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電車に乗るわけでもないのに毎日駅に行く女性。構内放送から流れる今は亡き夫の声を聞くために

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(著) (編集)

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 イギリス、ロンドン市内を走る地下鉄は、毎日多くの通勤客や観光客が利用する為、混雑しない日はないが、そんな中、電車を利用するわけでもないのに、毎日地下鉄駅に足を運ぶ高齢女性がいる。いったいなぜ?

 女性はホームに流れる駅構内放送を聞くために訪れているのだ。そのアナウンスは、今は亡き夫の声で放送されており、女性にとって特別なものなのだ。

 現在ロンドンの地下鉄は、女性が通う駅をのぞいてすべてのアナウンスはデジタル音声となっている。そこにも駅職員による素晴らしい思いやりが隠されていた。

London: Wife’s search for husband’s ‘mind the gap’ announcement

亡き夫の声を聞きたくて、毎日駅に行く高齢女性

 マーガレット・マッカラムさんは、ロンドン市内を走る地下鉄ノーザンラインの駅「エンバンクメント(Embankment)」を毎日訪れる。

 マッカラムさんの目的は、その駅から電車に乗ることではない。駅のホームから流れるアナウンスを聞くためだ。

 ロンドンでは電車がプラットフォームに来ると、「Mind the Gap(足元にご注意ください)」と構内放送が流れる。このアナウンスは、ロンドンの通勤客にとっては馴染みのあるものだ。

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pixabay

 現在では、エンバンクメント駅を除く全ての駅のアナウンスはデジタル音声になっている。

 だが、エンバンクメント駅だけは、オズワルド・ローレンスさんという男性の声で放送されている。

 オズワルド・ローレンスさんは、マッカラムさんの亡き夫で、若かりし頃に元俳優として活躍した人物だ。

 ローレンスさんは、1992年にクルーズ会社でツアー客のために働いていた頃、マッカラムさんと出会い、2007年に亡くなるまで生涯の伴侶として共にロンドン北部の家で過ごした。

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image credit: youtube

今まで通っていた駅から夫の声が消える

 1950年代に、ローレンスさんがエンバンクメント駅の「Mind the Gap」のアナウンスを務めたことを知っていたマッカラムさんは、夫、ローレンスさんの声をとても愛していた。

 そして彼が亡くなった後も、声を聞くために毎日エンバンクメント駅に通い続けた。

 しかし、2012年11月1日、いつものようにマッカラムさんが駅に行くと、プラットフォームから流れてきたアナウンスは、ローレンスさんのものではなかった。

彼が亡くなってから、私はいつもエンバンクメント駅に行って、彼の声が聞こえてくるまで座って、次の電車が来るのを待っていました。

でも、突然声が変わっていて、ショックをうけました。他人にとったらバカバカしいことかもしれませんが、私は大好きだった夫の声をもう聞くことができなくなったのかと、とても悲しく思いました。

 マッカラムさんがロンドン交通局に問い合わせたところ、新たなデジタルシステムを導入したため、音声が変わったという答えが返って来た。

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image credit: youtube

ローレンスさんのことを知った地下鉄職員、1駅だけ音声を復活

 寂しい思いを抱えていたマッカラムさんは、ロンドン地下鉄ディレクターのナイジェル・ホルネスさんに、亡き伴侶ローレンスさんの思い出の声について話をする機会を得ることができた。

 事情を知ったナイジェルさんと職員一同は心を打たれ、なんとかしてマッカラムさんがローレンスさんの記憶を生かし続けることができるよう、手助けをしたいと思った。

 そこで、職員はローレンスさんの声が録音されたテープの記録を追跡。それは時間がかかることであり、決して容易ではなかったが、なんとかテープを発見することに成功した。

 また、それをCDにしてマッカラムさんにプレゼントし、更にはローレンスさんのアナウンスをエンバンクメント駅のみに復活させることを約束してくれた。

 再び、エンバンクメント駅で愛する伴侶の声を聞くことができるようになったマッカラムさんは、職員らの思いやりある取り計らいに大きな感謝を抱いた。

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image credit: youtube

 現在、エンバンクメント駅では、北行きのノーザンラインの電車がプラットフォームに来るたびに、他の駅とは異なる、しかし馴染みのあるローレンスさんの声で「Mind the Gap」を3回繰り返し聞くことができるという。

written by Scarlet / edited by parumo

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この記事へのコメント 32件

コメントを書く

  1. 泣ける…。
    亡くなったあとも公共の役に立ってる、と。
    誇らしいね。

    • +42
  2. このお父さんは尊敬されてたんだろうね!

    • +10
  3. こういうのもうタイトルだけで泣いちゃう
    そして本文でもやっぱり泣く

    • +37
  4. 音源のコピーもらえばいいのにとかそういう問題じゃないんだろうなあ
    ところでご主人の若い頃のお写真めちゃくちゃイケメン

    • +14
    1. >>7
      職場で声が響くと、まさに生きてると感じられるから大事だよね
      泣ける

      • +19
    2. ※7
      音源をCDにしたものをプレゼントされてるよ

      >また、それをCDにしてマッカラムさんにプレゼントし、更にはローレンスさんのアナウンスをエンバンクメント駅のみに復活させることを約束してくれた。

      • +14
    3. ※7
      >それをCDにしてマッカラムさんにプレゼントし、更にはローレンスさんのアナウンスをエンバンクメント駅のみに復活させることを約束してくれた。

      • +7
    4. >>7
      行き交う人の中で働いてるように思えるのだろうねえ
      素敵な話

      • +12
  5. 声は忘れないもんね。写真見ながら聴くと泣けてしょうがない。

    • +14
  6. ご主人もイケメンだけど
    マーガレットさんもすごくふわりとした雰囲気の
    素敵なおばあちゃま

    • +19
  7. 家でCDで聞くより駅の放送で聞きたいの分かる

    • +32
  8. マジでいい話…こういうニュースだけでいいよ…

    • +13
  9. 若い頃の写真がプレスリー似のイケメン!

    • +4
  10. 血の通った対応だなあ
    なんか、キツいブラックジョークもあるけど同時にこういう粋な対応もある国というイメージがあるな、英国には

    • +19
  11. そんなに妻に愛されているなんて羨ましいな

    • +9
  12. こういう事をスマートに出来るのが素敵!

    • +9
  13. 写真のお姿通り、力強くて良い声だね。素敵なアナウンスだ
    奥さんだけじゃなく普段この駅を利用してる人の記憶にも残ってそう
    このまま続けたらちょっとした名物になるかもしれない

    • +8
  14. >>生涯の伴侶として共にロンドン北部の家で過ごした。

    ファミリーネームも違うし、結婚はしなかったんだろうな。

    • -3
    1. ※22
      上品な綺麗な女性だな

      白人様は絵になる

      映画のワンシーンみたいだ

      • -6
      1. >>30
        どこの掲示板在住かはともかく、白人様って言い方はお外で使わない方が良いよ

        • +3
    2. ※22
      結婚したけど姓を変えなかったのかもしれないし、死別を期に元の姓に戻したのかもしれないし、紹介されてる旦那さんの名前は芸名かもしれないし
      色々なケースが考えられるよ

      • +8
  15. 最後の写真すごく幸せそうでいいねぇ

    • +6
  16. イギリスで地下鉄乗るとくどいくらい”Mind the gap”を聴くことになるよね
    これが死別した伴侶の声だったら、たしかに感慨深くなるだろうな~

    • +4
  17. 恋愛や結婚が全てって時代じゃないし、独り身の今でも仕事も趣味も楽しい。
    それでもこういうのを見ると、たったひとりを特別に愛せる人生っていいなあって思ってしまうんだよな。

    • +4
  18. 的はずれなコメントだけど 
    訳あって故郷へ帰れない人が帰省時期の東京駅へ行ってまれに聞こえるお国言葉を懐かしむ というお話を思い出しました

    • +4
    1. ※32
      それ石川啄木の歌がソース?
      上野駅だけど。

      • +3

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