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ユネスコが世界初となるAI(人工知能)の倫理的使用に関するガイドラインを採択

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(著) (編集)

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 世界195か国が加盟している国際連合の専門機関、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の総会で、世界初となるAI(人工知能)の使用に関する倫理的ガイドラインが採択されたそうだ。

 AIが我々にもたらしてくれた恩恵は大きい。今後はさらにその利用が加速されることだろう。

 だがこの分野の開発が進めば進むほど、多くの課題が出てくる。AIシステムは、社会を大きく向上させる可能性がある一方で、使い方次第では、人権や基本的自由を侵害し、持続開発な開発目標が阻害される恐れもある。

 ユネスコのガイドラインは、倫理的観点を重視し、AIが社会にとって有益な使い方をされるよう利用者に求めている。

懸念されているAIの利用目的

 今やAIはさまざまなところで活躍するようになった。だが、それと同時に新しい問題も生み出している。

 人々の監視に利用され、個人のプライバシーや主体性を脅かし、ジェンダーや民族への偏見を強めるような使い方もされている。

 たとえば、中国では、AIを搭載したカメラを街中に設置して、歩行者や運転者の身元を特定できるシステムが導入されている。

 また機械であるはずのAIが、人間が知らず知らずのうちに持ち続けている偏見を受け継ぐことも知られている。

 これまで、こうした問題に対処するための普遍的な基準が存在しなかった。

 そこで2018年、ユネスコは、AIの利用に関する倫理ガイドラインを設けるという野心的プロジェクトを発足。

 世界中から大勢の専門家が参加し、国同士の激しい交渉が交わされた末に、このほどついに加盟国193か国によって正式に採択された。

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photo by iStock

AIの倫理的使用に関するガイドライン

 倫理ガイドラインは、AIが社会にもたらす利益を実現し、それにともなうリスクを緩和することが目的だ。倫理とは社会生活で人の守るべき道理のことで、善悪・正邪の判断において普遍的な規準となるものだ。

 対象とするのは、これまでユネスコが取り組んできた「人権」や「持続可能な開発目標(SDGs)」などをはじめとする幅広い分野で、たとえば次のようなものがある。

・データの保護
個人情報を扱う企業や政府は、現在でもその透明性や管理に注意を払い、個人を保護するよう求められているが、AIを使うならばよりいっそうの対応が必要になる。

たとえばガイドラインは、個人は自分の情報すべてにアクセスし、それを消去できるべきだと定める。また企業や政府は、個人が自分のデータを知り、管理する権利を強化するよう努めねばならない。

・監視や社会的スコアリングへの利用禁止
AIによる監視や格付けは、人権を侵害し、基本的な自由を妨げる恐れがある。そこで倫理ガイドラインでは、AIを利用した人々の監視や社会的スコアリングをはっきりと禁止している。

また、各国がこれに関する規制を具体的に策定する際は、最終的な責任を人間が負うようにせねばならないとしている。責任をAI任せにしてはならず、法人格を与えるべきでもないと、ガイドラインは強調する。

・環境の保護 
AIの強力なパワーは、温暖化をはじめとする環境問題との戦いおいて、重要なツールになると期待されている。それを使うことで、かえって環境が悪化するようなことがあってはならない。

そこでガイドラインは政府に対し、排出される二酸化炭素やエネルギー消費量など、AIが環境に与える影響を評価するよう求めている。

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Photo by Yuyeung Lau on Unsplash

AIは世界の課題の解決に貢献すべき

 AI利用の倫理ガイドライン発表にあたり、ユネスコ人文社会科学局のガブリエラ・ラモス副事務局長は次のようなメッセージを述べている。

何百万人もの人たちに影響がある決定は、公正で透明性が高く、なおかつ議論できるものでなければなりません。

こうした新しい技術は、格差の拡大や環境問題といった、今日世界が直面している大きな課題に対応する手助けとなるものでなければなりません。それらを悪化させるものであってはならないのです

 AIを巡っては、ここで述べた以外にも、仕事を奪う、人類に反乱するなど、さまざまな不安や猜疑の声が伝わってくる。

 だが、どれほど高度であったとしても基本は道具なのだとすれば、結局はそれを使う私たち人間次第ということなのかもしれない。

References:UNESCO member states adopt the first ever global agreement on the Ethics of Artificial Intelligence / written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 11件

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  1. >ガイドラインは、個人は自分の情報すべてにアクセスし、それを消去できるべきだと定める。

    個人にすべての企業や国のデータベースの自分の情報にアクセスさせろだと?

    こんな絶対に不可能なガイドラインを作っても意味がない

    • -9
    1. ※1
      あのさあ、毎度のわざとらしい勘違いにツッコむのも無益だけど、団体に登録された個人情報をハッキングして、勝手に操作するのを許すっていう意味じゃないよ。

      今どこのウェブサイトにも「プライバシーポリシー」ってのが載ってるでしょ?それだけ個人情報の取扱いには透明性が求められていて、好き勝手にその情報を目的以外に使えば、今どきすぐにその企業の評判がガタ落ちになる。

      そういった倫理に背く行為の疑われる企業に対して、正当な手続きを踏めばその情報の消去が約束されるべきだってこと。

      • +5
  2. 最新のAI活用方法「あぁ、すいませんAIが・・・すぐこちらで係りの者が対応いたしますので少々おまちください」の術をつかう。

    • +3
  3. 現在進行形で格付けを行ってる国があるけれどね…

    • +1
  4. AIとは言ってもビッグデータの累積統計プログラムみたいなもんだし、既存技術の延長。だからガイドラインも技術利用の制限なのも納得。

    そのビッグデータ取り扱いプログラム自身に絶対命題与えたら自律存在は生まれるだろうかという興味はあるが、それは同じ生活圏に競合他種族を作る愚行でもある。
    今のままで良いんだろうな。

    • 評価
  5. うちのユスネコに聞いたら
    「えあーい」って言ってた。

    • 評価
  6. 正論かもしれないけど、各国がこのガイドラインにどの程度従うのかは疑問。
    ユネスコに限らず、国連の影響力の低下は致命的なレベルになってると思う。

    • +3
    1. ※9
      問題はそこよな。

      中国やロシアの指導部あたりはむしろ、この指針に重要性を認識しないまであると思う。
      「また西側がなんかいってる」くらいなもんで。
      むしろ悪くすると、この指針を「俺達を悪者にする道具だ」程度に考える可能性もあるのと違うか。

      価値感のズレがかつての冷戦期を彷彿とさせるようで、しかも冷戦期には曲りなりにも権威のあった国連が今や失墜してるってのは、色々まずい状況のような気がするよねえ。

      • +2
  7. 人間が知らず知らずのうちに持ち続けてる偏見をAIも受け継ぐ?

    それは例えば黒人はダンスが上手い筈とか、中国人は皆カンフーが使えるとか、日本人は責任を取る時切腹するとか、廃病院は霊が出るに決まっているとか、ラーメンには胡椒だが味噌ラーメンに限っては一味唐辛子でなければ!とか、何とかかんとか…

    • 評価
  8. AIに人権的な権利の付与の流れがとうとう来たか
    SAOのような世界線も現実味を帯びて来てしまったか

    • 評価

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