メインコンテンツにスキップ

砂漠の空気から飲み水を取り出せる、こんにゃくゼリーフィルムが開発される

記事の本文にスキップ

41件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 世界の3分の1の人々は乾燥地帯で暮らしており、深刻な水不足に悩まされている。そこで新たに開発されたのが、大気中から低コストで、水分取り出して飲料水にすることができるゼリー状のフィルムだ。

 いわば「スターウォーズ」に出て来る砂漠の惑星「タトゥイーン」の水分凝結機 のようなものだ。

 『Nature Communications』(2022年5月19日付)に掲載された研究論文によると、このフィルムは、こんにゃくや植物繊維の主成分が原材料で、1キログラムあたりわずか2ドル(250円)ほど。

 フィルム1キロで、湿度15%のもっとも乾燥した地域でも1時間あたり6リットル、湿度30%なら13リットルも飲み水を取り出せるという。

空気中から低コストで飲料水を取り出す技術

 一般に湿度といったら「相対湿度」のことを指している。空気が水分を含んでいることはご承知の通り。その空気が含むことができる最大の水分量(飽和水蒸気量)に対して、現在含んでいる水分の量の割合、これが相対湿度だ。

 だから(相対)湿度100%は、空気が完全に水蒸気で飽和して、それ以上水分を保持できない状態のことだ。そして私たちが快適に過ごせるのは湿度30~50%の時で、30%以下なら乾燥地域ということになる。

 これまで砂漠の空気から水を抽出する試みは、エネルギーがかかりすぎ、あまり効率的なものではなかった。だが今回のゼリー状のフィルムは、そうした乾燥地域であっても低コストで水を取り出せるという。

この画像を大きなサイズで見る
乾燥地域の人々のために水を集めてくれるゼリー・フィルム/Credit: the University of Texas at

 「この新しい取り組みは、地球上でもっとも暑く乾燥した地域で暮らす人々に水を届ける実用的な解決法です」と、テキサス大学オースティン校のユ・グイファ教授は話す。

 これまで飲み水を利用できなかった何百万もの人々が、家庭で簡単に水を利用できるようなるそうだ。

主成分は、こんにゃくと植物繊維

 こんにゃくゼリー・フィルムの材料は、こんにゃくの主成分「グルコマンナン」、「塩化リチウム」と、セルロース(植物繊維の主成分)から作られる「ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)」だ。

 これを混ぜるだけで、親水性(水を引き寄せる)のある表面積の大きな多孔質膜を形成し、空気中から水蒸気を集めてくれる。

この画像を大きなサイズで見る
型に流し込めば、さまざまな大きさや形に成形することができる/Credit: the University of Texas at Austin/Cockrell School of Engineering

水を集めるのも取り出すのも簡単、しかも低コスト

 混ぜたものを型に流し込めば2分でゲル状に固まるので、これをフリーズドライして型から取り出せば、すぐに水を吸収するようになる。

 ヒドロキシプロピルセルロースは温度に反応するので、加熱すると今度は水を弾くようになる。吸収した水を取り出す時は、この性質を利用すればいい。

 60度で10分も加熱すれば、集めた水を全部吐き出してくれる。おかげで少ないエネルギーで水を回収することができる。

 製造にかかる費用は、1キログラムあたりわずか2ドル(250円)。フィルム1キログラムで取り出せる水の量は、湿度15%の場所で1時間あたり6リットル、湿度30%なら13リットルも飲み水を取り出せる。

 柔軟性があり、型を使えばいろいろな形やサイズに成形できるし、作るときも材料を型の中で混ぜてやるだけでいい。材料さえあれば、誰でも自宅で簡単に作ることができるという。

References:Low-cost gel film pulls clean drinking water from desert air / written by hiroching / edited by / parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 41件

コメントを書く

  1. 湿度地獄の日本でやったらえらいことになりそう

    • +4
    1. ※1
      逆に、多湿地域でも
      除湿剤として使えたりするんだろうか??

      • +13
    2. ※1
      ※12
      多湿だけど大地がサンゴできてるから湧き水がない島国とかでは重宝しそう。

      • +8
  2. 空気中から水分を取り出したらその周辺の大気はますます乾燥して山火事など、別の形で被害が出たりしないのか?

    • +13
    1. ※2
      個人が使う分には誤差レベルじゃないかな。

      • +2
      1. >>6
        遊牧民の家族とかが使う分にはまあ誤差よね
        利用が都市レベルになったらヤバいかな?ワンピースアラバスタ編のダンスパウダーみたいなことにならんかな

        • +6
    2. ※2
      そうなんだよね、砂漠を抜ける風がより乾燥しないかと思った。
      どの程度使うかによるけど、コレそのまま置いておいたら水分捕まえて離さないとかない?

      • +4
  3. 納豆からは浄水剤が作れ、こんにゃくからは吸水材が作れる。
    科学技術ってすごい

    • +16
  4. 日本なら除湿剤として使えそう
    美術品の保管とかにも

    • +11
  5. これ日本では使えないのかなあ
    震災とか有事に停電したとき、空中から水を採れたら凄く便利
    水は重いし、大量に備蓄出来ないし

    • +21
    1. ※13
      >湿度15%のもっとも乾燥した地域でも1時間あたり6リットル、湿度30%なら13リットルも飲み水を取り出せる
      とあるから別に乾燥地帯じゃなくても使えるんだろうね。
      これが普及すれば、非常用持ち出し袋に常備されるようになるかもね。

      • +9
  6. 除湿剤として使う場合、大量のフィルムを捨てるのは結構めんどくさいのかも
    これからの季節パパッと除湿できると嬉しいけどなぁ

    • +2
  7. 別に今でも除湿機で水をとか吸水ポリマーで農業とかあるだろ
    そんな20年以上前の砂漠の緑化について書いてあった本にあることをコンニャクだからと車輪の再発明するのか?

    • -11
    1. >>16
      なんか乾電池あるからモバイルバッテリーなんか役に立たないみたいな発言w

      • +10
    2. >>16
      「これまで砂漠の空気から水を抽出する試みは、エネルギーがかかりすぎ、あまり効率的なものではなかった。」って書いてある
      技術が存在しても実用化には色んなハードルがあるんだよ
      安価で効率的じゃないと実際には使えない

      • +8
      1. ※18
        アンデス山脈を越えた内陸側の砂漠地だったか、
        これと似たシンプルさで、「フォグ・ネット(霧網)」を使う
        という試みのニュースは見たことがある。

        こういう特殊繊維とかではない普通の(?)目の細かい化繊網で、
        ただ、「雨が降るほどではないけど、昼夜の寒暖差で朝霧が出る」
        という条件の土地だった。網の下に樋を付けといて滴を集める。
        「空気中の水蒸気」レベルではなく
        「霧」としてそれなりの大きさの水粒が漂う地域だから、
        布を湿らせて集められる感じだったんだろうな。

        • +4
      2. >>18
        実際につかえないと強く言われても実際に使われてるんだからお前になにがわかるのかと
        夢の超技術に期待しててもそんなもの実用化なんてされないし
        砂漠に水を撒き散らして塩害を引き起こして自国に帰るだけ

        コストも除湿機とオムツにも使われるポリマーがどれほどべらぼうに高いんだ?

        • -1
    3. ※16
      車輪の再発明ではなくて、私は今ある「デシカント(ゼオライト)式除湿器」を凌駕するタイプの除湿器を作れるかもと期待したけどね。より効率化という点で意味があると思います。

      うちは花粉症がひどい人がいたので、洗濯物を洗濯部屋に干して、扇風機と除湿器二台で乾燥させてました。一台はデシカント(ゼオライト)式除湿器で気温が低いときに強い、もう一台はコンプレッサー式で気温が高いときに強いものでした。だから最初はデシカント(ゼオライト)式除湿器で除湿してますが、だんだん気温が上がってコンプレッサー式のほうが効率が上がってくる感じ。除湿用途だけでも今回のものがモノになるなら高温多湿な東南アジアでは結構使えそうだけどな。

      ※19
      除湿器で取れた水は特にニオイもなく澄んでいました。だから本当に水がないときはコーヒーフィルターか何かでろ過して、煮沸消毒すれば手を洗ったり、皿の下洗いくらいには使えそうでしたね。もっとも重金属とかが溶けていないとは限らないので飲む気はしてませんでした。この辺、飲む用途を考えるならそれなりに作れそうですよ。

      • +1
  8. 空気中の水分なんて雑菌だらけで飲めないので、ろ過装置も必要

    結局色々合わせたらかなり電力食いそう

    海水淡水化のほうがコスト的に安いだろうな

    • -6
  9. ようやく時代がマンナンライフに追いついたか。株買っとこ

    • +2
  10. 星新一の「処刑」に出てくる銀色の球。
    あの中にはこれが入っているに違いない。
    ようやく時代がSFに追いついた。

    • +2
  11. きちんと記事を読んでいない人のコメが散見されるな。
    水を取り込んだシートはわずか60度に加熱すると水を吐き出して元通りになる。
    除湿剤としても何度も使えて優秀。水生成装置としても大変に優秀。
    原材料コストは低く、製作費用も激安。例えばこれとミラーを組み合わせた簡単な装置を戸外に設置しておけば、毎日自動でバケツ一杯の水を吐き出してくれるようになる。
    大変に素晴らしい発明だ。

    • +12
    1. ※27
      ここの紹介記事しか読んでないけど、フィルムと書いてあるから表面積が重要なんだろうと思う。1kgの材料をフィルム状にしたら、効率を犠牲にして丸めたとしても結構な体積になりそう

      • 評価
  12. コメントの公開は20で止まっていた。
    22-25のコメントは、自分の前の投稿を参照しておらず、それぞれ独立して書かれている。
    シンクロニティ?

    • 評価
    1. >>29
      俺も長い間間違えてたけど
      シンクロニシティ
      でも念のため今検索してみたら
      シンクロニティという曲があるようで
      改めて不安になった

      4連コメの発想はそれほど突飛なもんでも
      ないけど
      綺麗に並んだよね

      • 評価
  13. 湿気の多い場所で使うのがよさそうな発明品ですね

    • 評価
  14. これ梅雨時や夏の除湿にめっちゃ使えるのでは。
    実用化されて安くて使いやすい除湿剤として出回ってほしいなぁ。

    • +2
  15. 日本だと災害時かな。停電や渇水、ダムの底が抜けたなどで水道が使えないときの給水にいいなって思ったけど60度に温めないといけないのがネックだな。

    • 評価
  16. 発電にも使えないか?
    位置エネルギーは大気の力に任せて高い位置で水にしてそのエネルギーをでんきにして回収とか

    • +1
  17. ためしにつくってくれませんか?つくりたいから

    • 評価
  18. これすご〜い!しかも60度10分の加熱ならば砂漠なら外部からエネルギー持ち込む必要なさそうだし。

    • 評価
  19. デューンに出てきたスーツが実用されそう

    • 評価
  20. 砂漠だったら黒いプレートの上に置いときゃ自動化できそう

    • +1
  21. なんか、ドラえもんの秘密道具めいてきたな。未来やってきてるな。

    • 評価
    1. >>42
      話しかけると外国語に変換されて話し出す四角い端末がすでにドラえもんなんよ
      技術の進歩が凄まじい

      • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

サイエンス&テクノロジー

サイエンス&テクノロジーについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。