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ノートルダム大聖堂で発見された2つの棺の封印が解かれ、遺骨の正体が確かめられる

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(著) (編集)

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 2019年4月15日夜、フランス・パリのノートルダム大聖堂が燃え上がるのを、世界中が目撃した。その後、修復再建工事を始める前に、考古学者らが集められ、発掘調査が行われた。

 2022年3月、発掘作業の途中で、尖塔の下から数世紀前にさかのぼる2つの鉛の棺が発見されたことはカラパイアでもお伝えしたとおりだ。

 棺の封印が解かれるのを恐れる者もいたが、研究者らはそれらを開封し、中に収められていたミイラの正体が明らかになりつつある。

棺の中に埋葬されていたのは聖職者と若い貴族

 フランスの国立考古学研究所「Inrap」が発掘した2つの棺は、トゥールーズ大学に送られ、研究者らは棺を開封して中の確認を行った。

 研究者らの発表によると、棺に埋葬されていた2人は、いずれも裕福な男性で、「王の病気(痛風)」を患っていた可能性のある聖職者と、過酷な人生を歩んだことがうかがえる若い貴族だという。

 トゥルーズ大学、生物人類学者のエリック・クルベジー教授は、先月、これら棺の開封作業に立ち合い、死亡年齢や生活様式を知ろうと、遺骨を調べた。

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聖職者には名前と没年月日が記されていた
 「ひとりは、棺についていたプレートから個人が特定できました」クルベジーは言う。真鍮のプレートには、”アントワーヌ・デ・ラ・ポルテ、1710年12月24日、83歳没”と記されていたという。

 彼は、司祭か、大聖堂の聖職者のひとりだったと思われ、その富を使って、ノートルダムの聖歌隊を支援していたようだ。これは彼が大聖堂の翼廊中央部の下に埋葬されていた説明になるかもしれない。

 聖職者と思われる、デ・ラ・ポルテの遺骨は保存状態が良く、ほとんどの骨、頭部、顎髭、織物の繊維が残っていた。棺の上には、3つのメダルが置かれていたという。

 歯も大変いい状態で残っていたが、運動など体を動かした形跡はほとんどなく、生前は座りっぱなしの生活だったのではないかと思われる。

 足の親指の骨には、炎症性関節炎の一種である痛風の跡が見られた。痛風は暴飲暴食によって発症することから、「王の病気」とも呼ばれている。

若い貴族と思われる遺骨は、ほとんどの歯を失っていた

 もうひとつの棺には、名前のプレートはなかったため、故人は特定できていない。25~40歳くらいの間に亡くなったと思われるが、その体からは、過酷な生活を送ったことがうかがえた。

「この男性は、若い頃から馬に乗っていたと思われ、死ぬまでの数か月の間に歯のほとんどを失ったようです」

 クルベジーはまた、この男性の頭蓋骨と背骨に反応骨の痕跡を発見し、死因は結核による慢性髄膜炎である可能性があるという。

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貴族と思われる若い男性の遺骨。過酷な人生がうかがえるという / image credit:twitter@UT3PaulSabatier

貴族の遺体の頭蓋骨は切り離され、胸部が開かれ防腐処理

 さらに興味をそそられるのは、ル・キャヴァリエ(騎士)と名づけられたこの身元不明の男性の埋葬方法だ。

 男性の毛髪は残されていなかったが、頭蓋骨周辺と腹部に花や葉が手向けられていた。

 「この騎手の頭蓋骨は身体から切り離され、胸部が開かれて防腐処理がされていました。これは、16世紀半ば以降の貴族の慣習だったのです」

 ル・キャヴァリエの身元を特定するのは、彼が亡くなった時期によって違い、14世紀から18世紀の間とかなり漠然としている。

 「死亡時期が16世紀後半か、17世紀初頭ならば、私たちが持っている死亡記録で彼を特定できるかもしれません。それ以前ならば、おそらく無理でしょう」

 今後、数か月以内に行われる調査では、この死者たちの出身地や、その食生活についてさらに掘り下げる予定だそうだ。

 彼らのライフスタイルや死因について、さらに手がかりが出てくる可能性がある。最終的な分析結果は、2023年初めから半ばにかけて発表されることになっている。

References:Fouille en laboratoire des deux sarcophages de Notre-Dame de Paris – Universite Toulouse III – Paul Sabatier / Notre Dame’s spire had 2 hidden coffins beneath it. Now, scientists know who was buried there. | Live Science / written by konohazuku / edited by / parumo

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この記事へのコメント 20件

コメントを書く

  1. ラノベの序章みたい。
    大聖堂の地下からミイラが発掘された。研究者の調べではその人生の苦難を思わせる数々の痕跡がその体にあったという。彼はどういった人生を送りどういった理由により帝国で最も権威のある大聖堂の地下に眠ることになったのか……
    本編ではその主人公が帝国と帝国の姫を守る戦いの物語が繰り広げられる。
    そんな感じ。

    • +9
  2. いったいどんな人生を生きたのだろう
    彼らと話をしてみたいものだね

    • +7
  3. せむし男の骨が出てきたら感動するけど
    あれは作り話だよね。

    • +7
  4. 教会が腐敗してたころの悪い聖職者の魂が解放されて・・・

    みたいなゴシックホラーアクションの世界が

    • +7
  5. アサクリユニティ、作られるのが遅かったらこれ絡めてきたりしたのかな

    • +3
  6. なんとなくだけど、静かに眠っていたのに棺を暴いて死後の姿を晒されるのは可哀想に感じる。

    • +6
    1. >>7
      明るい日の下に出れて喜んでるかもよ?
      なんで死体になったこともないのに適当なこと言えるのかこれがわからない。

      • -2
      1. ※12
        そうかもしれないしどっちともわからないじゃん
        死んでるから何も感じないかもしれない
        でもいろいろ想いを馳せるのは良いことだろうね

        • +5
  7. 痛風も「王の病気」っていうのね
    私の知ってるのは瘰癧(結核性頸部リンパ節炎)の方だったから、勉強になった

    • +2
    1. ※9
      聖職者と騎士、だからフロロとフェビュスの可能性も

      • 評価
  8. フランス革命で多くの棺が暴かれ略奪されたので、鉛入りで遺ってる遺体は貴重ですね
    当時の習慣を知るのに良い資料です

    • +3
  9. 歯が殆ど抜け落ちというのはかなり激烈な症状の末の死だったのだろうか

    • +2
  10. 「アントワーヌ」に続けるなら、「ド・ラ・ポルト」ではないだろうか。

    • 評価
  11. アガサ・クリスティ新著
    「失われた歯、ははは。」

    • -1
  12. 男性の毛髪は残されていなかったが、

    生前からなのかな・・・。

    • +1
  13. 通風もちの聖職者か
    日本でいうと生臭破壊坊主か?

    • 評価

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