メインコンテンツにスキップ

中世の放浪者の顔を復元。スコットランドのトイレで見つかった遺骨を分析

記事の本文にスキップ

22件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 中世スコットランドを移動しながら人生を過ごし、おそらくは非業の死を遂げたと思われる男の顔が復元された。

 彼の遺体は、ローマ時代のトイレ遺構の下に何世紀も放置されたままになっていた。通常なら遺体は埋葬地に丁寧に埋葬される。

 だがトイレで発見されたこれらの遺体はそうではない。悲惨な運命をたどった放浪者のものだったのだ。

無造作に放置されていた「トイレの遺体」

 スコットランド、エジンバラ近くクラモンドにローマ時代の要塞がある。そのトイレの下から発見された成人9体、子ども5体の遺骨を考古学者が詳しく調べた。

 生物考古学技術と同位体データを使って分析した結果、彼らの人生の様子が見えてきた。

 彼らは、文字通り”トイレの遺体”だった。

 というのは、彼らの遺体は湿地の低酸素環境で埋葬されていたのではなく、イギリス人が”ボグ”と呼ぶトイレに捨てられるように置かれていたからだ。

 ここは、何世紀も前にスコットランドを占領していたローマの兵士が使っていた場所だった。

この画像を大きなサイズで見る
image credit:City of Edinburgh Council 2014

当初は黒死病の犠牲者と考えられていた

 初めて発見されたのは1975年のこと。最初は、これら遺体は14世紀頃のもので、黒死病(腺ペスト)の犠牲者だったのではないかと考えられた。

 しかし、放射性炭素年代測定によって、実際はそれより800年以上古い6世紀頃の遺体であることが判明した。

 この時代は、英国の歴史の中でも激動の時代だったが、実はあまりよくわかっていない。真実は、骨を構成している物質の中に隠されていた。

この画像を大きなサイズで見る
image credit:University of Aberdeen

中世スコットランドの放浪者たち

Archaeological and Anthropological Sciences』誌に発表された論文によると、遺体の歯を同位体分析したところ、彼らの生活の様子が驚くほど詳細にわかり、食生活や出身地などについての詳しい洞察が得られた。

アバディーン大学の考古学教授、ケイト・ブリットンは言う。

生きているときに摂取した食べ物や水は体に特定の痕跡を残し、どこでそれらを入手したのかをたどることができるため、食事や移動パターンを証明することができます

とくに3歳から6歳の間に形成された歯のエネメル質は、その人が育った場所に関する化学的情報を含む小さなタイムカプセルのようなものなのです

 6人の歯には、地元クラモンドで生まれ育ったことを示す化学的特徴があった。

 しかし、ひとりの女性の骨の分析からは、西海岸出身者がいることがわかり、ある男性は、南ハイランドかローモンド湖で育ったようだ。

この画像を大きなサイズで見る
南ハイランドかローモンド湖で育った放浪者男性の遺体から復元した顔 / image credit:University of Aberdeen

 この結果は、中世初期のスコットランドでの人の移動が、これまで考えられていたよりもずっと一般的に行われていたことを示している。

この時代の移動は、現在ほど道路が整備されていませんでしたし、政治的な分断もあったため、限定的だったと思われがちです。

クラモンドの墓をはじめ、スコットランドの中世初期のほかの埋葬地を分析した結果、生まれ育った場所から遠く離れた地に埋葬されることは、珍しいことではなかったことが明らかになりつつあります。

これまでの研究は、ここに埋葬された人は、社会的身分の高い者、貴族だったとされてきましたが、新たな研究から言えることは、被葬者は国のあちこちに住んでいた、人脈の広い人たちだったということです

非業の死を遂げたトイレの遺体

 こうした移動の結果、新たな文化が発展し、遺伝子が交配し、果ては血なまぐさい社会的衝突が起こった。

 こうした”トイレの遺体”のいくつかは、暴力的な死を迎えたと思われる痕跡があった。ローマのトイレに投げ捨てられていたひとりの女性と子どもは、死ぬ前に頭を激しく殴打されていたという。

 社会的地位があったとしても、こうした異色の放浪者集団の中には、非常に陰惨な運命をたどった者もいたと推測される。

References:The face of a medieval wanderer | News | The University of Aberdeen / written by konohazuku / edited by / parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 22件

コメントを書く

    1. >>2
      それも目立つキャラじゃなくてモブの方

      • 評価
  1. 大昔は
    証拠を分析する科学力が無かったので
    殺人でも現行犯じゃないと
    犯人の特定は出来なかったし
    警察組織が弱体だから
    上手く立ち回ればどんな悪い事をしても
    捕まる心配はなかった

    • -4
    1. ※3
      「だから何なの?」って、いつも言われてませんか。

      • +4
  2. 観客A「大久保?」
    観客B「大久保!」
    大久保「俺っ?!」

    • -3
  3. トイレに遺体を捨てるとか酷くね?
    せめて土に埋めてあげなよ。

    • +5
  4. ダクソの最初の拠点でヘタレてる青いやつっぽいw

    • 評価
      1. ※21
        あはは 確かに。最近、黄斑円孔の手術をしますた

        • -1
  5. オープンワールドのゲームで
    宿のバーに座って酒飲んでそうw

    • +1
  6. Bogはそのまま沼地か湿地と訳してよいのでは。
    Bog→トイレはスラングなので論文で使う言葉ではなさそう。

    • +2
  7. 申し訳ない。やはりトイレであってるようです。
    論文タイトルに、「from a Roman Latrine」ローマのトイレから~とありますね。

    • +2
  8. いかにトイレでも人の腐敗臭は別物だと思うが・・・
    戦争経験者の話だと、何百メートル離れていても気づくぐらいにすさまじい臭いを放つらしい・・

    • +2
  9. トイレかぁ
    要するに汚物に沈められたって理解で良いのかな
    証拠隠滅的に

    • 評価
  10. ローマ支配時代(~紀元2世紀)のトイレが400年後の6世紀にもトイレだったかどうかは分らんけどね。

    • +1
  11. こんな古い歯や骨からでも色々な情報を得られるなんて凄いな

    • +1

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

歴史・文化

歴史・文化についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

人類

人類についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。