
この映像は投稿からわずか4日で700万回も再生され、コメント欄には本物かどうか問い合わせる質問が相次いだ。あまりにも出来すぎた映像ゆえに、なんだか映画の撮影のようにも見えるのだ。
海外のファクトチェックサイト『Snopes』によれば、どうやら本物であるようだ。ただしジェットパックの人物は海兵隊ではないという。
イギリス海兵隊の協力によって撮影された搭乗訓練映像
映像では、両腕にジェットのようなものを装着した男性が、ゴムボートから戦艦らしき船に飛び移っている。コメディアン(ジョシュ・ウルフ氏)が投稿したと紹介したが、元々この映像は、2022年1月6日に海外掲示板Redditに投稿されたものだ。
さらにその大本のオリジナルは2021年5月1日にグラビティ・インダストリーズ社がYouTubeで公開したものだ。同社はこれを「ジェットスーツ」と呼んでいる。
まるで映画のワンシーンような映像は、イギリス海兵隊の協力によって撮影されたもの。戦艦のようなイカつい船は、リバー型哨戒艦「HMSテイマー」だ。
YOUTUBEの投稿コメントには「英国海兵隊のおかげで、グラビティ・ジェット・スーツの能力をテストする演習が大成功に終わりました」と書かれている。
Royal Marines Jet Suit Boarding Ex
従来、海上を航行する船に乗り込むには、高速ボートで密かに接近してフック付きのハシゴを引っ掛けるか、ヘリコプターからロープを垂らして飛び移るしかなかった。海上でももっとも難易度の高い作戦だ。
しかしジェットスーツを使えば、ボートから一気にターゲットの船に飛び乗ることができる。一度乗ってしまえばシメたもの。船の上からハシゴを垂らして、仲間の到着を待てばいい。
またジェットは簡単に手放せるので、すぐに武器に持ち替えることができる。
まだ実験的な装置だが、「標的の船に素早くアクセスし、瞬時に武器に持ち替えられるのみならず、標的内の移動や脱出にも利用できる」と、グラビティ・インダストリーズ社はプレスリリースで説明する。
ただしジェットスーツを着た男性は海兵隊ではない
なおBusiness Insiderによると、ジェットスーツの男性はイギリス海兵隊ではなく、グラビティ・インダストリーズのオペレーターであるようだ。だがこのような撮影に協力しているのだから、海兵隊がジェットスーツに興味津々なのは間違いない。
また海兵隊だけでなく、イギリスの救助隊もジェットスーツに興味を示しているようだ。
山で事故が起きれば現場にはそう簡単には辿り着けないが、ジェットスーツならば遭難者のもとへあっという間に飛んでいける。
なにしろ最大飛行速度は時速136キロ以上。この記録は、2019年にグラビティ・インダストリーズ社の創立者が自ら挑戦し、ギネス世界記録に認定されたものだ。
こちらのグラビティ・インダストリーズ社の公式YouTubeチャンネルには、現在テスト中の製品がたくさん紹介されている。
この映像を見て、映画『スター・ウォーズ』に登場するジャンゴやボバ・フェットなど、映画で使われるジェットパックを思い出した人も多いだろう。
ジェットパックは、「マイノリティ・リポート」、「ロケットマン」、「ジングル・オール・ザ・ウェイ」等にも登場している。
マイノリティ・リポート
結論を言おう。「ジェットパックで軍船に搭乗訓練をする映像」は実際に存在した。だが、実際にジェットパックで飛んでいるのは、グラビティ・インダストリーズ社のオペレーターであり、海兵隊は撮影協力のみということだ。
Is the Video of 'Marines Perform Boarding Exercises with Jetpacks' Real? | Snopes.com / written by hiroching / edited by / parumo
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コメント
1. 匿名処理班
昨年公開されて話題になってたよね
2. 匿名処理班
ロス五輪の開会式にロケットマンが舞い降りて三十余年
あまり劇的な進歩がないように見えるのは、思うほど
使い道がないからだろうか?
3. 匿名処理班
何を今更 ロス五輪の開会式のイベントは何だったのか
4. 匿名処理班
たのしそーーーー!
5. 匿名処理班
運動音痴でも使えますか?
6. 匿名処理班
ネックは燃費だろうけど
企業開発ってことは実用に足るレベルに達したってことか
7. 匿名処理班
手のひらから、ビームが出そう
8. 匿名処理班
最近のSF戦記物だと、「兵士を飛ばすと、ただの的になる」というのが多い。
9. 匿名処理班
やっぱり安全性かなぁ トラブった時に対処できる時間がある高度を飛んで無いだろうし
10. 匿名処理班
最後の着陸シーンは完全に船が止まってるから航行中の戦艦を後で上書きしたんだろ。
11. 匿名処理班
手の力が要りそうだな。
12. 匿名処理班
かっこいい 映画の中の世界みたい
13. 匿名処理班
これさ、見た目ほど楽ちんではないよな。2つの机の間で、両手をついて体を支える、その状態をずっと続けなきゃならんわけだから。
14. 匿名処理班
音の問題があるから隠密行動には向かないだろうなぁ。
15. 匿名処理班
※8
戦場では使えなさそうだね。大きな音も出すし。
でもレスキュー用としては将来有望そう。
ヘリを呼ぶのは時間がかかるし、山や海でレスキュー隊がパッと見渡して「ここだ!」と。
16. 匿名処理班
>>3
あれとコレではかかる費用が違うからな
17. 匿名処理班
>>10
現在イギリス海軍には戦艦は存在しませんよ。
18. 匿名処理班
>>8
多分、海賊対策用じゃないかなぁ
19. 匿名処理班
グレートブースターかな?
20. 匿名処理班
※16
嘘をつくんじゃない
どこにも費用のことなど書いてないがな
妄想かよ
21. 匿名処理班
CoDで見た
22. 匿名処理班
上陸地点の設定に幅が出るのは大きいような
動画では小舟→大型船のギャップ無視だけれど、フロッグマンがそのままジェットマンに移行して崖上到達する将来もあるんかな
山岳レスキューデモや医療品搬送演習の動画見てて、山岳での建材・物資輸送のジップライン設営で谷越えや峰から峰へなどロープ渡すのいけそうねと思った。
23. 匿名処理班
※13
背中にメインのジェットパックがあるよ。
※5
マジレスすっと無理じゃないかなあ。
移動手段としてもかなり危険だしね。
想定されている使用例
ttps://youtu.be/gtvCnZqZnxc
24. 匿名処理班
腕力は少なくとも吊り輪で反動つけずに気を付けの姿勢に持っていく程度は要りそうだし
制御誤ったら錐揉みして下に叩きつけられそう
25. 匿名処理班
別のニュースで、英国の山岳救助隊が山頂まで30分かかるのをこれを使って3分で到着した映像を見たな。
飛んで谷を飛び越えて山頂までまっすぐ行く姿に思わず声が出たよ。
ようやく21世紀に生きてる感じを味わったw
26. 匿名処理班
>「兵士を飛ばすと、ただの的になる」
人間型のロボットに使用させるなら実戦投入も現実的なのではないか?
飛行装置を一体化したロボットにしなくてもいいからメリットはあるよね。
27. 匿名処理班
海に落ちた瞬間に沈んで死にそう
28. 匿名処理班
>>20
お前こそ何をいってるんだ
1985年のロサンゼルスオリンピック時の空中浮遊と2021年の空中浮遊の金額はググれば出てくることだぞ
嘘とはなんだ、何が嘘なのか説明しろ
29. 匿名処理班
戦場やレスキューに使うには
両手がふさがってる
のがネックかも
捜索なら無人ドローンでも可能だし
人員の移動ならヘリでも出来る
人間がジェットスーツを使って現場へ
行くことの意義を見出さないと
普及は難しいと思う
30. 匿名処理班
軍事的にどういう場面で使うのか? ジェームズ・ボンドなら分かるが
31. 匿名処理班
84年のロサンゼルスオリンピックで見た
32. 匿名処理班
ガンダムでジオン兵がよくやってるやつじゃん、ラル隊とか
33. 匿名処理班
※26
メリットは、地形に影響されずに行動できる。
デメリットは、空中は遮蔽物が無いため速度が出ないと撃たれやすい、隠れることができない、地上に降りた際に飛行用装備はデットウエイトになる。
確かにロボット兵みたいなものを想定すると有用と思うが、現行のドローンを発展していった方が兵器としては優れているかも知れない。
34. 匿名処理班
ボストンダイナミクスやテスラのロボットにこれ装備させて戦場で使うみらい