メインコンテンツにスキップ

冤罪だった可能性大。死刑執行から4年後、新たなDNAテストで別の容疑者が浮上

記事の本文にスキップ

54件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
photo by Pixabay
Advertisement

 2017年4月、米アーカンソー州で殺人罪の有罪判決を受けていたレデル・リーという黒人男性の死刑が執行された。

 リーは、当初からそもそも冤罪なのではないかという疑いがあった。彼の死後も、リーの姉と弁護士は彼の無実の罪を晴らそうと戦っている。

 「Slate」誌によると、4年が経過した今、冤罪疑惑はいっそう濃いものとなった。新たに公表されたDNA検査の結果によると、凶器についていたDNAは、リーではない男性のものだったという。

死刑執行から4年後のDNA検査で、冤罪の可能性が濃厚に

 レデル・リーは、1993年にデブラ・リースさんの首を絞め、夫が護身用にとデブラさんに渡した木製バットで殴り殺した罪で死刑判決を受け、2017年に死刑執行された。リーは処刑されるまで、20年以上も刑務所で過ごし、その間ずっと無実を主張していた。

 デブラさんの隣人の何人かが、リーが家に入るのを見たと主張していたが、物的証拠はまったくなかった。リーの死後も彼の姉と弁護士は、無罪を証明するために戦っていた。

 先日、アメリカ自由人権協会などが、凶器とされる木製バットから採取されたDNAの検査結果を発表した。それによると、そのDNAはリーではない男性のものだったという。

 FBIの犯罪者データベースにその正体不明の男性のDNAに該当する人物は掲載されていなかった。そして現時点で、アーカンソー州のデータベースへの照会は行われていない。

 リーの現場に残されていた5つの指紋は、いずれもリーのものではないという。そして、これらもまたFBIのデータベースには掲載されていなかった。

 現場から回収された6本の髪の毛の分析からは、5本はリーのものではないことが明らかになっている。

 1本は確かにミトコンドリアDNAがリーのものと一致した。ただし、これは共通の母系祖先を持つコミュニティ内では全員がもっているもので、数千人が共有していたとしてもおかしくはないものなのだという。

 したがってある人物を容疑者から除外したり、容疑者の範囲を狭めたりするためには利用できるが、はっきりと個人を特定するためには使えない。

DNA from ‘unknown male’ discovered on murder weapon in Ledell Lee case

杜撰な裁判と、州による無謀な死刑執行命令書

 リーが有罪とされた主な根拠は靴跡の分析である。しかしこれは後に大きな欠陥があることが証明されているという。

 最初の控訴審を担当した弁護士は、法廷ではまるで酔っ払っているかのような様子で、その後自身が薬物依存症であることを認めている人物だ。

 さらにリーに知的障害があったこと、採取されたDNAが彼のものであるとは特定されてないこと、彼のアリバイを証明する証言者が呼ばれなかったなど、裁判ではリーの無罪を証明できる可能性のある証拠や証言がきちんと用いられていない。

 またリーの最初の裁判は「評決不能陪審」(陪審員の意見が一致せず、やり直しになる裁判)だった。にもかかわらず、二度目の裁判では、たった4日間の公判と3時間の審議で有罪が確定してしまった。

 アーカンソー州では薬物注射による死刑が行われているが、2017年、入手困難な注射薬の使用期限に間に合わせるため、11日間で死刑囚8人の死刑を執行しようとしていた。

 最終的に執行されたのは4人だったが、リーもそのうちの1人に含めれている。

References:slate / insider/ written by hiroching / edited by parumo

追記:(2021/05/12)本文を一部訂正して再送します。

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 54件

コメントを書く

  1. ほんと最悪だな。日本でも冤罪あったけど犯人だと決めつけて逮捕してなぜか裁判でも証拠不十分なのに有罪とかあるからな。

    明日は我が身。冤罪とか想像してるより多いんだろうなきっと。

    • +22
  2. いくら科学が進化しようとも、人間側が杜撰ならどうしようもないからね……。

    PC遠隔操作事件なんて、酷いもんだった。
    犯人は詰めの甘い小物だったが、その小物の思惑に司法関係者が悉く踊らされ、ド素人にも劣るIT知識と冤罪王・紅林麻雄の頃から何も変わってない醜態を晒したってんだから、絶句するわ。

    • +26
  3. 冤罪の可能性に警察当人が気付いていながら、警察の威信だかプライドだかを優先して有罪で押し通すという事態が、アメリカでも日本でも良くあるという

    冤罪で死刑になったら警察が”意図的に”殺した事になるんだが・・・

    • +32
    1. >>8
      チェンジリングっていう映画が正にそうだった。
      実話なんだけど、本当にそんな馬鹿な話があるのかってぐらい一部警察官のやり方がひどくて…

      • +5
    2. ※8
      アメリカでも日本でも、ではなく、世界中でありますよ。
      寧ろその確率が高いのは社会主義国でしょうね。
      日米でそのような事例があると認識できるのは、そういう事実を発掘し明らかにする権利がある為であり、社会主義国ではそれらの権利は存在しないので完全に封じられてしまうため表面化しないだけです。

      • +4
  4. 取り返しがつかないよ、どうしてくれるんだと

    • +11
  5. おおっぴらには言えない世の中が嫌いですが私は冤罪を0%にできない限り死刑反対です
    (※しかし身内の命が奪われた場合には反対を維持できる自信はありません。当事者になった場合は感情論者となってしまうのが当然なので)

    • +18
    1. >>11
      客観的に見ることができるあなたの意見は、尊重できる

      • +11
    2. >>11
      どんな可能性も0%や100%の証明なんて出来ない。
      それに死刑は反対だが、身内が殺されたら撤回かもとか話にならんな

      • -12
      1. ※24
        ※11さんは、信条がぐらつくかもしれないことを素直に認めているだけで、身勝手なことは書いていないように読めますが?鉄の意思でも持たぬ限り、なにかをきっかけに考えが大きく揺れ動くことは人生一度や二度じゃないでしょう。

        • +15
  6. 裁判じゃないけどネット上でも、ニュースソースだけで断罪してる人沢山いるよね。

    • +10
  7. 「それでも僕はやってない」という映画があったな。

    • +6
  8. 酷い事件だ
    黒人差別も関係あったんだろうな

    • +17
    1. >>15
      アーカンソー州だしね。
      時の大統領が白人至上主義者(あくまで明言してはいないけど)だったしね。

      • +4
  9. 冤罪で死刑は胸が締め付けられる…
    しかし、ヒ素カレーおばさんみたいなのをどう折り合いつけるか

    • +6
    1. >>17
      どんなに怪しくてもあの証拠で死刑判決は出すべきじゃなかったと思う
      めちゃくちゃ怪しいけども

      • +5
  10. 日本は、随分前の事件で一人だけ冤罪の可能性が高い人、執行されてるね。
    それ自体は反省したところで取り戻せない、ただしこのケースに当てはまるかと言ったら根本がかなり違うと思う。
    疑わしきは罰せず、その場の射殺はほぼなし、が日本の司法なので、全く現代ではこのケースに当てはまらないでしょう。
    冤罪の可能性と死刑の反対が全く違う問題なので、一緒にして考えるのはナンセンスです。

    • -5
    1. ※19
      所謂、痴漢冤罪の問題で、「疑わしきは罰せず」が徹底できているか疑問の生じる判決があったことはつい最近の話です。
      残念ながら、やはり現代日本の司法においても、冤罪の危険というものは当てはまってしまいます。
      さらに言えば、たとえ「疑わしきは罰せず」を徹底しても、このような冤罪の危険があること、それ自体は、神ならざる人の身で裁判を行う以上、不可避と言えます。

      ですので、冤罪と死刑制度については、冤罪の危険があっても、現代日本において死刑制度が存在することの利益の大きさに鑑みれば、それはやむを得ないと考えるかどうかが焦点となります。
      これについてどのような立場をとるかは自由であり、大いに議論を戦わせていくことが大切です。
      しかしながら、この2つが無関係だという考えはそれこそがナンセンスです。

      • +12
    2. >>19
      疑わしきは罰せず、は日本だけじゃなくてどこの先進国も掲げている(日本は輸入した側)し、日本も含め全ての国で常に揺らいでいる
      日本では無罪の推定が全うされてるだなんて思わないように

      • +5
  11. だから人が人を裁いちゃいけないんだよ

    • -18
  12. 死刑には賛成、何故ならテロでも死刑が無くなるので奪還や奪還をして貰える可能性を信じる輩によるテロの拡大と治安の悪化の可能性がかなりの確率で考えられる。死刑に対する証拠の正確性は、必要なので捜査部門に対する手段の拡充に加えて、弁護側の手段の拡充が必要だと思う。決して弁護側を先行させてはいけない。バランスよくする事が大事。

    • +3
  13. この記事だけで冤罪だと判断するのもどうかと思うけどね

    • -9
  14. 冤罪云々言い出したら司法が何一つ機能しなくなって社会が崩壊するだけだ
    死刑でさえなければいいって話にはならない
    社会的な効果を問うのではなく、自分がそうなったら嫌だからやめろなんていうのは、
    自分が交通事故にあったら嫌だからこの世から自動車を無くせというのと変わらんよ

    • -12
    1. ※27
      偶発的な死亡事故で死ぬのと、
      裁判所を通しての極刑で死ぬのとでは全く違う

      社会の崩壊を防ぐために冤罪の可能性は考慮するなという人は、自分の伴侶や同僚や恩師が冤罪で亡くなったとしても、社会の秩序を守るためには当然の処置だったと公言するんだろ

      • +4
  15. 現実問題として家族を残虐に殺された者だけが死刑反対と言える権利がある。

    実際に遺族が極刑を望むか望まないかが量刑に大きく影響を与えるが、
    その立場に立って極刑を望まない遺族はごくわずかである。

    • -2
    1. ※28
      私もあなたと全く同意見。
      高校生の頃、同級生のお姉さんが殺された事件があった。
      私は大事な家族を殺された彼に「死刑反対」とか「犯人の人権を認めてやって」とか、口が裂けても言えなかったし、今も言えない。

      • +1
  16. 死刑反対と言いたいならば、自分の家族が惨たらしく殺されたときに、
    「断固として家族を惨殺した犯人への死刑は反対です」って言えば、
    死刑にならない可能性がグッと上がるさ。

    永山基準では「遺族の被害感情」も判断基準だからな。

    • +3
  17. 映画でよくある汚職がらみの犠牲者じゃないの

    • 評価
  18. 死刑執行の後も証拠が残ってて、DNA鑑定やり直せるんだね。それはいいんだけど、生きてる内にやれなかったのかなと思う。

    • +8
  19. 陪審員制度の問題が如実に表れているね
    そして「ちょうど今」の状況なら仮に黒人が凶悪犯罪を本当に犯していても無罪や微罪で評決しそう

    • 評価
  20. 冤罪なら殺人だから関係者刑務所入れなきゃ

    • +5
  21. 黒人だから?知的障害者だから?

    そう思われても仕方がないよね、これは。

    死刑反対とかは思わないけど、冤罪の可能性を無視して強行的に刑を執行するのはなぁ…

    • +7
  22. 米国では1960年以降で死刑から無罪になった人が約170人いるそうで
    黒人だからとろくな証拠が無くても有罪にしていたパターンが多く
    DNA鑑定技術の進歩で無罪を証明できるようになった。

    • +5
  23. 死刑反対は絶対「家族が殺されても言えるのか」って言い出す人いるけど必ず「被害者目線」でしか話さないから意味がない
    今回みたいに冤罪だったり、あるいは自分や縁者が裁かれる側にまわることを想定していない人の意見は偏ってるだけなので意味がない

    • -3
  24. 死刑に関しては現状“罪の重さ”だけが判断基準なのが問題だと思う
    無罪か死刑ってのが両極端なんだよ
    疑わしきは罰せずの鉄則はそのままでいいけど、証拠集めたもののグレー寄りの黒って案件はあると思う
    凶悪事件であっても疑わしき証拠があったり不確定な要素が多いなら、冤罪回避の観点から無期懲役にするといった柔軟な対応が必要だと思う
    一方で大量虐殺した現行犯とか言い逃れようのない犯人は問答無用で死刑にすればいい

    • +1
  25. 裁判や捜査の経過がこれだったらこの方、気の毒すぎる
    白人だったら違ったんじゃ?って思ってしまう

    あと、こういう冤罪の話題には必ずといっていいくらい死刑廃止死刑賛成の話題が付属するけど、配偶者や家族が殺されても個人的に復讐すればした方が捕まるんだから法に裁いてもらうしかないしその結果としての死刑なら全然ありだと思うけど、それと殺人事件でも冤罪の可能性があるから一律死刑廃止にしてくれっていうのは全く別の話だよね
    なんで混ざるんだろう
    (長文ごめん)

    • +1
    1. ※53
      ・被害者遺族の復讐感情が満たされるという利益があるから死刑賛成
      ・冤罪が国家による殺人を引き起こしてしまうという不利益があるから死刑反対

      どちらも論理そのものは成り立つことから、あとはどちらの利益がより大きいのかを比べるというのが法律の世界ではよく行われます
      混ざっているのではなく両者を比較するという観点においては同次元の話になるのです

      • +2
      1. ※61
        勉強になりました。利益の大きさも時代や地域によって差があるでしょうから、国によって制度が違うことはむしろ自然なことですね。私自身は死刑はなくても良いと考えますが、「先進国は廃止が主流なので日本も倣うべき」と言われると、それはどうかなと思ってはいました。

        • 評価
  26. これがあるから死刑制度には反対なんだよ
    取り返しつかないもの

    • -1
  27. あー、リアル『グリーンマイル』かよ!

    • 評価
  28. もったいない精神で死刑にされちゃかなわんわ

    • 評価
  29. 揉めるくらいだから死刑にしなくていいんだよ。
    殺人犯は卑怯だが、合法的に犯人を殺したい(自身の手は汚さずに)ってのもまた卑怯に感じるんよね。
    私が被害者側である場合、納得出来なかったら自身の手を汚すよ。
    納得できないってのは結局、犯人を殺したい程の怒りや憎しみが収まらないってことだし、
    それを理由に誰かに代理執行してもらおうって気にはならないわ。
    職業とは言え気の毒でね。

    • -1
  30. 死刑制度なんて近代法治国家にあっちゃならん

    • -4
  31. 冤罪で善良な市民の人生を奪った検事には冤罪被害者が被ったのと同じ罰を与えた上で奪われた罰に対する賠償までしてもらうようにするべき

    • +1
  32. 死刑制度と冤罪は別々の事柄。冤罪が問題なら冤罪の発生を防ぐほうに力を注げばいい。

    • 評価
    1. ※65
      冤罪防止に力を入れていくことは当然のこと。それはそれとして現状の制度や運用状況ではこの程度の冤罪の危険があるので死刑は認められない。
      こういう主張をすること自体は論理的に誤りではないので、その反論は的を外したものになってしまいます。

      • 評価
  33. 文章を眺めた感じの印象だけで言うなら、偶然とか悲劇とかではなく
    単に責任ある立場の人たちが杜撰な仕事を繰り返し誰の注意も聞き入れなかっただけじゃないか
    なんかもう冤罪死刑の実例を作り出したくて無実の人を殺したようにしか見えないというレベルだ

    • +1
  34. この事件じゃえん罪だったけど、死刑にするだけの証拠はそろってたんだよね。
    流石に疑われても仕方ないくらいの凶行だったし

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

歴史・文化

歴史・文化についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

人類

人類についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。