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 帰省シーズンともなれば国土の広いアメリカでは飛行機での移動が多い。そしてまた忘れ物、落とし物の多い時期でもある。

 先週、米ミシガン州の空港で、8歳の女の子が大親友のぬいぐるみをうっかり置き忘れてしまった。とても大切にしていたぬいぐるみなのにうっかりなくしてしまうというのは子供にはよくあることだ。

 母親はFacebookに迷子のテディベアの捜索依頼を書いた。

 するとついに見つかったのだ!なんと発見してくれたのは空港の紛失物発見係ではなく、駐機場の職員だった。彼は母親の元クライスメイトで、母親Facebookに投稿した捜索願いを目にし、広い空港内をくまなく探し、テディベアを見つけてくれたのだ。

空港に置き忘れたぬいぐるみの捜索願い

 今年12月21日、8歳のエレノア・デワルドちゃんとその家族は、米ミシガン州のデトロイト・メトロポリタン・ウェイン・カウンティ空港(DTW)に到着し、無事家に着いた。しかし、エレノアちゃんは寝る頃になってお気に入りのぬいぐるみの"テディ"がいないことに気づいた。

 エレノアとテディが初めて会ったのは3年ほど前。以来どこに行くのも一緒だった。彼女はテディをどこにでも連れて行くのだが、子どもだけにうっかり忘れてしまうことも多い。たまに車のシートの下で見つかることもあったという。しかし、今回は思い当たる場所を探してもテディはいなかった。

 空港に連絡し、紛失物の届け出をしたが、係員は残念ながらテディを発見できる可能性は低いだろうと告げた。そこで母親のトリッシュは自身のFacebookにテディの写真を投稿し、以下のような捜索願いを出してみた。
行方不明になったテディの投稿をさせていただきます。

最後に見たのは2016年12月21日の夕方6時05分、デトロイトメトロ空港のノースターミナルでした。いくつか参考写真をあげておきます

名前:テディ

性別:-

身長:約30cm

人種:クマ

体重:極軽量

報酬:8歳の女の子の永遠の感謝

もし見かけた方はご連絡ください。空港当局の紛失物係には連絡済みです。

空港勤務の元クラスメイトが必死の捜索開始

 彼女の捜索願はトリッシュの元クラスメイトで奇しくもその空港の駐機場で働いていたスティーブン・ローデマンの元にも届いた。友人の子どもが悲しんでいることを知った彼は、さっそく自分の業務開始前にテディを探すことにした。

 とはいえ、もうその時点で紛失から12時間経っており、スティーブもテディが見つかる見込みはないだろうと思いつつも、やるだけのことはやろう、やってからあきらめようと必死の捜索活動が始まった。

 まず落とし物をチェックしたが、やはりテディはいない。そこで彼はエレノアの足跡をたどることにした。彼女の荷物は彼女の乗った飛行機とは別の便で運ばれていたため、スティーブンはそちらの落とし物もチェックした。しかしテディはいなかった。

 諦めかけた頃、思いがけない情報が入ってきた。同僚の一人がゴミ箱のあたりにテディに似たぬいぐるみを目撃したというのだ。さっそく彼がそこに向かうと、ごみ箱の縁に腰かけているテディがいたのだ。

 そのテディベアを一目見て少女の愛情の度合いが痛いほどよくわかった。毎日のように抱きしめていたのだろう。薄汚れ、毛も少なくなっていたテディベア。寒くないようにとの配慮だろう。頭にはグレーのニット帽がかぶせられていた。

冒険、そして再会へ

 すぐにエレノアに返してやらねば、と思ったスティーブンだが、シフトはこれからだ。そこで彼はテディを空港周辺の冒険に連れていき、それを写真で報告することにした。そうすればエレノアにテディの無事を知らせて安心させることができる。そして冒険が始まった。

外は寒いけどテディはここにいるから大丈夫
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image credit:Steven Laudeman
空港に興味があるみたいだから案内したよ
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image credit:Steven Laudeman
パイロットの席も見学
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image credit:Steven Laudeman
これは飛行機のエンジン。これを間近で見れるなんてテディはラッキーだ
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image credit:Steven Laudeman
テディはサンタに手紙を出すってさ
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image credit:Steven Laudeman
"サンタさんへ お願い事は一つだけ。エレノアのそばにいたいです"
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image credit:Steven Laudeman
見学の途中で友だちができたよ
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image credit:Steven Laudeman
運転は断念。ちょっとペダルが遠すぎたね
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image credit:Steven Laudeman
空港で一日過ごしたらテディは家が恋しくなったみたいだ
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image credit:Steven Laudeman
 そして翌日、スティーブン(左)はテディをエレノアの元に届け、彼女から永遠に感謝されることになった。
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image credit:Steven Laudeman

人と人とのつながりには意味がある

 この出来事は地元メディアでも報じられ、スティーブンは冒険について「同僚の何人かに妙なことをしてる自分の姿を目撃されてしまいました。でも、自分にも2人の小さな息子がいて、彼らが自分の大事なぬいぐるみを無くしたらすごくがっかりするだろうと思ったんです。それは私もわかります」と語った。

 また、彼と中学から高校にかけて同級生だったトリッシュは、この1件をFacebookに投稿し、スティーブンは自分が知る中でも最も親切な男性の一人です、と彼に心からの感謝を伝えた。

 さらに彼女は、長い人生の中ではたくさんの人と出会うが、縁ができた誰かと連絡を取り合うことは、自分の家族にはとても意味があることだとし、テディが戻ってきたのもそのおかげだった、とコメントしている。

 大親友と離れ、ゴミ箱入り寸前で発見されたテディ。あと少し遅ければエレノアとの再会は叶わなかったかもしれない。子どもを持つ父親として、友だちの子どもを思いやったスティーブンの優しさは、人と人とのつながりの素晴らしさも伝えてくれたのだ。

via:distractifywzzm13・translated D/ edited by parumo

 子どもにとってぬいぐるみはただの綿の入った布ではない。飽くなき想像力でそこに人格を吹き込み、大親友になっているのだ。

 アメリカでは毎年のように子供たちが空港にぬいぐるみを置き忘れ、中には今回のケースのように奇跡の再会を遂げることもある。

 人間っていいな:大親友のぬいぐるみを置き忘れてしまった6歳の少年に空港職員が粋な計らい(アメリカ)

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「大切なぬいぐるみをなくしちゃった。なんとか見つけたい。」そんな子どもたちの願いをかなえるインターネットサイト「Teddy Bear Lost and Found」


彼女の一番大切だったもの。思い出のテディベア「ホワイティ」を完全復元してプレゼントした男性。彼女の感激っぷりが心にしみる。


お母さんいた!孤児となったコアラにぬいぐるみのコアラをプレゼント。ぴっとり抱き着くその姿がいとおしい。


孫のためならえんやコルァ!テディベアの大きさが孫への愛情の証だったおじいちゃんの場合

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コメント

1

1. 匿名処理班

  • 2017年01月05日 11:43
  • ID:Ue6.htws0 #

なんだか絵本にできそう
優しい人だね

2

2. 匿名処理班

  • 2017年01月05日 12:21
  • ID:keyq53Ts0 #

涙が出てきた
良かった

3

3. 匿名処理班

  • 2017年01月05日 12:22
  • ID:g.z2n2be0 #

むちゃくちゃほっこりした
職員の人ナイス!

4

4. 匿名処理班

  • 2017年01月05日 12:47
  • ID:exEE.Ayj0 #

アメリカ人のこういうとこ好きだ

5

5. 匿名処理班

  • 2017年01月05日 13:49
  • ID:PXuuXJnQ0 #

>スティーブン(左)
スティーブン、えらい可愛いな

6

6. 匿名処理班

  • 2017年01月05日 14:07
  • ID:ueAfwOxc0 #

テディの手紙でブワッってなった(´;ω;`)
アメリカンのこういうとこ大好き

7

7. 匿名処理班

  • 2017年01月05日 14:21
  • ID:9rQ0pXZG0 #

ゴミ箱の中に捨てられずフチに腰かけてたって事は、そこに乗せた人も、帽子までかぶせてもらってるクマがただほっちらかされたとは思えず、捨てるのをためらったんだろうな
その人の優しさにも感謝、スティーブさんにそれを教えてくれた同僚さんもGJだね
それにしてもお母さんの出した捜索願の文言といい、テディの大冒険といい、アメリカ人のこういうときのユーモアってほんとにセンス良くて素敵だわ

8

8. 匿名処理班

  • 2017年01月05日 15:17
  • ID:B0ZPDnzR0 #

家が恋しくなったテディの写真がいい
この構図を生み出せる人間でありたい
ゴミ箱に座らせた人にもgjを贈る

9

9. 匿名処理班

  • 2017年01月05日 15:34
  • ID:edjMV7sm0 #

スティーブン(左)にやられて感動が爆笑にww

10

10. 匿名処理班

  • 2017年01月05日 16:14
  • ID:X.NobK.z0 #

おいおい 今年の最優秀賞の映画シナリオが暴露されてしまっているではないか 由々しき問題だ!(笑顔

11

11. 匿名処理班

  • 2017年01月05日 16:41
  • ID:zBgYHcCh0 #

ぱるもー 右!右!
しかしこの手の話に出てくる人たちって、自分もちょっとわざと大事なぬいぐるみ失くしてみたくなるくらい粋なことしてくれるよね

12

12. 匿名処理班

  • 2017年01月05日 16:56
  • ID:5ocaRm.j0 #

子供って大事なぬいぐるみや玩具無くしたら何処かで寂しい思いしてるとか、もう会えないのかなとか色々心配しちゃうもんね
探して見つかった報告だけでも嬉しいのに、空港内を冒険した楽しい写真まで撮って見せて貰えたら心から安堵するし思い出にもなるし粋な計らいだなあ
スティーブンさんが子供の気持ち判る優しい人で良かった、女の子もテディもまた一緒に居られてほんと良かったね

13

13. 匿名処理班

  • 2017年01月05日 18:34
  • ID:VRZMHgnc0 #

凄くステキな話で涙出た

14

14. 匿名処理班

  • 2017年01月05日 19:10
  • ID:.vzqWc6c0 #

アメリカならではのお話
日本だと発見した一人目が事務的に梱包して配送しそう

15

15. 匿名処理班

  • 2017年01月05日 22:58
  • ID:X4hOJ.kt0 #

報酬:8歳の女の子の永遠の感謝
これもいいね

16

16. 匿名処理班

  • 2017年01月06日 01:52
  • ID:RnHE.L3w0 #

>広い空港内をくまなく探し、
くまなく探し・・・
くまなく・・・
くまー

17

17. 匿名処理班

  • 2017年01月06日 10:13
  • ID:HtqBnHPq0 #

"子どもにとってぬいぐるみはただの綿の入った布ではない。飽くなき想像力でそこに人格を吹き込み、大親友になっているのだ。"
記事の内容も素晴らしいけど、最後のこの言葉も素敵だなって思います

18

18. 匿名処理班

  • 2017年01月06日 12:00
  • ID:2da3pPBi0 #

おっちゃんの粋な計らいに涙でる
自分にも子供がいるから、とは云ってもここまで子供目線で
安心させようとしててくれるとは

19

19. 匿名処理班

  • 2017年01月06日 14:00
  • ID:Nw6Jdd9O0 #

人の見た目は年齢(と遺伝子と環境)で変化するけど、(よほどのことがない限り)心は子供の頃とそう大きく変わらない
他人の優しさと正しさに巡り会って育ったなら、またその子も同じことができる大人になれるだろうね

20

20. 匿名処理班

  • 2017年01月06日 15:01
  • ID:HEOexegq0 #

涙が出た。
こう、女の子を心配させないように短いメモ入れてる所に優しさを感じる。

21

21. 匿名処理班

  • 2017年01月06日 21:20
  • ID:OcwmfVcK0 #

>(左)
あ、当人らの左ってことか。向かって左に解釈したから
「ママの同級生にしては随分若いし可愛いやんけ」と思ったぜい

22

22. 匿名処理班

  • 2017年01月07日 07:21
  • ID:wO6vitDS0 #

今年始めたの涙・・ ありがとん。

23

23. 匿名処理班

  • 2017年01月07日 09:13
  • ID:d2RBjQSl0 #

ほんとよかった。やはり人間は優しくあるべき。

24

24. 匿名処理班

  • 2022年03月24日 11:26
  • ID:eHQP4TMT0 #

水を指す様で悪いけど8歳で外出時に縫いぐるみ必須はちょっと...見つけて貰ったのはそれはそれとして年齢的にそろそろ縫いぐるみと外出は卒業させた方がいいと思う😓

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