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誤った判断をしてしまう理由は選択肢の多さにあった。脳内に生じた”ノイズ”が非合理的な決定をしてしまうことが判明

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(著)

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 次にとんでもない判断ミスをしてしまったら、選択肢が多すぎたことを理由にできるかもしれない。得られる結果が2種類だけなら、判断は簡単だ。ところが複数あると、脳に発生した”ノイズ”によって調子が狂ってしまう。それというのも、脳はそれぞれの選択肢から得られるであろう利益をまとめようとするからだ。

 選択肢が多いと、人は判断ミスを非合理的な判断を下してしまうということはわかっていたが、その理由は謎だった。今回国際共同研究チームがその答えを見つけ出した。それが脳に生じる”ノイズ”なのだそうだ。

 標準的な意思決定の理論によれば、人は自分にとって最善であるもの、あるいは何が得られるかに基づいて判断を下すことになっている。

 その選択肢が、例えばAとBといった具合に単純なものであれば、決定もまた単純だ。しかし、AとBよりも魅力に欠けるCという3つ目の選択肢が登場すると、一見非合理的なはずのCが選ばれることがある。

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 その原因は長いこと心理学者の間で謎であったが、オックスフォード大学、ウォーリック大学、ロンドン大学バークベック・カレッジ、ワシントン大学、テルアビブ大学からなる学際チームがその答えを見つけ出した。”ノイズ”が原因であるらしい。

 大音量の音楽が響き渡る場所で集中することが難しいように、選択肢が多い状況ではそれを選ぶことが難しくなる。それは個々の選択肢が簡単に却下できるような代物でもそうだという。

 仮に、AはBよりも望ましく、BはCよりも望ましかったとしよう。この場合、AがCよりも望ましいことは明らかに思える。これを推移性の公理という。

 ところが、現実の人間は、こうした選択肢をまるでじゃんけんかのように認識する。すなわちCがAよりも望ましいと感じることがあるのだ。

誤った判断を下すのは知能と関係がない

 意思決定は、それが下される流れの中にノイズを作り出す非合理的な要因や、囮となる選択肢によってに影響される。従来の意思決定理論に反するこうした現象は、”人間の処理能力の根本的な限界”、すなわち単なる知能の低さが原因と考えれられてきた。

 しかし実験の結果からは、こうした見解が誤りであり、”選択的組み込み”という別の仮説が提唱されることになった。この仮説によれば、明らかに非合理的な選択肢であっても、心が各選択肢の利得をまとめてしまい、単純に1つ1つを検証しないことから、正当化されてしまうのだという。

 『プロシーディングズ・オブ・ザ・US・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス』に掲載された論文には、「選択的組み込みによって、意思決定は選択肢の価値に加えて、その相対的順位にも敏感となる」と説明されている。

 この驚きの発見はコンピューターシミュレーションによる結果で、人はより適切な意思決定が可能で、かつノイズが役に立つことを示唆しているそうだ。選択的組み込みは逆説的ながら、意思形成の過程で精度(および、その後の経済的利得)を最大化しているという。

 定説に反して、非合理的な選択は、神経による意図的な計算の副産物であるようだ。

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via:pnas,dailymail./written hiroching

 余談であるが、人の意思決定に関連して、様々な犯罪に応じて適切な刑罰の度合いを決める脳の領域が特定されている。アメリカ、ハーバード大学とヴァンダービルト大学が脳に刺激を与えて調査した結果、背外側前頭前皮質が容疑者の容疑とそれが他人に与えた被害を統合していることが明らかとなったのだ。この情報は、その後に組み合わされ、適切な量刑を判断するために使用される。

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この記事へのコメント 33件

コメントを書く

  1. 俺が人生で一番大きな間違いをおかしたのは、恋愛中の脳内ノイズが原因であったのか!

    • +1
  2. 学生時代はどれかを選ぶという選択肢になるが働き始めると現状維持の選択比率が上がるんでそれはいいことばかりではないと頭に入れておかないとジリ貧になるのよね

    • 評価
  3. これ逆じゃないかな。
    人間が感覚器官等から得てる情報は多彩で
    脳の中がノイズまみれなのが本来なんだから
    いかにそれを取捨して必要な情報に絞れるかが
    誤った選択をしない方法なんじゃない?

    • 評価
  4. 構造的な問題なら完全に同じ状態が再現でれば全く同じノイズが発生して全く同じ決定をするから、非合理ではあるけれど必然の結果で気にする必要はないってことだな。

    • -6
  5. 誤認させるのは選択肢が気に入らないから。
    無意識に否定したいと思っている。
    逆に自分の嗜好にあった選択肢がある場合間違っていてもそれを選択してしまう。
    そこにムダな思考が差し挟む余地がなければ人間は賢明な選択を選ぶことができる。

    • -4
  6. 合理的であれば正解って訳じゃないのが人生じゃないでしょうか
    非合理全てを誤りとすると、娯楽や恋愛とかかなり消えてしまうような
    合理的な事だけで生きてたら精神的に病みそうな気がしてしまう

    • +3
  7. ノイズ?
    選択肢が三つ以上ある時に破綻するから、
    アローの不可能性定理じゃないかな?

    • +3
  8. 試供品を選ばせたあとでコツコツとした作業を行って意志力を測定する実験で、試供品が3、4個の時と十数個の時の比較で、後の方が作業できた時間が短かったという結果があったりする。選択肢が多いと意志力を使うらしい。
    で、意志力を節約しようとしてあまり考えずに選択するから、結果ミスが多くなると。
    考えてるつもりで、思った以上に状況に流されてることが多いみたいだね。

    • -1
  9. これは学生時代に何度か経験した事が有る。友達と一緒に買い物に行って、同じ様な商品のデザイン(色などを含む)に悩んで一方を選ぶ。すると友達は、自分が選ばなかった方を選ぶ方が良いと言い出す。しかもそれを選んだ理由が、自分は余り重視しない理由だったりすると、面倒になってしまって「あー、今日は買わない!」になってしまう。
    後になってから「自分1人なら迷わずに買っていたのに」と良く思った。(良く考えてみると、そいつはいつも私とは反対の意見を言っていたな?正に雑音だった)

    • +4
  10. 合理的な対応を一瞬で迫られる護身術の類は、覚えた技の種類が多いほど反応が鈍くなって防衛力が低下する
    だから軍隊の格闘技は技術体系がシンプルなんだとか

    • -2
  11. このノイズは量子コンピューターの研究を妨げている要因でもある。
    人間の脳の処理と量子コンピューターの処理は酷似しているからね。

    • +3
  12. 今考えていることの逆が正解、だが、それは大きなミステイク。

    • +1
  13. あの・・・選択肢が多い処か、選択の余地が無い状況にばかりなった挙句の
    《其れしか可能性がない状態でも、そもそもが間違いだったんだよ、まるで無駄だったんだよ、初めから予め自動的に失敗して居たんだよ、君がする場合に限ってはね。》
    にしか成らんのですが・・・
    毎度毎度、絶望感と無力感で座り込み、涙で前が見えんのですが・・・此れは一体どんな脳内ノイズが原因なのでしょうか?木星の雷位のノイズでしょうか。

    • 評価
  14. まさに「銀と金」の絵画編の仕掛けそのものだね。

    • 評価
    1. ※15
      そのつらさの原因はノイズじゃないんじゃないかな
      この記事をそのまま簡単に言うなら「人間は絶対に選択を誤る」って話
      じゃあ大事なのはたぶん正しい選択をすることじゃない
      選択した結果に後悔しないとか、失敗を次に生かしてあきらめないとか、100%自分の意思で選択したという責任と自信を持つとか、自分の意思をどこに置くかの方が重要だよ
      仕事にせよ人間関係にせよ、そんなにつらいなら現状が自分にあってないってだけ
      些細なことが気になって肝心なことが見えてない、なんて事がよくあるんじゃない?
      だけどさ、死ぬのと比べてどっちが嫌かなんて答えは簡単だろ?
      死にそうなくらい大変ならやめたり捨てたりすればいいんだ
      アメリカ大統領にだって代わりはいるんだ、君の代わりなんていくらでもいる
      もっと楽しい事いっぱいしようぜ
      そのほうが自分も笑顔、他人も笑顔だ

      • 評価
  15. 長い事疑問だったとか書かれてるが、実感としてはわかってたよね。

    • +1
  16. 宇宙線も、太陽からの太陽風も、一種のノイズみたいなものだろ?
    つまり、この宇宙はノイズに包まれた存在だから、
    人間が間違えた判断をするのも、まあ普通の事だという事になるな

    • 評価
  17. ドンマイドンマイ結果オーライ成るようにしかならねえ

    • -1
  18. じゃあ高速道路の料金所に入ると確実に選択肢は2つしかないのに間違えそうになる現象は同説明してくれるんだ

    • 評価
  19. ”選択的組み込み”が何のか説明されてないな。
    それがなぜ経済的利得につながるのかも

    • 評価
  20. 心配性の自分がおかすミスは確かに大抵これだという自覚はあるけど、やっぱどうしようもないな
    せめてその研究の結果はポジティブに受け止めておきたいけど

    • 評価
  21. これレストラン行ったときとか、どれにしようかって迷いに迷った挙句……でよくあるパターンだわw

    • 評価
  22. タイトルおかしいでしょ。
    CはAやBと1対1で比較すれば価値が低いことが明らかであるので、A,Bの選択からA,B,Cの選択にしても、最初にCは切り捨てられ結局A,Bの選択になるのではないか。つまり誤りは増えないのではないか、と直感的には思われる。しかし、実際にはそんなCでも選択肢に追加されることで判断の精度を下げてしまう。
    ここまでは経験的にも知られ、おそらく実験的にも示されている事実。
    これまではそうしたことが起こる理由の説明としては、単に容量の問題なのではないか、というような説があった。こうした説(あるいは従来の一般的見解)では、Cの追加による判断の変化は、”誤り”であるとみなされてきた。
    しかしこの度、コンピュータシミュレーションによって、ノイズまで含めた”選択的組み込み”を行ったほうが、精度が向上することが示された。
    つまり、容量の問題などから間違いを犯しているのではなく、合理的な計算をしている結果として生じている選択である可能性が示唆された。
    という話でしょ。

    • 評価
  23. 俺、ノイズだったんだな。
    そんな気はしてたんだよ。

    • +2
  24. 小林製薬からノイズクリンとかでそうだなw

    • +7
    1. ※26
      選択肢が4つの場合と選択肢が40の場合だと
      40であるがゆえに思考放棄することがあるということだと思うよ

      何も設問に限ったことではなく、考慮するべき事柄の量によると思ってほしい
      途方もなく思ってしまうと自信を失ってしまうよね
      でも、辿った道のりを後の正解から見直すと
      ちゃんと理路整然と説明することができる
      途方もないと感じたのは間違いなんだよ

      こういうのが、いわゆる手拍子で受けるってヤツだね
      場数がどうのこうのいうアレかな

      • -1
  25. 恋愛相手の選択にも通じることなんかなぁ
    選択肢は人口の数だけあるとざっくり考えたら…
    あるっちゃありそうね

    • +2
  26. 比較基準が複数できてしまうからではないか

    • 評価
  27. 断トツでコレ!ってのがあれば、迷う余地もない。誰のアドバイスも耳に入らないし。

    • -1
  28. マンガの「死がふたりを分かつまで」の最終回を決めたヤツか

    • +2

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