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アルジェリアの砂漠である隕石が発見された。それは地球よりも古く、もしかしたらこの世に誕生することのなかった惑星の胎児の欠片かもしれないそうだ。その隕石は「Erg Chech 002」と呼ばれている。昨年5月にアルジェリア南西に広がるシェシュ砂漠で発見された、合計32キロになる複数の隕石だ。
砂漠で発見された希少な隕石「Erg Chech 002」
大抵の隕石は塵や岩石が集合して形成される「コンドライト」に分類される。しかしErg Chech 002は「エイコンドライト」という少々レアなタイプだ。エイコンドライトは、火山性の物質で構成される隕石で、内部が溶けて核と地殻が形成されようとしている「原始惑星」で作られる。かなり珍しく、これまでこのタイプに分類された隕石は3179個しかない。
月起源や火星起源のエイコンドライトも見つかっているが、その3分の2は小惑星ベスタが起源で、ほとんどは「玄武岩」でできている。
しかし仏ブルターニュ・オキシダンタル大学のグループの分析によって、Erg Chech 002は玄武岩ではなく、「安山岩」という火山岩でできていることが明らかにされた。エイコンドライトを含めたあらゆる隕石の中でも、Erg Chech 002はとりわけ珍しいということになる。

Erg Chech 002の一部 credit:A. Irving, public domain
地球よりも古い原始惑星の破片
アルミニウム同位体とマグネシウム同位体に基づく放射性年代測定からは、この2つの元素が結晶化したのは45億6500万年前のことで、Erg Chech 002は45億6600万年前に誕生した天体の中で作られたことが分かっている。その原始惑星は、現在45億4000万歳の地球よりも古いのだ。『PNAS』(3月16日付)に掲載された論文は、「今日までに解析されてきたものとしては最古の火山岩で、最古の原始惑星をおおっていた原初の地殻の形成について教えてくれる」と述べている。
玄武岩は、マグネシウムと鉄が豊富な溶岩が急速に冷えることで形成される。しかし安山岩は、ナトリウムが豊富なケイ酸塩によって主に構成されており、少なくとも地球上ではプレートが互いに押し合っている「沈み込み帯」で形成される。
珍しいとはいえ、安山岩は南極やモーリタニアで発見された隕石からも見つかっており、現在その形成メカニズムが調査されている最中だ。そうした調査からは、コンドライトが溶けて形成されることが示唆されている。
太陽系において、コンドライトはごく一般的だ。ならば安山岩の地殻を持つ原始惑星もまた、ありふれたものだった可能性もある。

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原始惑星はどこへ行ったのか?
しかしErg Chech 002のスペクトルを小惑星のものと比較した結果、太陽系にはそれと一致するものが見当たらないことが判明している。安山岩の結晶は、隕石の物質として珍しいだけでなく、小惑星の物質としても珍しいということだ。仮にその形成プロセス自体は単純で、普通に起きていたものであるのなら、そうした安山岩を持つ原始惑星はどこへ行ってしまったのだろうか?
太陽系のほとんどの物資は最後には同じ運命をたどる。粉々に砕かれてしまうか、より大きな岩石天体に組み込まれるか、あるいはその両方か、だ。

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原始惑星が地球の誕生に関わっていた可能性も
Erg Chech 002は地球より少しだけ古い。そのため、生まれたての太陽の周囲に漂っていた塵の中で起きた地球の形成プロセスには、その原始惑星の手助けがあった可能性だってないわけではない。惑星が誕生するプロセスについてはかなり詳しく解明されてきてはいるものの、細部のプロセスとなると少々心許ない。
Erg Chech 002は、塵の中から母なる惑星が生まれた経緯についてさらに詳しく知るための、貴重な手がかりなのかもしれない。
References:This Is a Piece of a Lost Protoplanet, And It's Officially Older Than Earth/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
???「力が欲しいか……力が欲しいのなら、くれてやる!!」
2. 匿名処理班
河川敷に転がっている石と区別がつかん
3. 匿名処理班
インフィニティストーンかな?
4. 匿名処理班
海と宇宙の話は果てが見えなくてただただ怖い
5. 匿名処理班
この辺は”はやぶさ2”のお仕事と関連するかもな。
6. 匿名処理班
小惑星ベスタに何があったんだ?
7. 匿名処理班
ジャイアントインパクトで月の材料を削り取ったテイアの破片だったり
8.