
「逆転が起きる場所はランダムだと考えられてきましたが、研究結果はそうではなさそうだと示唆しています」と米ロチェスター大学の地球物理学者ジョン・タルドゥーノ氏は説明する。同氏によれば、大昔の住居が残したデータが、弱い磁場が形成と減衰を繰り返しつつ大きくなり、最終的に地球の地磁気の向きが南北逆に入れ替わることを示していた。 ●南大西洋の不思議
南大西洋異常帯とは、200km上空で宇宙線から我々を守っている地球のシールドが著しく弱い一帯のことだ。そこを通過する電子機器は強力な放射線に晒され、誤動作のおそれがあるために、人工衛星や宇宙船にとっては最も危険な場所だといえよう。ここを通過するとき、ハッブル宇宙望遠鏡でさえも無力だ。ここでは地球の磁場がエネルギー粒子を跳ね返さず、取り入れてしまう。しかも大きくなっている。
「特定の場所では地球の磁場が漏れ出していると推測する者もいます」と論文の共著者であるロチェスター大学の地質学者ローリー・コットレル氏。「一説によれば、南大西洋異常帯は、私たちが今観測している磁場全体の減衰の原因であるそうです。というのも、こうした一帯が時間とともに成長あるいは変化しているからです」
多くの研究者が、こうした異常は、磁場を作り出す地球の鉄心からの流れの変化が引き起こす一時的な現象だと考えている。しかし、本当は異常帯によって地磁気逆転が少しずつ進行しているのかもしれない。磁場は1000〜1万年をかけて変化し、磁北と磁南が入れ替わる。このプロセスは一般的には20〜30万年に一度磁場が十分に弱まったときに起きるが、最後に起きたのは78万年前のことだ。

現代の磁気記録はわずか150年ほどしか遡ることができないが、このスパンでも地球の磁場が急速に強度を失っていることが分かる。そして、科学者はアフリカの鉄器時代の名残を用いることで、AD1000〜1850年までの記録を辿れるようになった。ここから判明したのは、南大西洋異常帯は当時から進行していたということだ。
その時期を通じて、大昔のアフリカの村の住人たちには定期的に小屋や穀物の容器を燃やす習慣があった。これが時代を通じて一貫したデータを提供してくれるのだ。
タルドゥーノ氏によれば、この儀式的な焼き討ちは特に干ばつの時期に行われていたそうだ。すなわち襲撃などがあって、そのために村が焼かれてきたようだ。「その目的は村を清めることでした」と南アフリカのウィットウォータズランド大学の人類学者トーマス・ハフマン氏。
そして、少なくとも大地は清められた。火をつけられた村は摂氏1000度に達し、これが粘土の床に含まれた磁鉄鉱などの磁性化合物を溶かした。磁鉄鉱が冷えた瞬間、地球の磁場がこれを再び磁化し、数世紀後の分析におあつらえの物質となった。
この発見以前、南半球の歴史的データはほとんど存在せず、アフリカ南部については皆無といえる状況だった。しかし、粘土から得られた記録は、不気味なほど見覚えのあるものだった。今日と同じく、当時の磁場も南大西洋を中心に徐々に弱まっていたのだ。この現象は継続的に発生していたわけではない。むしろ、その場所において発生と消失を繰り返していた。

タルドゥーノ氏のチームの見解では、この繰り返し同じ場所に発生する磁場の弱まりが示唆することとは、地球の地下奥深くに存在する恒久的な特徴が南大西洋異常帯を発生させている。したがって、地磁気逆転においても何らかの役割を果たしている。
その特徴とは地球の外核のすぐ上に存在する熱く、密集したマントル岩石層である。この層はアフリカ南部および大西洋の地下3000km(ニューヨークからパリまでの距離に相当)の地点にある。ここは巨大低せん断速度領域(Large Low Shear Velocity Province)と呼ばれており、この鋭い境界が核内部の鉄の流れを阻害することで、奇妙な磁場を弱める渦が発生し、ときおり地磁気が逆転するのではないか、とタルドゥーノ氏は推測している。
このモデルは、地磁気逆転に関する多くの仮説の一つでしかない。現在、同チームは数学モデルを洗練させ、さらなるデータ集めに奔走している。
「地磁気逆転の原因は誰も知りませんし、逆転を予見する説得力のある証拠が発見されたと誰もが考えているわけでもありません」と語るのは、ワシントン大学の地球物理学者ロン・メリル氏だ。彼は今回の研究の当事者ではない。アフリカで発見された記録は非常に有益なものだが、地球の核付近の特徴と磁場の弱まりや地磁気逆転が強く関連していることを証明するには、今後多くの検証が必要になるとメリル氏は説明する。

via:livescience・原文翻訳:hiroching
地磁気逆転とは?▼あわせて読みたい
地球の地磁気の向きが、かつては現在と南北逆であったとすること。過去360万年の間に11回は逆転し、現在では、2つの逆磁極期があったことが判明している。約500万年前から約400万年前の逆転期は、「ギルバート」と名づけられ、258万年前から78万年前の逆転期は「松山」と名づけられている。なお、国立極地研究所らの研究によれば、より精密な年代決定を行った結果、最後の磁気逆転の時期は約77万年前と報告されている。





コメント
1. 匿名処理班
そうか、それじゃあまだ一万年あるね!(脳天気)
2. 匿名処理班
ひっくり返るとどうなるんだろう?
磁石のNSが逆を指すくらいしか影響ないような気がするけど何かヤバいことが起きるんだろうか
3. 匿名処理班
わくわくするね、こういうのは
4. 匿名処理班
なんで 松山 なんだぜ?
5. 匿名処理班
※3
ある日突然一日にしてひっくり返るわけじゃないから、たぶんごちゃごちゃとカオスな状態になり徐々に変移していくと思われる
となるとその間は磁場が弱まるから宇宙放射線に対して割と無防備になると推察される
それが人体とか通信機器に影響するかもねって話
大気があるから大丈夫そうなもんだけど
6. 匿名処理班
影響を受けてるのはアフリカだけなのか?
昔から戦争がよく起きている地域はどうなんだろうか?
地球上に住む生き物として、人がまったく影響を受けてないはずはないもんな。
7. 匿名処理班
地図の上の方にオーストラリアが来る事になります
おめでとうオーストラリア君もう上下逆と言われません
8. 匿名処理班
内核・外核がゆっくり対流しているからと考えるのが合理的かな。
9. 匿名処理班
地磁気が弱まると太陽風がほぼ直撃するので、人工衛星の電子機器が壊滅的な被害を受けるかもしれない。通信系は大ダメージだね。
下手すると送電系も吹き飛ぶので、電気が使えなくなる可能性もある。
10. 匿名処理班
寝床の向きが北枕になっているのを発見したかと思った。
11. 匿名処理班
先日のニュースでやってたことと同じ話かな?
うろ覚えだけど、ある年代の特徴を示す地層が発見されると、その年代にはその土地だか発見者だかにちなんだ名称がつけられるとか。
ニュースでは千葉のある土地(斜面)の地層が研究されてて年代ごとの特徴が良く分かるので、ジュラ紀などと並んでその年代に「千葉」と名付けられるかも、と言っていた。
他の国でも同じ年代の研究がされてるので確定では無いけれども。
12. 匿名処理班
千葉の養老渓谷に地球の磁場が逆転したことを示す地層があるんだよね
こういう地層は世界でも、今のところ千葉とイタリアの2か所しか発見されていない
13. 匿名処理班
地表の地殻が薄い所から磁場が、まるで風船から空気が抜けるが如く地球外へ漏れている、って事かな?確かに磁力は加熱すると減磁ないし消磁するけど。
定期的に起こる地球内部の温度の減衰や増加によりそれが発生するとなれば、動植物もやはり影響を受けて成長出来ずに凶作となり干魃や儀礼的行事である焼き討ちが起こる、と。
民俗とか風習文化、文献や伝説は実は、地球の歴史と同等であった、って考えると、ああ、なるほどなと感じますね。
14. 匿名処理班
ヴァン・アレン帯との関連性も調べた方が良さそうだなと、素人考えで思いました。
15. 匿名処理班
※5
Wikiで「地磁気逆転」を見ると幸せになれるかもしれない
16. 匿名処理班
肩こりが治るひといるかもね
17. 匿名処理班
おおう、孔子暗黒伝……
18. 匿名処理班
磁場がひっくり返りさえすれば俺だって。。。
19. 匿名処理班
なるほど・・・
地磁気が弱まると地下のマグマが上昇しスーパープルーム現象が起き、時空間が歪んでブルーホールが生まれる訳か・・・
星野之宣って、天才だなぁ
20. 匿名処理班
※13
そういえばパワースポットが流行った時期に話題になってたな。
その地層が世界的な基準になれば磁場逆転期が「千葉時代」と命名される可能性があるとかなんとか。
21. 匿名処理班
※19
封印が解かれてギアスが使えるとか
22. 匿名処理班
これエルニーニョと関係あるんじゃね?
23. 匿名処理班
南極にあるのがN極、北極にあるのがS極だからね
だから、コンパスのN極は(引き寄せられて)北を向く
間違いやすいので気をつけて
24. 匿名処理班
なるほど、わからん。
25. 匿名処理班
村を燃やすと磁気が逆転するってこと?
26. 匿名処理班
「アフリカの鉄器時代」と「AD1000〜1850年」というのがイマイチ信じられないのだが。ヒッタイトが問題不出としてた期間じゃないのか?
鉄器に残された地場じゃなくて、粘土に含まれる磁性を調べてるから本論には影響無いけど。
27. 匿名処理班
そうそう地磁気って、い地磁気話題になったよね!
28. 匿名処理班
焼き討ちっていうかただの野焼きのでっかいの?
29. 匿名処理班
※26
同じくわからんです
30. 匿名処理班
地球は海水を無くすとかなりイビツな形をしていて海水が地球の遠心力を保つ補完をして安定させている
もしポールシフトが起き、遠心力が弱まれば重力を失い海水が大地に流れ込む
それが滅亡に繋がるかはわからないが
希望として毛皮のあるアムールトラなどが赤道の、熱帯付近で生息してるのは、元々、熱帯付近は寒い地域だったという事、トラ類は長距離を、移動出来ない為、そのポールシフトを生き延びたと考えられる
31. 匿名処理班
地球が冷えて固まらない理由は月が重力でコアを攪拌し続けているから。
いずれ、重力の研究と地質学は結婚する運命にある。
32. 匿名処理班
チバニアン?
33. 匿名処理班
実際には確たる証拠が無いんだってさ。
現段階では推論に推論を重ねた擬似科学の領域を出ないそうだ。
科学が行き詰まると必ず、終末論説が出てくるんだそうな。
そして決定的な事に専門的に取り扱っている研究組織が存在しない!
34. 匿名処理班
住居を焼いた後が貴重な資料になるとか書いてあるけど、山火事とかは資料にならないのかしら??
山火事にくらべたら村を焼くなんて小規模だろうし、人類の都合で焼いただけだし、山火事なら気候の変動とかもあるから、地球スケールで考えるならその方が合理的な気がする…。
以上、素人でした。