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乾燥した砂漠の大気中から純粋な水を採取することに成功。

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(著) (編集)

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 カラカラに乾燥した砂漠であってすら、その大気中にはわずかに湿気が含まれている。

 マサチューセッツ工科大学(MIT)で開発された新素材は、そうした湿気を集めて、きれいな飲み水にすることができるという。

 この新素材は、いわば超強力な乾燥剤と紙オムツのコラボのようなもの。なので低コストで作ることができ、それでいて高性能だ。

 空気から水を集めるので、汚染の恐れがある川や地下水よりも安全である可能性もある。

 雨が乏しく飲料水の確保が難しい乾燥地域にとってはとても大切な、大きな可能性を秘めた発明であるそうだ。

超強力な乾燥材で湿気を集めオムツの材料で水をためる

 空気から水を集めるというアイデアはこれまでにもあった。例えば、2022年には「こんにゃくゼリーで作られたフィルムで空気中の湿気を集める」という発明があった。

 今回、マサチューセッツ工科大学の研究チームが考案したアイデアは、いわば「乾燥剤とオムツのコラボ」とでもいうべきものだ。

 そのメイン材料となるのは「塩化リチウム」だ。これは超強力な乾燥剤で、空気から質量の10倍もの水分を吸収することができる。

 ただ塩化リチウムは吸湿力は超優秀でも、吸い取った水をためておくのが下手だ。

 そこでもう1つ鍵となる材料がオムツによく使われる材料でもある「ハイドロゲル」だ。

 この繊維から作られるゲル状素材は、グッと伸びることその内部に小さな空間を開けることができる。そのおかげで、たっぷりと水分をためておけるのだ。

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新たに開発された吸湿素材。乾燥した砂漠の空気であっても水を集められる / image credit:Gustav Graeber and Carlos D. Diaz-Marin/MIT

塩化リチウム溶液にハイドロゲルを最大30日浸すことがポイント

 この2つを組み合われば、空気からたっぷり水分を吸収して、それをためておける新素材ができると思われたのだが、1つ困ったことがあった。

 それは両者を組み合わせることが、意外と難しかったのだ。

 新しい吸湿素材を作るにはハイドロゲルに塩化リチウムを取り込ませる必要があった。ところが、これがうまくいかなかったのだ。

 ハイドロゲルと塩化リチウムを混ぜて2日待っても、ハイドロゲル1gあたり、たった4~6gの塩化リチウムしか吸収されないのである。

 これでは空気から十分な水分を集めることができない。

 だが今回の研究チームは、これはやり方の問題ではなく、ほんの2、3日で諦めてしまうことが原因ではないかと考えた。これまでの研究者はあまりにも焦りすぎていたのだ。

 そこで今回は、濃度の異なる塩化リチウム溶液にハイドロゲルを最大30日間浸けっぱなしにしてみることにした。

 すると狙い通り、ハイドロゲル1gあたり24gの塩化リチウムが吸収された。

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顕微鏡で見ると、塩化リチウムを吸収したハイドロゲルはこんな感じだ / image credit:/Gustav Graeber and Carlos D. Diaz-Marin/MIT

記録的な吸湿力で砂漠地帯での飲み水を確保

 この新素材で空気中の水分を集めてみると、その性能は素晴らしいものであることがわかった。

 この新素材は、相対湿度わずか30%、つまり夜の砂漠とほぼ同じカラカラに乾いた空気から、1gあたり1.79gの水分を集めることができたのだ。これは記録的な水分量であるという。

 この新吸湿素材は、雨があまり降らず、飲み水が不足しがちな乾燥地域ではとても大切な発明になる可能性を秘めている。

 特に汚染が気になる川や地下水に頼る必要がないので、安全性の面でも高いと考えられる。

 研究チームは現在、この新吸湿素材の反応速度アップに取り組んでいる。

 うまくいけば、1日に24回水を回収できるような性能すら発揮できるかもしれないとのこと。そんなグッズがあれば、キャンプなんかでも活躍してくれそうだ。

 この研究は『Advanced Materials』(2023年5月18日付)に掲載された。

References:New salty gel can harvest pure water from dry desert air / This salty gel could harvest water from desert air | MIT News | Massachusetts Institute of Technology / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 23件

コメントを書く

  1. キャンプ限定ならNASAのおしっ…リサイクル水の方が先に実用化されるかもね

    • +1
  2. 砂漠で空気中から水分を得る、と聞いて
    ナミブ砂漠のゴミムシダマシが浮かんだ人は多いはず。
    空気中の水分を得ることに関しては大先輩と言える。
    方法は違うけど。

    • +5
    1. >>2
      あれは湿った海風が流れ込むことによる霧の発生が前提となるので、この記事の条件では分が悪いんじゃないかな?

      • +3
  3. ダンスパウダーみたいな結果になりはしまいか
    僕は訝しんだ

    • 評価
  4. 塩化リチウムやハイドロゲルの成分を摂取するのはイヤだなあ。。。

    • 評価
  5. ゲルで吸湿したあと
    どうやって飲み水絞り出すの?

    • 評価
    1. >>6
      これがどうなのかは分からないけど、
      ゲルから水を抜くには圧搾して脱水したり
      凍らせてから減圧して昇華させたりする方法があるらしい。

      • +5
  6. ただでさえ乾燥してる空気から無理矢理大量に水分ぶんどって植物生物環境に何も影響がないとは思えない
    素人目線だと恐ろしい代償を払う未来しか予測出来ないし止めたほうがいい気がする
    もっと別な所で利用出来ないのかな

    • +1
    1. >>7
      逆に、その水を人間が使うんじゃなくて、砂漠と緑地の境界から、徐々に緑化していく。
      見たいな使い方できれば、まさにサステナブルだと思うわ。

      • +1
    2. >>7
      ぶんどって一度人間や畑や作物の中に入った水も、そのうち蒸発して大気に還るじゃん
      下水設備が発達してる所だと一部遠くまで流れていくだろうけど

      • 評価
  7. この吸湿が実用化レベルなら、砂漠地帯よりも、湿度で体感温度が高くなる地域
    たとえば真夏の日本の救世主になるのではないでしょうか。

    • +4
    1. ※9
      日本の救世主にはもう水取りゾウさんがいますよー

      • +1
  8. 水資源の乏しかったサウジアラビアなどは、最先端の海水淡水化技術導入により、潤沢な真水を得られる社会システムが整っていますね

    • 評価
    1. >>12
      潤沢なオイルマネーによる力技だけどな
      他所では真似できない
      海水の淡水化って環境かなり悪い
      海水から真水抜いて濃くなった海水を海に戻してる
      海の塩分濃度があがるから生物に大ダメージ

      • +3
  9. 朝露や夜露で水分補給してる小動物や植物たちが死にそうな気はする。そんなトカゲや虫がたしか居たはず。
    ただその朝露がどこから出てくるのかは忘れたので何とも言えない。問題なければいいんだが。

    • 評価
  10. 結露なら乾燥してても
    温度差が有れば出来ると聞いたが

    • +2
  11. ぶっちゃけ特に新しい発見ないような
    砂漠緑化に吸水ポリマーは前から使われてるし
    大抵の沙漠は夜露朝露集めて水利用とかされてるし

    • +3
  12. あなたがいれば  あゝ~うつむかないで 歩いて行ける~♪

    • -1
  13. 昔某NHKの科学検証番組で、砂漠の日中と夜の寒暖差で結露した水分でシャワーを浴びようという企画をやっていた。

    テニスコート4面くらい(?もっとだったかも)の広い砂漠にビニールを広げて結露を捕まえ、集めるというもの。

    結果、ちっちゃなビーカーにちょっぴり。思ったよりちょっぴりだなとは思ったけど、まぁ、だから砂漠なんだろな、とも思った。

    • +1

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