メインコンテンツにスキップ

魚だって恋人を失うと悲しい。オスを連れ去られたシクリッドのメスは悲観的になりふさぎ込むことが判明(仏研究)

記事の本文にスキップ

23件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Haplochromis/wikimedia
Advertisement

 魚のカップルにも深い絆があるようだ。一生を同じ相手と添い遂げる魚「コンビクトシクリッド」は、固い夫婦の絆を見せることで知られている。

 今回、仲の良いシクリットのカップルを引き離すという実験が行われた。その結果、オスを連れ去られたメスのシクリットは悲しみに暮れ、ふさぎ込んでしまうことがわかったという。

動物にも感情がある?動物界に見られる夫婦の絆

 一生をたった1人の伴侶と添い遂げる。そんな暮らしを送る動物は、きっと相手と特別な絆で結ばれているに違いない。

 鼻をすり寄せる狼の夫婦、くちばしで羽をつくろい合うコカトゥーのつがい、配偶者の死を嘆く白鳥や猿など、動物界では彼らが夫婦間で愛情を感じているらしき行動が観察されている。

 しかしそれが本当に愛情ゆえの行動なのかどうかは、動物が感じている感情を客観的に評価しなければ断言することができない。

 その方法の1つは、動物の気分はその世界観にバイアスを与え、様々な意思決定に影響するという仮定を利用したものだ。

 これは人間では確かなことだ。たとえば気分が滅入っているときに曖昧な文章を読んだ人は、それをネガティブに解釈することだろう。そして、こうした気分によって生じるバイアスは、カナリアからミツバチまで様々な動物で確認されている。

一生を同じ相手と添い遂げる魚、シクリッド

コンビクトシクリッド」という中央アメリカ原産のスズキ目の魚もまた、固い夫婦の絆を見せることで知られている。

 コンビクトシクリッドは一生を同じ配偶者と添い遂げ、協力して子育てをする。子育てでは、メスが主に卵を抱き、オスは危険がないかパトロールをする。稚魚が孵化したら、巣から離れてしまった稚魚を口に含み、安全な巣まで運んでくる。

 また相性のいいシクリッドのつがいなら、稚魚を狙う敵が接近すれば一致団結して子供を守ろうとする。力を合わせれば、自分よりずっと大きな敵でさえ撃退可能で、水槽に入れられた人間の手に攻撃し、出血するほどの傷を負わせるくらいだ。

 ところが相性の悪いつがいもいる。そうなるとオスとメスが夫婦喧嘩をするようになる。オスに至っては、あろうことか自分の子供やメスを食べてしまうことすらある。

 メスは自分よりも3割ほど大きいオスを配偶者に選ぶ傾向があるのだが、オスから見てメスがエサに見えるような体格差ではない。

この画像を大きなサイズで見る
コンビクトシクリッドのメスとオス

image:Deanpemberton/wikimedia

恋の相手を奪われたメスは悲しむのか?

 フランス、ブルゴーニュ大学の研究者は、このシクリッドを対象に、メスが配偶者をどのように感じているのか調べる実験を行った。

 まずシクリッドのメスを訓練して、水槽の隅に置かれた黒か白の蓋がされた箱を区別できるようにする。黒か白のどちらかの箱にはエサが入っており、きちんと区別できればそれを食べられる。

 実験はここから。今度は黒と白の箱の間に灰色の箱を置いてみるのだ。色が曖昧な灰色の箱を見ても、そこにエサが入っているか即座に判断することはできない。

Convict cichlids are trained to open boxes in order to assess their mood

 だが研究者は、気分がよく、楽観的になっているシクリッドならばすぐさま箱を開け、悲しみに沈んでいるシクリッドなら箱は空と考えるのではないか、と予測した。

 そこで、メス35匹それぞれにスクリーンで区切られたオス2匹を見せて、好きな方を選ばせた。

 好みのオスを見定めたメスは、すぐ近寄って求愛行動を開始する。だが、このタイミングで、メスが選んだオスか拒絶したオスのいずれかを水槽から取り出してしまう。

好きなオスを奪われたメスは悲観的になることが判明

このプロセスの各段階で、メスの気分が検証された。そして、ほとんどの状況では、シクリッドのメスはすぐに灰色の箱を調べ、そこにエサがあるのではと期待しているらしいことがうかがえた。

 ところが、メスが自分で選んだオスを奪い去られた状況では、箱を調べるまでにかなりの時間がかかった。一方、白や黒の箱についてはこれまで通り、エサの有無を調べていた。つまり、彼女らが自暴自棄になっていたり、関心を失っているわけではなさそうだった。

 おそらくはメスは、好きになった相手が連れ去られてしまったことで気分が沈み、悲観的になっていたのではないかと推測されるのだ。

 ちなみに、望まぬオスとつがいにさせられたメスは、卵を産むまでに時間がかかり、数も少なかった。さらにお互いに対して、攻撃的な兆候も垣間見えたという。

 この研究は『Proceeding of the Royal Society B』に掲載された。

References:insidescience/ written by hiroching / edited by parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 23件

コメントを書く

  1. いずれ、ニンゲンも、そうした実験をされる立場になるかもね
    自業自得、因果応報ってやつか

    • -3
  2. う~ん
    研究内容見るとちょっとうなずけないな
    証明されたというほどではない

    • +11
  3. 人間だとリア充ざまーで終わりだが、それ以外の生物で
    この実験はちょっとやり過ぎだと思うよ
    それに人だと謝れるが普通の生物で言葉は話せないし
    どうやってこの後の問題解決するのだ

    • 評価
  4. >ちなみに、望まぬオスとつがいにさせられたメスは、卵を産むまでに時間がかかり、数も少なかった。さらにお互いに対して、攻撃的な兆候も垣間見えたという。


    人間じゃん

    • -1
    1. ※4
      人間は愛情があったほうが揉める印象だな

      • 評価
  5. 可哀相だから実際にやりたくはないけど、長年連れ添ったパートナーを何組か用意して、片方を隔離したら鬱になるのかとか、再会させたら喜ぶのかとか、そういう実験のほうが先じゃないかな
    もうすでにやってるとか、シクリッドが長期間飼育しにくいとかいろいろ理由はあるかもしれんけどこの実験だけじゃちと説得力が足りないな
    魚に感情がないとはこれっぽっちも思わないけどね

    • +15
  6. まるで人間並みな知能とか感情を持っているような考えだな
    ここにも人間のエゴが

    • -12
    1. >>7
      違うかな。魚レベルの知性の生き物が感じる「落ち込み」を、人間も克服出来ていないということだよ。

      • +7
  7. 私は失恋したらカラオケで蝋人形の館を歌うけど、シクリッドはどうやって立ち直るんだろうか

    • +13
  8. 哲学的ゾンビと同じで客観的に意識や心があるかないかはわからないとして(そいういのは議論から外すべき)

    元論文によると、実験は次のよう
    色を分けて、餌が入っている、入っていない、わからないけど餌の可能性がある、のパターンを識別できるよう訓練したメスを、統計的に十分とされるかず用意

    好きなオスとつがいになれたが引き離された

    好きじゃないオスとつがいになったが引き離された
    コントロールとして、同じ個体で、オスを選ぶ前、オスを選んでいる間の対照群がある

    この実験では好みのオスとつがいになれた後、引き離されたメスがネガテイブ(とされる行動)になるという結果になっている

    疑問なのは、好みのオスとつがいになれたけど引き離された対好みのオスとつがいになれたし引き離されなかった
    の比較をしなかったこと

    じゃないと、好みのオスとつがいになれたメスは、予想がつかない事態に対して単に慎重になった、という対立仮説を否定できない

    • +2
  9. そりゃまあ、常識的に考えたら悲しいだろうよ
    せっかく自分が気に入るオスを捕まえたのに…
    『彼の子供をバンバン産むわよ?』と張り切っていたのに
    それなのに、また一匹に…そりゃ普通に落ち込むわ

    • +8
  10. 一部の行為中に相手を食っちまう奴以外は基本的に感情はあると思うの
    離れがたくした方が繁栄に繋がりそうだし

    • +2
  11. 魚だって神経伝達物質の変化で行動が決まるのでは?
    この魚の場合つがいであることで生存確率を高めてきたのだから、それを阻害する要素を排除するトリガーを持っているのは当然。
    感情自体は原始的なもの。

    • +6
  12. シイラとかもつがいでいるから、片方釣るともう一匹付いてきたりするね

    • +3
  13. 反証実験として仲の悪いカップルを引き離したとき
    逆の効果が現れるかどうかの検証が必要

    • 評価
    1. >>17
      それはやっているよ
      結果、逆に積極的にグレーの箱を開けた

      • +4
  14. つらい動物実験だなあ。。。
    シクリッドの一部は飼い主に懐くんだよね。
    手にじゃれて遊んでいる動画、確かここでも見せてもらった。

    • +4
  15. 昔飼ってたクマノミペアのうち、旦那のほうが不慮の事故でお亡くなりなったとき、未亡人になった片割れの方が一気に元気なくなって、餌もあまり食べなくなって一カ月後くらいに後を追うようにお亡くなりになってしまったことがあったが、その時の落ち込みぶりは見ていてかわいそうになるくらいで、魚にも愛とかそういうもんがあるのかなと思った。

    • +12
  16. だが研究者は、気分がよく、楽観的になっているシクリッドならばすぐさま箱を開け、悲しみに沈んでいるシクリッドなら箱は空と考えるのではないか、と予測した。

    そもそもこの前提に根拠がない

    • +3
  17. 言葉が話せないのをいいことに
    なんでも擬人化するのはよくない

    無論、個体と種族の保存が本能な以上
    それが阻害されれば影響はあるだろうよ

    • +1
  18. うーん
    エサ探すよりさっきのオスはどこに行ったの?って気持ちが先行してるだけじゃないかな?
    メスのシクリッドにとってオスはただの繁殖相手ではなく、一生を添い遂げる大事なパートナーだ。目の前のいっときの食事より重視して当然じゃなかろうか。
    なんか、いちいち人間的な感情や思考をこじつけるのイヤだな。

    • 評価
  19. シクリッド科はペアで子育てするのがいいよね
    数匹の中からペアができて、ずっとそのペアで寄り添ってる
    記事の実験は上の方も書いてるようにオスはどこ?って感じだろうね
    ディスカス、エンゼル、アピスト飼ってたけどまた飼いたくなったよ

    • +1
  20. 確かに可哀想で心が痛む。
    けど人間は人間のエゴと発展と生活の為に動物実験を繰り返し、動物を弄び搾取し、その恩恵を受けてきたのに何を今更…って気もする(ここのコメント)

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

水中生物

水中生物についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。