
人間が宇宙に移住する未来、多種多様な人間の精子は、新たなる植民地となる惑星での遺伝的多様性をもたらすであろう。それは健全な人口を維持するうえで決定的に重要なことだ。だが宇宙空間で浴びる放射線に生殖細胞が耐えられるのかどうか今のところ不明である。
最新の研究によれば、国際宇宙ステーション(地球の放射線レベルのおよそ100倍)で9ヶ月以上保管されていたマウスの精子は、健康な子ネズミを産むことができるそうだ。
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フリーズドライしたマウス精子を288日間冷凍保存
山梨大学の若山照彦博士らは、2013年に12匹のマウスから採取した精子をフリーズドライし、国際宇宙ステーションに送った。これを国際宇宙ステーション内でマイナス95度の冷蔵庫に288日間保存した。また地上でも同じマウスから採取した精子を同様の条件で保存した。精子サンプルが宇宙から返却された後、そのDNAが放射線によって受けたダメージを調査したところ、予想通り地球上で保管されたものと比べてより多くの断片化したDNAが発見された。これは生殖能力を低下させる原因である。
宇宙ネズミと地球マウスの遺伝的差異は見られず
しかしこの精子を新鮮な卵子に注入し、代理母に移植したところ、驚いたことに3週間後に73匹の宇宙ネズミが産まれたのである。これは通常の精子と変わらない数であった。若山博士によると、この種の実験は哺乳類としては史上初であるそうだ。地上で産まれたマウスと宇宙マウスは健康で、両者に明らかな遺伝的差異は見られないという。このことから、DNAのダメージは受精後に修復され、子ネズミに「致命的な影響」がなかったことが推測される。

image credit:S. Wakayama et al., Proceedings of the National Academy of Sciences 114, 21 (23 May 2017) c 2017 National Academy of Sciences
今回の子ネズミはもちろんのこと、多くの宇宙飛行士が宇宙滞在後に子供を授かっていることは朗報であろう。だが火星への旅路に出るにはまだまだ多くの課題が残されている。今後はネズミ以外の哺乳類の精子も対象にし、さらに長期的な調査が必要となる。
さらに、より現実的な深宇宙の条件における実験も不可欠だ。本当に危険な放射線は、国際宇宙ステーションの軌道のはるか先にある、地球の磁気シールドの外で降り注いでいるからだ。
via:pnas・sciencemagなど/ translated hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
宇宙で育つと、背骨が曲がっていくって習ったな。
2. 匿名処理班
オルフェンズかと思った
3. 匿名処理班
宇宙を舞台にしたAVも話題作りでいいから早く作って欲しい。
4. 匿名処理班
宇宙 宇チュウネズミ バンザーイ! 🙌
5. 匿名処理班
遺伝子修復の機構って本当に不思議
※3
前に宇宙空間での性行はどうやったら上手くできるかって研究しているのを紹介している番組を見た記憶が
6. 匿名処理班
>DNAのダメージは受精後に修復され、
すごい・・・。やっぱり多少面倒でも、有性生殖は有効なんだな。
7.
8.
9. 匿名処理班
何が凄いのかよく分からない
10. 匿名処理班
宇宙船でタバコが栽培できる事は
一人の男が命を懸けて証明しているからな。
11. 匿名処理班
とりあえずかわいい
12. 匿名処理班
DNAは9割くらい使われない領域らしいから、使われているところがダメージを受けなければ修復出来るような感じなんだろうな
13. 匿名処理班
フリーズドライ・・・!?
お湯で戻したのかな・・・
14.
15. 匿名処理班
地球の周りの巨大な国際宇宙ステーションはネズミ達の第二の故郷となり、ネズミはそこで子を産み、育て、そして死んでいった。
16. 匿名処理班
↑ それなら宇宙猫が必要じゃあないかキミい。
ところでお父さんが灰色なのか?お母さんは白のようだが。
17. 匿名処理班
薄汚い宇宙ネズミどもが!
18. 匿名処理班
止まるんじゃねぇぞ…
19. 匿名処理班
大量に放射線が注ぐ無重力下でも受精/出産は出来る、と
そのまま大人まで育ったのを地上に持って来たら重力にやられそうだけどね
ISSで半年過ごして地上に戻るだけでリハビリが必要だし(お尻が痛くて座れない/足の裏が痛くて歩けない等々)
20. 匿名処理班
むかし宇宙ステーションでの実験だと、重力がない環境だと受精しても脊髄の形成の段階で問題が出てダメになるって言ってたけど、その問題が解決したのか?