メインコンテンツにスキップ

やっぱ月だろ。人類が火星よりも月に注目すべき5つの理由

記事の本文にスキップ

38件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
pixabay
Advertisement

 火星への有人飛行、さらには火星の植民化。夢のようなヴィジョンが人類の目の前に掲げられた。

 だがそれは、まずテラフォーミングして、呼吸ができる大気や温暖な気温を維持できるようになるという前提に立っている。しかし、現在のテクノロジーでテラフォーミングができるという前提に疑問を投げかける研究が最近発表された。

 もし火星の植民化が難しいのなら、ここでもう少し近くにある天体との関係を見直してみるのもいいだろう。

 つまり、月との関係だ。

人類と月の歴史

 初の月面着陸は1966年のことで、ソ連の無人月面探査機ルナ9号による。このミッションによって、月の不毛の大地の様子が詳細に明かされた。

 宇宙時代の幕開け以降、月面着陸に成功した事例は60を超え、うち8事例は有人着陸である。一番有名なのは、人類が初めて月面に降り立った1969年のアポロ11号によるミッションだろう。

この画像を大きなサイズで見る
pixabay

 こうした宇宙の先駆者たちの努力のおかげで、私たちの宇宙と地球への理解は大きく進んだ。

 たとえば、1971年のアポロ15号ミッションでは、いわゆる「ジェネシスロック(創世記の石)」が回収された。

 これは月のクレーターで回収されたものとして最古の石で、ジャイアントインパクト仮説(およそ45億年前に地球が大きな衝突を起こし、そのために月が誕生したという仮説)を裏付けているとされる。

この画像を大きなサイズで見る
image credit:NASA/Wikimedia Commons

 しかし、今や私たちの関心は月から火星へと移っている。

 1990年代初頭、マーズ・パスファインダー計画によって、火星の地上に最初の探査機が送り込まれた。

 70年代のバイキング計画以来の快挙であり、これによって送り届けられた火星の風景の写真は、この赤い惑星への興味を大いにかきたてた。

 このような状況の下、火星への有人ミッションが待ちきれないという気持ちも分かる。だが、そうした気持ちを抑えるためにも、もう一度月に注目するべき5つの理由を見ていこう。

この画像を大きなサイズで見る
image credit:NASA

1. 宇宙の中継地点になる

 天体の重力を振り払い別の星に到達するには、一定のスピードが必要になる。地球表面から火星まで旅をするには、最低でも秒速13.1キロで飛行しなければならない。そのためには、巨大なロケット、膨大な燃料、複雑な軌道での飛行などが必要になる。

 ところが月からの場合は重力が小さいために、たったの秒速2.9キロでいい。これは地球から国際宇宙ステーションに行くために必要な速度の3分の1でしかない。

 また月には貴重な鉱物資源が豊富があり、その中にはロケット燃料の材料もある。月面で確認されている水の氷を分解して、水素燃料と酸化剤を作り出せるのだ。

 地球では希少なトロイリ鉱という鉄硫黄化合物もある。そこから抽出した硫黄を月の土と混ぜれば、ポルトランドセメント(一番一般的なセメント)よりも頑丈な建材を作り出すことができる。つまり、月にある資源を使って基地を建設できるだろうということだ。

 月面基地からなら、もっと遠い宇宙への探索にかかる燃料が少なくて済む。地球からロケットを打ち上げるより、ずっと少ないコストと労力で太陽系の探索が行えるようになるのだ。

2. 未来の燃料が手に入る

 星が輝く原理である核融合は、未来のエネルギー源として期待されている。融合炉には風船に入れられるヘリウムよりもっと軽いヘリウム3が使われる。

 この同位体は地球では珍しいが、月には豊富にあるため、それを地球にどうにか運ぶことができないかと、すでに企業や政府から熱い視線が注がれている。

 こうした商業上の関心は、月面に恒久的な入植地を作り出すインセンティブとなるだろう。当然、それに対する投資も期待できる。

3. 年代物の岩石がある

 月は時間の止まった世界だ。過去30億年で大きな地質学的変化はまったくない。地球上では、雨、風、潮汐、惑星の成長などによって地表の様子が変化する。

 しかし月面には、過去に起きた暴力的な衝突の記録が誇らしげに残されており、太陽系初期の歴史を観察するチャンスを提供しているのだ。

この画像を大きなサイズで見る

4. 宇宙の観測ができる

 月の大気密度は薄く、地球の1兆分の10程度しかない。これは天体観測にはうってつけの環境であるということだ。

 ここからなら完璧な電磁気スペクトルを観察できるのだ。さらに月の裏側に天文台を作れば、地球から届く電波もシャットアウトできるだろう。

 宇宙からの短い波長が届きにくい地球とは違い、月はX線望遠鏡やガンマ線望遠鏡による天体観測にもぴったりだ。

 月面に有人の施設を設けてしまえば、月面天文台の維持管理だって、軌道上に飛ばされた望遠鏡のそれよりも楽だ。

5. 宇宙の人間への影響を確かめる

 有人火星ミッションの大きなハードルの1つは、人が宇宙空間に長期間滞在した場合の健康面の影響を理解する方法だ。

 万が一、火星で不慮の事態が起きたとしても、救援や物資を届けられるのは2年後のことになるのだ。それではとても間に合わない。

 そこでまず月で人体の宇宙への耐性を確かめ、問題への対処方法を確立しておく。つまり火星での暮らしを始める前の練習というわけだ。

 月ならば、有事が起きたとしても地球から3日の距離だ。

 有人火星ミッションのもう1つの懸念は、手つかずの環境を地球の微生物で汚染してしまう可能性だ。月の場合、ほぼ確実に不毛の地であることが分かっているので、そのような懸念は無用である。

この画像を大きなサイズで見る
pixabay

今ならもっと簡単にいけるはず

 最初に月に人類の手が及んでから半世紀以上が経つが、月面への入植はちっとも進展していない。だが、今では当時のアポロミッションで利用できたものよりも、はるかに高度で洗練されたテクノロジーがあるのだ。

 次の大きな一歩を踏み出す前に、もう少し歩幅を狭めて踏み出すのもいいはずだ。

References:Five reasons to forget Mars for now and return to the moon/ written by hiroching / edited by parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 38件

コメントを書く

  1. 上の月面写真ってすごく不自然なのわかりますか?

    • -20
    1. ※2
      「無風ではためく旗」は旗の上部にフレームが入ってる(が、なぜ無風ではためくのか
      地面や奥の山はモノクロ写真で機材はカラー写真になっている
      宇宙空間と思しき暗部に星が写っていない
      いくら砂地であっても足跡が深い

      とか諸説ありますね
      でもこれは本物だと思いますよ
      撮った私が言うから間違いないです(現地カメラマン

      • +4
    2. ※2
      被写界深度がとても深い写真なので、違和感が出やすい。
      宇宙服を着てカメラの焦点合わせの様な細かい作業ができないという想定で、その様なカメラを使っている。

      • +1
  2. 月ではAIによるロボットで無人による開拓が行われる気がする。
    テラフォーミングするくらいなら地球上の炭酸ガスを除去する機器を多数設置するとか砂漠を緑化するとか洋上都市を築く方が遥かに楽で多くの人が住める環境を生み出せると思う。

    • 評価
    1. ※3
      たしかに
      人類が移住するのでなければテラフォーミングは不要ですね
      自動機械による資源の採掘から地球への発送
      惑星上で製品化してあなたのご自宅へ配送、という事も考えられる
      地球から打ち上げるのは難しいが向こうから落下(?)させるのは容易な気がする
      (そしてシステムが乗っ取られマスドライバーがががが

      • 評価
      1. ※13
        そもそも月をフライバイして帰るだけで100億円かかるから
        そんじょそこらのエリートですら出番がなさそう

        • +3
  3. 確かに、アポロ時代より高度な技術やテクノロジーもあるけど、それを持ってして月面を目指すだけのメリットが無いのが現状
    ヘリウム3にしろ核融合技術が確立してからじゃないと意味を成さないし、取り出す技術も問題点が多い
    無理して事を急いた為に以降の行動に障害が出るなら、今は技術の向上に努める時期だと思う

    • +1
  4. 火星のテラフォーミングなんて夢物語だよね
    仮に滅亡が避けられないなら、自然に任せて地球で滅亡するのが一番幸せな気がする本気で

    • +4
  5. 月面に地下室作って長期居住するバイトねーかな。ネット回線つないでくれたらやってもいいぞ

    • 評価
    1. ※8
      月に滞在できるなら金を払ってでも行きたい人は多くいるだろうから、たとえ薄給激務のブラックバイトでも応募多数で引きこもり希望はお呼びじゃないんでは…

      • 評価
      1. ※14
        閉鎖空間に耐えられない人がエアロックの中で生活できるとは到底思えない。引きこもり=無能みたいなステレオタイプな考え方をしている人は、外こもりという言葉も知らんのだろうて。SEとかプログラマは出勤して入るが殆ど会社から出てこないぞ。何が違うんだ?w

        • 評価
    2. ※8
      だいたい光で1秒ちょいかかるから、ネットのラグがひどいぞ。
      通信-返信で3秒くらいのラグがある。

      • +2
  6. 月で何か事故って地球の周回軌道から離れたり潮汐力変化したり勢いつけて戻ってきて地球に降ってきたりしないか不安なので開発とか最低限にして出来るだけそっとしておいて欲しい
    そのままで十分美しい

    • -2
  7. サム・ベルが、もう住んでます(ガーティと共に)

    • 評価
  8. 月どころか、空を飛ぶのだって、夢物語だったわけで。

    昔、「飛行機械」の開発がブームだった頃、
    「空気より重いものは飛べないんですよ」って大学教授が真面目に諭していたわけで。

    • +3
  9. 正直、地球の砂漠緑化もできない段階で火星のテラフォーミングなんてぬかすなや。などと色々思う所はありましたが「まずは月」という考え方には賛成します。

    • +8
  10. テラフォーミングなんて考えず、
    ドーム球場建設を発展させたような
    施設を複数造り地下トンネルで結べば
    良いのだ。

    • 評価
  11. 地球人が火星をテラフォーミングする倫理観は
    ガミラスが地球を遊星爆弾で放射能まみれにテラフォーミングする倫理観と同じ

    こんな下等な地球人は宇宙に進出するべきではない

    • -4
  12. 個人的に月は嫌だな、
    太陽光がキツ過ぎるか
    真っ黒な空なんて耐えられん。

    • 評価
  13. 月面には地球のPM2.5よりも細かく電子機器や気密性の維持を脅かす超厄介な微粒子がそこらじゅうに堆積しています。これらは隕石の絨毯爆撃期に生じたもので、地球の火山灰に似た性質を持ち、その微細さゆえに静電気を帯びているものにベッタリと貼り付いてきます。これらは電子機器を破壊してしまう恐ろしい微粒子(粉塵)です。まずはこの微粒子を対策(除去)できる技術の開発が再優先事項です。

    • +2
  14. はやくチャーリーを見つけてあげないとな。

    • +2
  15. 地球環境が壊れて次に人類が移住する場所として月とか火星とか言ってるけど、テラホーミングなんて何年かかるか、上手くいくかもわからないし、1人や2人移住したって意味がない、何十億という人類や動植物を輸送できるとも思えない。

    しょせん科学者と金をもて余した人間の遊びなんじゃないかと思っちゃったら夢がないって言われちゃうのかな。

    • -2
  16. 月面上の旗は、はためいているんじゃなくて揺れている。地球くらいの大気があったらあんな揺れかたはしない。

    • +1
  17. 第2宇宙速度で地球と月を周回する宇宙ステーションとか、作れたりしないものだろうか

    • 評価
  18. 昔、月で生まれた子供が見世物みたいな扱いされる漫画があったと思う。

    重力の少ない場所で育ったから体が弱く、初めてのケースとして政府から援助を受けてたので、税金で育ったクセにと差別されていた。

    リアルでもそうなるだろうな。今でも人種でメチャクチャなのに更にムーンチャイルドとか。人類には荷が重い。

    • 評価
  19. ちゃっちゃと月面開拓してくれりゃ面倒な陰謀論者もいなくなりそうなもんだがな

    • +1
  20. ボコボコの月の表面を見ると手塚治虫のノーマンを思い出す
    良い漫画だった

    • +1
  21. やっぱ月ゃねん♪🌖やっぱ月ゃね~ん♪🌙

    • 評価
  22. 月の開発とか本気でやめてほしい
    重力のバランス崩れたらどうするかわからないのかな?
    愚行すぎる。

    • -5
  23. 何にせよ、人類が本格的に宇宙進出するならば軌道エレベーターか反重力装置のようなSFクラスのブレイクスルーがなきゃ無理。
    ロケットとかいう非効率かつ不安定な物しか無い時点で、探査機を放り投げるのが限界。
    地球がデブリに覆われる前に、何とかなると良いんだが…

    • +1
  24. まずは月じゃなくて、宇宙ステーション
    ステーションへの物資の打ち上げのたびに何億かかると思ってるんだ
    地球の重力をもっと手軽に振り切れるようにならないと宇宙開拓なんてできない

    • 評価
  25. 最近月に巨大な溶岩洞窟と思われる地下の空洞が最低3個はあるのを日本が発見したのでそこを空気で埋めてエアロックを取り付ければ大規模に人が住むのも恐らく可能

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

自然・廃墟・宇宙

自然・廃墟・宇宙についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。