
メタンからアミノ酸まで、有機分子が宇宙に存在することはすでに知られている。そして、おそらくそれらのいくつは炭素を含む隕石に乗って地球に持ち込まれたことだろう。
だが今回発見されたものは、そうした地球外分子のサンプルとしては最古のものである可能性があるという。
火山岩の堆積層から地球外の有機分子
南アフリカ東部とエスワティニ(旧スワジランド)にかけて、マコニワ山脈やバーバトン緑色岩帯と呼ばれる小さな山脈が横たわっている。そして、そこにある7〜20メートルも堆積した33億年前の火山岩層を「ジョセフダル・チャート(Josefdal Chert)」という。
『Geochimica et Cosmochimica Acta』に掲載された研究によると、その火山灰の層の間には、火山活動があまり活発でなかった時期に積もった、どこか岸辺のように水の影響を受けたような炭素の層があるという。
研究チームは、そこで採取された切手くらいの大きさのサンプルを薄くスライスして、そこにある電子がゆっくりと変化する磁場にどのよう反応するのか確かめてみた。
するとスライスの中からいくつか異なるシグナルが発見された。そのほとんどは地球上で見られる炭素シグナルだったが、スライスの1枚からは炭素を含んだ隕石(つまり有機物)を思わせるシグナルが見られた。

バーバトン緑色岩帯の衛星画像:NASA
いかにして33億年を耐えたか?
そこに地球外を起源とする物質があったこと自体は驚きではない。現在でもそうであるように、古代の地球でも、小さな隕石が落下して、有機炭素分子が持ち込まれることはあっただろうからだ。やや意外だったのは、33億年が経過しているというのに、こうした物質がいまだに検出できるだけ十分に残っていたことだ。
その説明として、おそらく隕石が衝突して大気中に塵の層を作り出し、それが落ち着いてから解析された地層が形成されたのだろう、と仮説が立てられている。
Extraterrestrial Organic Matter Discovered In 3.3-Billion-Year-Old olcanic Rock
地球外生命の痕跡なのか?
これはたった1つの証拠に過ぎないし、33億年前に堆積した文字通りの分子というわけでもない。それでも、こうしたものがあるのだと知っておくことは重要だ。研究者たちは、火星をはじめとする他の惑星にかつて生命が存在したのではないかと調査を進めている。すべての生命体は主に水と有機物で構成されているために、彼らもまたこれらを探している。
注意が必要なのはこの点だ。隕石が作り出した堆積物に有機物が含まれているのならば、それが生命の痕跡に見間違われる恐れがあるのだ。
したがって生命の痕跡を探す研究者は、それが隕石に由来するものなのか、本物の生命の痕跡なのか、きちんと見分けなければならないということだ。
パンスペルミア仮説なら?
だが別の考え方もあるかもしれない。それは、こうして隕石によって運ばれてきた有機物が本当に生命の起源だったという可能性だ。これを「パンスペルミア仮説」という。
この仮説は、有害な宇宙線が飛び交う宇宙空間に生命のタネが存在するはずはないと否定されてきたが、最近では隕石の中なら宇宙線から守られることや、大気圏突入の負荷に微生物が耐えられることを示した研究もあり、ただの与太話ではなくなってきている。
いずれにせよ、地球に存在する岩石が、それ自身の歴史の記録であるばかりか、じつは太陽系全体の壮大な歴史の記録でもあると分かるだけでも驚きだろう。
References:Extraterrestrial Organic Material Discovered In 3-Billion-Year-Old Rocks | IFLScience/ written by hiroching / edited by parumo
あわせて読みたい





コメント
1. 匿名処理班
炭素は有機物だった
2. 匿名処理班
パンスペルミア仮説で、一気に胡散臭くなってるけど、大丈夫か?
隕石に炭素化合物があった。→正しい
それは生命の痕跡に違いない!→?
宇宙から、生命が飛来してる!→???
隕石に含まれる炭素が自己複製始めてから、妄想を語るべきじゃないですかねぇ。
3. 通りすがり
地球由来の生物を他の惑星に送り込む方法として考えたら頑丈なカプセルに入れて送り込むと大気圏に突入した時に高熱にさらされる為にデタラメに投下すると生存は困難だ
しかし紙は大気圏外から送り込んでも断熱圧縮が起きないから太陽からの光を直に浴びても耐えられるなら
真空にも対象の惑星の環境にも耐えられる生物なら送り込める見込み
宇宙人が捨てたトイレットペーパーが地球に落ちて我々のご先祖様になった説を提唱します
その場合は探せば何処かにトイレットペーパー仲間が存在している確立がとても高い事になるのだ
4. 匿名処理班
地球は宇宙にあるんだから
宇宙のモノが発見されてもいいよね
〜アーネスト・ボーグナイン〜
5. 匿名処理班
地球生命の起源が宇宙由来の物だとした宇宙に生命がいないと考える方がむしろ不自然になってくるな。生命なんて宇宙にありふれた存在の可能性もある
6. 匿名処理班
はやぶさ2はやく帰ってこないかな
7. 匿名処理班
終わりの始まりか・・・!
8.
9. 匿名処理班
パンスペルミア仮説とか書かない方がいいのでは?文章が陳腐化する
10. 匿名処理班
>>1
宇宙空間にウイルスがうようよしてるのが発見される日までもう少しか
11. 匿名処理班
地球も元々は宇宙のチリが集まって出来たんだから、宇宙由来だろうが地球由来だろうがどっちでも同じ気がしてくる
12. 匿名処理班
パンスペルミアに否定的な人が多いんだな
俺は夢があるし想像も膨らむしなんかワクワクするから好きだけど(・∀・)
13. 宇宙からの忠告
宇宙はトイレといっしょで大腸菌がいっぱい!
バッチイから、あんまり行かないほうがいいよ。
14. 匿名処理班
古のものを呼び起こすべきではない…
そこにはあの忌まわしい鳴き声が…
「"Tekeli-li, Tekeli-li"」
15. 匿名処理班
※2
すごい探究心ゼロ感
16.
17. 匿名処理班
宇宙空間を漂う軽元素が氷に取り込まれ、その中で化学反応が起きて有機物が作られる。そのような事が小惑星の表面で行われているかもしれない。
もしくは太陽系以前の近傍の超新星爆発によって、その惑星系で生息していた生物の残骸がバラ撒かれ、太陽系の材料に加わったかもしれない。
138億年かけて宇宙の元素が掻き回され、様々な化合物ができ、様々な分子が作られスープのような状態になっていると考える方が普通かもしれない。
宇宙空間はクリーンな場所という先入観を捨てた方がいいかもしれない。
18. 匿名処理班
※12
パンスペルミア仮説は一説としては確かに荒唐無稽から理論上あり得るまでは格上げされてんだけど、確固たる「生命は宇宙由来」である証拠がない以上は与太話だよ
逆を言えばここさえ証明されれば外宇宙の生命体に関する前提知識が地球上のものを参照できるようになるから、是非とも提唱支持してる方々には見つけていただきたいところ
19. 匿名処理班
※1
炭素化合物を「有機化合物」と特に分けているので間違いではない。
20. 匿名処理班
「生命は原始地球で生まれた」も仮説だと判ってない奴が多いな
「地動説だぁ?宗教裁判!」の頃の人を笑えないな
21. 匿名処理班
ご先祖様の墓かもしれないんだぜ
22. 匿名処理班
だいたい何で【33憶年前限定】なのよ?
地球には現在進行形で、毎日毎日、宇宙から星間物質が降り注いでいるんだぞ?その星間物質は、元は何かしらの星(惑星だったか恒星だったかは知らんが)を構成していた物質だったんだぞ?だったら様々な地球以外を起源とする物質(有機物を含む)が地球上に有ったとしても不思議ではないと思うが?どうも地球の科学者は…『有機物が有ったら、ほとんどが地球起源でしょ?』『宇宙起源の有機物が有ったとしたら珍しいよね?』とか考えていないか?これって、一種の地球中心的で天動説的な物の考え方だと思うがな?
23. 匿名処理班
>>1
炭素単体とは言ってない。
炭素化合物を有機化合物って言うんだよ。
24. 匿名処理班
そういやパンスペルミアって、その付着物は一体どこからどんな風に発生したかってのはどう説明してるんだろう…?
積極的な主張じゃなくて地球発生説を否定するだけのものなの?
25. 匿名処理班
宇宙ステーションの外壁から地上の細菌が見つかったとか言ってたしね。
意外と地上と宇宙で生物の行き来は簡単かも。
26. 匿名処理班
※24
あくまで地球に存在する生命は宇宙から飛んできて根付いた、という主張だからそれ以前どこでどう発生したかは完全に問題の範囲外なのです。地球上の生物の起源だけを議論するなら確かに一説としてはアリだけど、生命そのものが如何様にして発生したかを議論する場で出すとただの思考停止になる
27. 匿名処理班
今回は信じて良いよね!?(希望
28. 匿名処理班
地球上で最初の生命体が誕生したのは38億年前だから、33億年前はそれから5億年も経過した後なんだよね。なので別に隕石起源であるとは限らないのです。でも、地球そのものが大量の始原物質(隕石の集合体)で形成されているので、問題はどの時点で生成された有機物か?という一点かと。現状、それを見極めるには炭素同位体比を分析する意外に科学的検証方法がないのですが、この手法、誤差が大きいので33億年ともなると時間が経過しすぎていてちゃんとした数値が出ないのです。