メインコンテンツにスキップ

人間の赤ちゃんをチンパンジーと一緒に育てるとどうなるのか?1930年代に行われた驚愕の実験結果

記事の本文にスキップ

58件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 1930年代に驚愕の実験が行われていた。比較心理学者のウィンスロップ・ケロッグ氏は、生後10か月の我が子と、生後7カ月のメスのチンパンジーを、きょうだいのように一緒に育て、チンパンジーがどれくらい人間らしくなるかを観察しようとしたのだ。

 この実験は予想外の展開を迎えることとなり、9ヶ月後に中止となる。

 チンパンジーが人間らしくなるどころか、人間の赤ちゃんがチンパンジーのような行動をとるようになってしまったのである。

チンパンジーと一緒に育てられた人間の赤ちゃん

 1931年、比較心理学者のウィンスロップ・ケロッグと妻のルエラは、生後7か月のメスのチンパンジーを迎え入れた。ドナルドの妹にするためだった。

 ドナルドは、ケロッグ夫妻の間に生まれた男の子で、当時生後10か月だった。

 チンパンジーの赤ちゃんはグアと名づけられ、5年間、ドナルドの妹として人間のように扱い、一緒に育てるという実験が始まった。

この画像を大きなサイズで見る
image credit:A/V Geeks

 これは、人間とチンパンジーが同じものに対してどういう反応を示すのかを比較する実験であり、その目的は、チンパンジーをどれだけ人間に近づけることができるかをみることだった。

 ケロッグ夫妻は、両者を人間の子どもとして扱い、同じように話しかけ、ドナルトとグアは同じようなベッドで寝て、似たようなおもちゃで遊んだ。

 同じ食べ物を与えられ、服を着せられ、同じようにお仕置きされた。

 しかし、中には大丈夫なのかと不安を抱かせるような実験もあった。

 ぐるぐる回転させられたドナルドとグアが、どんな反応を示すかを調べていたところ、ドナルドが椅子に座った状態でぐるぐる回転させられ、泣き出すまで実験は止められなかった。

この画像を大きなサイズで見る
image credit:A/V Geeks

 また、銃声のような大きな音にどちらが早く反応するかみる実験もあった。

 グアとドナルドは、スプーンで頭を叩かれることもあった。その目的は、人間とサルの頭蓋骨の音の違いを観察するためということだった。

 実験は、週7日、日に12時間ぶっ続けで行われた。

この画像を大きなサイズで見る
image credit:A/V Geeks

人間の赤ちゃんがチンパンジー化、9か月後に実験中止

 ところが実験開始から9ヶ月後、この試みは中止になった。

 その理由は、グアが人間に近づくどころか、人間のドナルドがチンパンジーのようになってしまったからだとも言われている。

 ドナルドは人に噛みついたり、チンパンジーのように這いずりまわって、食べ物が欲しいときには唸り声をあげるようになったという。

実験中止にある背景

 ウィンスロップ博士は、1933年に『The Ape and the Child: A study of environmental influence upon early behaviour』という本を出版した。

 最初はグアのほうがおおむね実験で良好な成績を残したと言われているが、ドナルドが1歳になった頃から、状況が変わってきた。

 ドナルドが言葉を組み立てて発することをマスターし始めると、身体的には優れていたにもかかわらず、グアはドナルドの知能についていけなくなった。

この画像を大きなサイズで見る
image credit:A/V Geeks

 The Psychological Reviewは、実験が打ち切られた理由をめぐる懸念について、こう書いている。

実験は、1932年3月28日に打ち切られたという。グアは緩やかなリハビリを受けた後、オレンジ・パーク霊長類コロニーに戻された。

しかし、いつもならはっきり語るケロッグ夫妻が口を濁したため、実験を打ち切った理由については、推測の域を出ないが、次のようなことが考えられる。

第一は、ケロッグ夫妻の行った9ヶ月の実験スケジュールがあまりにもタイトだったため、疲れて果ててしまったのではないかということ。

第二に、本の出版の準備をしたかったためではないか。

第三には、予想以上にグアが成熟し、力も強くなってきたため、夫妻の予想がつかなくなり、コントロールすることが難しくなったからではないか。

 グアが無意識のうちにドナルドに危害を加える可能性があることを、夫妻が怖れたからではないかというのだ。

この画像を大きなサイズで見る
image credit:A/V Geeks

 ウィンスロップ博士は、グアに言葉を教えようとかなりの時間を費やしたが、決してマスターできなかったという。

 また、母親であるルエラが、息子が人間よりもサルに近くなっていくのをかなり心配したという話もある。

 この実験の後、ウィンスロップ博士はフロリダ州立大学で、バンドウイルカの研究をしていた。

 1972年に夫妻は亡くなった。この実験の後遺症だったのだろうか? 因果関係はわからないが、その一年後に息子のドナルドは43歳で自殺した。

 以下の動画は当時の実験を記録したものである。

Comparative Tests On A Human And A Chimpanzee Infant Of Approximately The Same Age, Pt 2

References:Baby raised with chimp ‘sister’ in cruel study began acting like ape and met tragic end / written by hiroching / edited by parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 58件

コメントを書く

  1. もし自分がこんな実験に使われていたと知っていたら、トラウマになるだろうね

    • +45
    1. ※1
      後で知らされたかどうかではなくて、むしろ実験そのものがトラウマになりそう。

      • +8
    2. >>1
      ここまで本格的なものじゃないけど、日本でも沖縄で行われているらしいな。

      • 評価
  2. 倫理的観点から完全に犯罪行為であっても、科学の発展なる免罪符により許容されるのが実におぞましい行為だ・・・・・

    • +15
  3. え・・・・オチが怖い。
    夫妻同時期に死んでドナルド自殺とか、普通にやばさしか感じない。

    • +29
    1. ※3
      夫妻の享年は70代だし、死因はよく知らないが
      “老夫婦の片方が亡くなって気落ちし、連れ合いもすぐ逝去”
      みたいなパターンは一般でもありふれてるから、
      これだけでは何とも言えない気が…。

      息子は、言語発達はじき追い付いて
      ハーバード大学医学部に進学し、精神科医になっていたそうだ。
      自殺の原因はよく分からないが、
      例えば、ありがちな中年クライシス(家庭での離婚の危機とか
      職場での立場の悪化とか)で精神状態が悪化していたところに
      両親が相次いで死んだことで一気に抑鬱状態が進んだ、
      といった、幼少期の実験とは無関係な引き金も普通にあり得るし、
      こちらも生活歴の詳細が分からないことには何とも判断しかねる。

      • +9
  4. 未発達な段階で一緒にしたらそりゃ知能の高い側が適応しちゃうよね

    • +43
    1. >>4
      より遅い車のペースに合わせることになるから渋滞が起きるんだよね

      • 評価
      1. >>46
        渋滞は事故とかで車線減少したり、車間距離空けない車のせいで起こると科学的に証明されてる。

        • +1
  5. 人間の方が周囲の相手を真似る能力が高そうだしまあそうなるよね

    • +32
  6. 「チンパンジーを人間の赤ちゃんと一緒に育てるとどうなるのか?」だなw

    • +2
  7. そもそもチンパンジーって獰猛な肉食獣だからな、家にちっちゃいライオンだのチーターだの飼ってる様なもん。
    そして赤ん坊がチンパンジーに近づいていったのも理由は察せる。たとえ物心ついても幼児って突然火がついた様に泣き出したり暴れたり衝動性強くて野生動物に近いもん。子供に相当負のシナジー効果あったろうなぁこれ…

    • +18
  8. この場合は獰猛すぎるチンパンジーだからこんな結果に終わったのだけど、これが犬とか猫とかと一緒に育てられるんだったら遥かにマシな結果になったんじゃないかなぁ?そっちなら実例多そうだし。
    (犬や猫は赤ちゃんに危害加えない様によく躾けられている、という前提で)
    あとこの場合、犬や猫の方が赤ちゃんに影響されて性格変わるなんて事あるんかな?(人語覚えるなんてあり得ないにせよ)

    • +5
    1. ※8
      犬や猫は、そもそも「一緒に」は育たないからなぁ…。

      人間の新生児は、1年たってもまだ赤ちゃんだし、
      チンパンジーも15歳ぐらいで成体と、現代の法制度でなく
      医学的成熟度や歴史的扱いでは人間と似たり寄ったりだけど、
      犬や猫は先にほぼ大人になってる。

      • +13
  9. なんちゅー身勝手な話だ…赤ちゃんもチンパンジーもかわいそう

    • +31
  10. 赤ちゃんに言葉を教えないで育てる実験とか
    ナチスの人体実験とか
    昔はほんまヤバかった
    実験じゃなくても
    癩病患者の扱いとか
    宇都宮精神病院とか

    • +19
  11. 週7日、日に12時間
    チンパンジー関係なく壊れるよね。大人だって壊れるよ

    • +49
  12. なるほど、近所の小学校中学年になる女の子はチンパンジーと育ったから、毎日毎日「キーキーキャー」と叫んでるんだな

    • -8
    1. ※15
      ちゃんと育てられたはずなのに成長しきってないのだね。
      お可哀想に。あなたのことよ

      • +8
  13. 本来なら全幅の信頼を寄せる存在の親が何度も試し行為をして、合間で親子らしく愛情を注いだら、その振り幅が余計に子供を不安定にさせそうな気がするんだけど。
    虐待じゃん。

    • +13
  14. え?その後どうなったの?
    ちゃんと追跡してよ、チンパンジーを

    • +5
    1. >>17
      チンパンジーの群れに合流させたけど
      馴染めなくて孤独だったらしいよ…

      • +16
      1. ※27
        しかも、翌年にすぐ
        肺炎か何かで幼死しちゃってるんだよね…

        • +2
  15. あらためていつの日か”フランケンシュタインの誘惑”で見ることにしよう

    • +7
  16. 実験じゃないけど狼娘みたいなのもあったはず
    狼の群れに人間の女の子がいるー!みたいなの

    • +2
    1. ※19
      1920年代のアマラとカマラのことならでっち上げらしいよ
      昔でっち上げってわかる前に当の本を読んだことあるけど、今思えば見世物を読んでるみたいだった印象ある

      • +5
    2. >>19
      それはガセというか報告者の売名行為だったような

      • 評価
  17. 凄い事思い付くもんだ
    実行するのも含めて中世(近代?)の好奇心ってのはホントに怖い

    • -3
  18. 実験ったって仕事してるのは夫婦の方だからね

    • -3
  19. スプーンで頭を叩くのは教育上必要な行為!音の違いを聞こう!

    • -6
  20. 今度は、チンパンジーではなくゴリラでやってくれ

    赤ちゃん無しで単独で人間として育てるのなら問題なかろう

    ゴリラのココが手話で会話ができるのが本当なら、人間と同じことができるはず

    本当ならな

    • +1
  21. 流石に43歳にもなってその時の後遺症で自殺はないんじゃないかな。
    実験時の記憶はほとんど覚えていないだろうし。

    • -15
    1. >>24
      幼少期の育てかたでかなり変わるよ
      無意味に叩かれたり、無理やり嫌がっても回転させられるその他諸々(実験動物扱いで愛情不足)の虐待で自己肯定感は相当低くなる

      • +19
      1. ※25
        チンパンジーと一緒に9ヶ月間だけ人間として育てられ、その
        影響で一時的に人間の赤ちゃんがチンパンジーのような反応をする
        ようになっただけで、その後すぐに実験は中止になったんだから中年期
        になってからの自殺をそれと直接結びつけるのは少し強引だよ。
        自殺の原因が親にあるとすれば、それは実験そのものではなく
        我が子を実験動物のように扱う愛情不足な育て方に原因があると
        思うけどね。

        • +2
    2. ※24
      直接の行為だけじゃなくて
      「お前はチンパンジーと一緒に育てられた子供」ということをずっと言われ続けることになる人生、それを言うやつがぞろぞろ出てくるだろう悲しい『人間性』といった、「環境」のことも少しは考えてあげた方がいいんじゃないかな

      • +4
  22. 9ヶ月は長すぎる
    後の人生に影響を及ぼす長さだよ
    赤ちゃんもチンパンジーもかわいそうに

    • +8
  23. 日本だと、実験ではなく
    動物の飼育ノウハウが無い時代に(神戸の王子動物園)、
    母親に育児放棄されたチンパンジーを
    自宅で我が子同然に育てた飼育員がいたよね。

    特に妻が可愛がって、着物着せて七五三までして
    宮司にギョッとされたりしたエピソードもあるけど、
    夫は最初から「動物園に戻す」をゴールに見据えていたから
    一人でも大丈夫な年齢まで育ったら、
    自宅からお気に入りのオモチャを檻内に持ち込んで添い寝し
    徐々にオモチャを減らして最後に添い寝も終え、軟着陸してた。
    ただ、奥さんは、本当に我が子のように育ててきたから
    猿として檻に戻してからは二度と会いに行かなかったそうだ。

    ちなみに、思春期の実子もいて、学校でからかわれたり
    TVやラジオの音を制限されたりして 反発していたけど、
    年月が経つと理解を示して 態度が軟化していたと思う。
    (うろ覚え)

    • +10
  24. 赤ちゃんなりに彼とコミュニケーションをしていく内に、知能が高いから動物的なアプローチをしないと伝わらないって本能的に察したのかもね=野生化

    • +4
  25. 昔のマッドサイエンティストの被害者だいたいロクな終わり方を迎えてないの怖いよな

    • +6
  26. チンパンジーが過剰評価されていた時代だからこその悲劇だね

    • -1
  27. 倫理は時代とともに変わるってことを再び教えられたかな

    • +3
  28. 赤子に白いフサフサの毛皮?を見せた後に大音量の騒音を出して泣かせるって実験が昔あって
    とうとう赤子が白い毛皮に触れただけで大泣きするようになったって実験があったらしいけど
    その後の赤子の追跡調査は行われてないとかで
    絶対成長しても後遺症あるだろって心配になったな

    • +9
  29. 有名な話だよね
    今ならホモ・サピエンス以外の霊長類は発声が出来ないって分かってるけど、当時は本気でチンパンジーを人間化できると信じていた人も多いんだろうなぁ

    • +5
  30. 実験の内容もさることながら、
    自分の子供でってのがマッドさを際立たせてるな

    もしタイミングよく実子が生まれなかったら、
    孤児院からもらってきてまで実験したんだろうか
    考えるのも空恐ろしいな

    • +8
  31. 人と姿が似ているからって同じとは限らない
    今なら普通に分かることだけど、当時はこんな実験しないと理解できなかったのか
    いや、当時のこんな実験があるから今の理解があるのかな

    • +4
  32. >ドナルドは人に噛みついたり、チンパンジーのように這いずりまわって、食べ物が欲しいときには唸り声をあげるようになったという。

    人間に限らずどんな生き物でも赤ちゃんは周りの家族や仲間などとのコミュニケーションから自ずと様々なことを学ぶもの
    愛情を受けられないばかりか実験動物としてこんな虐待同然の扱い受ければチンパンジーと一緒じゃなくても凶暴になるのはちょっと考えればわかりそうなものだと思うのだけど
    サイエンティストとしての探究心のほうが勝っちゃうのかなあ
    恐ろしいね

    • +2
  33. 人間同士でもレベルの低い集団にいたら腐ってしまうのに
    人の動物化なんて真っ先に懸念されることじゃないの・・・?

    当初チンパンジーが賢くなると思ってたとか実子を被検体にしちゃうあたり結果論考慮してもヤバイ感
    そりゃこんな事考えちゃう両親なので人生の基礎を全く教わることなく社会に放り出されて・・・と思ったら案の定43歳で自殺してるじゃないか

    親ガチャハズレすぎてきっつい

    • 評価
  34. 私たちが姉妹だったころって小説はこの話がモデルなのかな。面白い本なので興味がある方はぜひ。

    • +3
  35. 「言葉がわかるかどうか」はどうやって調べたんだろう
    犬のように持って来させるテストならまだわかるけど、チンパンジーとヒトでは口の構造が違うから「喋る」のは無理だし
    ヒトの幼児がチンパンジー化したかどうかどうやって調べるんだろ
    幼児の時点でさチンパンジーもヒトもそんなに違いなさそうだし、ヒトの子供でも1才以下なら奇声を発したりはい回るのは普通

    • 評価
    1. ※56
      人間として育て、チンパンジー側にも
      単語を喋ること、ないし類似した発声を期待していたそうだ。
      だが、それは皆無だった。

      一方で息子も、同月齢の平均的な子が50語ほど喋り
      簡単な二語文を始める頃に、まだ単語3つしか使えなかった。
      チンパンジーの吠え方って、動画でいろんなパターンを見ると
      カラスや犬やトランペットみたいな音だったり、
      人間の子が「あ゛~~ん」って感じでぐずるのと違って
      明らかに質的な違いが判る模倣だったんだと思うよ。

      博士は大学院生のころにインドの狼少女の話に触発されて、
      20世紀的な平等主義観というか「全ては幼児期の育て方次第の
      環境で決まる」という見解を持っていたようで(当時ですら
      先天的な遺伝疾患を疑う声は少なくなかったが、これに反対し
      形質的には全く健常児で、野生児化したのは 単に必要な時期の
      幼児教育の欠如によるものとの立場をとった)、人間の子供を
      野生児として動物に育てさせる実験は倫理的に無理だから
      逆に類人猿の赤子に人間としての早期教育を施し
      人間らしく育て上げてみせる実演を予定していたようだ。

      • +4
  36. 猿は猿なんだから人に近づける必要はないと思う

    • 評価
  37. 虐待と言えるかなあ?
    わんこやにゃんこと赤ちゃんを一緒に育てるとか
    何所のお宅も普通にやってるじゃん
    わんにゃんは良いお兄ちゃんになって子育てを手伝ってくれるぞ

    • -4

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

動画

動画についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

歴史・文化

歴史・文化についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。