
懸命に世話をする女性のことを母親と思うようになったヒナは、女性と特別な絆を育んだ。ヒナは、女性の長い髪を巣の代わりにして、髪の中で寛ぐことが大好きだったという。
成長したヒナは、やがて野生へと放されたが、女性にとってヒナと出会った経験はかけがえのないものになったようだ。
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Fledgling Teaser
雷雨の後、野鳥のヒナを保護した女性
ハンナ・ボーン・テイラーさんは、2013年に夫ロビンさんの仕事により、ロンドンからガーナの首都アクラへと移住した。ロンドンで写真家兼コピーライターとして働いていたハンナさんは、当時就労ビザを所持しておらず、周りに知り合いもいなかったため、夫が仕事に出るかたわら孤独と闘う日々を過ごした。
しかし、次第に自然に目を向けるようになり、自然の中で過ごす時間が増えた。

pixabay
2018年9月、激しい雷雨の後で散歩に出たハンナさんは、生後1か月にもなっていない様子のカエデチョウのヒナを発見した。小指サイズほどの小さなヒナは嵐で巣から吹き飛ばされて地面に落ち、親から見放されたようで、ぶるぶる震えて目を閉じていた。
このままでは生き延びることはできないだろう。そう思ったハンナさんは、すぐにヒナを保護。ティータオルを敷いた段ボール箱の中に入れて、自宅で世話をすることにした。
ヒナと特別な絆を育んだ3か月間
早速、ハンナさんは野鳥の世話の仕方を調べ、専門家に尋ねてみた。すると、野鳥のヒナを自然に返すまで12週間かかることを知った。それから84日間にわたり、ハンナさんはヒナをかいがいしく世話し、ヒナもハンナさんを母親と慕うようになったようだ。
少し成長すると、ヒナはハンナさんの手から肩、そして頭へと飛び移り、その後ハンナさんの腰まで伸びた長い毛の中で休んだ。

image credit: youtube
髪の毛をまるで巣のように感じているのか、ヒナはいつもハンナさんの毛の中を居心地の良い巣のにして寛いでいたという。ヒナ鳥と、特別な絆を育むのにそう時間はかからなかった。小さなヒナは、故郷から遠く離れた慣れない国で暮らすハンナさんの孤独を癒す大きな存在になった。
The finch from Fledgling (with his pair, also part of the story)
ヒナとの出会いが人生を変えた
ヒナを発見してから約3か月後、ちょうどハンナさんは夫とともにイギリスにクリスマスの間帰省することになり、その前にヒナを野生に放すことを決意した。カエデチョウの群れのいる草原へヒナを連れて出向き、これまで3回放しているが成功しなかった。しかし4回目、ヒナは群れのいるところへ飛び立って行った。
年明けの1月、ガーナへ戻ってきたハンナさんの心を占めていたのは、放したヒナのことだった。
カエデチョウの群れを見かけると、つい自分が世話をしたヒナがいるのではないかと目で追うようになった。

pixabay
ある日、群れの中の1羽が枝に止まってハンナさんを見ていることに気付いた。あれがもしかしたらあの時のヒナではないかと思い、ハンナさんはヒナと別れた寂しさが涙となってこみ上げた。去年、ガーナでの暮らしを終えてイギリスに帰国したハンナさんは、地元オックスフォードシャー州の野鳥保護協会のメンバーとなった。
小さな生き物が自分の人生を大きく変えるきっかけになったことにとても感銘を受けたハンナさんは、ヒナとの出会いとその経験記録『Fledgling』を1冊の本にしており、4月に発売予定となっている。
written by Scarlet / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
カモが保護された話とは別の意味でハッピーエンドよね
2. 匿名処理班
鳴き交わしが上手い!
練習もしただろうけど母国語の関係かな
自分も文鳥と鳴き交わしやるけど、日本語の「ぴ」しか言えなくて、そしてタイミングがもっさりしてて申し訳ない、くやしい
3. 匿名処理班
去年、剪定してたら物凄く小さい巣を発見したんだけどなんの鳥かな。
間口が、マグカップくらいの大きさ。
剪定中、鳥がうるさく鳴いてたから何かあると思ったけど、巣は空っぽだった。
4. 匿名処理班
「ヒナ」じゃな〜い「ヒナたち」だ。いいね?
5. 匿名処理班
フンが髪についたら取れないぞ・・・・
白いのは急げばなんとかなるが、黒いやつ付いたら切るしかない。
6. 匿名処理班
一昨日は酷い雨だったんだ。昨日の朝なんとか雨が上がって出勤の為にいつもの道を通っていたんだけどコンクリートの道の真ん中にスズメの死骸があってスズメの身に何が起こったのか分からないけど悲しかったんだ。ヒナは優しい女性に助けてもらえて良かった😞