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ターミネーターを越える存在に。ソフトロボット産業をけん引する自己完結型ロボット「オクトボット」

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(著) (編集)

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 高さ2センチメートルにも満たないグニャッとしたタコのようなマシンが、ソフトロボット産業の新時代を告げる。『ネイチャー』誌で発表された”オクトボット”は、柔らかく柔軟なパーツのみで作られた初の自己完結型ロボットだ。

 ソフトロボットに対する関心はここ数年ウナギ登りだった。それは硬く頑丈なターミネーターのようなマシンを超える、狭い場所にも押し入ったり、繊細な物体でも安全に扱えるようなロボットを見据えてのことだ。

Introducing the Octobot

マイクロ流体回路で液体燃料の流れを制御

 しかし、言うは易し、行うは難しだ。「脳にあたる部分、電子機器、バッテリー……いずれも硬い部品なのです」とマサチューセッツ工科大学のロボット工学者ダニエラ・ルス(Daniela Rus)氏は話す

 オクトボットを構成するのはシリコンゴムだ。”脳”には柔軟性のあるマイクロ流体回路を採用し、圧力稼働式バルブとスイッチを利用して経路内の液体燃料の流れを制御する。

 「通常の電気回路の動作を模したものです」と研究の中心人物の1人であるハーバード大学のロバート・ウッド(Robert Wood)氏。だが、内部ネットワークに流れるのは周囲の電子の代わりに、液体とガスだ。

 脳内のバルブとスイッチによって4本1組の腕が交互に伸展する。まず、2つのタンクに燃料を注入。すると、タンクが風船のように膨らみマイクロ流体回路に燃料を押し流す。

 燃料が回路を流れる際、圧力の変化によって制御点の片方を開放、片方を閉鎖。燃料はシステムの片側にしか流れなくなる。流れた側で燃料が消費されると内圧が低下し、今度は逆側に燃料が流れ始める。

 こうして最初に燃料が流れた側は縮む。あとはこの繰り返しだ。

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より優れたソフトロボット開発を目指して

 ロボットの脳は、ボディ内に張り巡らされる3Dプリント回路を経由して腕に指令を出す。ボディは、タコをかたどった型にシリコンポリマーを流し込んで作成。

 その後、3Dプリンターで特殊なインクを注入し、周囲のポリマーの形状と位置を保持する。ここで加熱してインクを蒸発。すると、オクトボットの腕に張り巡らされた、脳につながる空洞のネットワークが完成する。

 一般的なソフトロボットは動力源となる圧縮エアタンクにつながっていることが多いが、これは動きを制限することにもなる。そこで、ウッド氏らは化学反応を動力にするという異なるアプローチを採用した。

 燃料の50パーセントは過酸化水素水だ。これが内部ネットワークの2区画に設えられたプラチナに暴露すると、急激に大量の水と酸素に分解される。

 これにより各区画で圧縮されたガスが膨張し、腕を伸ばした後、排気孔から排出される。

 現在、オクトボットは燃料1ミリリットルで最大8分間動作することができる。特定の目的を念頭に置いて設計したものではなく、本物のタコの動きを再現したものでもない。

 むしろ、技術のデモンストレーションとしての意味合いが強い。しかし、将来的にはより洗練されたマイクロ流体回路が開発され、耐久性が上がり、腕の設計に適した複雑な動作も行えるようになるだろう。

 目下の課題はプログラムを変更し、環境に応じた異なる動作を行えるようにすることだという。

 出力を向上させたマイクロ流体回路に柔軟性のあるセンサーを組み合わせることで、状況に応じて行動を変えるよりスマートなソフトロボットができるかもしれない。

via:laughingsquidnature/ written hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 30件

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  1. いつの日かこれが液体金属に置き換わってT-1000になるんだな!

    • +12
  2. 回路が血管のようだったり鼓動しているように見えたりで、拙い動きだけどとても生物っぽく思えた

    • +7
  3. 考えてみると、生物の神経系統ってほぼほぼやわらかい部品でできてるわけで、よくできてるってことなんだね。
    この技術がめちゃくちゃ進むと、体の中に埋める医療機器がすごく改良されるってことか?

    • +8
  4. 人間が容易に歩けたりバランスを保てたりするのは、筋肉の収縮により圧力が加わり人体内部でバラストの様に移動する血液も関与している、ってこの前科学雑誌でも書いてありましたねそういえば。
    マシンの駆体を液圧で駆動させるにはポンプとシリンダーとバルブピストンが必要だという従来の発想を打破し、新たなる技術が産まれましたね。駆体そのものをシリンダーにするとは面白い。軽量化にも繋がりそうですね

    • +9
    1. ※5
      マイクロマシンでガンやあらゆる病気元に血管を使い
      治療後血液内に溶け込み自動消滅も可能になるかも
      また成分こそ有機体とは言えないが、構造的には第二の
      生命体基礎にもなるので、人間以上の人間であるアンドロイドが
      誕生しても何の不思議ではない

      • +8
  5. そのうち生物とロボットの見分けが付かなくなる

    • 評価
  6. Dr.オクトパスがスパイダーマンの精神のっとりに使ったのも
    オクトボットって名称だった気がする

    • +4
  7. 一応燃料と排気があるんだね。プシュッ
    自動補給と組み合わせてシリコン生命体の完成だー逃げろー

    • +1
  8. のびーるグミにしか見えないw
    ちょっと食べてみたいと思った

    • +6
  9. 本当にちょっと前まで「二足歩行難しい」って言われてたのに、ロボット分野は知らない間にどれだけ進歩してるんだろうか

    • +1
  10. タコっていうより怒ってる時のハエトリグモだ

    • +4
  11. 子供を産む事が出来るロボットが出てきたりして・・・・・・。

    • 評価
  12. 本来と素材が違うだけでもはや生命創造の域だな

    • +4
    1. ※17
      多脚のほうが簡単なんですよ。
      二本脚だとバランスをとって停止できない時間がありますからね

      • +3
  13. 知的生命体は科学の発達段階のあるところから人工生命を創り始めるんだろうな。やがて、ある程度知性の発達した人工生命体を他の恒星系の調査のために円盤状の探査機に乗せて、、、

    • +4
  14. これが発展すればザクの流体パルスシステムになるのか

    • 評価
  15. なんだコレ、オモロイww
    今はまだ動きがぎこちないけど、ASIMOみたいに近い将来滑らかな動作になりそうだな。
    そうなれば色んな分野に応用が利くだろうな。

    • +1
  16. 軟体サイボーグが溢れかえる未来も近そう

    • +1
  17. おお、純流体素子!堀 晃さんの小説みたい。
    電子回路と違って放射線の影響を受けにくい(受けない)とされてるから
    その方面で役立ちそうだ。

    • +3
    1. ※23
      いてうか、この技術そのものが、「装甲騎兵ボトムズ」でATを駆動させている、「マッスルシリンダー」の雛型になる気がする。
      なので、ここからいろいろと技術革新が行われて、その上での駆動システムを実在する登場型のロボである「クラタス(これは四脚だけど)」に搭載すれば、リアルアーマードトルーパーができると思う。
      まあ、実際には数トンもある鉄の塊を直立二足歩行させるための、技術を開発するほうがむつかしいと思うけど。
      でも、夢の広がる話なのは間違いないと思う。

      • 評価
  18. 今やAIが投資する時代だもんねぇ・・・
    ついていけねえわ。

    • +2
  19. タコの動きをヒントに作ったからって言っても、タコの形に似せる必要は無いと思うんだけど

    • +3
  20. コレの究極版が、ウイルスなんじゃないの?

    • 評価
  21. なんか、バン○イあたりが、商品化しそうな気がするんだけど。
    いや、むしろタカ○ト○ーあたりか?
    けど、ここでの技術が発展することで、人工筋肉が革命的に進化して、その先に人工筋肉を踏査した登場型人型ロボができるのかもしれない。
    その前の段階で、「サロゲート」のようなアンドロイドが出てくるのかもしれないけど。

    • +2
  22. 欲しい!!
    8分も自動走行するなんてすごいね。量産化したら絶対に売れると思うんだけどなあ

    • +1

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