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麻薬物質を注入しアリを洗脳し自らの奴隷にするムラサキシジミの幼虫(日本研究)

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(著)

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photo by iStock
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 丸々と太ったイモムシは捕食者の大好物だが、これから身を守るために独自の方法を編み出した幼虫がいる。なんと、アリを麻薬漬けにして、ボディガードとして使役するのだ。

 日本や台湾、中国西部に生息するムラサキシジミの幼虫は、甘く、ネバネバした液体を分泌し、アリの行動を変えてしまう。これを口にしたアリは、幼虫に危害を加えようとするものに対して積極的に攻撃を加えるようになる。

 従来、この行為は、幼虫が甘い蜜を提供する代わりに敵から身を守ってもらうという互恵的関係を結んでいるものだと考えられていた。しかし、最新の研究では、この分泌物がアリの脳の化学的作用を変化させ、奴隷化していることを解き明かした。

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 神戸大学の生態学者、北條賢博士らは、分泌物を口にしたアリの脳内ではドーパミンレベルが低下することを発見した。脳のドーパミンシグナルを改変することで、アリは幼虫に夢中になる。この結果、アリは巣に関心を示さなくなり、周囲をあまり探索しなくなる。しかし、幼虫が触覚を引っ込めるなど、危険信号を発したときは、非常に攻撃的になる。幼虫は守ってもらう代わりに報酬を与えているのではなく、一方的にアリを操っているのだった。

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 北條博士らは、幼虫の行動は本質的に寄生虫のそれだと論じている。アリの巣の中に生息する寄生種については、アリの化学的性質を模倣することで、巣に受け入れてもらっていることが知られている。

 しかし、ムラサキシジミはこうした模倣は行わない。従来互恵的関係だと考えられていたものは、実際には非常に利己的な操作であった。同博士らによれば、互恵的関係を結んでいるかに見える他の一般的な事例も、実は麻薬を利用したものである可能性があるようだ。

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 北條博士らは幼虫を実験室で飼育し、その分泌物をペトリ皿に入れたアミメアリの働きアリに与えた。そして、このアリの行動とホルモンレベルを観察した。

 さらに、幼虫が触覚を引っ込め、警戒したときの行動も観察した。その結果、アリは攻撃的に反応し、幼虫の周囲に襲いかかり、敵を追い散らした。

 実験では、アリにレセルピンという昆虫のドーパミンを減らす化学物質も与えている。結果は、幼虫の分泌物を与えたときと似たようなものであった。

 北條博士らによれば、幼虫の分泌物は巣の仲間よりも幼虫と絆を強く感じさせるかのような作用があるらしい。

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 こうした観察結果から、幼虫の背からの分泌液は、ドーパミン調整機能を変更し、幼虫との信頼を高めることでアリの行動を操作していると結論が出された。

 シジミチョウ科の幼虫はその4分の3までがこうした分泌液を用いて、アリに自分たちの面倒を見るよう仕向けている。ムラサキシジミのようにボディーガードとして操ることもあれば、食事の世話をさせることもある。蝶や蛾の幼虫の多くは毒で捕食者に対抗するが、この種はアリの攻撃本能を利用しているのだ。

Caterpillar drugs ants to enslave them as bodyguards・原文翻訳:hiroching
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この記事へのコメント 47件

コメントを書く

  1. 研究結果もすごいけど、蟻の脳のドーパミンレベルを測定する方法って……

    • +39
  2. 夜の蝶に貢ぎまくって家庭を顧みなくなったお父さんみたいだ

    • +71
    1. ※2
      夜の蝶の分泌する甘い蜜でお父さんのドーパミンレベルも改変されている可能性がありますね

      • 評価
  3. マジか
    むしろ幼虫が甘蜜生産機として巣に拉致されてるもんかと思ってたが、逆だったのか

    • +35
  4. 日本の一部企業でも極端な論功行賞で社員を社畜化しているから、同類だな。

    • 評価
  5. じゃあアブラムシとアリの関係もそんなことがありえたりして?

    • +40
  6. アリマキ=アブラムシも本当はそんな感じなのかね

    • +13
  7. アブラムシなんかにも麻薬使うのいるかもしれないね

    • 評価
  8. これ、蛹から脱皮し成虫になって飛び立つ前に分泌しなくなるから、周りの蟻たちがこの時に襲いかかってくるんでしたっけ?
    だから、成虫になって飛び立つ前に逆に蟻の餌になってしまう場合もあるという…

    • 評価
    1. ※11
      アリには蟻酸っていう毒がある種類もあるから不用意にぱくぱくしたら痛い目にあうかも

      • +3
  9. ゴマシジミの幼虫は体から甘い蜜を分泌して
    アリを集めて巣に自分を運び込ませて
    アリの卵や幼虫を食べて成長する、というのを最近本で読んだばっかりだわ
    アブラムシを食べるゴイシシジミ(幼虫)ってやつもいるよ

    • +4
  10. このイモムシにちょっかい出すには、ヤク中アリ複数を相手にしないとイカンのか
    擬人化したら面白そうだな、イモムシ=幼虫なんだし、、、。

    • +6
  11. 最初は甘露を提供するかわりに外敵から守るという相利共生だったのではないかな
    なんかの理由でより強力にアリの行動を操る必要があったんだろうね
    たまにアリ自身に捕食される恐れがあった、とか
    じゃないと甘露よりコストかかりそうな麻薬作るメリット無さそうだし
    しかしこうなるとアリにとっては寄生者以外の何者でもないな
    アリの集団って一旦こういう化学物質で操る系に寄生されたら対抗しにくいのかな
    サムライアリとかの乗っ取りも見てて思うけど、
    化けの皮をかぶった部外者を見分ける能力って進化しにくいんだろうな

    • +13
    1. >>14
      結婚詐欺に騙された男たちの復讐みたいな?色香って怖いわ…

      • -1
  12. アリって凄い社会性が高く見えるけど、逆に個としての危機管理は疎かで、そこが狙われ易いんだろうね。まぁ少々の犠牲はお構いなしで、女王さえ守れればいいってやり方なんだろうけど。

    • +7
  13. 題名読めば中身はわかるだろ。
    どこまで親切設計にすりゃいいんだ。
    俺は最近避けてた記事でも読むようになったけどな。
    そうしないと自分が退化していく気がして。

    • +2
  14. 少々の犠牲のために、働かない蟻がいるんですよね。
    蟻社会にとっては、少々の犠牲などなんら問題はないんでしょうね。

    • +5
    1. ※20
      進化によって得られた能力ってのは、必要に応じて発生したわけではないんだけどね

      • -7
    2. ※20
      アリやハチなど膜翅目は社会性を構築する情報伝達に
      フェロモン等の化学分泌物を使用しているから、
      そこに割り込んでくるものに弱いのかもしれないね。
      ネットワークで管理統制されてるロボット軍団が
      いったんネットワークに侵入されたり乗っ取られたりすると
      なすがままに操作されてしまうのと似たようなイメージ。

      • +6
  15. ドラえもんの、可愛らしい蟻擬人化のはなしが全然ほほえましくなくなっちゃうわー
    ((((;゚Д゚)))))))

    • +9
  16. 何の力もない捕食されるばかりの存在だと思ってた芋虫さんの研究が進んでイメージ変わったわ…

    • +4
    1. ※23
      すまん、必要にひっかかるか・・・淘汰圧が働いたって読みかえてね

      • +2
  17. うちの猫からもその化学物質が出でているのかも知れない

    • +9
  18. 割りと人間の世界でも同じようなことあるよね

    • 評価
  19. 猫も何らかの麻薬で人間を操ってるのではないか?

    • +8
  20. 猫の場合は猫についてる寄生虫トキソプラズマが人間の脳に作用してるって、
    前ここで見た気がする

    • +3
  21. アリの脳なんてどうやって検査したんだろう?

    • 評価
  22. ムラサキシジミという言葉を二十歳まで記憶していると
    奴隷アリにされてしまう

    • 評価
  23. これによく似たムラサキツバメも
    同じく幼虫時代にアリとの共生生活をすることが知られている

    • +3
  24. 好蟻性昆虫が好犠牲昆虫に変わってるじゃねえかww
    アリタケといいこれといい、アリは何で乗っ取られてばっかりなんだろうな。
    エメラルドゴキブリバチを見習え。

    • +6
  25. 猫は単純に愛玩動物として見た目や仕草が可愛い遺伝子が厳選され進化を遂げてきただけだろw

    • 評価
  26. アリノスシジミっていう武闘派もおもしろいよな

    • +3
  27. 最初に蜜を飲ませる時はどうしてるんだろう?
    アリが蜜に釣られず襲ってくる事例ってないんだろうか

    • +3
  28. アリは脳という呼び名の器官はないのでは?
    正しい名称は違うような?

    • 評価

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