カトリック教会ではエクソシスト(悪魔祓い師)の養成が不足している ー アイルランドの神父の主張

　一般の人々の悪霊に対する興味が近年では高まっているという。これは、アイルランド放送協会(RTE)の作成したドキュメンタリー番組の中でパット・コリンズ神父が語ったものだ。

　神父はさらに、訓練されたエクソシストの(悪魔祓い師)が養成されておらず、きちんと対応できていないと、教会の長老たちに苦言を呈している。 　「悪霊から身を守る手段がないという事実には肝が冷えます」とコリンズ神父は述べている。「このような(悪霊と対峙する)事態に対しての訓練をしてこなかったのです。司祭たちが『気にかけていない』と言うのではありません、ただ、十分に知らないのです」

信仰の不足により増加する悪霊への恐怖

　心理学も修めているコリンズ神父は、精神病の可能性や、あるいはその他の経済的、環境的な要因をも十分に考慮に入れている。その上で、悪霊の動きが高まっていると主張しているのだ。その原因は、総体としての信仰の不足であるらしい。

　「悪霊への、病的ともいえるほどの関心が社会に存在します。おもしろいことに、人々は、神への信仰を失うに従って悪魔に対する関心を強めており、それはまったく病的なものです」とコリンズ神父。

　「そのような病んだ関心を抱いている人に会えば、私はこういうでしょう、『時々誰かがそうであるように、あなたが悪と渡り合わなければならないのなら、それは恐ろしいことです。相手は純然たる闇です』と」

悪魔に魅かれる現代人の増加

　悪魔に魅かれる人が増えているのはアイルランドに限った話ではないらしい。

　それに伴い悪魔を呼び出す儀式も頻繁に行われているようで、それに対応すべく、2014年、フランシスコ教皇は国際エクソシスト協会を公式に認可した。協会は世界30カ国、250人の司祭で構成され、信仰者を悪鬼から救う役割を果たす。

　ヴァチカンの「半公式」新聞、オッセルヴァトーレ・ロマーノ紙によれば、教会法の下で悪魔祓いの儀式を行うことを、ヴァチカンの聖職者省が承認したとのことだ。

不足するエクソシスト、その養成が急務

　昨年、心理学者であり、国際エクソシスト協会の科学顧問でもあるヴァルテル・カシオーリ氏は、悪魔祓いの実践の不足は「緊急事態」であると警告を発した。

　「エクソシストの司祭たちが直面している、『悪魔の憑依』の発生数は大きく上昇しており、危機的事態となっています」とカシオーリ氏。

　「オカルトや悪魔といった、身体、精神、あるいは霊魂に大きなダメージをもたらすものの実践に関わる人が、継続的に増えているのです」

　また、今年の3月には、アメリカ、インディアナポリスの大司教区のエクソシスト、ヴィンセント・ランパート神父が、悪魔に関わる活動の増加を報告している。

　1973年にホラー映画『エクソシスト』が公開されて以来、悪魔祓いの実践は教会外の文化においても注目されるようになった。この映画は、若い女性に憑いた悪魔を祓おうとする司祭の話で、実際にあった出来事に基づいている。

本当に悪魔の仕業なのか？本質を見極めることも重要

　だが、悪魔を祓うに先立って、本当にそれが「悪魔の仕業」であるのかを見極めることも重要だ。今年、イギリスの宗教とメンタルヘルスについての研究を発表したベン・ライアン氏は、一部のクリスチャンは、メンタルヘルスの問題をも霊的な問題として扱う、と述べている。

　「例えば、誰かが教会のリーダーに鬱で苦しんでいることを告げる、そうすると、祈ることで全てが良くなる、という答えが返ってくる場合があるのです。その極端な霊が悪魔祓いです」

　ちなみに、国際エクソシスト協会による悪魔祓いの儀式を受けるには、事前に(身体的・精神的な疾患である可能性を排除するため)医師の診察を受けること、儀式には医師が立ち会うこと、などの条件がある。

via: Russian Today / Catholic Encyclopedia など / translated by K.Y.K. / edited by parumo
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