
メキシコは、報道関係者が紛争地帯を除いて世界で最も危険な国の 1 つと見なしている国だ。
先日も、1人の政治記者が殺害される事件が発生した。この記者は、8年前に起こったイグアラ市の学生集団失踪事件についての最新記事をSNSで発表したわずか数時間後に銃撃され、暗殺されたという。
政治記者、SNS投稿の数時間後に銃撃され死亡
8月22日の午後、メキシコ南部ゲレーロ州チルパンシンゴで、人気のオンラインニュース番組『The Reality of Guerrero(ゲレーロの現実)』を運営していた政治記者フレディド・ローマン氏が、何者かに銃撃された後、車中で死亡しているのが発見されたことを地方検察庁が発表した。ローマン氏は、8年前に43人の学生が失踪した事件についての最新コラムをFacebookでシェアしたわずか数時間後に殺害されたとみられている。
同氏は、麻薬カルテルが公然と活動し、武装した自警団や警察、政府軍と定期的に激しい衝突を繰り広げている、メキシコで最も危険な地域の1つであるゲレーロ州の地域政治に焦点を置き仕事をしていたという。Journalist #FredidRoman has become the latest media worker killed in #Mexico so far this year, bringing the total to at least 15, according to monitoring groups.#PoliticalUprising pic.twitter.com/UlZAL9Aply
— Political Uprising (@Political_Up) August 23, 2022
2014年、デモ抗議に向かうバスに乗っていた後襲撃され、行方不明になった43人のゲレーロの学生の事件は、メキシコ史上最悪の人権災害の1つと伝えられている。
この出来事については、メキシコ政府が学生を誘拐してカルテルのメンバーに引き渡して殺害した、または学生をカルテルのメンバーと間違えて殺害したという複数の説が浮上している。
いずれにせよ、真実和解委員会がこの残虐行為を様々な政府機関が関与した「国家犯罪」と分類した後、この事件は全国的な注目を集めた。
Video of Missing Ayotzinapa Students Before Their Disappearance
ローマン氏は今年暗殺された15人目のジャーナリスト
ローマン氏は死のわずか数時間前に、Facebookアカウントに「上司を起訴しない国家犯罪」というタイトルで長いコラムをシェアし、学生の失踪時に元司法長官のジーザス・ムリーリョ・カラムを含む 4 人の役人にもたらされた関与の疑いについて言及していた。
カラムは今週初めに真実報告が公表された後に逮捕されたが、同時に関与が疑われるカルテルのメンバー、警察官、および軍関係者に対して少なくとも80件の逮捕状が発行されていたという。
ローマン氏の殺害は、独立ジャーナリストのフアン・アルホン・ロペスが北部の国境州ソノラで死亡しているのが発見されてからわずか1週間後に発生した。Mexico arrests ex-attorney general Jesus Murillo, who oversaw highly criticised investigation into 2014 disappearance and execution of 43 students – local media pic.twitter.com/4pNMPQMB0f
— TRT World Now (@TRTWorldNow) August 19, 2022
地元の検察官は、銃撃の詳細を公表することを拒否しているが、ローマン氏は今年メキシコで暗殺されたジャーナリストの15人目となった。(一部の報道によっては16人とも)
『国境なき記者団(Reporters Without Borders)』によると、2000 年以降メキシコでは150 人以上のジャーナリストが殺害されており、紛争地帯以外でメキシコは現在、世界で最も記者にとって致命的な場所であると考えられている。
メキシコのジャーナリストは、カルテルのメンバーやその他の組織犯罪のメンバーだけでなく、政治的動機を持つ地元の警察や政府関係者からも頻繁に標的にされているからだ。
特に、独立したジャーナリストやレポーターは、しばしば最大の危険に直面しやすい。しかし、これらの殺害のほとんどは、犯人を特定せず処罰の対象にならないそうだ。
ローマン氏が殺害された翌日、ゲレーロ州チルパンシンゴ で、地元のジャーナリストらが州検察庁に向かって行進し、ローマン氏の射殺事件に抗議している様子がTwitterでシェアされた。
ジャーナリスト保護委員会のメキシコ代表ヤン・アルバート・フーツェン氏は、アルホン・ロペスの殺害後、メキシコでの記者に対する攻撃をこのように非難した。Right now in #Chilpancingo, #Guerrero state, #Mexico: local journalists marching down a main street to the state public prosecutor's office in protest at the murder yesterday of Fredid Roman, shot dead in front of his home. Photos: @Alberto_GomezP #FredidRoman pic.twitter.com/V7g0p7ZVOk
— Ann Louise Deslandes (@Ann_dLandes) August 23, 2022
今年は報道による殺害の初期の事件で何人かが逮捕されたが、現在進行中の不処罰の風潮がこれらの攻撃を助長し続けている。ローマン氏の殺害が行方不明の学生に関する投稿ゆえの結果なのか、それとも彼の他のジャーナリスト活動が最終的に自身を死に追いやったのかは、現時点では不明ということだ。
References:Journalist killed just hours after publishing a story about the disappearance of 43 students/ written by Scarlet / edited by / parumo
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コメント
1. 匿名処理班
改めてディストピア過ぎるな……
ご冥福を
2. 匿名処理班
中途半端なオカルトの比じゃないくらいゾワッとする
3. 匿名処理班
ドンウインズロウの小説で読んだ
4.
5. 匿名処理班
やっぱり未だにメキシコ麻薬戦争は解決してないんだな…そんな情勢で危険を顧みて真実を報道するジャーナリストたちに感謝をする。
6. 匿名処理班
メキシコ手に負えない
7.
8. 匿名処理班
メキシコはリアル北斗の拳と聞くが、マジやなぁ・・・
9.
10. 匿名処理班
もう政府機能してなくない?
11. 匿名処理班
人権災害って言葉を初めて見た
天災くらいどうにもならない人災って認識で良いのかね
12. 匿名処理班
この失踪した43人が在籍してた学校って学校とは名ばかりの左翼活動家の巣窟みたいなとこで、抗争に備えて火炎瓶が大量に備蓄してあるようなとんでもない場所なんだってね
学生って字面に騙されそうだけど年齢制限とかなしに受け入れてたみたいだし、実際は札付きの過激派43人が公権力と衝突して処分されたってのが正しいんだろうな
まあだとしても警察が逮捕せずに直接始末するってのはさすがメキシコよね
13. 匿名処理班
43人の学生のその後はどうなったんだ
殺害はメキシコが多いかもしれないけど、行方不明なら(チラッ
14. 匿名処理班
タイトルでメキシコだと察せられるの怖いし悲しいなあ
15. 匿名処理班
めちゃくちゃだな
21世紀の話とは思えん
16. 匿名処理班
150って凄い数だけど、それだけ勇敢な記者たちがいるっていうことか。
17. 匿名処理班
武装がとんでもないんでしょ?軍隊に匹敵するような兵力があって、人を〇すことを厭わなくて、警察や地元の政治家等の買収も多いと聞く…いつまでこんなことが続くんだろうか
18. 匿名処理班
メキシコは政府と麻薬カルテルが同じくらいの戦力なんだっけ
もうアメリカに頼んで軍で制圧してもらうしかないんじゃないの
19. 匿名処理班
※1
「ディストピア」って、機械や理念による高度な管理社会で
一見して裕福で治安のよい社会が保たれているけど、その中身は
個人の自由や思想が著しく制限されている―――的なイメージで、
犯罪組織がのさばって政治家や警察まで買収してる無法地帯は
どちらかというと、シンプルに「修羅の国」って感じがする。
20. 匿名処理班
148ヶ国中
メキシコの殺人発生率
10万人に対して28人で 8位…
ちなみに日本は
10万人中0.25人で144位
21.
22.
23. 匿名処理班
>>9
そらそうよ
だからこそ国家が警察や軍隊のような暴力装置を一元管理することが秩序の維持には必要になる
24. 匿名処理班
おそらくほとんどの人が誤解しているはず
マフィア VS 政府 ではなく
マフィア イコール 政府
ヽ慇検兵造郎戸祿萋芦函砲イグアラ市市長のイベントを妨害しに来たため、市長が警官らに命令して襲撃させた
拉致された学生43人は麻薬密輸組織「ゲレロス・ウニードス」に引き渡され、殺害
麻薬密輸組織「ゲレロス・ウニードス」は政府の実行部隊なんだから、麻薬密輸組織がなくなることはありえない
25. 匿名処理班
「こんな時間に誰か来たようだ」がネタじゃなくてリアルな国なんだな…
日本も含む世界には、世の中を少しでも良くしようとしたり真実を追究したりするために、抑圧的・暴力的あるいは理不尽な国家や組織や周囲のコミュニティと闘う有名無名の人達がたくさんいるんだよな
チキンな自分は敬服しかない
26. 匿名処理班
暴力が正義の国だよねもう
メキシコで暮らさざるを得ない人たちには申し訳ないが
やっぱり日本に生まれて良かったと心底思う
27. 匿名処理班
いろいろ詳細見てきたけど、学校ぐるみで犯罪やってたらしいあんまり同情できない感じ。
28. 匿名処理班
>>12
ネットに書いてある「〜らしい」って情報はフェイクニュースのもとなんだって
29. 匿名処理班
ドンタコスのCMみたいな陽気な国だと思ってたのに
30.
31.
32. 匿名処理班
麻薬組織の哀しい性だな。密売して巨万の富を築いても、決して国民から認められず永遠に批判される犯罪者であり続け、永遠に憎悪の対象となる。良識なき麻薬組織がのし上がり国を牛耳っても良質な治世はできず稚拙な恐怖政治しかできないだろう。批判するものは殺し続ける永遠の駄々っ子でありつづける麻薬組織。その行く末に栄光が訪れることは永遠になく、政府軍に勝利したところでその先にあるのは破滅の道だけ。日本の暴力団、半グレにも同じことが言える。
33. 匿名処理班
※19
イグアラ市学生集団失踪事件は要するに白色テロなので、ディストピアでそれほど間違ってない気もする。
34. 匿名処理班
※23
社会構造と民度がまともな国なら存在してるだけで犯罪抑止の効果が機能するから暴力が行使されることも少ない
福祉や教育の整備もせず暴力で抑え込もうとするのはただの暴力国家
35. 匿名処理班
※9
基本的に国家権力は暴力によって成り立っていますけど、民主国家ではそこに厳密なルールがあって、違反した者はたとえ権力者でも市民から制裁を受けるっていうシビリアン・コントロールがあります。
メキシコの場合、それが消滅していて金と銃さえあれば何でもいいっていう。もうギャングと政府の区別がつかなくなって、どっちがより暴力的になれるかという末期症状。
これをどう正常化するのか、ちょっと想像がつかないです。
36.
37.
38. 匿名処理班
>>7
学生失踪事件のwikiを見たら犯人「市長」だからね…流石にロシアでも同じ事をしたら政治家生命に関わると思うけど、それ以前にロシアだったら事故を装って葬りそう。
39.
40.
41.
42. 匿名処理班
メキシコで納得した
43.
44.
45.
46.
47.
48. 匿名処理班
>>18
実際にそうやってアメリカがコロンビアマフィアを制圧した結果が、メキシコマフィアの勢力拡大と現代メキシコの惨状なんだよね。
アメリカ社会のシャブ漬け状態をなんとかしない限りは、イタチごっこになるだけだと思う。
49. 匿名処理班
国家として破綻しとるやないかい
50. 匿名処理班
とりあえずアメリカをなんとかしないと
どうにもならんな
51. 匿名処理班
親ガチャとは異次元の理不尽さ
私は貧乏育ちだけど、日本に生まれただけでラッキーなんだなと感じる
52. 匿名処理班
1.被害者は学生ではあるが
貧困層でゲバラ崇拝してる学校の
毎年バスジャックして抗議活動していた
2.襲撃時、被害者が携帯電話で救急車呼んだり
家族やマスコミに電話したりでバレて大事になる
3.事件後に市長が首謀者とされ失踪
状況証拠だけで夫人共々逮捕される
最近になって当時の当時の検察長官が逮捕されたけど
諸悪の根源が何だったのかわからないんよな
53. 匿名処理班
>>18
だからトランプが大統領の時に
メキシコ侵攻を計画してたよ
54. 匿名処理班
法が暴力の国。強い者が正義。お金沢山操作出来る者が支配する国。
55. 匿名処理班
>>23
暴力装置ねぇ‥
56. 匿名処理班
ようするにその記事の信憑性が上がった訳ね、
ど真ん中ぶち抜いてたから、暗殺されたんだろうなぁ。