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100日後に合体するブラックホール。史上初の融合の瞬間を観測できるかもしれない

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(著) (編集)

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 100日後にワニが死んだり、100日後に吸着事故を起こす放射線技師がいたり、100日後はある種の人気コンテンツとなっているが、ここにきて最大の100日後が到来だ。

 地球から12億光年離れた銀河では、2つの超大質量ブラックホールが互いの重力で引きつけ合っており、早ければ100日後、遅くとも3年後には合体して1つになると天文学者らが予想している。

 もしこれが本当だとすれば、史上初めてブラックホールが融合する瞬間がリアルタイムで観測されることになる。

 ブラックホールが合体するとどうなってしまうのだろう?さあ、今からカウントダウンの漫画を書いてTwitterに投稿しなければ!

互いの重力で引き付けあうブラックホール連星

 ペリメーター理論物理学研究所(カナダ)のヤン・ファン氏は、広視野掃天観測調査「Zwicky Transient Facility(ZTF)」で捉えられた光の中に面白いパターンがあることに気がついた。

 光の発生源は、地球から12億光年離れた遠方の銀河にある2つのブラックホールであるらしいのだが、その周期パターンからは両者が接近していることがうかがえたのだ。

 データによるならば、3年にわたる観測期間中、ブラックホール連星の距離は1光年から1光月にまで縮まった。つまり光が1年かけて移動する距離から、1月で移動する距離にまで近づいたということだ。

 もしこの傾向がその後も続くならば、ブラックホールのペアは太陽と冥王星の距離にまで接近するだろうと考えられた。

 この結果から、早ければ100日後、遅くても3年以内には、壮大なブラックホールの合体を目撃できるかもしれないとヤン氏らは予測している。さらに5年から10年も観測すれば、そのときに生じた重力波も検出されるだろうという。

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image credit::NASA Goddard Space Flight Center

ブラックホールは本当にが合体するの?

 この予測が本当に正しいのかどうかはわからない。なにしろ、ブラックホールが合体する瞬間が目撃されたことはこれまでに一度もないのだ。

 この研究を発表した当のヤン氏も、「懐疑的な人もいるでしょうし、そう考えてもしかたありません」と、それが信じがたい発見であることを認めている。

 ケンブリッジ大学天文学研究所のアンドリュー・ファビアン教授もまた、何が起きるのかよくわからないと困惑する天文学者の1人だ。

 それでも決定的瞬間を逃すわけにはいかないため、NASAのX線宇宙望遠鏡「NuSTAR」を予約するなど準備を進めているという。

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image credit:NASAのX線宇宙望遠鏡「NuSTAR」

合体の瞬間が目撃されたことはこれまで一度もありません。今現在、その軌道では大量のガスが激しく加速しています。

両者が接近することで、膨大な量のガスが流出しているのかもしれません。そのために非常に明るくなり、状況を観察しにくくする可能性もあります(アンドリュー・ファビアン教授)

Two Black Holes Merge into One

合体したブラックホールはどうなるの?

 ブラックホールが合体するだろうことは以前から予測されていた。

 ブラックホールの中にはとてつもなく巨大なものがある。だが、それほどまでに巨大な天体に成長するプロセスは、まだよくわかっていない。

 周囲にある物質をただ飲み込むだけで、太陽の200億倍もの質量に成長するとは考えにくいからだ。

 そこでもう1つの成長プロセスとして、ブラックホールの合体が提唱されている。

 天の川銀河のど真ん中にある「いて座A*」のように、どの銀河の中心にも巨大なブラックホールが鎮座していると考えられている。

 銀河同士が衝突したときに、中央にあるブラックホール同士が互いの重力で引きつけ合い合体すれば、1つの超巨大なブラックホールが誕生するかもしれない。

 だが、この現象がリアルタイムで目撃されたことは一度もない。今回、もし本当にブラックホールの合体が観測されれば、この謎めいた天体にまつわる多くの謎が解明されることだろう。

 この研究の未査読版は現在、『arXiv』(2022年1月27日投稿)で公開されている。

References:Astronomers are gearing up for never-before-seen merger between two black holes / written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 61件

コメントを書く

  1. リアルタイムといっても12億年前だな

    • +9
    1. ※1
      リアルタイムに見たいなら
      天の川銀河とアンドロメダ銀河が約40億年後に衝突予定だから
      そこに転生なりするしかない。
      特等席で見れるよ。

      • +2
    2. ※1
      リアルタイムで見れる位置にいると死ぬぞ(ブラックホールの重力で)

      • 評価
      1. ※23
        事象の地平面まで引き込まれて永遠にブラックホールの合体を見続けることになるのかも知れない。

        • +1
    3. ※1
      そもそもリアルタイムとはなにか、それに意味はあるのか?というところからだな…

      • +5
  2. 100日後に融合してもそれを観察できるのは12億年後だ!

    • -21
    1. >>2
      12億年後の今地球に届いている現象を見ているので、そこから+100日後の現象は100日後に見えるはずです

      • 評価
  3. 結果待ちだね、楽しみにしていよう。

    • +10
  4. ガンマ線バースト的なものが放出されたりするのかな

    • +10
  5. 合体と言うよりどちらかの吸収なんじゃないかと思う

    • +3
  6. 衝突を観測した際には、そのときに発せられた電磁波も来るんだよなあ
    ちょっと不安

    • +1
  7. ラーメンの油つついて一つにするようなもんか?

    • +21
    1. ※10
      わりとそんな雰囲気だね
      四次元の泡なんだろう

      • +7
      1. ※13
        そんで大きくなりすぎて表面張力が無くなり細かく分裂しだすのか。
        宇宙はラーメンだった?これが超ひも理論か。

        • +5
        1. >>43
          やはり宇宙はスパゲティモンスター様が創造したのだよ。ラーメン!

          • +3
  8. 3年で11光月近づいたってことは相対速度が光速の約30%ってことだよね。ひええ。

    >さらに5年から10年も観測すれば、そのときに生じた重力波も検出されるだろう
    重力波って電磁波と同時に届くんだと思ってたけど違うのかな?

    • +12
    1. ※14 そんなスピードだとスイングバイして離れそうそのままずーっと離れていくのか銀河の合体みたいに何百億年後に完全に一つに成るのか・・。

      • 評価
    2. ※14
      お互いにだから半分としても、光速の15%出てる
      宇宙旅行が視野に入るスピードだわ
      すごいね

      • 評価
  9. 天文系のお話って大体数万年とか数億年とか平気で言ってくるのにこのイベントは100日後!
    余裕で僕ら生きてますよ!

    • +14
    1. ※16
      まるで来年の月食予定を気象庁のHPでみてるみたい

      • 評価
    1. >>17
      ベテルギウスの減光については異説も出てきてるので、超新星爆発するのかどうか、怪しいですね

      • 評価
  10. 12億光年ってまるでジャンボ宝くじの当選金額みたいな数字だな🤑
    重力波観測できるってことは、岐阜のKAGUYAがついに活動開始?

    • +3
    1. ※19
      KAGUYAではなくKAGURAね
      残念ながら色々あって予定通りの能力を発揮できてない
      重力波はが届く頃には解決できてるといいが

      • +2
    2. ※19
      惜しい、 KAGRA だ!
      Virgo と LIGO が残り二つの有名どころだ。
      失敗だといわれている KAGRA だけど検出してほしいよね。

      • +3
  11. 部分的に蒸発しあったりなんだかんだで最終的には1.2倍くらいの1個のブラックホールになりそう

    • +6
    1. ※20
      確かに素直に2倍にはならなそうよね、逆になんだかんだで3倍になったりしたら天文学者さん達がパニックになるだろうな、めったに見られない天体ショー楽しみ

      • +3
  12. めっちゃすごそう 神の鼻の穴に見えてきた

    • +3
  13. こちらから観測できるのが12億年後で、ブラックホール側から見ても中心にいくほど時間が遅くなるからほぼ無限に先 もうなにがなんやか分からん!

    • 評価
  14. どアップの鼻の孔 「はぁ~~~ 祭りだ 祭りだ 天体祭りぃ~~♪」

    • 評価
  15. 向こうではもう合体?してるでしょ。
    観測はできるのは100日後か。

    • +1
  16. 話は聞かせてもらった、人類は・・・・滅亡する!

    • -2
    1. >>28
      人間だとしたら、割りと誠実にお付き合いしてるカップル的な……いや何でもない。
      聞かなかった事にしてくれ。ちょっとツラい事思い出した。
      (。>д<)

      • +1
  17. いま12億年前の光が届いてそれを見ているのだから、100日後ならまんま100日後だよ。

    • +8
  18. わからんけど凄いのはわかるが
    結局わからんしなんか怖い

    • +2
  19. あと〇〇日で合体ってカウントしてくれるサイトとかないだろうか?

    • +1
  20. すごいねー、近くで見てみたいです。

    • +1
  21. 12億光年かなたのブラックホール合体で5-10年後重力波が到達するて?

    • 評価
  22. 単純な重力シミュレーションでの巨大な二つの重力源だと相当慎重にやらないとお互いを弾き飛ばしたりする。
    そこでそのブレーキになるのが降着円盤の質量なんだろうなぁ、
    その分析映像とか見たいなぁ。
    多分重力波に各周波数の電磁波から何から何までたくさん反応来ると思うよ。

    • +1
  23. ブラックホールの消滅ってあり得るんだろうか?
    出来たらずっと残ってるのですか?
    いずれは宇宙はブラホだらけになるのですか?
    イケメン眼鏡おしえて

    • 評価
    1. ※49
      現在の有力説だと、
      宇宙はかぎりなく空間が膨張していって、物質を構成している陽子の寿命も尽きて惑星も恒星も無くなる。宇宙はブラックホールだけが残されるけどそれにも寿命があり、一番長生きのブラックホールの寿命も尽きたあとは、何もない空間がただただ広がっていく。
      詳細はこちら↓
      ttps://ja.wikipedia.org/wiki/膨張する宇宙の未来

      • 評価
    2. ※49
      ブラックホールには温度があるそうです
      (勿論凄く低い温度ですけれど)
      温度があるという事は、限りなく絶対零度に近い空っぽの空間にあると
      少しずつエネルギーを放射していることになります。
      汁物が冷めるようなものです。
      ブラックホールは湯気の代わりに何かしらエネルギーを帯びた物を放出しているわけで
      いつか痩せ細ってゆきます。
      そして遙か遙か遠い未来に、その質量が数百トンを割ると爆散するそうですよ。

      • 評価
  24. このクラスの宇宙の現象って100日とか3年とかの短い単位で語れるもんなのか?
    千年とか万年単位かかるもんじゃないの?

    • 評価
  25. 関係ないけど百日目の十二億年後って書くとなんか文学感出るね

    • 評価
  26. これもうすぐだよな。サイトで追跡とかしないのかな?

    • 評価
  27. そろそろかなと思って記事見に来たよ。
    追加情報とか出ないかなー?

    • 評価
  28. 数か月後の未来から来たがどうなったのだろうか^^ 

    • 評価
  29. 宇宙望遠鏡には予約がいるのか
    予約できないと観測すらできないとは

    • 評価
  30. 今のうちに重力波観測装置作っとかないと一大スペクトルじゃない、一大スペクタクルが観測できないぞ!
    遠望天体は長期間の観測じゃないと予想できないことのほうが多い、一瞬の出来事が二度と起きないことも考えられる

    • 評価
  31. 合体マダァ?( ・∀・)っ/凵⌒☆チンチン

    • 評価

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