
イスラエル、テルアビブ大学のグループが開発した「イヤー・オン・ア・チップ」という音声検出デバイスには、バッタの耳が搭載されており、耳だけを生かし続けて音声センサーとして利用することができるという。
近い将来、バッタの耳をもったロボットが誕生するかもしれない。
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バッタの耳を切り離しチップに搭載したデバイス
バッタにも耳がある。人間とは違って顔の横ではない。その翅の下、後ろ足のつけ根あたりに立派な耳が隠されているのだ。ついている位置こそ違うが、その耳は人間と同じく鼓膜で空気の振動をキャッチして、音を検出している。
『Sensors』(1月1日付)に掲載された研究では、バッタから耳だけを切除し、それをチップの上に搭載したデバイスが紹介されている。
バッタの耳は生体だ。だからバッタから取り除いてしまえば、いずれ死んで腐ってしまう。しかしイヤー・オン・ア・チップは、酸素と栄養を供給できるようになっており、耳だけを生かし続けて音声センサーとして利用することができる。

チップ内のバッタの耳 credit:Credit: Tel Aviv University
バッタの耳を持ったロボットを音で操作
イヤー・オン・ア・チップは、バッタの耳がキャッチした音声を増幅して、その信号をロボットに伝える。これを利用すれば、音でロボットを操作することだってできる。たとえば研究で紹介されているロボットは、パンッと一回手を鳴らせば、一瞬の間を置いて前進するし、2回ならバックしてくれる。

音でロボットを操作する実験 credit:Credit: Tel Aviv University
生物の体を使った技術の可能性
だが、なぜあえて最新のマイクではなく、バッタの耳をセンサーにしようなどと思ったのだろうか? バッタの耳はそこまで優れているのか?じつはそこはあまり問題ではない。というのも、この研究の目的は、生物システムの技術的な応用可能性を広げることにあったからだ。
つい昨年も生きたバッタを利用して、爆発物を探知するサイボーグバッタが作り出されたのは記憶に新しい。
現代技術は驚異的な発展を遂げたが、気の遠くなるような進化の果てに発達してきた生物の体に比べればまだまだだ。
たとえば人間の脳は、宇宙最高の情報処理ユニットでありながら、電球よりも少ないエネルギーで動作している。また、たった1グラムのDNAには215ペタバイト(2億1500万ギガバイト)ものデータを保存することができる。
生物の体にこれほどの性能があるのならば、それを拝借しない手はないではないか。生物を模倣するバイオミメティクスや生物そのものを利用する新たなる技術は今後もどんどん生み出されることだろう。
References:A world first: A robot able to "hear" through the ear of a locust | EurekAlert! / written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
バッタいるか?
生体システムってより物理作用だろ
2. 匿名処理班
イカ「嫌な予感がする・・・」
3. 匿名処理班
技術はすごいんだろうけど発想が怖すぎる
マッドサイエンティスト感全開
4. 匿名処理班
バッタ「お経を書き忘れて耳だけ持っていかれました」
5. 匿名処理班
生体模倣技術ではなく、バッタの耳を本当に切り取って利用だと…!?
6. 匿名処理班
飛蝗の耳は足にあるんだよね。
足がそのまま入れてあるかと思ったよ。
7. 匿名処理班
命の重さはどんな生き物も同じはずなのに、
爆発物探知をさせるのが犬じゃなくてバッタだと良心の痛みが少し軽くなるのは何故だろう
8. 匿名処理班
後の仮面ライダーである。
9. 匿名処理班
歯を使ったら、これがホンマのデバイス な〜んちゃて(;^_^A
10.
11. 匿名処理班
イナゴに使い道ができたの?
耳だけ生かすって発想が怖いけど
12. 匿名処理班
後に誕生する仮面ライダーのショッカーの研究はここから始まったのである。
13. 匿名処理班
>>8
逆だ逆!
バッタ怪人だろこれじゃあ!
14. 匿名処理班
動物保護団体は何やってんの?
ちゃんと抗議してんの?
虫だからって差別しちゃいけないよ
15. 匿名処理班
マキマが下等生物の耳を借りるってこういう事だったのか
16. 匿名処理班
???「ゴルゴム、ゆ゛る゛さ゛ん゛!!」
17. 匿名処理班
イ、イヤー!オン・アチチッッッッッッ
18. 匿名処理班
これが後にメタルクラスタホッパープログライズキーの開発につながると
19. 匿名処理班
かえして・・・耳
かえして・・・
20. 匿名処理班
※14
動物愛護だなんだと大層なお題目を並べても、所詮かわいいは正義!と大差ないのよね。
まともな人間ほど懐疑的になるのは当然と言える。
21. 匿名処理班
バッタには意識も痛みもないと思ってんだねぇ
22. 匿名処理班
R-TYPEみたいな未来が待ってそう
23. 匿名処理班
カマドウマで作ったら防空壕なり地下シェルターなり狙った所にずっと居着かせれる歩く盗聴器の完成だね
24. 匿名処理班
壁に耳ありとは言うけど、うかつに独り言も言えないなこれじゃ
25. 匿名処理班
※22
エンジェルパックは俺のトラウマ
26.
27. 匿名処理班
>>23
カマドウマ……自分はゴッキーよりも蜘蛛やムカデよりも、あの昆虫が怖い。
何か見てると、生理的にゾワゾワする。
悪魔が造形した虫に違いない。
28. 匿名処理班
このデバイスのバッタもんが流通しそうだな