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冤罪で終身刑となった男性が35年後、テレビ番組の再放送のおかげで刑務所から釈放される

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(著) (編集)

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 その男性が終身刑を言い渡されたのはわずか18歳の時だった。不当な有罪判決を受け、無実の罪で服役していた男性が、35年ぶりに釈放された。

 これは、テレビ番組「怪しい伝説」の昔のエピソードがたまたま再放送されたおかげだった。

放火犯として逮捕された当時18歳のジョン・ガルヴァン

 1986年9月、アメリカ、イリノイ州シカゴ南西部の2階建てアパートで火災が発生し、2人の兄弟が死亡した。

 何とか逃げ出した他のきょうだいたちは、ラテンキングスと呼ばれるストリートギャングの手によって兄弟が殺されたことに対する報復として、隣人女性が火事を起こしたと警察に話したという。

 だがこの女性は自分の関与を否定し、そのとき18歳だったジョン・ガルヴァン、彼の兄、そして別の隣人、アーサー・アルメンダレスがやったと名指しで証言した。

 アパートのほかの住民も、その3人を告発し、火事が発生したとき、祖母の家で寝ていたジョンが放火犯として逮捕された。

無理やりの自白

 取り調べ中、ジョンは共犯者を吐けば、家に帰してやると言われた。もうひとりの容疑者、アーサー・アルメンダレスも同じことを言われた。

 結局、3人全員が、自白書にサインし、タバコで火炎瓶に火をつけ、アパートの窓から投げ込んだというでっち上げの事実を認めざるを得なかった。

 だが、のちにジョンとアルメンダレスは、身体的な虐待を受けて無理やりサインさせられたと訴え、ジョンの兄は、酔っぱらった状態で権利も読みあげられないまま、サインさせられたと述べた。

 だが、結局3人は、第一級殺人と加重放火の罪で有罪になった。

テレビ番組の再放送を見て、証言が不可能だったことがわかる

 だが、タバコで火炎瓶に火をつけたと証言したジョンの言葉が問題となり、最終的に彼の有罪がくつがえされることになる。

 服役したジョンが39歳のとき、刑務所のテレビで「怪しい伝説」の再放送を見た。

 番組では、ハリウッド映画でよく出てくる、ガソリンがたまっているところにタバコを投げ込んで火をつけるシーンは本当に可能か、という実験をやっていた。

 番組スタッフは、何度かタバコで火をつけようと試みたが、結果的にこれは伝説であると結論づけた。つまり、ジョンの証言は不可能だったことが証明されたのだ。

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Can a cigarette be put out in Gasoline?

冤罪が晴れ、35年後に釈放される

 ジョンは、すぐに自分の弁護士に連絡をとった。弁護士もたまたま同じ番組を見ていたので、この事件を再び調べ始めた。

 2007年、アルコール・タバコ・火器・爆発物取締局(ATF)の研究チームが同じことを調査していたことがわかった。

 べつの放火グループの容疑者たちが、タバコが原因で火災が発生したと言っていたためだ。

 タバコを使ってガソリンに火をつけようと2000回も実験を行い、火のついたタバコにガソリンをスプレーしてみたりしたが、一度も発火しなかったという。

アクション映画でよく見られるシーンですが、ガソリンに火のついたタバコを落としても、通常の酸素濃度で、異様な状況が重ならない限り、発火することはありません。

これは、火のついたタバコの先端のもっとも高温になっている部分とガソリンとの接触点が限られているためです。X線サーモグラフィーでも、非常に局所的なのがわかります

 放火捜査の専門家が、タバコでガソリンに引火させるのは不可能なことを証明した。さらに、取り調べを行った警官が暴力で強制的に自白させたという複数の証言も得られた。

 これによりジョンの弁護団は彼の冤罪を確信した。数年後、控訴審で3人の有罪は覆された。

ジョン・ガルヴァン氏のケースは、科学が進んで以前とは変わったり、専門家が過去の証言を否定したりしたときに、有罪になった者が再び法廷に立てるような仕組みを確立することが、極めて重要であることを物語っています

 冤罪証明を行う非営利組織イノセンス・プロジェクトのレベッカ・ブラウンは語る。

このような仕組みがないと、多くの場合、不当な有罪判決を受けた無実の人々が、無実であることを示す法医学的証拠を示すことができなくなってしまいます。

“科学の進化”に対応する法律があれば、放火科学の進歩を反映した証拠の提示ができ、もっと早くジョン・ガルヴァン氏の容疑を晴らすことができたでしょう

References:Innocent Man Freed From Prison After 35 Years, Thanks To An Old Episode Of Mythbusters | IFLScience / written by konohazuku / edited by / parumo

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この記事へのコメント 27件

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  1. たまたま科学的には不可能だけど当時はか可能と思われていたことを意に反して自白していたために助かったということか……しかし失った時間は帰ってこない、冤罪は本当に恐ろしい

    • +43
  2. 美談のように聞こえるが
    ギャング同士の抗争で、刑務所に入ってたのもギャングの一味だった
    ってオチじゃないだろうな・・・・

    • 評価
    1. ※2、※7
      例え被疑者がギャングであっても冤罪は冤罪です
      これは普段の行いが悪かろうと同様です

      ギャングだから冤罪が許されるはずもないですし
      普段の行いが悪いという理由で犯人だと決めつける思考が冤罪を産む大きな原因の一つです

      • +13
  3. ああ、ディスカバリーチャンネルでやってた番組だ
    「帆船時代の海戦で大砲が撃ち込まれた時、飛んできた船の木の破片が人間に刺さりまくるというのは本当に起こるのか?」なんていうのを吊るした豚肉で検証してたの覚えてる
    ちなみにこの実験でも「起こらない」という結果だった

    • +14
  4. 冤罪事件の際にいつも警察が非難の的になるが

    一番悪いのは虚偽の証言をした者たちだろう

    なぜこういう奴らが罰せられないのか?

    • +12
    1. >>4
      暴行して酔わせて無理矢理サインさせた警察側が非難の的でおかしくないだろ
      虚言の証言した奴は別の警察がやってくれるよ

      • +31
      1. ※8
        日本語が理解できないやつだな

        虚偽の証言がなければ警察の横暴はなかったということすら理解できないアホか

        • -25
        1. ※10
          虚偽証言がなければ横暴はなかったってのは君の思い込みでしょ
          虚偽の証言がなくても警察が横暴や不正を働くのは世界中であることなんだから

          • +8
        2. ※10
          4の「なぜこういう奴らが罰せられないのか?」に対する8の「虚言の証言した奴は別の警察がやってくれるよ」
          4の「冤罪事件の際にいつも警察が非難の的になるが~」に対する8の「暴行して酔わせて無理矢理サインさせた警察側が~」
          俺には、普通に真っ当な日本語の受け答えが成立しているように見えるぞ

          >>虚偽の証言がなければ警察の横暴はなかった
          それはわざわざあえて言うまでもない大前提だから、そもそも論点にすらならない話じゃないのか
          あと一応言っておくと、悪意がなくても、善意であっても、証言は虚実が入り乱れるのが普通
          「虚偽の証言者が諸悪の根源。そいつを裁け」は「アイツが犯人に違いない。アイツを逮捕しろ」と同じ視野狭窄の独善思考だよ

          • +16
    2. ※4
      日頃からギャングにひどい目にあわされてる人たちからしたら、ギャングをやっつけてくれた人を売り渡す気にならないと思うよ。冤罪でも刑務所に入れたいと思う人がいるのは仕方ない気もする

      • -5
  5. 冤罪に至るでっちあげの逮捕に誘導した人間たちを
    逮捕して真犯人探ししないとダメっすよね。

    • +35
  6. アメリカの冤罪は割としっかり賠償金もらえるイメージ(州にもよるだろうけど)
    日本の冤罪での賠償金のしょぼさえげつないから過去の冤罪の記事とか読んでるときついんよな

    • +21
    1. >>6
      日本は
      収監されていた期間×普通の人の収入分くらいしか
      払ってくれないよね

      • +8
  7. まあ普段の行いが祟ったことではあるんでしょうな。しかし司法がいい加減なものではあってはならない

    • -7
  8. 釈放とはいうけど失った時間戻らないんよなぁ、、だる

    • +14
  9. 冤罪を増やさない為にもでっち上げ警察官にはきっちり鉄槌を下して欲しい

    • +9
  10. グラントイマハラって亡くなったんだよね
    ご冥福を

    • 評価
  11. 人生の元気な時間全部服役してるじゃん…つらい

    • +11
  12. 若い時の貴重な時間を刑務所で過ごすって悲惨すぎるな
    警察はお咎めなしだからやりたい放題だな

    • +11
  13. ちなみに「ガソリンに直接」タバコで着火するのが相当に難しくほぼ不可能という話であって
    充分に気化したガソリンが空気と充分に混合された状態で引火、火災が発生すること自体は普通にあり
    ガソリンスタンドでタバコを吸いながら給油を行なって火災事故になった店員およびセルフスタンドの利用者や、ゴミや枯れ草の山を焼却しようとしてガソリン撒きながらタバコ吸ってたら引火した例は物凄い沢山事例がある(youtubeにはそれらのまとめ動画もある)ので
    絶対にやってはいけないし、どんな状況だろうと絶対にタバコでガソリンには引火しないという極端な勘違いもしてはいけません、と補足

    • +16
    1. ※21
      近所のガソリンスタンドで、ふざけてタバコの火を給油口に近づけて火災になりニュースになりました
      ガソリンタンクという、気化した揮発成分を閉じ込める形状が好条件なのですね

      • +3
  14. 無数に番組が存在するアメリカでたまたま弁護士も同じ番組見ててスムーズに話が進んだってのも奇跡
    時間は戻らないけど良かったよほんとに
    警官は白を黒に見せるのが上手だよね。手柄になるのかな?失った時間を考えると殺人みたいなもんだと思う

    • +8
  15. アメリカなら100億円は賠償金をとれるだろ。

    • 評価
  16. その回は見たことあるな。絶対に爆発オチになるだろ、と思ってたから意外だった記憶がある。

    • +3

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