
家族以外とも絆を履くぐむシロイルカ/iStock
頭がよく、社会性が高いことで知られていたシロイルカ(別名:ベルーガ)だが、これまで考えられていた以上に社交的だったようだ。シロイルカは、シャチやアフリカゾウのように、母系の血縁関係で結びついた、メスを中心とする社会的つながりの中で生きていると考えられてきた。
ところがフロリダ・アトランティック大学(アメリカ)を中心とする研究グループが、その群れの行動などを分析した結果、家族だけでなく、血縁上はあまり関係のない仲間とも頻繁に交流していることが分かったのだ。
人間社会では、親族だけでなく、状況に応じて赤の相手であっても人付き合いが生じ、社会的ネットワーク・支援構造・協力・文化などを作り上げている。多様なパターンの群れを形成するシロイルカの社会にも、これと似たような部分があるのだという。
メンバーが入れ替わるシロイルカの群れ
アラスカ、カナダ、ロシア、ノルウェーなど、10地域におけるフィールドワークと遺伝学的調査で明らかになったのは、シロイルカがさまざまなパターンの群れを作るということだ。母子のペア、大人のオスの群れ、年齢や性別の異なる個体で構成された群れ、小さな群れや大きな群れなどが、さまざまな集団や生息域で観察された。
また特定の行動がこうした群れの種類に関係していることや、群れのメンバーがよく入れ替わることも判明した。
「シャチやゴンドウクジラ、さらには一部の人間社会とは違い、シロイルカが近縁者だけと付き合うようなことはありません」と、グレッグ・オコリー=クロウ博士は説明する。
さまざまな生息域において回遊集団と居住集団のどちらもが、あらゆる年齢のオス・メスを含む数百頭、場合によっては数千頭のコミュニティを形成しています。
高度に発達した音声コミュニケーション能力のおかげで、一緒にいないときにも仲間と定期的に音を使って連絡を取り合えるのかもしれません(オコリー=クロウ博士)

iStock
母系だけなく、父系とのつながりも
シロイルカの群れは、他の動物のように、血縁関係が近い母系の親族だけによって構成されているわけではなかった。小さな群れにも大きな群れにも、複数の系統の母親が所属していたのだ。群れのメンバーが同一の「ミトコンドリアDNA」(母親から子に受け継がれるDNA)を持っているときですら、彼らが近親者などではなく、多くの場合にその遺伝的つながりがむしろ父系であったことが明らかになっている。
こうした結果は、シロイルカはメスの近親者で構成された母系社会システムの中で生きているという、当初の予想を大きく裏切るものだ。

Pixabay
同じハクジラ亜目でも、シャチとは違う
そうした行動は、この予想の元になっている「ハクジラ亜目」(ヒゲクジラ亜目と並ぶ、現生のクジラを2分する大グループ)の群れ行動とも違う。たとえばシャチは、オスもメスも、近しい母系親族で群れを作り、一生を共にする。ところが同じハクジラ亜目の仲間であっても、シロイルカの群れにははば広い群れのパターンが存在する。
「2〜10頭だけの小集団から2000頭を超える大集団、同性や年齢が近いものの集まり、年齢も性別もさまざまな群れ、一時的なグループから数年にわたる付き合い」まで多種多様だと、オコリー=クロウ博士は話す。
こうした多様性は、グループの構成や大きさが状況次第である離散集合社会であることを示唆しています。
一方、定期的に集合・離散する安定した社会単位で構成される、より固定化された多層社会を反映したものである可能性もあります。こうした群れにおける親族関係の役割はほとんど分かっていません(オコリー=クロウ博士)

image by:Lisa Barry / NOAA / NMFS / AFSC / MML.
家族だけでなく、他者とも絆を結ぶ
こうした発見は、シロイルカの集団生活や協力関係には、包括適応度の問題だけでなく、それ以外の進化メカニズムもまた関わっているに違いないことを示しているという。母と子だけのペアから大きなコミュニティまで多次元社会を形成するという視点に立てば、シロイルカの社会は、身内だけはなく他人とも交流して協力する人間社会にも似ている部分がある。
およそ70年という寿命や生まれたコミュニティにとどまる傾向を考えると、シロイルカは家族だけなく、他者とも長期的な仲間意識のようなものを育んでいるらしきことが分かるとのことだ。
この研究は『Scientific Reports』(7月10日付)に掲載された。
Group structure and kinship in beluga whale societies | Scientific ReportsReferences:fau/ written by hiroching / edited by parumo
https://www.nature.com/articles/s41598-020-67314-w
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コメント
1. 匿名処理班
陰キャワイ
誰とでも仲良くなれるシロイルカ以下の社交性しかなく、ひとり時間が好きすぎる
しかしイルカはかわいい
2. 匿名処理班
牛や豚も近いレベルで頭良い筈なのにね
3.
4.
5. 匿名処理班
2
そんなに動物がかわいそうなら、自分で実行したら良いよ。
人間に囲われている動物を、次々と鍵を外して、野に放てばいい。
何もせずに文句言うだけなら、そらぁ〜どこのサイトからも嫌われるわ。
6.
7.
8. 匿名処理班
シロイルカは平和の象徴って言ってもいいと思う
ただしシャチテメーはダメだ
9. 匿名処理班
土下座でも何でもするからシロイルカ様、ぼっちの僕と友達になってください
10. 匿名処理班
人類無き後は、地球を頼みます・・_| ̄|○
11. 匿名処理班
野生動物も虫も植物も、自分勝手に生きていると思われているのは、全くの誤解なんだよね。
よーし 白イルカの仲間に入れてもらえるぐらい、自分磨きするぞー
ヽ(=´▽`=)ノ
12. 匿名処理班
※10
So Long and Thanks for all the Fish
13. 匿名処理班
※5
その人は水生哺乳類だけ高度な社会性を営んでます!と言う風潮に物申してるんですよ
偏った動物愛護系にね
深呼吸でもして落ち着いて下さい
14. 匿名処理班
>>13
(・・? 誰も牛や豚を卑下しているコメントはしてないが? なぜにいきなりケンカ腰のコメントを??
私もいつものコミカルなコメントを楽しみたいのだけど。
15. 匿名処理班
社会性ねぇ〜?
16. 匿名処理班
>>5
心療内科が必要なほどのゲスパー
17. 匿名処理班
下手に親しくなると「僕んちおいでよ」感覚で海に引きずり込まれるので注意
18. 匿名処理班
>>16
苦情の付け方に品が無い。まったく下品。お里がしれるし、親が知ったら泣くよ。やめなさい。
19. 匿名処理班
>>8
なんか誤解されてますが、シャチってものすごく平和的な生き物なんだよ。人間なんか比べ物にならないくらい。
ただご飯とその捕り方がアレなだけなんですよ!
20. 匿名処理班
陽キャw
パーリーw
交友関係がもう人間と変わらんw
21. 匿名処理班
サークル仲間、同僚みたいな感じか
22. 匿名処理班
よくよく調べたら陰キャやオタクなシロイルカもいるのかもしれない。
23. 匿名処理班
はぐれたイッカクを仲間にしていたシロイルカの群れもあるそうだから
外見やコミュニケーション方法が違っても気にしないのかな
でも群れを形成する以上は意思疎通が必要だろうしどんな方法を使っているんだろう
24. 匿名処理班
>>14
なんかあなた尽くズレてますね
>誰も牛や豚を卑下しているコメントはしてないが?
誰も牛や豚を卑下したことを責めてない
>なぜにいきなりケンカ腰のコメントを??
誰も喧嘩腰じゃない
>>5でいきなり意味不明な、これまたズレた方向から喧嘩腰になってるのがあなたですよね
25. 匿名処理班
>>24
(^^) 冒頭から「牛や豚も〜」とあえて、すごく、当たり前な事を書く、言葉のセンスは、ここの記事にズレたより、サイトの空気を読めてないから出来るコメント。
動物愛護の偏向について書くなら、逆波を立てるコメントのセンスを、選んで出す必要ないのに。
こうしたクセがある人は考え直した方がよい、どこのサイトからも嫌われる。
26. 匿名処理班
シロイルカ(ベルーガ)とキャビアの「ベルーガ」は関係ありませんのであしからず。
27. 匿名処理班
シロイルカは海のカナリアとも言われるほど多くの鳴き声を使ってコミュニケーションを取る生き物だから驚きはないな
ウィキペディアと他の文献ではシロイルカの群れ形成の記述が違っていたから、きっとまだ不明なんだろうと思っていたけど、ようやく判明したんだと思うと感慨深い
ところでシロイルカの寿命は40年程度だと思うんだが、70年生きるってどこ情報なんだろうか…
ソース読みに行きたいが英語力が足りない
28. 匿名処理班
>>22
確か北海道の能取湖にぼっちのシロイルカがいたはず
地元の漁師に可愛がられてるから厳密にはぼっちじゃないけど
29. 匿名処理班
※2 牛や豚をペットにしている人もいるけれど、
多くは食肉用だから、研究するのがつらくなるんじゃー
なかろーか。でもしている人がいない訳ではなく、
別記事に牛は親友を持つ、ってあったよね。
あと家畜は野生動物ほど自由に動けず、行動観察に限界があるかな。
30. 匿名処理班
シロイルカだっけ
膿に落としたスマホを拾ってきてくれたの
すごい賢いなーと思った動画だった
31. 匿名処理班
>>30
ウミと海 変換間違いなだけなのに、ものすっっごい英雄に思えるシロイルカ
32. 匿名処理班
>>23
カラパイアの記事で、バンドウイルカの鳴き声覚えて馴染んだシロイルカの記事見たことある。