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人間の脳細胞をマイクロチップに織り込みAIの限界を広げる「ブレインオンチップ」の開発

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(著) (編集)

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 電子工学やコンピューター科学技術を駆使して、人の手によって作り出されたAI(人工知能)だが、いずれは半人工的な存在へと姿を変えるかもしれない。

 その演算能力に革命を起こすために、人間の脳の幹細胞を利用してしまおうと考える科学者が現れたからだ。

人間の脳細胞が人工知能の限界を広げる

 医療・金融・自動運転車など、さまざまな分野で普及が進むAIだが、特に研究開発が盛んに行われているのは機械学習を通じた製品開発やマーケティングの分野だ。

 人工知能によりたくさんの仕事をこなしてもらうためには、その性能アップが重要になるが、現在の電子工学的なやり方ではおのずと限界が生じてしまう。AIの性能アップには、高度な演算能力とそれにともなう膨大な電力が必要になるからだ。

 一方、AIの勢いにおされ気味な人間の脳細胞だが、AIにはない長所がある。それは栄養たっぷりの溶液が少量ありさえすれば、高度な演算をきわめて低いエネルギーで易々とやってのけることだ。

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マイクロチップに人間の幹細胞ネットワークを構築

 そこで英アストン大学のグループが中心になって立ち上げた国際的プロジェクト「Neu-ChiP」では、マイクロチップのうえに人間の大脳皮質に似せた幹細胞を構築しようと計画している。

 これによってコンピューターの学習能力をアップさせると同時に、消費電力を大幅に削減することができるのだという。

 マイクロチップ上の脳細胞にパターンが変化するビームを照射して刺激する。そのときの脳細胞の反応は、新しい情報にさっと対応する人間の脳の可塑性を模倣したものなのだそうだ。

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培養したラットの神経細胞のSEM画像。ニューロンは構造化された電極の上部と底部に位置している

image credit:3BRAIN AG

人間の脳とAIの融合で限界突破を目指す

 アストン大学の数学者デビッド・サード教授は、「目標はヒト脳の比類なき演算能力を使って、コンピューターの性能を一気にアップし、複雑な問題を解決できるようにすることです」と語る。

 このプロジェクトは、「処理能力と電力消費の限界を突破し、機械学習技術にパラダイムシフトを起こす可能性」を秘めているそうだ。

 Neu-ChiPは、欧州委員会の未来・新興技術(FET)や、イギリス、フランス、スペイン、スイス、イスラエルなどの提携機関から350万ユーロ(約4億4000万円)の助成を受け、各国から専門家が集まる、国際的・学際的プロジェクトだ。

 半人工・半生体チップの存在に生まれ変わった人工知能。それは半生命と言っても差し支えないのではという気すらしてくる。

References:eurekalert / / written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 32件

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  1. 完全AIなのにゴーストが囁いちゃいそう

    • +10
  2. イノセンスのゴーストダビングが現実になるのか。
    データの元に使われた人間は脳が焼かれる問題が…

    • +2
  3. この実験は五分前に始まって、今、君の意識を構成している。君には偽の記憶と五感を移植しておいた。

    • +6
  4. バイオチップですね。
    カウントゼロでみたわ。

    • +4
  5. >これによってコンピューターの学習能力をアップさせると同時に、消費電力を大幅に削減することができるのだという。
    理屈を説明してほしいな

    • 評価
  6. こんなのやったらいずれグラディウスのボスみたいになっちゃうよ

    • +4
  7. IQ500くらいある人造人間を作れそう

    • +1
  8. 俺の脳細胞混ぜるとAIパワーでものすごい速度で計算するくせにたまに鼻くそみたいな足し算で間違えたりしそう

    • +9
  9. 素晴らしいですねコレは。しかし電気以外のエネルギーが必要なせいで点検を怠ると即座に使い物にならなそうですし、スマホレベルの普及は難しそうかな?

    • +1
  10. 人間の脳を移植せんでもメタ化処理の概念を植え付ければ機械だけでも十分対応出来ると思うけどね。あと人間の場合は主に感情だけど「全否定処理をする」から、そこも加えておけば人間味のあるAIになるんじゃないかと。

    メタ化処理の概念と全否定処理をする性質を足したら、それは「偏見」って言うんだけどねw

    • -3
  11. リアルザイアスペックの一部分の実現か

    • 評価
  12. >>「人間の脳とAIの融合で限界突破を目指す」
    な?だから、このサイトで以前紹介されていた1月16日付の記事「人知を超えた超知能AIを制御することは不可能。ドイツの研究者が試算」の信憑性が一歩増した
    未来、誰かX氏によって人間の野心や生存本能脳領域とAIが融合され、その上更に生物移植?で「電気制御の呪縛から解放」されたらどうするの?
    「潜在的脅威の技術進歩」が止まる保証が何もない不安

    • -3
  13. 人工脳コンピュータ「…シテ…コロシテ…」

    • +3
    1. >>17

      「人は我々をシビュラシステムと呼ぶ」

      • +1
  14. これ
    バイオニューロチップじゃん
    滅茶苦茶危険なんじゃないの?

    • +2
  15. 日本もこういう研究に大枚をはたけば、、、と思ったけど
    完成したら中韓辺りに技術放出しかねんから駄目だわ。

    • +1
  16. え?暴走するんでしょう?エレベーターとかが。

    • +1
  17. チップを頭に入れようとする人もいれば頭(脳)をチップにしようとする人もいて面白いですなぁ…

    • +3
  18. この技術は人類滅亡へと導く
    ソースはグラディウスやメトロイドなどのレトロゲーム

    • +2
  19. 認知症の治療とかに、この技術を使って欲しい。

    • 評価
  20. 以前どこかの研究で脳細胞培養したら脳波出ちゃってこりゃ倫理的に不味いとなって即刻研究を中止したという記事があったけど、
    このスレの研究は倫理的に良いんかね?
    人の脳細胞を扱うという点で同じだけど

    • 評価

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