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子供の童話では悪役とされるオオカミだが、実際は地球上に存在する価値のある大切な仲間である

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(著) (編集)

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 子供時代の童話やおとぎ話に登場するオオカミは、たいてい、狡猾で脅威的な悪役、家畜や祖父母を食らう残忍な生き物として描かれていることが多い。映画やメディアに登場するオオカミも、あまり良い印象ではない。

 その為、オオカミは怖くて悪いやつだと植え付けられてしまった子供たちも多かったことだろう。だが実際はそんなことはない。

 米ンディアナ州バトル・グラウンドにある研究教育施設、「ウルフパーク」に一歩足を踏み入れれば、そうした認識はすっかり変わってしまうだろう。

 ここのオオカミたちは、群れの仲間の死を悼み、子どもを優しく慈しみ、凍結した湖や草原で追いかけっこをして遊ぶ愛すべき生き物なのだ。

 近くでオオカミを研究すれば、生態系の頂点にいるこの捕食者の認識が誰しも変わるだろう。

オオカミに対する根強い誤解

 毎年、アメリカの「ウルフパーク」を訪れる2万人以上の訪問者たちには、”ディズニーがオオカミを悪者にした”と言っている。

 映画やメディアによって植えつけられた、オオカミに対する根深い誤解は、私たちが住む環境におけるオオカミの重要な役割を人々が理解するのを妨げている。

 50年前にウルフパークが設立されたときにも、同様の誤解があった。

 多くのアメリカ人が、オオカミは全国に広がる深い森の中に住んでいると思っているかもしれないが、かつてオオカミが生息していた土地の9割で、彼らは絶命に追いやられている

 オオカミは数千年にわたってアメリカ中に生息してきたが、誤って正当化された人間の古臭い誤解によって、組織的に殺戮され、これまでの生息地からほぼ姿を消してしまっている。

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photo by Unsplash

オオカミはそれほど家畜を殺していない

 おもな誤解のひとつは、捕食者であるオオカミの群れが、牧場の家畜を大量に殺しているというものだ。

 だが、米農務省のデータによれば、オオカミ絡みの家畜の被害はわずか1%にすぎない。

 こうした誤解は、オオカミが生態系の中のほかの生物を食べ尽くしているという誤った認識から始まっている。

 実際は、捕食をすることで、獲物の数が増えすぎないように調整し、生態系を維持しているという意味で、オオカミは”要”となる種だと考えられている。

 彼らのおかげで、植物やほかの動物の数が適度に増え、繁栄することができるのだ。人間のほうがよっぽど無益で無差別な殺戮をしていると感じざるをえない。

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photo by Unsplash

オオカミは人間が介入しなくても個体数が一定に保たれる

 もうひとつの誤解は、オオカミが食物連鎖の頂点にいるために、人間が介入しないと、その数が膨れ上がってしまうという懸念だ。

 だが、群れの中で生きているオオカミは、その群れの中で、特定のメンバーにしか子育てをさせないという自己規制をとることによって、自らの個体数をきちんとコントロールすることができているのだ。

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photo by Pixabay

絶滅危惧種からはずされたせいで悪循環が起きている

 2021年1月に、米魚類野生生物局がオオカミを絶滅危惧種リストからはずした。

 物議をかもしたこの決定によって、連邦政府によるオオカミの保護がなくなり、人間がやたらめったら彼らを狩るという残虐行為のせいで、その数が激減する悪循環になった。

 絶滅危惧種のリストからはずされてから、複数の州が積極的にオオカミを管理する計画を導入したが、それはその州に残っていたオオカミにとって、まさに死刑宣告にほかならない。

 例えば、アイダホ州の計画は、この州にいるオオカミの9割まで殺傷を許している。

 ウィスコンシン州は、ハンティングシーズンが始まった最初の週末に、目標以上の119頭のオオカミが殺されたため、シーズンを終わりにせざるをえなくなった。

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photo by Unsplash

再びオオカミを守る運動が全米で指示を集める

 当局は、オオカミの個体数が順調に回復しているというデータに基づいて、絶滅危惧種リストからはずすことを決定したと主張しているが、複数の専門家から成る委員会が、最初に提示された個体数データが間違っていて、「重大な誤り」が含まれていることを発見した。

 リストはずしの決定が、科学的な根拠に基づいたものではなく、オオカミに対する誤解や感情的なものだけであることは明らかだった。

 だから、オオカミを絶滅危惧種に再登録する運動は、全米で支持を集め、自然保護活動家、環境NPO、野生生物保護団体、科学者たちによって擁護されている。

 今年始め、全国的に連邦政府による保護が復活したが、ロッキー山脈北部では、相変わらず大量殺戮されている。

 ウルフパークでは、サマーキャンプを開催して、参加者にオオカミの法的な立場について学んでもらっている。

 そうした人たちが、全米規模の「#RelistWolves」キャンペーンの一環として、多数のアメリカ人たちと共にリスト再登録を働きかけた。

“Raise Your Voice” starring Jason Momoa and Produced by Sender Films for the #RelistWolves campaign

真の意味でオオカミを守るには誤解を解かなければならない

 しかし、真の意味でオオカミを何世代も守り続けていくには、私たち人間が子どものときからすりこまれてきた、無意味な誤解の呪縛から離れなくてはならない。

 悪いオオカミが私たちの家を吹き飛ばしに来ることを心配するのではなく、オオカミがこの精密な
生態系の守り神であると認識する世の中を作っていかなくてはならない。

 オオカミもまた、私たち人間と同様、この地球に存在する価値がある生き物なのだから。

References:Our childhood fairytales got wolves wrong – Upworthy / written by konohazuku / edited by / parumo

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この記事へのコメント 52件

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  1. 人間がどこでも暮らしてるから徒党を組んで襲いかかる肉食動物はそりゃ嫌われるだろ
    生態系がどうのとか山地は道路や農地、柵、住宅地で分断されている
    そこに肉食獣が入り込めるスキマがあるだろうか

    • -15
  2. 生態系としては必要だよね
    日本でもニホンオオカミが絶滅したら猿やシカが繁殖して農場とか荒らされたみたいだし

    • +20
    1. ※3
      猿の被害に悩む農村が柴犬飼って猿を追わせる映像がテレビで流れたことがあったけど
      犬が猿を見付けた途端ロケットスタートで追いかけて退散させてたからすげぇと思ったわ

      • +4
    2. ※3
      牧畜する民族はオオカミを害獣にしがちだが 日本では「大神」農作物を荒らす鹿を食べてくれるありがたい存在だった。維新後に洋犬の持ち込んだ疫病で激減した。

      • +1
  3. オオカミかっこええのに
    それに人を襲うことも稀
    調子に乗ってオオカミの機嫌損ねた奴は反撃されても仕方ない
    だって自分より大きなものが自分に脅威を与えようとしてるとしか見えないからな

    • +17
    1. >>4
      ヨーロッパで人食い狼がなぜ出たのかっていうと戦争で死んだ人間の肉を食べて人間は食べられるって学習したからなんだってね
      人食い狼の出没事件は戦争があった後に多数起きてる
      人食い狼を作った原因は人間で狼は本来積極的に人間を襲うような動物じゃないのに

      • +4
  4. たびたび議論に上ってるオオカミの再導入の是非を言うわけではないけれど、その要がいなくなってから生態系がどう変化したか、日本人は身をもって知ってるんですよね。

    • +18
  5. 価値が在る価値がないという物差ししかない持たない人がいるのが悲しい

    • +17
  6. ネイティブを追いかけ回してた頃から傲慢さが変わらんじゃん

    • +10
  7. ディズニーの被害者系だとハイエナもそうだよね

    • +15
    1. ※8
      ただ、ハイエナは狼にくらべて、色が汚いし、鳴き声が笑い声みたいで不気味だし、なんなら顔もぶちゃいくだから、いまいち人気がでない。

      生息地のサバンナに、ライオン、ヒョウ、チーターとイケメンのライバルが3種類いるのも不利。

      • -2
      1. ※34
        ハイエナもよく見るとかわいいよ!愛嬌のある犬みたいな顔してるよ!
        ブチの毛色もワイルドだし、笑い声みたいな鳴き声もユニークでかわいい!
        モフったら甘えて笑い声あげるのちょーかわいい!

        • +3
  8. 価値のない生き物なんて居るのか?

    と思ったけど、この夏に叩き落としたハエや蚊の数を俺は数えてなかった

    • +15
    1. >>9
      生態系に必要なのと
      特定の種や個体にとって害をなすのはまったく別の話だからいいんでない?

      まさしく蚊なんてヒトにとってはほぼ害悪だけど、絶滅したら生態系ズタズタになるっていうし

      • +7
    2. >>9
      ハエや蚊だって一部の鳥や昆虫にとっては、重要な食糧だったりしますしね。
      そういや蚊は世界で一番ヒトを殺してる原因でもあるし生物学でいえば、ヒトの数を減らす役目を持たされているのかもしれない。

      しかし、この手の話を読むと、自然界にとっての人類って害悪でしかないな‥って結論になるよね。
      オオカミを保護するしない関係なしに、生態を無視して勝手に居場所を追われ殺される理不尽。厄介者はどう考えても人間だわ。

      • +6
  9. よく欧米みたいな狩猟民族は狼を悪く思い、アジアみたいな農耕民族には神に奉られるって言うよね

    • +1
    1. ちょっと前の本だし、少し辛い現実も書かれてるけど「オオカミたちの隠された生活」っていう本おすすめです。

      ※10
      土着信仰ぽいのでは信仰もされてるけど、※11も書いてるように昔話では結構悪役振られてますよ。
      あと、欧米が狩猟民族やってた時代より農耕民族やってた時代の方が長く、それでも狼は悪役扱い。メインは狩猟で生活してたネイティブアメリカンでは狼は偉大な精霊として敬われたりしてるので、雑に括らない方が良いかと。

      • +6
    2. >>10
      日本だけでも、神様と共に御眷属と奉られる例のどんなに多いことか。
      家畜は勿論、人間に対する獣害もあったけれど、それを加味しても、オオカミという存在は自然の二面性を人間社会に大きな根を下ろしていると思う。

      • +1
    3. ※10
      欧米が農耕民族、アジアが狩猟民族という説は否定されてます
      純粋な狩猟民族はイヌイット等のごく少数
      他の大多数は古代に狩猟採集生活、その後は農耕をしています

      • +2
  10. 牧畜社会だったヨーロッパだと
    冬の備えに森に放ってた豚食われたりするしそりゃ害獣扱いもされる
    逆に仏教渡来依頼肉食は大っぴらにはやってなかった日本だと昔話の悪役だったり犬神だったりと厄益両面で扱われてたりするけど

    • +10
    1. ※12
      サファリパークで子オオカミもふりまくったことあるぜ。
      めちゃすいてたのですごく長くもふったぜ。
      子オオカミとは名ばかりの、大人ハスキーサイズに舐められまくったぜ。
      いいだろ~

      • +3
  11. 平井和正のウルフガイシリーズを愛読してから狼は大好きだわ

    • 評価
  12. 家畜を荒らす害獣だったからだろうな
    畜産の歴史の浅い日本じゃ悪役のイメージはないけど
    むしろ農作物を荒らすシカやイノシシ等の害獣を狩るから山間の農家では崇められてたまである
    なおニホンオオカミの絶滅した現代
    山は比較的安全にはなったけど……

    • +1
  13. 家でニワトリを家で飼ってヤギを育てるのが
    当たり前だった時代の害獣の代表がオオカミ。
    オオカミが多かった時代は熊が少なかった。
    スーパーで鶏肉買って帰る途中に毎回100%
    襲い掛かってくる動物がいたらみんな嫌いになるでしょ。
    オオカミは貴重なニワトリやヤギを食い殺しまくるから
    とにかく嫌われた。童話にでてくる村の猟師さんに
    オオカミを退治してもらうお約束のシーンには理由がある。

    • -4
  14. オオカミを悪者にしたのはキリスト教だからな

    • -3
    1. ※20
      まあ間違ってはいない
      当時畜産が盛んだったのは旧約聖書で肥沃なる三日月地帯と呼ばれていた(今は砂漠地帯だけど)メソポタミア地方だしな

      • -1
    2. >>20
      キリスト教徒ではないモンゴルの遊牧民とかにも悪魔のように嫌われているぞ(家畜に被害が出るから当前ではあるが)
      椎名誠のエッセイに、映画を撮りにモンゴルに行ったとき現地の人に「日本にも狼はいるのか?」と聞かれたんで
      「昔はいたんだが絶滅してしまった」と答えたら「それはいいことだ」と真顔で返されたというエピソードがあったっけ

      • +2
  15. 大陸の狼とニホンオオカミってなんか完全に違うよね
    日本のはやつれた犬って感じ

    • +3
    1. ※21
      それは数少ない剥製を見るとそう思えるだけ。

      • +3
  16. まあ家畜は自然界にとっては外来種だからな

    • +4
  17. 狼はヒトの最大の友である犬につながる、大事な大事なご先祖様です。
    加えて格好くて、憧れの対象でしかありません。
    ホント、出来ることなら一緒に暮らしてみたい。

    • +4
  18. まあ昔のオオカミはもっと凶暴で人間や家畜を襲う個体が多かったっていう研究もあるけどね
    人間を襲う個体が殺されてきたから今は臆病な個体が多くなったと

    • +3
  19. そんなもん今の時代だから言える事だぞ
    昔の人間に取っちゃ狼なんて脅威以外の何物でもないっていう
    実際対峙してみ、食われるだけだぜ

    • +1
  20. 価値がなければ存在してはいけないという理屈も自然界にはなかろ。

    • +9
  21. >地球上に存在する価値のある大切な仲間
    どの立場から物言っとんねん何様や…。

    • +6
  22. 地方の温泉街にいるよね。
    おおおかみ。

    • 評価
  23. 人間が家畜を増やせばそりゃそれを狙うわな

    • +6
  24. 日本に狼がいれば害獣被害ももっと少なかっただろうね

    • 評価
  25. 最近はオオカミより大型ネコ科のほうが圧倒的にヤバいという認識も浸透してきてる気がする
    トラとかが悪役になってるイメージ

    • +1
  26. 生態学的な連鎖反応(ようは生物のピラミッド)はとても重要

    だけどそこに人間も含まれるのを忘れてはいけない
    現在、日本で猪や鹿が莫大増えて深刻な農業被害を及ぼしているのは「人間の経済活動の変化」によるもの

    要は燃料として木材を利用しなくなったので、森林資源がここ200年経験が無いほど回復している、回復して人間集落を飲み込もうとしているほど
    仮に狼が絶滅していなかったとすれば、IFだけど日本の場合は「狼も大繁殖」していたと思われる

    • +2
  27. 前門の虎後門の狼
    青いオオカミ
    赤ずきんちゃんのおばあちゃん
    アマラとカマラ
    ロムルスとレムス
    オオカミ少年

    • +1
  28. 単純に獲物として見栄えが良いからでは。剥製とかさ。

    • 評価
  29. イエローストーンのように人間がほぼ活動していない領域ならば大きな問題はありませんが、牧場近くに狼を放したら、牧場に食物を依存するため数はどんどん増えます
    一度牧場の味を覚えたら山の中のイノシシとかウサギなんて狩ることはまずありません

    だからといって絶滅させて良いかというと、それは違うのですが、数の調整は必要なのです
    アメリカやスカンジナビアで再導入されたオオカミをハンティングしている人たちも絶滅させるために狩っている訳ではありません(今時そんな馬鹿はいません)

    オオカミのハンティング問題については、多くの場合、ハンティング否定派の主張が無茶苦茶であることが多いです

    • 評価
  30. 日本のどこかの村、オオカミを農産物を食べる草食獣を駆除している神様として扱っていたのを最近、ドキュメンタリーで見た。

    アラスカでトナカイが激減して、捕食するオオカミを駆除したら急激にトナカイの死亡が増えた。
    調査したら狼は病気や弱い個体だけを捕食していた。
    オオカミが減って病気がトナカイたちに蔓延してさらに死亡したらしい・・・
    無駄に生きている生き物なんていない、人間以外と思ってしまう。
    で、オオカミの保護を始めたら正常な生態系に近くなった。

    • 評価
  31. 海外でしばらく狼犬と暮らしてたけど、きちんと躾しないと人でも動物でもなんでも襲おうとするよ。
    頭がいい上にスタミナも体力もあって非常にアグレッシブ。
    それに森の中での機動力が尋常じゃない。
    躾が行き届いていて懐いていればこれほど頼りになる生き物もいないけど、経験則から言ってこの記事に書いてある狼の評価は平和ボケし過ぎてると思う。
    未だに狼が問題の地域だってあるのに。
    個体差もあるし、パック内で他の狼から教育を受けて育てば変わってくるのかもしれないけど、狼犬でこれだったからね。

    • +2
  32.  狼ではなく犬の話だが豪州のディンゴは庭で日向ぼっこさせていた赤ちゃんを攫うため今でも嫌われているようだ。また、江戸時代あたりの過去の記録でもヤマイヌに住民が襲われてお上に泣きつく住民の話やヤマイヌ用の落とし穴の話が複数あるようだ。
     狼が人間を襲わないというのは人間に反撃されるからという経験的な話であって(狂犬病でない)全個体が全く人間を襲わないというわけではないと思う。
     なので、狼再導入についてはあまり期待しない方が良いかと。期待が裏切られた時の憎しみは通常よりはるかに大きいし、人間の勝手な期待と失望に狼がまた翻弄される。

    • +1
  33. 犬が人間の友と言いながら一方で狼はいらないと
    本当に自分勝手だね

    • +2

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