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透明なカエル「グラスフロッグ」は、睡眠時に赤血球を肝臓に隠して透明度を上げていた

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(著) (編集)

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 「グラスフロッグ」と呼ばれるアマガエルモドキ科(学名 Hyalinobatrachium fleischmanni)のカエルは、内臓が透けて見えるほど透明な皮膚を持つことで知られている。

 普段から骨や内臓などが見えてしまう透明な体だが、新たな研究によると眠るときはもっと透明になるのだそうだ。その方法もすごい。なんと体を流れる血液(赤血球)を肝臓に隠してしまうのだという。

 『Science』(2022年12月22日付)に掲載されたこの研究は、ただカエルへの好奇心をくすぐるだけでなく、血栓症や脳卒中のような血液の詰まりに関係する病気の新たな治療法にもつながるかもしれないそうだ。

眠っているときはさらに透明度を上げ外的から身を守る

 グラスフロッグは夜行性のカエルで、夜は暗闇に溶け込み活動する。太陽が昇ればお休みの時間だ。葉っぱの上で丸くなって、緑色の色素で周囲に溶け込む。

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葉っぱに乗ってみんなでお休み / image credit:Jesse Delia

 だが、これだけでは完全ではない。グラスフロッグが乗っている半透明の葉っぱを太陽の光が透過すると、その下にはっきりとカエルの形の影が浮かび上がってしまうからだ。

 これでは、お腹を空かせた捕食動物に見つけてくださいと言わんばかりだ。

 そこで睡眠中のグラスフロッグは、さらに透明度をあげて身を守る術を得た。眠るグラスフロッグは、可視光線の90~95%が通り抜けるほど透明になるのだ。

 ほぼ完全にスケスケで、影ができることもない。しかも運動や発声といった機能はしっかり維持されたままだ。

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さまざまな状態のグラスフロッグと透明度 / image credit:Taboada et al., Science, 2022

 これは興味深いことだ。全身を赤血球が流れているので、組織が透明になっても、体自体は透明になるはずがないからだ。グラスフロッグは一体どんなトリックを使っているのだろうか?

肝臓に赤血球のほとんどを隠すことで透明度を上げていた

 この秘密を探るべくデューク大学の生物学者カルロス・タボアダ氏らは、グラスフロッグを11匹採取し、さまざまな条件(睡眠中、覚醒中、仲間を呼ぶ、運動後、麻酔下)で体の透明度を測定してみた。

 その結果、寝ているとき以外は透明度にほぼ変わりはなかった。だが寝ているときは、起きているときより34~61%も透明度が高くなるのだ。

 その秘密は、赤血球の循環が減少することであるという。光学分光測定の結果では、赤血球の循環が最大89%減少することが明らかになっている。

 では、減少した血液はどこへ行ったのだろう? それは肝臓だ。

 睡眠中のグラスフロッグは敵に発見されないように、赤血球のほぼすべてをミラーコーティングでもされたかのような肝臓に隠してしまう。

 目が覚めれば、赤血球がまた全身を巡り始めるので、普通に活動できるようになる。

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起きているときと眠っているときのグラスフロッグの透明度 / image credit:Taboada et al., Science, 2022

 グラスフロッグが、どうやってこんな芸当をやってのけるのか、それを自分の意思で行えるのかどうかは不明だ。

 この技による内臓のダメージを防止する、何らかの特殊な代謝メカニズムがあるのかどうかもわからない。

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 だが睡眠中に赤血球を肝臓に隠す能力は、グラスフロッグだけのものではないそうだ。

 タボアダ氏らが熱帯のアマガエル3種を調べたところ、睡眠中は赤血球の循環が12%減ることがわかったのだ。

医療への応用に期待

 体内の血液を9割も減少させ、何事もなかったかのように再び回復するというこの発見は、人間の医療にとっても興味深いものだ。

 このようなことをやっても血栓ができないからには、血液を一か所にギュッと集めたり、また解放したりするときに、血液細胞が固まらないようにする何らかの仕掛けが隠されているはずだ。

 その仕掛けを応用することができれば、血栓症や脳卒中など血液の詰まりが関係する病気の新しい治療法を考案できるかもしれない。

 またグラスフロッグのこうした能力は、代謝・血流力学・血栓の研究にも洞察をもたらすとのことだ。

References:Glassfrogs conceal blood in their liver to maintain transparency | Science / Glass Frogs Turn Transparent When They Sleep… By Hiding Almost All Their Blood : ScienceAlert / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 13件

コメントを書く

  1. はじまりは寝る時に血液の循環が不活発になる個体ほど生き残りやすくてそれが世代を経て極端になっていったんだろうなと頭ではわかるけど直感的には生物すごすぎ意味不明ってなる

    • +14
    1. ※1
      もともとカエルや爬虫類全般が別の理由で持ってる機能だけど透明のカエルを観察してる過程で発見したから人間が「外敵から身を守るため透明度を高めている」と意味づけしてるという可能性もあるよな。
      例えば内燃機関を知らない宇宙人が冬に自動車使ってる人間を観察していて、「車内を暖めるためにボンネット下に発熱体を持ち、外気を温めて車内へ取り込んでいる」と見るかもしてない。

      • +7
  2. 前々から思ってたんだけど、彼らってグミみたいだよね

    • +8
  3. 模様で擬態は順当だけど、透明度を上げるという進化はすごいよなあ

    • +11
  4. 憧れるカエルちゃんだけど飼うの難しいのよね

    • +2
  5. 冬眠とかで代謝を下げるのってこういう理屈なのかな

    • +2
  6. グミで作ったリアル蛙みたいだよね
    この蛙の一番のポイントは目だと思う
    記事ではボケてるけど他の写真だとすんごい模様で呪術師のしもべっぽいよ…!
    ダークファンタジー好きの方はぜひググってみて下さい

    • +2
  7. 外見の面白さと医療に役立つ可能性
    やはり世の中色々な生き物が生きてる方が面白いとあらためて思う

    • +2

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