
image credit:vintag
CGなどのデジタル技術がまだなかった時代、特撮映画には様々なな仕掛けや道具が必要だった。今からおよそ90年前に製作されたアメリカの大ヒット映画「キングコング」もそうだ。古典的なストップモーションアニメとして、機械的な小道具やいくつものミニチュアを使用していたこの映画では、キングコングも中の人が動かしていた。その仕掛けや構造がわかる当時の貴重な資料が公開されていたので見ていこう。
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金属の骨格を使ったキングコングのマスク
世界的にも有名な映画「キングコング」(1933年)は、当初、本物のゴリラで撮影するという案もあった。しかし実際のゴリラたちに訓練を拒否され続けた映画プロデューサーはその案をボツにして、キングコングのイメージに合うマスクやボディ、ミニチュアモデルなどを特注で手配した。

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類人猿や人間の表情をモデルにしたキングコングのマスクは革製だったが、その下にアルミ製の骨格が使われた。その骨格が骨と筋肉の役目を果たし、一般的なゴリラと違う豊かな表情を作り出した。

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骨格の構造自体はシンプルで、マスクをつけた俳優自身が下あごを上下できた。これによりキングコングの巨大な口がジャングルの狂暴な獣のように大きく開く様子を表現した。

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また目の上にあるパーツは目の上の出っ張りを強調し、太い眉をひそめた時の表情効果を上げるものだった。参考 キングコング後半シーンの一部
King Kong (1933)- Climbing the Empire State Building Scene (9/10) | Movieclips
ミニチュアモデルも骨格入り。キングコングらしい巨大な「手」も
この映画には、ストップモーション撮影を担当したウィリス・オブライエンがデザインした、サイズや素材の異なるミニチュアモデルが数体使用された。そのうちの1体は、アルミで作った骨格の隙間にモヘヤを詰めて作った「骨」を革で覆い、表面にかつら職人が何千本もの毛を植えたものだった。
また映画にはキングコングにふさわしい巨大な手も使われた。

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それは手の延長のように扱えるもので指の動きと連動した。なお骨にあたる素材はアルミニウム合金でできていた。女性を捕まえているシーンにはこの手が使われていたようだ。ちなみに以下は残存するキングコングのミニチュアモデルの一つ。所有者は2005年に「キングコング」のリメイク作品を監督したピータージャクソンだ。
Peter Jackson’s Original King Kong Stop-Motion Armature
90年も前のものとは思えないほどの映像はこんなに凝った道具に支えられていたんだね。
2021年5月には『ゴジラvsコング』が上映予定となっている。1933年のキングコングを一旦見ておくと、更に楽しめるかもしれない。
References:vintag / designyoutrustなど /written by D/ edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
これって考えようによっては今よりハイテクなんでは?
2. 匿名処理班
日本の昭和特撮オープニングロゴは
逆再生して演出が多いよね 特に円谷
3. 匿名処理班
ソウかと
4. 匿名処理班
ウルトラマンのタイトルや特撮など、技術力は己の頭と知識で
カバーじゃ精神で作った結果、現在でも芸術的な作品へ仕上がった
やっぱ最後は人のやりたい精神であり、いかにして最高傑作を
作って見せるぜというほとばしる欲求もあるのかもね
5. 匿名処理班
ウッホ〜ウホウホ
ウッホッホ〜♪
6. 匿名処理班
すごいっ!! やっぱり特撮は銀幕はもちろん舞台裏も楽しいね。
作り物感をどうやって臨場感に変えていくかが特撮映画の見せ所
7. 匿名処理班
こないだ見たけど面白かった
約90年前の作品とは思えない
8. 匿名処理班
Sawのトラバサミおもいだした
9. 匿名処理班
ワイヤーの操演もだけど特撮のこの謎のクオリティ技術は一体なんなんだ
10. 匿名処理班
>>9
passion!このひと言だと思う。
11. 匿名処理班
※4
年寄りのノスタルジーっぽく聞こえるのを承知の上で言うけど、特撮の神様レイ・ハリーハウゼンとかダグラス・トランブルが『シンドバッド虎の目の冒険』や『2001年宇宙の旅』でどれほど工夫を凝らしてリアルじゃありえない映像を生み出したか、というのは、裏話を読んでてもワクワクさせられたものだった。
CGの凄さを否定する気はないが、工夫を凝らす楽しみと出来上がりのワクワク感だけは失われた気がして仕方がない
12. 匿名処理班
アニマトロニクス?
13. 匿名処理班
キングコングはゴジラみたいな一瞬で思い出す
曲がなかったから中毒性が弱いんだよね。
映画は映像もだいじだけど
曲も良くないとなかなか生き残れない。
14. 匿名処理班
逆に最近はアナログに回帰してるよ。マーベルなんかは数時間かけてわざわざメイクしてる
15. 匿名処理班
※9
円谷英二とか特許も持ってたな
16. 匿名処理班
※13
曲の大切さはそうだと思うけど、キングコングは余裕で生き残ってる名作だよ
17. オヤジン
掲載されている“コングらしきゴリラ”の画像を見る限り、このギミックはキングコング(1933年版)ではありません。33年版はストップモーションが主体で、腕や足などは実物大モデルも作成されてたけど、さすがに着ぐるみが製作されていたという話は聞いたことがありません。この記事に掲載されているギミックは、他の映画に登場したゴリラのギミックなのでは?
18. 匿名処理班
※11
「すげー! どうやって撮影したんだろう!!!!」
って楽しみはなくなりましたね。
「すごい! リアルなCGですね!」になってしまった。
映像はの質はあがったけど、監督とか演出の腕の見せどころは減ったし、
それに伴って、閲覧者側の映像製作者さんへのリスペクトも
減ってしまったように感じます。
19. 匿名処理班
この手のアナログで物理的な特撮手法って今でも残っているんだろうか
ある種のロストテクノロジーになってそう
20. 匿名処理班
>>13
キングコングが生き残ってないって面白い冗談だね
何度もリメイクされて未だに新作映画が世界規模で公開されてる映画を指していうあたり
21. 匿名処理班
初代キングコングは今観ても中々のクオリティ。
と言うか、超巨大セットを組んだイントレランスもそうだけど、昔のハリウッドは今の時代じゃ考えられない創造性や熱意に溢れた場所だったと思う。
22. 匿名処理班
エンパイアステートビルでけえ!
ビルに比べるとコング小さいな