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消息不明の幽霊船、数十年も海をさまよう蒸気貨物船「ベイチモ号」の謎

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(著) (編集)

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 ベイチモ号は今も多くの謎を残す幽霊船である。1914年に進水して以来交易に使用されていたが、1931年のこと、アラスカ北岸で激しいブリザードに見舞われ、氷に阻まれてしまった。

 乗組員らは一旦船を降り近くにキャンプを設営したが、再び激しいブリザードが襲い、その後船は跡形もなく消え去ってしまった。しばらくしてイヌイットの猟師が離れた場所で発見したが、冬を越せないと判断され船は放棄された。

 放棄されたベイチモ号は、その後数十年も燃料もクルーもなしで北極の海をさまよい続け、1961年を最後にその消息がわからなくなった。

 ベイチモ号が現在どうなっているのかは不明のままである。沈没したかもしれないし、いまだに凍った氷山の間を漂流し続けているかもしれない。

貿易船「ベイチモ号」

 ベイチモ号は、もともとスウェーデンで建造された鋼鉄製の蒸気貨物船で、ドイツ・ハンブルグとの貿易路に使用する為1914年に進水した。

 重さ1,322トン、船体の長さ70メートル、動力は三段膨張式蒸気機関、スクーナー式索具も装備されていた。

 第一次世界大戦が始まるまでバルト海交易路で活躍したが、大戦後はドイツの戦争賠償の一部としてイギリス政府に引き渡された。

 その後、1921年にハドソン湾会社が取得、ベイチモ号と改名され、スコットランド、アルドロッサンを母港として、イヌイットの毛皮などを運ぶため、カナダとの間の北大西洋を行き来した。

 1923年、ベイチモ号はいつもと違うルート、北極圏西部のバンクーバーとの間を、ユーコン準州とノースウェスト準州の北部海岸に沿って航行した。

 ベイチモ号は貨物のほかに、ときどき乗客も運んでいたが、法的には人を運ぶことは認められていなかったため、乗客は乗組員として登録され、船上で働く代わりに部屋と往路の乗船を約束された。

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カナダで撮影されたベイチモ号 image by:public domain/wikimedia

ブリザードに襲われ船を放棄

 1931年9月末、バンクーバーに戻る途中のアラスカ北岸バロー岬で、ベイチモ号は激しいブリザートにみまわれた。氷に阻まれてしまったため、クルーたちはここで越冬しなくてはならなくなった。

 ところが、とてもそんなに長期の燃料はなかったため、クルーたちは船を離れて、近くのバローの町でキャンプを設営することにした。10月~11月の間、数人づつ毎日船に戻って、舵など主要な装備から氷を取り除いていた。

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氷に閉じこめられたベイチモ号から貯蔵品を運び出すクルーたち

 11月24日、再び激しいブリザードが襲いかかった。それが過ぎ去ると、ベイチモ号が跡形もなく消えていることがわかった。

 クルーたちは船は沈んでしまったと思い込んだが、まもなくイヌイットの漁師から、およそ72キロ南を漂っているのを目撃したという話を聞きつける。

 船は見つかったには見つかったが、冬を越せないと判断したクルーは、積荷の中から価値のある毛皮だけ回収して、ついに船を放棄した。

 船長のコーンウェルとクルーは、空路でバンクーバーに戻り、会社は船とわずかな積み荷を損失として抹消した。

その後数十年、海をさまようべイチモ号

 だが、ベイチモ号は沈まずにその後も漂流を続けたようだ。

 誰のものでもなくなってからまもなく、およそ480キロ東で目撃され、翌年には、アラスカの海岸近くをさまよっているところを再び目撃された。

 その後、数十年の間に、ベイチモ号は北極圏の極寒の海で穏やかに漂流しているのを何度も目撃されている。

 探検家や通り過ぎる船のクルーが、何度もベイチモ号に乗り込もうとしたが、そのたびにするりと逃げられてしまった。

 アラスカ原住民のグループがベイチモ号に乗り込んだことがあったが、ものすごい嵐のため、10日間船に閉じこめられた。

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ベイチモ号の舵から氷を取り除くクルーたち

1969年を最後に消息不明に

 1969年、放棄されてから38年後、アラスカ北西岸沖のバロー岬とアイシー岬の間のボーフォート海で氷に閉じこめられているのを目撃されたのが最後になった。

 それから40年近くたった2006年、アラスカ州政府は、ベイチモ号始め、アラスカ沿岸で行方不明になっているおよそ4000隻以上の船の捜索プロジェクトを開始したが、現在に至るまで何も発見できていない。

 ベイチモ号は、最後に目撃されてからまもなく沈んだというのが定説だが、いまだに世界でもっとも長くさまよい続けている幽霊船のひとつと言われている。

 そんなに長い間、無人の船が、とくに氷に阻まれたりしたら、生き残ることはまれだ。

 この不沈の幽霊船は、北極海の冷たい泥の海底のどこかに今は静かに横たわっていると考えるのが妥当だが、今もどこかをさまよっていると信じる人も多い。

Ghost Ship of the Arctic | Baychimo

References:SS Baychimo: The Unsinkable Ghost Ship | Amusing Planet/ written by konohazuku / edited by parumo

追記:(2020/12/31)本文を一部訂正して再送します。

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この記事へのコメント 25件

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  1. 衛星写真をAIに解析させたらすぐ見つかりそうだが

    • +5
    1. ※1
      軍の哨戒機とかね
      鉄の塊なんだし見つかりそうと思うけど、監視捜索手段は色々あるのにこの手の漂流船発見の話題ってちょくちょく有るからそう簡単なものでもないのかもですね

      • +2
    2. ※1
      衛星写真だって万能じゃねぇよ
      それなりの解像度にすると狭い範囲しか撮影できないから順番に撮影してるうちに移動してるかもしれん
      そもそも上空からの写真だけで船を特定までできるのかも謎だしな(アラスカだけで4000隻も行方不明になってるらしいし)

      • 評価
  2. 100年以上前のノーメンテ船舶が浮いていたら
    下手なオカルトよりも怖い
    しかもネズミいっぱいだと思うと絶対に入りたくない

    • +9
    1. ※3
      ま、沈んでるんでしょうね。
      浮いていてもネズミも死滅してるんじゃないかなぁ。

      鉄製だから、対潜哨戒機なら見つけられそうな気がします。ただ見つけたい動機がないから、この辺磁気異常があるとかで何もないというように処理されてそう。

      • 評価
    2. ※3
      ネズミの餌になる物なんて食い尽してると思う

      • +1
  3. さまよう船ってワクワクするよね!
    無事に浮いているところを見つかって欲しいな、ベイモチ号

    • +19
  4. ベイモチ号と空目してもうた
    正月だからか?

    • +11
  5. アラスカ沿岸だけで4000隻以上が行方不明になって見つかってないとか海の広さスゲー。

    • +8
  6. 何か昔見たホラー映画と似てる
    元ネタなのかな?

    • 評価
  7. 自由気ままにのんびり浮かんで旅してたのなんか可愛い。安らかに眠っていてほしい。

    • +5
  8. 海に漂う無人の船というと、ドラクエ3の幽霊船を思い出しますね。

    • +2
    1. >>13
      ふなのりのほねを使うと見つかるんだよね

      • +1
  9. ある時ひょっこりと姿を現すことを期待してます。

    • +4
  10. 衛星から見つかるはずなのに見つけられないということは沈没してるんだろうな

    • +1
  11. 素人の疑問として、氷に阻まれて身動きできなく放置された船が沈む原因には主に何があるんでしょうか?

    • 評価
    1. ※17
      素人考えだけど
      海水による船体腐食→空いた穴から海水流入→沈没
      が真っ先にあがるかと
      氷による圧縮で船体の継ぎ目が広がる→隙間に海水流入→沈没
      もあるかな

      一言でいうと「経年劣化で穴が空いて沈む」パターンじゃないかなー

      • +1
  12. 幽霊船ジェットフォイルとか出ないかな

    • 評価
  13. 「アラスカ沿岸で行方不明になっているおよそ4000隻以上の船」に驚いた。
    何年間にだろう?

    • 評価
  14. 海路は定められてるので、船で仕事してると幽霊船とか普通に遭遇する。台風で岸から流されちゃったり、廃船にするための曳航中に係留がちぎれてどっかいってさまよってる船がそれ。実際は岸からそんなに離れた場所を航行しないので、必然的に幽霊船もそこらへん彷徨ってる。あとはいらなくなって不法投棄した船とか。

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