メインコンテンツにスキップ

ゾンビ復活のよう。永久凍土で冬眠していた輪形動物が2万4000年の時を経て蘇り増殖する

記事の本文にスキップ

14件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 シベリアの大地を閉ざす永久凍土は、生命のタイムカプセルのようなものだ。2万~5万年前のケブカサイや3万2000年前の被子植物など、大昔の動植物がまるでつい最近まで生きていたかのような姿で冷凍保存されている。

 だがときにもっと驚くようなことが起きる。氷の中で眠りについていた太古の動物が現代に蘇り、さらに増殖まですることがあるのだ。

 『Current Biology』(6月7日付)で紹介されている大昔のゾンビは、2万4000年の眠りから覚めて現代に蘇り、自らのクローンをつくって増殖までしたそうだ。

永久凍土で凍結されていた2万4000年前の輪形動物

 そのゾンビは「ヒルガタワムシ(学名 bdelloid rotifer)」という輪形動物(ワムシ類)の仲間だ。5000万年前から淡水の中で暮らしているごく小さな動物で、輪形と呼ばれるのは、口のあたりに車輪のように回転する繊毛が生えているからだ。

 ロシアの土壌科学、物理化学・生物学問題研究所のリュボフ・シュマコワ氏らは、永久凍土となっていたシベリア北東部を流れるアラゼヤ川の深さ3.5メートルの地点で土壌サンプルを採取した。

 そこから発見されたのがヒルガタワムシだ。発見当時は冬眠状態にあり、代謝は停止していたという。土壌サンプルからは多数のワムシが検出された。

 シュマコワ氏らが土壌サンプルを分析した結果、ワムシが永久凍土に閉じ込められたのは2万3960年~2万4485年前であることが分かった。

解凍すると動き出し、摂食行動を始め、単為生殖でクローンを作り出す

 研究グループは、まず永久凍土が現代の微生物によって汚染されていないことを確認、解凍されたいくつかのワムシは通常どおり動き出し、摂食行動を行ったそうだ。

 それから適切な媒質入りのペトリ皿にサンプルを入れてしばし待つと、眠りから覚めて動き始め、やがては単為生殖でクローンまでつくり出したそうだ。

Rotifer (Wheel Animal) Feeding

ヒルガタワムシもクマムシと同じ無代謝状態を作り出していた

 ヒルガタワムシがこのような芸当をやってのけるのも、タンパク質の一種である「シャペロン(他のタンパク質分子が正しい折りたたみをして機能を獲得するのを助けるタンパク質)」を利用して「クリプトビオシス」という無代謝状態になれるからであるという。

 クリプトビオシスは厳しい環境に対して、活動を停止する無代謝状態のことで、水分などが供給されると復活して活動を開始する。あのクマムシがそうだ。

 さらにDNAの損傷を修復し、「活性酸素種」という有害な分子から細胞を守るメカニズムが備わっていることも、その生命力の秘密だ。

この画像を大きなサイズで見る
credit:Michael Plewka

人体のコールドスリープに応用可能か?

 ちなみに現代に蘇ったヒルガタワムシとそのクローンは遺伝子がまったく同じで、うっかりすれば区別できなくなってしまう。

 完全なコピーだが、一般的な寿命は2週間程度なので、データを採取する研究対象となったのは増殖したクローンの方だったとのこと。

 研究者によると、永久凍土から生きたまま得られた生物のサンプルは、低温生物学の最高の研究題材になるだろうという。

 ただしだからと言って、すぐに人体のコールドスリープが実現できるというわけではない。人間の完璧な冷凍保存技術は、もう少し待つ必要がありそうだ。

References:Arctic Rotifer Lives After Being Frozen for 24,000 Years in Siberian Permafrost / 24,000-year-old ‘zombies’ revived and cloned from Arctic permafrost | Live Science/ written by hiroching / edited by parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 14件

コメントを書く

  1. 人間 またあたらしい実験材料だな ニヤ

    クマムシ ニゲロ クルンジャナイ

    • 評価
  2. ちっちゃい子達は逞しいなぁ
    大絶滅乗り越えるのは矢っ張りこう言う種なんだろうな

    • +6
  3. みんな、火炎放射器かライターを準備しておけ。
    垂らした血液を火に近づけるんだ。
    反応したらあいつらだ。

    • +4
  4. レトロウィルスとかあるからちょっと怖いけど、
    遺伝子が同じって事は、問題は起きないかな。
    というか、何万年も前から遺伝子同じって凄いな。

    • +1
  5. 危険すぎるから封印しておいたのに、まさか掘り出す人がいるとは・・・考えが甘かったようだな・・

    • +1
  6. 私の眠っている間・・・外の世界がどのように変わったか・・・「うわぁぁぁぁ!」(食われる微生物) ワムシッ!

    • 評価
  7. 寿命は2週間程度なのに冬眠してたら2万4000年後であろうとも復活すんのか…
    まさに空想上のコールドスリープそのものだね

    • +4
  8. 遊星からのなんとかしゃん…じゃないよね、大丈夫だよね…

    • 評価
  9. 人類も、彗星の氷にくるまれて、遥か遠くの星系から飛来したのかな?

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

動画

動画についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

植物・菌類・微生物

植物・菌類・微生物についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。