
image credit:youtube/Griffith University
トンガの本島、トンガタプ島で見つかった小さな4つの人工物は、古代のタトゥー用道具として知られているが、そのうちふたつは人骨から作られていることがわかった。最初に発見された1963年以来、これらはオーストラリア国立大学で保管され、さらに詳しく調査されるのを待っていた。
2016年、現代の考古学者が駆使できる手段と技術を使って、初めてこれらのツールをじっくりと調べることができた。
Tools in world’s oldest tattooing kit made from human bone
2700年前のタトゥー用の道具
タトゥーを彫るのに使用されていたコーム(皮膚の真皮層にインクを植えこむ道具)のひとつから採ったサンプルで年代を調べたところ、4つとも予想より古い2700年前のものとわかった。慎重に調べを進めると、ふたつのコームはアホウドリのような海鳥の骨からできており、あとのふたつは大型の陸生哺乳動物、おそらく人間の骨であることがわかった。

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なぜ人骨が?
なぜ、人骨が使用されていたのだろう?当時時、トンガには大型哺乳類は人間以外存在していなかったため、初期の墓からよく遺骨が取られていた。最近では、人骨はタトゥー用ツールの材料として良質であることがわかっている。
人骨のコームの先についたインクのしみ

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人骨製のタトゥー用コームは、古代人が自分の血縁の骨から作った道具で、永久に消えない印を体に刻んでいたということかもしれない。つまり、彼らのアート作品に記憶とアイデンティテイを組み合わせるひとつの方法だったのだ。
コームのほかにタトゥー用のインクを入れたらしい小さな壺も見つかっている。これらは彫師の道具一式の一部だが、考古学的な記録としては極めて少なく、発見されているこの種のもので最古のものと思われる。

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初期のタトゥーの痕跡を探すのは難しい
初期のタトゥーの痕跡はほとんど残っていない。タトゥーが入った人間の皮膚が損なわれずに残ることはほとんどなく、インクで描かれたデザインを実際に現代の我々が見ることはできないからだ。これまでのところ、もっとも古いタトゥー跡は、5300年前のもので、2体の古代エジプトミイラの上腕に入れられていた小さな文様だ。
ほかには、イタリアアルプスで発見された、あの有名なアイスマンや、全身に極めて複雑な模様を入れていたシベリアの王女がいる。
・生殖能力がなかった?世界最古の冷凍ミイラ、アイスマン(エッツィ)に関する10の事実 : カラパイア
タトゥーを彫るのに使われた道具の発見は、さらに珍しい。人の皮膚にインクを入れるのに使われた道具だと認定するのが極めて難しいからだ。
先が尖ったものなら、なんでも使われた可能性もある。こうした証拠品は、タトゥーを入れるための先端部であるとはっきりと認識される必要があるが、現存するのはまれだ。
これまで発見されたタトゥーツールらしき道具で最古のものは、黒曜石で作られた鋭い破片で、3500年前のニューギニアで、ピアスなど皮膚に穴をあけるのに使われていたもの。
エジプトでは、単一金属や石の先端を尖らせた、紀元前3200年にさかのぼる道具がタトゥーツールだったのかもしれない。
オセアニアで、最初のタトゥーがいつ始まったのか、手がかりになるミイラはない。
熱帯の環境では、皮膚が残らないからだ。だから、タトゥーを施す道具のような、間接的な手がかりを探さなくてはならなかった。

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太平洋諸国のタトゥーの歴史
トンガの人骨ツールは、これまで見つかっている金属や石のものよりも新しいが、これらはかなり複雑な施術を行うことができる道具の一部だ。これは現在でもずっと受け継がれているタトゥー技術なのだ。
太平洋諸国でのタトゥーの歴史は長い。力強い独特なデザインが、この地を訪れたヨーロッパの探検家たちに影響を与え、タトゥーを入れた船乗りや、浜辺をうろついていた白人、地元民がヨーロッパに渡ったとき、タトゥー行為を継承していった。
最終的に、ヨーロッパと太平洋の文化が接触して、活気あふれる現代のタトゥーの伝統へとつながり、世界中にポリネシアのインスピレーションをもったタトゥーがの普及することになった。
皮肉なことに、19世紀の宣教師が太平洋の一部やトンガでタトゥーを抑圧したため、タトゥーを入れるにはサモアへ行かなくてはならなかった。
動画:トンガの道具とほぼ同じものを使っている人たちが語る、太平洋諸国でのタトゥーの重要性
'Polynesian Tattoos' The Art of Ink (Season 2) Digital Exclusive | Paramount Network
昔も今も、太平洋諸国の人々にとって、タトゥーは重要なものだが、3500年前の最初の入植者たちとともに伝わってきたものなのか、その後、どこかの時点で発明されたものなのか、本当のところはわかっていない。
しかし、今回の発見によって、複雑なタトゥーコームが、3000年前ごろにはすでにトンガに存在し、そこでさらに改良された可能性があることがわかる。
References:World's oldest tattooist's toolkit found in Tonga contains implements made of human bone/ written by konohazuku / edited by parumo
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コメント
1. 通りすがり
大型の動物が居なくても日本では竹を使ってたから人間の骨を使う必要がない
儀式の為に血縁者の骨を使うと言うならそれはわからないでも無いが
死体にあったハズの肉をどうしたのか?
美味しく頂いてるのではないか?
そこが気になる
2. 匿名処理班
全部想像だけどな
3.
4. 匿名処理班
魏志倭人伝に当時の日本人は身体中に入れ墨あったってあるから、古代日本人はトンガなどから渡ってきた人達なんだろう
5. 匿名処理班
※4
おいらが大学生だったとき、kj法で有名な先生が、来校して講演してましたよ。トンガと限ったわけでなく太平洋広く、いかだ等で海流に乗って交流していたらしいということでした。
6. 匿名処理班
和彫り洋彫り問わずこういう先のコーム状の針を使うよね。やっぱ目的が一緒だと道具の形も同じ形になるんだなぁ。
7. 匿名処理班
日本では排除されがちな刺青も南太平洋では長い伝統のある文化 ラグビーの試合で来日する選手には南太平洋出身がいるため トレーニングに使うゴールドジムは特例としてタトゥーを容認するというニュースがあった