
専門家によると、日ごろから獲物を巡って激しい戦いを繰り広げているハクトウワシと、アカオノスリがこのように共存するのは非常に珍しいという。
ハクトウワシにとって本来なら、我が子ではないこのヒナはおいしい餌となるはずだ。同じタカ科だからのかはわからないが、アカオノスリのヒナは、我が子と同じように餌をもらって巣の中でスクスクと育っているのだそうだ。
いったいなぜこんなことに?
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Roberts Bay, Sidney BC Eagles ~ 7 June 2017
わが子と一緒にタカのヒナを育てるワシ
この動画は2017年6月7日に公開されたものだ。撮影時、ハクトウワシのヒナたちは生後9週間を迎えており、紛れ込んでいるアカオノスリのヒナは生後4週間ほどとみられている。
アカオノスリはタカ科ノスリ属の鳥に属する。成鳥は全長50〜55cmほど。一方ハクトウワシは75〜90cmほどになるという。
同じタカ科の猛禽類だが、比較的大きいものをワシ、小さめのものをタカと呼び分けている。だが生物学的に明確な区別ではなく慣習に従って呼び分けているのだそうだ。この慣習から言えば、ハクトウワシはワシで、アカオノスリはタカということになる。
端っこの灰色の小さいのが問題のアカオノスリのヒナ。
生後4週間ほどだそうだ。

image credit:youtube
そしてまわりにいる大き目の3羽が生後9週間ほどのハクトウワシのヒナ

image credit:youtube
ハクトウワシの親御さんはお出かけ中らしいもともと体格差はあるのだが、なんだかヒヤヒヤしちゃうぞ

image credit:youtube
なぜアカオノスリのヒナがワシの巣に?
この一家を今年5月に発見したという、ハンコック野生動物財団の研究者デビッド・ハンコック氏、その後定期的にこのファミリーを観察しているという。5月末の一家の様子
Roberts Bay, Sidney BC Eagles ~ 7 June 2017
ハンコック氏はそこにアカオノスリのヒナがいる理由についていくつかの見解を示している。
■餌用に調達してきた?
一つはハクトウワシがアカオノスリのヒナを餌用に調達した可能性だ。
一般に大型のワシの餌は魚や腐肉、他の動物が奪った獲物だが、彼らが小さな哺乳類をヒナの餌として与えていたという報告もあるからだ。

image credit:Suzanne Huot
■卵が紛れ込んだ?もう一つのは、産卵間際で捕まったアカオノスリの卵が巣に紛れ込んだ可能性だ。あるいは大きな鳥にさらわれたアカオノスリの卵がポトンと落ち巣に入り、そのまま孵化した可能性もある。
そういう事例は鳥たちが多くの餌を求める春に起きることがあるという。
ワシが母性本能に目覚めたか?
どんなきっかけでこうなったのかはわからない。だが現在までヒナが餌を与えられ養われているところをみると、ハクトウワシの母性が刺激されたのかもしれない。もし餌要員ならばとっくに食べられてしまっているからだ。
image credit:youtube
ワシかあさんに、このヒナが自分の身の危険も考えずにひたすら食べ物をねだって大声で鳴いたとしたら・・・ものすごい勢いで「おなか減った!」と鳴くアカオノスリのヒナに圧倒されたハクトウワシが「こんなにくちばしが開いてるんだから食べ物を入れてあげないと!」と、養い始めた可能性があるとハンコック氏は見ている。
今後の運命はいかに?
だが、たとえこの説が正しくてもヒナがこのまま生きていけるかはわからない。なぜなら3羽のヒナたちも、食べ物を優先する鳥の性質が備わっているからだ。ハンコック氏によると、すでに生後9週間を迎えている3羽は急速に成長しているという。彼らが空腹になれば、小さく弱いアカオノスリのヒナが3羽の餌食になることもありうるという。
一方、一般的なアカオノスリは孵化から40日後に巣立ちをするため、現在生後4週間ほどのこのヒナは来週には飛行し始めることも考えられる。

image credit:youtube
今後ハクトウワシは親御さんが狩りを教えるが期間に入るが、その間も餌をもらい続けることができたら、このヒナは生き残れるかもしれない。

image credit:youtube
一歩間違えば捕食されるという環境で育つアカオノスリのヒナ。彼は宿命のライバルであるハクトウワシの家庭で大人になることができるのか?その結末は鳥愛好家のみならず生物学者からも注目されている。ハンコック氏はこのままアカオノスリのヒナを今後も見守るつもりだ。
via:thedodo、youtube、hancockwildlife、atlasobscura、news、youtube・translated D/ edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
「餌として捕獲してきた」という説が有力じゃないかな。致命傷を与えず巣に運び込んだところ、たまたまワシの雛が他の餌に夢中になっている間に、すっかり「養子」となってしまった。
このまま、ササッと巣立ってほしいな。
2. 匿名処理班
この先すごく気になる…
無事巣立てるといいね
続報待ってます
3. 匿名処理班
どうかこの子の強運が巣立ちまでもちますように
しかし猛禽は雛でも足が太いな・・・
4. 匿名処理班
頼むけん無事に育ってくれ
5.
6. 匿名処理班
托卵の可能性は?
7. 匿名処理班
我々が学校で習ったような(チープな)進化論では
こういうのは説明できないと言うだけのことだ。
8. 匿名処理班
ながいきくん
9. 匿名処理班
もし無事に巣立っても、ハクトウワシが親であるために天敵と見なさず、やられちゃうかもしれないね…
10. 匿名処理班
さぁさぁごはんにしましょ。
(`・⊝・´)(⁎′ꃪ‵)(`・⊝・´)<ごはんごはん♪
……?あらみんなうちの子ね。ごはんまた獲ってくるわね。
11. 匿名処理班
鳥だって相当に感情豊かだし、つい情が移った・・・ってのはあると思うけどね。
うちにいた文鳥でさえ、チビが泣いたり転んだりしたら心配して騒いでたし。
まあ、アイツは自分が兄弟だと思ってた節があるけど。
12. 匿名処理班
異種子育て系の情報って
肉体的なものを超えた何かを感じさせるから
ちょっと泣けるのかなぁ
13. 匿名処理班
周りのヒナでかぁ…最初親御さんかと思ったよ。
みんな静かにお留守番してるんだね〜偉い。
それにしてもこのタカの今後が凄く気になる。
続報待ってます。
14. 匿名処理班
動物の母性本能はすさまじいから、弱っていて情がうつったら育てることもありえるでしょう
猿だって、狼だって人間を育てたりするし、動物のすばらしさを人間が理解できてないだけだと思う。
15. 匿名処理班
ワシが育てた(`・∀・´)
16. 匿名処理班
なんかハラハラするなぁ続報おねがいします
17. 匿名処理班
何の保証もないけど、大丈夫じゃないかな・・・と。このまま無事巣立つ気がする。
18. 匿名処理班
※9
かわいいやないかいワレ!^^
19. 匿名処理班
前に、エサだったはずのヤギとアムールトラが仲良くなっちゃった話あったよね、動物同士の関係性って底知れない面白さがあるよね、あの2頭はその後引き離されたんだってさ、理由は「イライラしたヤギさんが、トラをしばいて、傷つける危険があったから。」だって、このノスリも、先に巣立って、でっかい兄ちゃん達のエサとか獲ってきたりしてね。
20. 匿名処理班
大型猛禽、本格的に種の存続を危ぶんでるのかな
21. 匿名処理班
※6
ノスリにはそんな習性はありません。
22. 匿名処理班
>>14
審議中…(AA略)
23. 匿名処理班
そりゃ性格まで「ハクジョウ」じゃないしね、と、
しれっとした顔で言い、彼女はエサを探しに飛び立った。
お と こ ま え!(笑)
24. 匿名処理班
巣から離れた瞬間から捕食対象に変わりそうで心配
25. 匿名処理班
子供のほうは、孵化したときの刷り込みで、本当の親だと思っているのかな?
26. 匿名処理班
ワシとタカの区別をありがとう!
ハクトウヒナの兄弟殺しの動画があったよ。。。この巣は平和だ。(いまんとこ)
27. 匿名処理班
前にも怪我して施設に保護された鷹が卵や他のヒナを育ててる話なかった?
28. 匿名処理班
昨日の家族は今日の餌にならなきゃいいが
そして例え無事に巣立てたとしても次に兄弟が出会う時はどうなるんだろう…
29. 匿名処理班
※24
可能性はかもね。
動物って自分の臭いのするものは攻撃とかしないけど
猫なんか飼ってるとほかの猫の匂いして帰ると「お前浮気したな?」みたいなときあるからね。
30. 匿名処理班
※19
ウサギやネズミ等の小動物を狩るノスリと、魚が主食で動物の死肉も食すハクトウワシだと微妙に食性が違うからどうだろうね
アカオノスリがハクトウワシの真似して魚獲るようになるかも知れんけど
※25
インプリンティングって鴨だけじゃなく猛禽にもあるのかな
31. 匿名処理班
※1
だろうね。
鷲類の抱卵期間は6週間前後だから、卵が紛れ込んだとすると親鷲は5週間余計に卵を温めなきゃいけない計算になる。
鷲の卵が産まれる→5週間後鷹の卵が混じる→1週間後鷲の雛生まれる→5週間後鷹の雛生まれる→4週間後(今)鷲9週齢、鷹4週齢
鷲の雛が親に代わって抱卵するのも現実的でないし、親は餌も狩らなきゃいけないから到底無理だよなぁ。
抱卵中の卵だったとしても5週齢近い雛がいる親はもう本能的に抱卵行動をとらなくなるから考えにくい。
32. 匿名処理班
すごいな…誰よりも先に餌貰いに行って食いまくってる笑
もしかしたらこの子は運だけじゃなく性格的にもすごく強い子なのかもね
それで本来捕食対象なのに家族に迎え入れちゃったのかな
33. 匿名処理班
なにこの紙一重ハラハラほのぼの記事…
34. 匿名処理班
非常食
35. 匿名処理班
ねーコレさっさと親のいない間に人間の愛護団体が養子っこを保護したほうが良くない? 結局食べられちゃいましたとなったら、たんと炎上しそうだな〜
36. 匿名処理班
最近、「鷹の師匠、狩りのお時間です!」という4コマ漫画を読んだので猛禽類に好感度が高くなりました
37. 匿名処理班
ワシやサギは育雛中うっかり子供を襲ったりしないためか巣にいる小鳥を攻撃しない習性がある。スズメなんかはそれを知っていてホームセキュリティとして営巣中のワシの巣の下に自分の巣を構えたりする。このワシもタカの雛を捕まえた時点では餌にするつもりだったけれども巣に連れてきたときにまだ生きていたから捕食行動が抑制され、なまじ同じ猛禽類だから雛の行動も似ているので自分の子供と区別できなくなったんだろう。
38. 匿名処理班
※37
なるほど!すごい、勉強になった。
自然界は本当に奥が深くておもしろいなぁ。
39. 匿名処理班
なんかすごく感動してる。カラパイアの記事でよく思うんだけど、動物の
母性やらなんやら全てが、人間の想像を超える別次元な世界で圧倒される。
狩る方、餌になってしまう方(殺される)には何の恨みもなくて。
だけど何かの奇跡で運良く生きて、種族を超えて急に親子になったのに
この雛は今母親に最高に愛されている。
40. 匿名処理班
岩場の絶壁に巣を作っていたタカの子供を音も無くやってきたフクロウに一撃で連れ去られる動画を見たことがある
41. 匿名処理班
メンタルぱない
42. 匿名処理班
太らせてから食う。
43. 匿名処理班
昔公園でサンドイッチ食べてたら、おこぼれを狙いに集まった鳩の群れに
巣立ちしたばかりらしいカラスの雛が混じってたんだけど
この子が身体を低くしてバタバタしながらカパッと口を開けて「チョーダイ!」してきた
全身黒いのに開けた口の中は赤くて、それを見てると
「ここになんか突っ込まなきゃ!」ていう衝動に駆られた マジで。
鳥類と哺乳類の枠もあっさり越えるんだから、
鳥同士なら本能的にエサを突っ込んでしまうと思う
44. 匿名処理班
一番小さい子に親も積極的に餌をやってるから、親心なのかなぁ
45. 匿名処理班
ハクトウワシのひな=ラオウ、トキ、ケンシロウ
アカオノスリのひな=ジャギ
46. 匿名処理班
※35
動物愛護というのは団体が異様な反応を示すんで毛嫌いする人が多いが、野生の場合は「人間世界の障がいを防いで、自然の状態にしておく」であることが本来なので、たとえこの状態が稀にあることであっても自然発生したこと。しかし、あなたのように動物愛護というのを誤解している人が多い。まあワーワーと騒ぐ動物愛護()という人たちにも問題があるんだけど
47. 匿名処理班
※44 多くのハクトウ親は、ヒナが均等に育つような給餌の気配りはしないらしいよ。
より積極的にもらいに来る子に自動的にあげてる感じで、体重差がついてゆく。
でも均等に育てる親から育ったハクトウワシが増えたら、革命的になるのかな。
48. 匿名処理班
な〜んか違うなぁ、なんか違うよなぁ・・・とか思いながら
給餌してるのかな
49. 匿名処理班
小さい生き物が必死で鳴いていたら、うわー世話しなきゃ!助けなきゃ!となる気持ちは人間である自分もわからんでもない
ライオンもよく草食獣の子を育ててるよねw
50. 匿名処理班
別サイトに7月ごろの続報あったけどさらなる続報お願い!
51. 匿名処理班
続報おながい
52. 匿名処理班
その後の経過がYouTubeに出てましたが、
ちゃんと巣立ったそうです。
53. 匿名処理班
どうなったんだろ。武士ならいいのだが
54. 匿名処理班
観察していた人がいうにはノスリの雛は先に成熟してさっさと巣立っちゃったそうですよ
他の兄弟がまだまだ飛べない内に生きて元気に巣立ちできて良かったかもね
55. 匿名処理班
面白いな
鳥は口開けられると条件反射的に餌突っ込んじゃうらしいから、あれ?とか思いながらあげて、ほかの雛も
餌もらってるし見た目違うけど兄弟なのかな
と許容してるのかね