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メキシコ湾で19世紀に沈んだ捕鯨船を発見。アメリカの捕鯨産業の歴史が明らかに

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(著) (編集)

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 1836年、メキシコ湾に沈んだアメリカの捕鯨船「インダストリー号」の残骸が最近になって発見された。

 その木造帆船には、ネイティブ・アメリカンや、アフリカ系奴隷の子孫、白人など、さまざまな人種が乗組員として働いていた。

 この船は、19世紀のアメリカの捕鯨産業の、あまり知られていなかった歴史の1ページを開くことになるという。

19世紀に難破して海に沈んだ捕鯨船、インダストリー号

 1836年、捕鯨船「インダストリー号」は、メキシコ湾で嵐に遭遇。マストが折れ、船はあえなく海に沈没してしまった。それから207年たった今、その残骸がアメリカ海洋大気庁(NOAA)などによって発見された。

 水深1,830メートルの海底に船の残骸があることはすでに知られていたが、今年2月下旬、NOAAの調査船オケアノス・エクスプローラーは遠隔操作ビークルでその追跡調査を実施した。

 その結果、海底に沈んだその船は、インダストリー号だろうと結論づけられた。

 捕鯨に使われたインダストリー号は、全長19.5メートル、2本マストの木造帆船で、1815年マサチューセッツ州で建造された。その後約20年間、嵐で船が沈むまで、湾、大西洋、カリブ海を横断してクジラを追跡し続けていた。

 事故当時の記録によれば、船員は他の捕鯨船により全員救出され、鯨油もまた持ち出されたという。

 映像に映されているのは、海底に横たわる錆びついた錨などの残骸だけだ。船の木造部分はほとんど消えてしまっている。

The Lost Whaler: NOAA & Partners Discover Wreck of 207-Year-Old Whaling Ship

当時のアメリカの海運業における他民族の役割

 捕鯨船インダストリーの最後の航海の乗員名簿は海で失われたが、過去の船の記録によると乗組員の中には、白人、ネイティブ・アメリカン(アメリカ先住民)や、かつて奴隷だったアフリカ人の子孫がいたことが分かっている。

 沈没船の発見は、当時のアメリカの海運業においてネイティブ・アメリカンや、黒人の乗組員が果たした役割について重要な手がかりを与える可能性があると、ドン・グレイブス米商務省副長官は声明の中で述べている。

 マサチューセッツ州のニューベッドフォード捕鯨博物館によると、捕鯨船での生活は、長時間労働、過酷な肉体労働、害虫がはびこる粗悪な食事など、とても厳しいものだったという。

 1846年にJ・ロス・ブラウン氏による捕鯨船での生活を記した本『Echings of a Whaling Cruise』には、フォワードルと呼ばれる乗組員の宿舎についてこう書いている。

黒くて汚物でぬめりがあり、とても狭くてオーブンのように暑い。汚れた空気、煙、海桶、石鹸入れ、脂ぎったフライパン、汚染された肉などの複合物で満たされていた

 探検チームの研究員で、考古学会社SEARCHの副社長を務めているジェームズ・デルガド氏は、、インダストリー号の乗組員が他の捕鯨船に救助されたことは、黒人船員にとっては、ある意味幸福だったかもしれないと語る。

 「身分を証明するものがないまま岸に着いたら、地元の法律で投獄されていたかもしれない。そして、もし獄中で生活費を払えなければ、奴隷として売られていただろう」とデルガド氏は声明の中で述べている。

 NOAAは、歴史の手がかりとしてこの船の重要性を強調している。NOAA長官のリック・スピンラッド氏はこう語る。

1800年代初頭に芽吹いたアメリカの捕鯨産業において、有色人種の船員はいかにしてその地位を築いていったのか? 沈没船の発見は、それにまつわる物語を紐解く手がかりになります。

この発見は、アフリカ系アメリカ人やネイティブアメリカンが、差別や不公平に直面しながらも、捕鯨船の中ではいかに活躍していたかを反映しています

References:Wreck of 207-year-old whaling ship discovered in Gulf of Mexico / written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 12件

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  1. 船内は閉鎖空間。
    だからこそ論理的に公平を追求しないとたちまち立ち行かなくなる、とカリブ海賊の話で聞いたことがあるけど、奴隷は陸に上がっても法に縛られるから、虐待する船員を海にぶち込む、なんてことはできないのか。

    こんな醜悪な形で捕鯨を営んでいたくせに、「悔い改めてすっぱり止めたから自分は善、やめないおまえらは悪」とかホント単純な善悪観。

    • +10
    1. >>2
      それでも捕鯨なんてやらないに越したことはないし、その本質は悪なのでは?止めないと低い次元に停滞したままで進歩がまるでない。

      • -20
      1. ※5
        ご自身が高い次元に居ると勘違いしている中二病を先に治療されることをお勧めします

        • 評価
    2. ※2
      捕鯨自体を非難しているのは一部の過激な動物保護団体だけです
      日本が世界的に非難されていたのは南氷洋における調査捕鯨のやり方
      実質的に商業捕鯨だと指摘され、反論するデータを提出する機会も設けられたのに提出せず
      IWCを脱退した、これでは非難されても仕方ないと思いますよ

      • -12
  2. 石油に切り替わる前の燃料が鯨だったんだもんね
    資源確保が人命より最優先されてたのは今も昔も変わらない

    • +4
  3. 白人が捕鯨をしていたというショックを和らげるために「有色人種がこんなにも大勢捕鯨船で働いていました ! 」と訴えている気配がする。

    • +5
  4. 商業捕鯨ガーって非難してる人は、なぜ「調査捕鯨」という名の捕鯨を
    していたのかその経緯と、それを継続してた理由を知ってるんですか?

    • 評価
  5. ジョン万次郎がアメリカ捕鯨船に助けられたのとほぼ同時期か

    • 評価
  6. 白人の捕鯨方
    先ず子供の鯨を銛で撃つ
    子供が苦しんで親や仲間が助けに来るからそこを撃つ
    これが白人のやり方

    だから当時の鯨は小舟を見たらひっくり返すように学習した
    そんな行動から生まれた有名小説もあり

    • +2

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