
グロスターシャー州にて開催された骨董品査定イベントに出品されたその本は、1698年に物理・天文学者のクリスティアン・ホイヘンスが書いたもので、当時の人々が地球外生命体の存在をどのように認識していたのかがわかる興味深い内容となっている。
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17世紀の人々の宇宙のとらえ方
17世紀(日本では江戸時代)、物事はもっと単純に考えられていた。人類は、宇宙での自分の居場所がわかっていると思っていた。それは宇宙の中心にあり、まわりを太陽、月、そのほかに6つの惑星が周回していて、巨大な雪の球体のようなもの全体を包み込む、大きなスノードームのようなものだとしていた。
科学の革命が起こると、あらゆることが大混乱に陥った。太陽系の中心にあるはずの地球の位置は、太陽にとって替わられ、さらに、宇宙は実際には、私たちが考えている小さな惑星の集まりよりももっとずっと大きいと言い出す者が現れた。
突然、もう地球はすべての創造の始まりではなく、無限の星の集まりの中の小さなひとつの岩の塊にすぎなくなった。
これは、興味深い難題が浮かび上がってきたといえる。もし、神を信じているなら(とくに1600年代のヨーロッパならば、ほとんどの人が信じていただろう)、この宇宙はいったいどういうことになるのか、ということを考えなくてはならないということだ。

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なぜ神は地球の他に惑星を創造したのか?
1698年に、オランダの数学者で物理学者、天文学者でもあったクリスチャン・ホイヘンスによって書かれたこの希少本『発見された天体:もしくは惑星における世界の住人、植物、生産物に関する推論』(The Celestial World Discover’d: Or, Conjectures Concerning the Inhabitants, Plants and Productions of the Worlds in the Planets)は、この点から始まっている。彼はこう問うている。「どうして神は、地球から眺めるためだけに他の惑星を創造したのか?」と。
きっとなにか理由があるいに違いない。その目的は生命を維持するために違いない、と彼は推論した。

地球外生命体の姿まで描こうとした17世紀の物理・天文学者
この本は、地球外生物がどんな姿をしているのか、彼らがどのように時を過ごし、どんな音楽を聴いているのかまで、描こうとしている。イギリスの骨董品評価イベントで、この書籍を発見した書籍鑑定家のジム・スペンサー氏はこう言う。
ほとんど滑稽なように思えますが、科学的な理論に基づいたものです。このテーマについての私たちの考えが、324年前にさかのぼる人たちにどう映るかは誰にもわかりませんもっとも偉大な科学者のひとりは、宇宙人がどのような姿をしていたと考えていたのだろうか?
宇宙人には手足があったとしていて、「手のように、あらゆる用途にぴたりと対応できるよう設計されものを、どのように発明し、想像することができたのだろうか?」とホイヘンスは書いている。
宇宙人にゾウの鼻を与えてみようか? ゾウの鼻は確かに、どんなものでもつかみ、投げ、地面から小さなものを取り上げることができる。
しかし、これらは手が備えている見事な利便性には及ばない
彼らはまごうことなき足をもっている。その世界で飛ぶという技術を彼らが発見していない限り宇宙人には明らかに知性もあったという。ホイヘンスは、彼らが天文学者であり、熟練した航海士だと考えた。
「とくに、木星と土星は、航路を示してくれるたくさんの月があるので、航海に大変好都合だ」と考えていた。
「彼らは利益を得ることだけでなく、会話、愛情、ジョーク、観光など、社会生活から生じる喜びも楽しんでいる。私たちと同じように、音楽も楽しみ、楽器を奏でていたに違いない」と言うのだ。
「音楽も幾何学と同じで、不変でいつもずっと同じだ」と書いている。
「すべてのハーモニーは和音で構成され、和音は全世界で変わらぬ同じ尺度と割合によって固定されているからだ。宇宙人がハーモニーを楽しむのなら、彼らも楽器を発明していたことだろう」

木星人も土星人にも地球人と同じように悩んでいた
だが、ほかの惑星での生活は、すべてユートピアだという見方はできないと、彼は警告している。木星と土星の住人は、貧困や戦争などの不幸にも悩まされていたという。だが、貧困や戦争の恐怖のない、恒久的な平和の中で暮らすということは、人生を楽しく、有益なものにするといった文明が発達しないということになる。

スペンサーが、この世で見つかるとは思えないと評したこの初版本は、7月5日にイギリス、スタフォードシア州のハンソンズ図書館オークションに出品される。
指導価格は、2000〜3000ポンド(2500〜3750ドル)からなので、入札希望者は今から貯金をしておいたほうがいいだろう。
この本をざっと読んでみると、どこか不思議な感覚に陥ります。書いてあることは未来やSFのようなことなのに、作者は過去から私たちに語りかけてきているからです」スペンサー氏は言っている。References:Aliens in the 1600s! Ancient book discovered in Cotswolds reveals belief in extra-terrestrial beings - Hansons Auctioneers / Rare Book From 1698 Reveals Belief In Extraterrestrial Life On Saturn And Jupiter | IFLScience / written by konohazuku / edited by / parumo
宇宙だけでなく、私たちの住む惑星も探索していることがわかります。例えば、彼は地球上の動物よりも大きな生き物がいる可能性を排除していますが、これは恐竜のことがわかる前に書かれたものです。
このテーマには、とてもそそられます。天を見上げながら、宇宙はまだまだ謎であることに気づきつつ、彼らが知らなかったことにクスリとさせられるからです
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コメント
1. 匿名処理班
物理の巨匠ホイヘンス先生が、ついにSFデビュー
2. 匿名処理班
>「だが、貧困や戦争の恐怖のない、恒久的な平和の中で暮らすということは、人生を楽しく、有益なものにするといった文明が発達しないということになる。」
???・・・なんでそんな発想になるんだ?
平和な状態じゃないと娯楽を享受する余裕のある環境にならないし、文化も育たないぞ?
この人は戦争や貧困が人生を楽しくするとでも思ってるんだろうか。
3. 匿名処理班
いるぞ!
4. 匿名処理班
これは面白そう
翻訳して出版してくれたら読んでみたい
5. 匿名処理班
まだいないと決まったわけじゃない
見た人がいないだけ
6. 匿名処理班
>>2
平和、の概念が違う。
我々は戦争と戦争の合間の平和、遠くの国で戦争があるなかの平和を享受しているだけ。
殺人もなく、恐怖を知らず、貧困もなく、戦争など想像もできない。天国のような世界に住んでいたら、文化など発生するだろうか、という話だよ。
7. 匿名処理班
>>2
文明の発達、進化には競争や競合が必要という考え方なのかな
これが描かれたのは、まさに今までの常識や価値観が激変して新しい風が吹き込んできた時代だし
まぁ、そうだとしても飛躍しすぎというか言葉足らずだわな
8. 匿名処理班
※6
全く何の動乱も無かったら単なる停滞・退屈なだけだしな
それは楽しいことじゃなくてただの当たり前・価値を見出すほどの無い状態になる
というか実際に平和すぎて戦争も天災も数十年以上起こらなかったせいで「何も無さ過ぎる田舎」状態で文化も産業も衰退し自然に人口が流出して滅んだ古代の都市とか地球にも実在してるわけだから
それが一惑星の文明レベルだったら…だよね
9. 匿名処理班
>>2
欧米なんかだと優れた文化が存在する国は過去に必ず内乱が起きているという定説みたいなのがある
という書き込みをどこかで見た気がする
10. 匿名処理班
最近だけど1980年代から1990年代頃までは
大気が土星と木星にあるから
空中を浮遊する生物がいるのでは?
なんて理論もあったんだよね
その後この説は観測結果から否定されたけどね
11. 匿名処理班
人間はお金があると働かないんだ。 クラファンで持ち逃げするやつの多いことよ。
音楽は世界共通っていうけど、和音はいいとしてリズムも4拍子に収斂するのかな? 尻尾をもつ知的生命体がいたら3拍子が主流になったりしそう。。。
12. 匿名処理班
1700年代は17世紀ではなく18世紀では?(日本語のややこしいところ)
13. じょん・すみす
カール・セーガン氏達が考えてたんだが、もしも木星に生物が居たら
なんて話をやってましてね。
考えられる生物は3種類、木星大気内で沈む生物、浮き続けられる生物、そして
木星大気内で移動できる狩猟系生物。
14. 匿名処理班
私達も地球という星に住む宇宙人の一種なんですよねぇ
しかもとんでもなく凶悪で、同じ人種で争いあってる未開の原始文明なんです
だから銀河連邦から保護区扱いされてます
15. 匿名処理班
>>5
ガスの中を飛ぶ巨大な生き物を想像しただけですげえこわい。海に近い恐怖を覚えるわ。