
1950年代にユーリー-ミラーが、原始生命の進化に関する最初の実験的検証を行ったところ、原始大気の成分とされるメタン、アンモニア、水素、水の混合気体に火花放電を行ったところ、生物の体を作るたんぱく質の構成要素であるアミノ酸が生じたのだ。
生命の誕生と進化が起きた正確な時期については、さまざまな議論が交わされているが、新たな研究によると、地球上で知られている最古の化石を調べた結果、これまで考えられていた以上に生命の誕生は早かった可能性があるようだ。
初期の地球の過酷な環境の中にあっても生命が誕生できるのなら、宇宙に生命体が存在する可能性も高くなるということだ。
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地球形成から3億年で生命が誕生した可能性
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究グループによる今回の研究は、カナダ、ケベック州で採取された拳大の岩石に基づいたものだ。岩石は37億5000万年〜42億8000万年前のものとされており、その内部には多種多様な微生物の化石らしきものが閉じ込められていた。
岩石の微化石が発表されたのは、2017年のこと。それは繊維状や管状の微細な構造で、研究グループの推測によれば、大昔のバクテリアによって残されたものだという。
もし本当なら、地球上に生命が誕生した時期は、これまでの想定より3億年も早かったことになる。だが当時、誰もが生命の起源の痕跡であると納得したわけではなかった。

ところが、その後の詳しい調査によって、岩石の中でさらに大きく複雑な構造が発見された。
「茎のような構造」と、その片側に並行する1センチもの「枝の跡」だ。ほかにも管状・繊維状の構造に沿って、何百もの「歪んだ球(楕円)」まで見つかっている。
「地球が形成されて3億年後には、生命が誕生した可能性があるということです。地質学的にはあっという間、太陽が銀河を一周するだけの時間です」と、研究グループの中心人物ドミニク・パピノー氏は語る。
Diverse life forms may have evolved earlier than previously thought
ここで考えるべき重要なポイントは、こうした構造が生命活動ではなく、化学反応によって生じた可能性だ。
しかし研究グループによれば、より小さな構造が化学反応によるものである可能性はあるが、新たに見つかった「木の幹」のような構造は、ほぼ間違いないく生物が起源であるという。
化学反応によるそのような構造が確認された前例がないからだ。
こうした構造のほか、「鉱物化した化学物質」も見つかっている。そしてこれもまた、代謝による副産物と考えられている。
この化学物質は、鉄と硫黄を利用したバクテリアのエネルギー抽出プロセスによるものと一致する。しかも解釈次第では、ある種の光合成の痕跡とすらみなせるという。
こうした発見が正しければ、形成から3億年後の初期の地球では、すでにさまざまな微生物が存在していたということになる。
なお今回の岩石は、ラマン顕微鏡による光学的な観察(光の散乱で、化学的構造が調査された)と、スーパーコンピューターで作成された岩石の断面図に基づいて分析された。
岩石は、2008年にパピノー氏がケベック州「ヌブアギトゥク表成岩帯」で採取したものだ。ここはかつて海底の一部だったところで、地球でも最古の堆積岩がある。
問題の岩石に含まれる希少元素濃度を測定したところ、それが周辺にある古代の火山岩と一致していることが判明。確かに古いものであることが確認されている。

地球の他にも宇宙には生命体が存在する可能性
これまで、世界最古の生物の化石とされてきたのは、西オーストラリアで発見された34億6000万年前のものだ。しかし、これが本当に生物の化石なのかどうかについて、今回の岩石構造と同じく議論がある。おそらく今回の発見が示唆するもっとも興味深いことは、この宇宙に生命がたくさんいるかもしれないという可能性だ。
もしも地球最初期の過酷な環境であってすらも生命が誕生できるのなら、宇宙において生命は想像以上に一般的な存在なのかもしれない。
今回の発見は、居住可能な条件を満たした惑星ならば、生命が組織化されたレベルに進化するまでほんの数億年しかかからないことを示している。
研究グループは以下の結論を出した。
液体の水が火山岩と相互作用する場所ならば、こうした微生物生態系はほかの惑星にも存在しうる。この研究は、『Science Advances』(2022年4月13日付)に掲載された。
ヌブアギトゥク表成岩帯で採取された最古の微化石とプロブレマチカ化石(生物起源か定かではない化石)は、地球外生命が従来の想定より広い範囲に存在する可能性を示している
References: Complex Life May Have Started on Earth Much Earlier Than We Thought / written by hiroching / edited by / parumo
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コメント
1. 匿名処理班
3億年は誤差の範囲では?
タイドプール→深海チヌニー→火山→最震度地下
さてどこでも発生しそうな気もする、その度に正しいと教えてもらったから
2. 匿名処理班
今では生物の源となる有機物が新星爆発などにより生み出されたと考えられているので
原始地球より更に過酷な環境が生命の揺り篭という事に
3. 匿名処理班
>化学反応によるそのような構造が確認された前例がないからだ。
これは酷い
悪魔の証明が根拠かw
4. 匿名処理班
結晶の中のウイルスを探すしかない!
5. 匿名処理班
原始地球に降り立ち、事故で海に落ち死んだ
地球の生命は全て私が元になった
6. 匿名処理班
※5
成仏しておくれ💛
しかし、タバコモザイクウィルスは結晶になっちゃったりするけど、今回のモノよりは複雑だろうと思われるわけで、今回の発見された主を考えれば、より単純な構造でも生命は構成できそうですね。どれくらい簡単な化学物質の構成物で生命となるのでしょうね。
ま、生命の定義もイマイチわかってないのですが。
7. 匿名処理班
>>5
プロメテウスかな?
あれは事故じゃなくて意図的だったけど
8. 匿名処理班
※5
へーすげーじゃん。
それもまた植物人間の
俺の脳内の創成物か。
9. 匿名処理班
>>7
なんかそんなんだったら面白いなぁと思って
10.
11. 匿名処理班
>>1
とてもファンタジックな発想だけど
タイドプール産のやわらかに増殖する物質と
火山や地底の高圧高温環境と
闇の深海それぞれを起源にする全く別の仕組みの生命たちの支配バトルとか想像したら
すごいわくわくしたから全部ありだと思う
12. 匿名処理班
最近の研究だと後期銃爆撃期(月がボコボコになった原因)とかいう時期が来るまでの原始地球は意外と平穏だったんじゃないかって説を聞いた事がある。
13. じょん・すみす
ユーレイ・ミラーの実験は確かに興味深いんだが、そこで使われてた混合ガスが
木星の大気を模した物で、後にわかった事だがその当時の地球の原始大気とは
まったく違う物であったんだな。
で、当時の地球にあったと思われる原始大気を使って同じ実験をしてみたんだが、アミノ酸は
出来なかった様子。
14. 匿名処理班
>>1
地球形成後3億年後と6億年後の差だよ?
43歳と46歳の差は誤差かもしれんが、3歳児と6歳児の差は大違いだ。
15. 匿名処理班
※3
悪魔の証明じゃないよ
対立仮説のどちらがより支持できるかを現状で手に入るデータをもとに判断しただけでしょ
基本的に科学の議論に悪魔の証明はでてこないよ