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5000年前の精巧に彫刻された石球の謎(スコットランド)

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(著) (編集)

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credit:heraldscotland
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 スコットランドで、先史時代の石の球が500個以上も発見された。驚くのは、これらひとつひとつに非常に精巧な螺旋、円、曲線、滑らかなカーブなどの模様が描かれていることだ。

 現在でも、家の装飾品として十分に使えるほどのできだ。さらに、熟練の職人技を思わせるコブのようなものや、小さなプラミッドがついていたり、Covid19コロナウィルスそっくりの円や突起のついた模様もある。

 非常に謎めいていて好奇心を煽られ、庭の装飾物なのか、文鎮なのか、窓枠の飾りか、いったいこれらはなんのために使われたものなのか、議論が尽きることはない。

 そして今、スコットランド国立博物館で、5000年前のこれら装飾ストーンボールの謎を解き明かすべく、新たな試みが行われている。

謎に包まれたスコットランドの石球

 スコットランド国立博物館では、これまで発見されたものを分類した何百もの記録を徹底的に調べたり、バーチャルリアリティ技術や市民科学を利用したり、そして、行方不明になっている少なくとも2つのボールを探す作業が行われている。

 この不思議な球体のほとんどはスコットランド北東部のアバディーンシア州(現在のアバディーン州)で発見されたが、正確な発見場所はほとんどきちんと記録されていない。これらが歴史的に重要なものだと今ほどは思われていなかったからだろう。

 そのため、考古学的な宝としてしかるべき機関に引き渡されることなく、見つけた者がまだそのまま手元に置いている可能性がある。売り払われたり、忘れ去られたり、窓枠に取り付けたままになっているものも多々あるかもしれない。

Mysterious Geometric Stone Spheres of Ancient Scotland & Orkney | Hugh Newman | Megalithomania

行方不明になっている石球

 現在、スコットランド国立博物館、先史学博士のヒューゴ・アンダーセン=ホワイマークが先頭に立って、新たな研究に取りかかっている。

 この物体の謎の解明や、行方不明になっている少なくともふたつの石の所在が判明することが期待される。

存在が知られているふたつの石を見つけようと、追跡しているところです。最後に目撃されたのが、ひとつは1896年、もうひとつは1908年です

アンダーセン=ホワイマークは言う。

これがなんであるかを知らずに持ち去ったケースが、まだほかにもいくつかあるでしょう。スコットランドの埋蔵物法では、考古学的発見は必ず報告する義務があります。

この法律は昔から変わっていませんが、19世紀初頭から20世紀にかけては、誰もそれを守りませんでした。多くが個人の所有物になっていると思われます

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グラスゴーのケルビングローブ美術館と博物館にある3つのスコットランドの石球

credit:Johnbod / WIKI commons
 ある行方不明の石は、最初の発見者が40年も後になって、自分が持っていたものがなんであるかに気づいたことで、その存在が明らかになった。

 べつの行方不明の石は、コレクターがシェアした写真に写っていたようだが、入手することができたわけではなく、現在の所在は謎のままだ。

 だが、ほかにも国内に散らばって存在している可能性はかなりある。

「誰かの家の窓枠にはめられていたという話もあります。あのようなものが地面に落ちていたとしたら、放っておかずに拾って持っていくでしょう」

いったい誰が、何の目的で?

 この石球の大きさは、直径およそ7.5センチ。ほとんどが、特徴的なコブのようなものが3つ刻まれているが、もっと多い場合もある。精巧に刻まれた渦、螺旋、小さなピラミッド模様のものもあれば、粗削りでまだ完成していないように見えるものもある。

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新石器時代に分類された石球

image credit:Johnbod / WIKI commons
 見事なもののひとつに、タウィー・ボールがある。これは、粒子の細かい黒石を刻んだもので、表面に4つの特徴的な円盤が彫られ、そのうち3つの円盤には美しく複雑な模様が刻まれているが、もうひとつの円盤にはブランクになっている。

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credit:public domain/wikimedia

 これは、1860年頃、アバディーンシア州タウィー、グラシュール・ヒルの斜面の地下深くに排水溝が建設されていたときに発見された。

 これらの石の用途について、錘、武器、儀式用の道具、職人の技術を示す見習いの作品など、さまざまな可能性が言われている。

 部族の集会で発言権のある者が持つ、”スピーカーストーン”として使われていたのではないかという説もある。

 オーストラリアのアボリジニが岩絵の文化を活用していたように、刻まれた彫刻は歴史的な出来事を記録し、記憶の助けにするものだったという主張もある。

 これら球体の模様や形は、棍棒や斧のヘッドにも見られ、スコットランド各地で発見された岩絵にも反映されている。

「これらは、人々の想像力をかきたて、さまざまな解釈に事欠かきません」19世紀半ば以降にスコットランド各地で発見された何百もの石の詳細を記した、3冊の膨大な博物 館カタログを調査しているアンダーソン=ホワイマークは言う。

 また、スコットランド国立博物館のコレクションが所蔵する彫刻ボールの3Dモデルは、遠隔地からでもバーチャルリアリティを使って、調べることができる機会を与えてくれる。

Mystery Neolithic Stone Ball Discovery ~ Scotland

 これにより、世界中のアマチュア探偵や考古学の専門家が、用途に関する議論に自分の意見を参加させることができると期待される。

 石の分析結果から、多くの石が何度も作り直され、何世代にもわたって変化していった可能性があると、ホワイマークは言う。

 あるいは、最初はひとつの用途のために始まったものが、べつの用途に発展していったのではないかとも考えられている。

製造期間が非常に長く、一気に完成したものではないものもあります。最初はただのシンプルな石の球体として始まったのかもしれないし、表面につけられたコブも始めは浅かったものが、のちにどんどん深くなっていったのかもしれません。

がらりとデザインを変えてしまったり、表面のコブの数が倍以上に変更されたものもあります

 球体が何代にも渡って受け継がれてきたということは、古代の家宝のようなものと考えていたとも思われる。

今は、実用的なものと儀式用のものに区分けする考えがありますが、こうした区分けは過去でも同じだったわけではありません。

この石球には、儀式用と武器を兼ねた複数の機能があった可能性はあります。あるいは、数百年前から存在していたのなら、最初は武器のようなものから始まり、最終的には儀式道具、コミュニティの中の権威ある人たちのステータスアイテムになったのかもしれません

長い年月の間に、その用途が変化したことはありえます。正解はひとつではないというのが私の意見です

詳細は https://www.uhi.ac.uk/en/media/events/で見ることができる。

References:Mystery of Scotland’s ancient rock art stone balls set to be unveiled | HeraldScotland/ written by konohazuku / edited by parumo

References: :Mystery of Scotland's ancient rock art stone balls set to be unveiled | HeraldScotland

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この記事へのコメント 61件

コメントを書く

  1. 当然石球だ!とか流儀があったのかもしれん…

    • +6
  2. もとは投石の武器、のちに権威の象徴として装飾が施されていく、って流れのものかなあ。
    ロマンがあっていいですね。

    • +15
    1. >>4
      首とか肩のツボ押すのに良さそうやんなw

      • +2
    1. >>5
      願い事を言え。1つだけ叶えてやろう…

      • 評価
  3. メソポタミアの古代都市で使われていたような特定の品物と交換するためのトークンじゃないかな

    • +2
    1. ※6
      面白い!
      でも、トークンならいっぱい出てきそうですけどねぇ。
      「玉ガイシ」じゃねぇの、って書こうと思ったけど、焼き物じゃないし……

      • 評価
  4. 3つ並んでるうちの一番左はやきうに使われえそう

    • 評価
  5. 形状から考えると、戦闘用か狩猟用の武器として用いた一部だろう。
    窪みはおそらくロープを巻きつけるための溝の役割。
    ロープを巻きつけた石をそのまま振り回したかもしれないし、
    投げつけては手繰り寄せ、また投げつけるという使い方をしたかもしれない。
    または棒の先に石とロープを取り付けて振り回したのかもしれない。

    • +10
  6. 石球の表面調べたら血痕付着してそう
    いやでも弓矢の未発達の時代は投石が代わりで銘も彫っていたらしいけどあれオリエントの方だし
    敵の頭ぶち抜く投石タスラムとかもアイルランド神話の方だから違うか

    • 評価
  7. お菓子のおまけにつけてたんじゃないかな

    • +6
  8. あの時はみんなで競ってああいうのを作ってたな。なつかしい。

    • +5
  9. 謎の古代遺跡を守る正体不明の球体
    _人人人人人人_
    > ブリオン <
     ̄Y^Y^Y^Y^Y ̄

    • +3
  10. 一人の人が
    なんか閃いて
    これだ!って作って売りに出したんじゃないの?
    これ作る人ってそうそう居ないよ

    • 評価
  11. 表札とか土地の区切りに使われたんじゃないの?

    • 評価
  12. 黄金の回転で無限のエネルギーを生み出しそう

    • +3
  13. スリングショットかロープつけるタイプの投石用の球かなと思った。模様は命中する様にとのまじないかな?誰のものかわかる様にと考えると案外遊びのためのものだったりして。

    • +7
  14. なーんだ、ただのエデンの実じゃないですか

    • +1
  15. 女神転生の地霊ゴグマゴグみたいな模様やな 

    • +2
    1. ※26
      ゴグマゴグはアルビオンの巨人だから、こういう模様をモチーフにしているのかもね

      • +2
  16. 最近アサシンクリードをやったんでエデンのリンゴに見えた

    • 評価
  17. ネアポリス王国に伝わる技術を使えば動作もない

    • 評価
  18. 他の素材に紋様とかを付ける道具の様にも見える

    • 評価
  19. 直径7.5cmはほぼ硬式野球のボールと同じサイズ。
    投石用の石だったのが、次第に呪術的意味を帯びていった感じなのかな。
    「我が家秘伝の石」みたいに。

    • 評価
  20. スリングショットでぶん投げて相手を倒す石じゃないか?
    とがった形状は殺傷力を上げる為だし、個性的な模様は当たった相手に跡が残るから誰が投げた石で倒したか後から判別できるとか前に読んだ記憶がある。

    • +8
  21. 魔球の開発研究だよ。
    投石が曲がったりポップしたりすれば避け難いからね。

    なんてw、投石に魔術的装飾から芸術化、儀礼化かして美術的装飾だろうね。
    鏃には狩猟果を齎す呪い(呪い)がかけられていたし、その後矢や弓にも装飾される流れが、最後には破魔とかね。
    これと同様では。

    • 評価
  22. 木の実なんかを、「砕く・細かくする・すり潰す」という用途別で形状が違う調理器具。細かい模様の入っているのは、生姜みたいなものを「摺りおろす」用途の調理器具。
    推測してみたw

    • +3
  23. スコットランドあたりって、ローマ時代からすると田舎の果てって感じだし、それ以降の文化はロンドンのローマ植民地があったからって理解なんだけど、それ以前のものがいろいろ出ておもしろい。
    伝承が途切れてて、よくわからないのもロマンが膨らむ!

    • +3
  24. 個人的には、夫婦の営みのときに使われてたんじゃないかなと思う、もしくは一人寝が寂しい時に

    • +1
    1. >>41
      歳を取ると共に
      大きなサイズにチャレンジし続けてしまう
      例のアレですね

      • +1
      1. >>46
        石って人肌に暖めると長時間温かいんだよね、懐石の元々の意味である寒期に蛇紋岩・軽石などを火で加熱したもの、温めたコンニャクなどを布に包み懐に入れる暖房具(温石)を意味から考えても十分に用途として想定できると思う
        暖かい石のあの突起が気持ちいいのよ!とか、この微妙な曲線の部分が!とか

        • +1
  25. 荒木はこれ見てスティールボールランの球体をデザインしたんだってね

    • 評価
  26. こういうの出てくると
    後世の人達が悩んでしまうから作るのヤメテ❗️と
    昔の人達に言いたくなる

    • 評価
  27. >部族の集会で発言権のある者が持つ、”スピーカーストーン”として
    >使われていたのではないかという説
    これが有力ですね。
    後にローマ人からPictsと呼ばれるほど模様好き。彼らの言語や文化は不明点が多いが、
    彼らの遺跡の石柱の大半に丸印が刻まれている。
    模様は家紋と同じく一族の識別子で、丸石を持つ者が一族の代表者という意味で納得できます。

    • 評価
  28. 土器とかに押し付けて模様つける型みたいに見える

    • 評価
  29. よくわからんけどツボ押しに良さそうだなとは思った

    • 評価
  30. 前に似た球体があって結局、超最近の人が趣味で彫った石の球だったと判明したよな。恐竜の絵とか彫ってあんの。

    • 評価
  31. 螺旋のあれじゃん、なんだっけ黄金比の

    • 評価
  32. まだ目覚めてないだけのベヘリットだぞ。

    • 評価
  33. 誰かが、近代工作機で傷をつけたら、
    全部フェイクということにできる

    • 評価
  34. めっちゃ頭のいい民族が教育的に細胞分裂を表している物品っぽい

    • 評価
  35. 印地用の石だな。
    サイズや形状を揃えた方が命中率は高くなるし、凸凹があった方が
    命中した時の威力が増すし。

    • 評価

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