メインコンテンツにスキップ

ドラマチックな火星から見える日食。衛星フォボスが太陽を横切る鮮明な映像

記事の本文にスキップ

9件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 「日食」は地球だけで見られる現象ではない。昨年から活躍中の火星探査車「パーシビアランス」は、火星の第1衛星「フォボス」が太陽を横切る姿を観察した。

 フォボスのジャガイモのようなゴツゴツと歪んだシルエットが太陽を背にくっきりと浮かび上がっている。

NASA’s Perseverance Rover Sees Solar Eclipse on Mars

史上最高に鮮明な火星の日食の映像

 2020年7月に打ち上げられ2021年2月19日から火星での探査を開始した「パーサビアランス」は早速良い仕事をしてくれたようだ。

 2022年4月2日、火星の地表から衛星「フォボス」による40秒間の日食を観測し、その映像が地球に送られた。

 地球の日食よりもはるかに短い時間だが、それもそのはず。フォボスの大きさは月の約157分の1程度だ。

この画像を大きなサイズで見る

 火星での日食は以前にも観察されたことがあるが、今回の観測では、パーシビランスに搭載されたマルチスペクトルの立体画像機器「Mastcam-Z」の高性能カメラで、高フレームレートによる史上最高にパワフルな撮影に成功したという。

 Mastcam-Zカメラは、サングラスのようなフィルターで強烈な日光を抑えつつ、歪なフォボスの形状や太陽の黒点までくっきりと捉えている。

 「上手くいくだろうとは思っていましたが、これほどとは」と、Mastcam-Zの担当者の1人、レイチェル・ハウソン氏は声明で語っている。

この画像を大きなサイズで見る

ファボスは数千万年後、火星に衝突する可能性

 火星には衛星が2つある。第1衛星が「ファボス」で第2衛星が「ダイモス」だ。ダイモスはファボスよりも更にちいさく、どちらもゴジャガイモのようないびつな形をしている。

 惑星は重力で丸くなるためにある程度の質量が必要だが、この2つは小さすぎるため、ゴツゴツしていて、クレーターがたくさんある。

 この2つがどのようにして火星の衛星になったのかはまだはっきりしていないが、火星の重力に引き寄せられ、軌道に乗った小惑星か、あるいは大規模な衝突の名残と言われている。

 そんなフォボスは死の螺旋コースに乗っており、数千万年後には火星に衝突するか、粉々に砕けて火星に降り注ぐ可能性が高いという。

 およそ20年にわたる火星の日食の観察からは、ゆっくりと崩壊するフォボスの軌道が解明されてきた。

この画像を大きなサイズで見る
火星の衛星フォボス image credit:NASA/JPL/University of Arizona

 フォボスの重力で生じる潮汐(ちょうせき)力により、火星内部の地殻やマントルが引っ張られることで、火星の岩石は変形している。またこうした力は、フォボスの軌道をも変化させる。

 こうした変化に基づき、火星内部の柔らかさや、地殻やマントルに含まれる物質について推測することができる。

 日食の観測することで、フォボスの軌道が変化する様子の確認や、フォボスが終焉を迎える時期のより正確な把握が進むことになる。

火星の構造や生命体の痕跡を知る手がかり

 パーセバランスの任務は、火星に古代の生命の痕跡を探し、赤い惑星の生物の証拠を保持しているかもしれない何十ものサンプルを収集することだ。

 NASAとNASAとESA(欧州宇宙機関)は今後10年のミッションで、それらを地球に持ち帰る予定だ。

 なお火星にいるとはいえ、パーシビアランスは孤独ではない。仲間として勇敢な小型のヘリコプター「インジェニュイティ」が同行している。インジェニュイティは予定されていた飛行をすでに5倍も上回り、今日まで25回も火星の空を飛んだそうだ。

References:NASA’s Perseverance Rover Captures Video of Solar Eclipse on Mars – NASA Mars Exploration / written by hiroching / edited by / parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 9件

コメントを書く

  1. 凸凹の衛星だと蝕って星の影なんだなってのがわかりやすいや

    • +4
  2. こんな分かりやすい岩石の影が平然と太陽の前を横切っていくなんて
    丸い天体しか見えない地球の感覚からしたら逆に不思議だわ

    • +4
  3. 人類が火星圏で生活するようになったら、フォボスは前線基地として利用されるようになる
    段々と落下してるので、上昇させて安全圏まで引き上げるとは思うけど

    • +1
  4. 地球から見た太陽と月が両方とも丸くてほとんど同じ直径に見えるのって実はすごく大事な意味があるんじゃないかという気がするよ

    地球の月がフォボスみたいに肉眼でじゃがいもに見えてたら、ギリシャの天文学とか数学とかで円運動や球体もそれほど特別なものと考えられなくて天文学の発展の仕方が変わってたんじゃないだろうか

    月が丸く見えるってのはもっと古く知的生命体の進化とかにも影響してたりして

    • +3
  5. そもそも、なんで火星から太陽を撮影できる様なフィルターを
    火星探査機に積んでいたのか、その辺が気になるな。
    個人的な経験からすると、日食レベルならND400って
    フィルターが有ればなんとかなる、とは思うんだが。
    ただね、眼視観測専用な”サングラス”が、使用中に割れた事も
    かつて1回ありましてね、幸いな事に”目玉焼き”にはならなかったんですが。

    • -1

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

自然・廃墟・宇宙

自然・廃墟・宇宙についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

動画

動画についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。