いのかね。

    地球での失敗を、月での開発には活かしてもらいたいね。

    • -5
  5. 発想は悪くはないが土に含まれる放射線物質関連や太陽線関連の対策はどうにかしないと厳しいのでは

    • 評価
    1. >>10
      宇宙線が長期間にわたって降り続けていたわけだし、放射化によって放射性物質になったレゴリスがあると考えられるね。

      • 評価
  6. 50年後にようやく月での試料開発の試験が開始しましたって感じだろうな

    • 評価
    1. >>13
      50年後か3年後かは来年から連続で始まる”アルテミス”計画の進捗状況による
      2025年の”アルテミス3号”ミッションが計画通りに成功するならば、
      ほぼ同時期に月基地開発計画がスタートするので、この技術もそれと同時期に実証できるかのテストがなされるはず

      • +3
  7. 宇宙より本の梱包を元のクオリティに戻してくれよ・・・

    • 評価
  8. この計画に予算ついて、いざ実践!となったときに
    信越シリコーンあたりが地球上の何の変哲もない素材で精製しそう

    • -1
  9. そろそろ地球脱出真面目に考えないとね

    • 評価
  10. 凄いことなのか役に立つかは置いといて、ブルーアルケミストって名前とかレゴリスとか生成法がSF小説ぽくてワクワクするなぁ

    • +1
  11. アメリカでの民間企業の宇宙開発を見る限り、アメリカでは国家事業としての月開発計画がとん挫しても、民間事業側の宇宙開発は停滞しない
    アルテミス計画がとん挫しても、民間企業の月や宇宙開発に政府が噛む感じに変わっていくと思う

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

自然・廃墟・宇宙

自然・廃墟・宇宙についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。