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実験室で疑似的ブラックホールを作り出し、光の放射現象を観測。ホーキング博士の理論の正しさが証明される

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 ヨーロッパの物理学者による学際的研究チームは、数学的モデルを利用し、実験室で疑似的なブラックホールを作成することに成功した。

 「一列に並んだ原子の鎖」を利用してブラックホールの事象の地平面をシミュレーションした結果、「ホーキング放射」に相当する光の放射現象を観測したそうだ。

 このシミュレーションは、それぞれの分野では正確にこの世の物理を記述しながらも、なぜか相容れない「一般相対性理論」と「量子力学」との緊張を解決するヒントになる可能性があるそうだ。

ブラックホールは光を放射すると唱えたホーキング博士

 マクロの世界を正確に予測する「一般相対性理論」と、ミクロの世界を正確に予測する「量子力学」はなぜだか仲が悪い。

 一般相対性理論は、重力を連続した時空の湾曲として記述する。一方、量子力学では確率を用いて、離散的な粒子の振る舞いを記述する。

 普遍的な量子重力の統一理論を作り出すためには、仲違いしたままの2つの理論をうまく調和させてやる必要がある。

 そこで登場するのが、宇宙でもっとも奇妙かつ過激な天体「ブラックホール」だ。

 ブラックホールは光すら逃げられない超重力を持つ天体だ。ところが、ここに量子力学的な効果を加えると奇妙なことが起こる。わずかだが光ると考えられるのだ。

 ブラックホールが放つ巨大な重力のせいで、一定の距離内に近づいてしまえば、光ですらも脱出できなくなる。その境界のことを「事象の地平面」という。

 光すら脱出できないのだから、ブラックホールは完全な闇だと思うかもしれない。ところが、車椅子の天才ホーキング博士によれば、そうではないのだという。

 彼が1974年に提唱した仮説によると、事象の地平面が量子の揺らぎに干渉し、光の粒子が発生する。これによって熱的な放射が起きるのだ。これを「ホーキング放射」という。

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ゆがんで回転するブラック ホールのシミュレーション / image credit:Yukterez/Wikimedia Commons, CC BY-SA 4.0

実験室でブラックホールを作りホーキング放射を検証

 仮にこのホーキング放射が実際にあったとしても、今のところ検出されていないし、今後もされないかもしれない。あまりにも微弱だからだ。

 だが実験室で擬似的にブラックホールを作り出せれば、現実のホーキング放射を調べることもできるだろう。

 今回、オランダ、アムステルダム大学のロッテ・メルテンス氏らの研究チームが考案したのも、そんなモデルの1つだ。

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偏光レーザーパルスをガラスのブロックに向けて発射し、ブロックの側面からホーキング放射を放出するひずみを作り出す(挿入図)。レーザーで作られた歪みがガラスの中を移動し、光を閉じ込める / image credit: DANIELE FACCIO

 このモデルでは、一次元の原子の鎖を、電子がある位置から別の位置へと”ホップ(跳ねる)”する経路として利用する。

 この跳ねやすさを調整すると、特定の性質が消失する。これを電子の波動的性質に干渉するある種の「事象の地平面」とみなせるのだという。

 そして、この模擬的な事象の地平面の影響によって、同等のブラックホールから理論的に予測されるものと同じ温度上昇が生じたそうだ。

 また、これは原子の鎖が事象の地平面をまたいでいる場合に限られるとのことだ。このことは、事象の地平面をまたぐ粒子のもつれが、ホーキング放射に関係しているということなのかもしれない。

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photo by iStock

重力と量子を研究する新たな機会

 なお、このホーキング放射のシミュレーションは、特定のホップ振幅の範囲にあり、かつ時空が「平ら」と想定した場合のみ熱的に有効であるとのこと。

 このことは、ホーキング放射が熱的なのは、条件の範囲内で、重力による時空のゆがみに変化がある場合のみである可能性を示唆しているそうだ。

 これが量子重力に対して持つ意味合いもよくわからない。

 だが本モデルを利用することで、ブラックホール形成の荒々しいダイナミクスに左右されない状況において、ホーキング放射の出現を研究することができる。また非常にシンプルなモデルなので、さまざまな実験に応用できるとのことだ。

 このモデルは「さまざまな凝縮系において、重力や曲がった時空間に沿った量子力学の基本的な側面を探求する場をもたらしてくれる」のだそうだ。

 この研究は、『Physical Review Research』(2022年11月8日付)に掲載された。

References:Physicists Create Black Hole ‘Light’ in Lab | Science | AAAS / Scientists Simulated a Black Hole in The Lab, And Then It Started to Glow : ScienceAlert / written by hiroching / edited by / parumo

追記(2022/11/21)タイトルの誤字を訂正して再送します。

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この記事へのコメント 26件

コメントを書く

  1. ブラックホール実験失敗したアニメ在ったような?

    • +1
  2. 博物館レベル+αの宇宙の話はまだなんとか
    「量子」が絡むとなー
    なるほどわからん

    • +1
  3. 「超重力」の絡まない光の解析に何の意味があろうか

    • -3
  4. 内容はさっぱり分からんがホーキンス博士を知らないのは堂々と外で言わない方がいい、恥かくから

    • +2
    1. ※6
      あ、つっこまないほうがよかったかも
      ちなみに 2 はコミュニケーションスキルに疑問あり?だから

      • -1
  5. 一般相対性理論と量子力学をつなぐとされる超弦理論(仮説)がある
    日本語で説明しているにもかかわらず更に翻訳が必要w
    わからな過ぎて自ずと笑いがこみ上げてきます
    この記事ってもしかして超弦理論に関係すること言ってるの?
    それすらもわからん

    • 評価
  6. ホーキング博士とドーキンス博士が合体してホーキンス博士に。

    • +3
  7. 無重力の宇宙空間にあるブラックホールを地球の重力下で作れるんだ…
    あぁ…素人の限界。

    • 評価
  8. 何故、水面の渦(2次元の穴)みたいになるんだろう?
    ウニみたいに放射上の真ん中に向かって重力で空間が歪まないのは何故?

    • 評価
    1. ※12
      説明が難しいけど宇宙空間はほとんど物質がないので、ウニのように「見えない」だけで、ちゃんと前方にも空間は歪んでいる

      地球も太陽もブラックホールも基本的になにかを中心軸において回転しながら前に進んでいる。地球でいえば太陽を中心軸にして回転しつつ前進している
      横から太陽系を観ると、太陽系の惑星さんたちは太陽の周りを錐もみ回転しながら後ろに引っ付いて進んでいる。太陽さんは天の川銀河系の中心を軸に回転しながら進んでいる
      これと同じでブラックホールさんも何かを軸にして回転しているけど、前方に星間物質は少ないので前の方に広がる”事象の地平線は視認しずらいし、後方は自分が通った後なので星間物質を綺麗さっぱり掃除しているのでやはり”事象の地平線”は視認しずらい
      ただ、その強大な重力で星間物質を絡めとっているので即”事象の地平線”に墜ちなかった物質が周囲に降着円盤として絡めとられ、蓄積して渦のように見える。つまり平面的に見えてしまう

      • +5
  9. アインシュタインが量子力学の理論を嫌っていたのは知っていたけど、
    一般相対性理論と量子力学そのものが相性悪いというのは知らなかった。

    そしてこの実験でホーキング放射が実証されたというのは素人目では飛躍が過ぎるとおもうが、
    専門家的にはそんな事ないんだろうか?

    • 評価
  10. 対生成を再現したらエネルギーの放出を観測できたよーって事?

    • +1
  11. 作ってないやん…
    作ったらどんなミクロだろうがエライことになるやん!?と思って焦りまくったわな。

    • 評価
    1. ※19
      マイクロでもミクロでもなんでもいいけど、小さなブラックホールは周囲に影響をほとんど与えない
      何故ならばお察し程度の重力しかないので吸い込める物質がほとんどない
      そして記事のホーキング放射で(宇宙時間単位の)短時間で蒸発してしまう可能性すらある

      • +2
      1. ※25
        マイクロブラックホールをお茶漬けにしてトリップするってSF小説があったな

        • 評価
  12. 空間のエネルギーなどと呼ばれているけど
    何もない空間でも常にプラスの電荷とマイナスの電荷が励起し対消滅している
    そこにブラックホールがあると質量が光とエネルギーになるので観測されるはず
    というのが確認されたと

    • 評価
  13. 要は、黒いガラスにある条件でレーザーを当てる実験をしたら、ブラックホールの事象の地平線で起こると言われているホーキング放射とそっくりな現象を”模擬”出来ることがわかったので、この模擬的なホーキング放射の物理的性質を調べると、本物のホーキング放射の性質に関する理解がすすみますよ、ということだと思います。
    間違っても、実験室でブラックホールを作ることができましたということではないと思いますが、違っていたらすみません。

    • +2
  14. ホーキング輻射がシミュレーション実験で実証された。
    つまり、ブラックホールも何も餌がない気が状態が続くと痩せ細りいつか蒸発する、という結論もある程度実証に近づいた。

    ブラックホールの周りは余りに高エネルギー状態なので、表面近くで何からの粒子が生まれたとして、大体それは対の存在である、片方がブラックホールに落ち込む方向なら、もう片方は逆、つまり放射する事になる。
    (実際仮想粒子(実在はするが非常に観測の難しい寿命の短い粒子)の多くはもっと複雑なので飲み込まれるときの崩壊によって生まれた粒子のカケラが脱出している事になる)

    • +2
  15. どうしよう
    書いてあることが1行も理解できないw

    • 評価
  16. このモデルは擬似的なブラックホールとは言えないでしょう

    • 評価

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