ワシントン州立大学で教鞭をとる一方、エキセントリックな人類学者であった、米ユタ州出身のグローバー・クランツ博士(1931〜2002)は、初めてビッグフットを学術的にきちんと調査したことでも知られている。そんな彼にはもう一つの顔があった。自らの飼い犬を猛烈に愛していたことだ。
膵臓ガンとの闘いの末、亡くなってからしばらくたつが、彼の愛犬に対する思いは誰が見ても明白な証拠として残されていた。クランツ博士に、甘えながらじゃれついている飼い犬のクライド(アイリッシュ・ウルフハウンド犬)の姿が、全身骨格となって、スミソニアン自然史博物館に展示されていたのだ。
スミソニアン自然史博物館で2009年より開催されていた、「17世紀チェサピークの法医学ファイル」という展示会は、訪問者を骨の歴史世界へといざなう。植民地時代の謎を解明し、クロアチアでの戦争犯罪の犠牲者を特定するのに、どのように骨が読み解かれたかを知ることができる。展示の最後で、教材として骨が献体された例として、抱き合うクランツ博士とクライドが登場する。
展示されたクランツ博士とクライドの全身骨格 photo credit:Estate of Grover S. Krantz/Chip Clark
在りし日のクランツ博士とクライド。展示のポーズはこの写真からヒントを得たという。
死の直前、クランツ博士はスミソニアンの人類学者デイヴィッド・ハントにこう言った。「生涯、教師だったが、死んでからも教師でありたい。だから献体するのだ」と。ハントが同意すると、彼はさらに続けた。「ただし、条件がある。愛犬と一緒にということだ。」
クランツ博士の死後、葬儀は行われず、彼の遺体はテネシー大学のボディファームに送られ、科学者たちはその遺体が腐敗していく過程を研究した。これは法医学調査の手助けとなる。その後、クランツ博士とクライドは、スミソニアン迷宮のグリーンのキャビネットに恐竜の骨と一緒に入れられた。(クランツ博士が亡くなったのは2002年。犬のクライドはすでに1973年に亡くなっているそうだ。)
この展示会にクランツ博士が登場したことで、彼をより身近に感じることができた。クランツ博士の骨格はそれから二年間展示された。彼は愛犬と共に、あの世からこの展示会の様子を見てたであろう。お互いに寄り添いながら。
via:smithsonianmag・原文翻訳:konohazuku
▼あわせて読みたい
「最後にもう一度だけ、愛犬に会いたい」そして男性は星となった。
厳寒の中、行方不明となっていた3歳の少女、愛犬により命を救われる(ポーランド)
また会えると信じて。6年前に亡くなった主人の墓から離れようとしない犬(アルゼンチン)
コメント
1. 匿名処理班
骨なのに両方とも笑ってるみたい…
2. 匿名処理班
ちょっとの手違いで絡まって外せなくなりそう
3. 匿名処理班
犬も博士からそれほどまでに愛されて幸せだったろうね
永遠にお幸せに
4. 匿名処理班
いい話で感動したけど1つだけどうにも引っかかる・・・愛犬クライドは実際にはいつ頃亡くなったのだろう・・・まさかクランツ博士と同じ日に亡くなったわけではないだろう。クランツ博士より前なのかそれとも後か。まさかとは思うけど、クランツ博士死後クライドも献体の為に安楽死させられたなんて悲しいオチがついてないことだけを願います・・・・
5. 匿名処理班
博士はあの世で満足だろうな
6. 匿名処理班
どれもだけど、2枚目の骨格写真がすごく幸せそうに笑ってるように見えて
怖いという気持ちも消えてあったかい気持ちになった。
7. 匿名処理班
深い愛情とわずかな狂気を感じる
8. 匿名処理班
美談なんだか狂談なんだか微妙な話と思うわ
博士はいいとしても犬的にはどうだったんだかわからんし
9. 匿名処理班
生涯、教師だったが、死んでからも教師でありたい。だから献体するのだ」と。ハントが同意すると、彼はさらに続けた。「ただし、条件がある。愛犬と一緒にということだ。」
自分の寿命に愛犬を道連れにしたんじゃなければいいんだけど…
10. 匿名処理班
うらやましいと思った。
11.
1番デカイ犬種だね
デカくて可愛いんだけど、毛質が汚らしくて残念
12. 匿名処理班
死んでも永遠に
13. 匿名処理班
犬飼ってるとこういうのは泣けてだめだ…
14. 匿名処理班
サムネはイノシシに見えた
15. 匿名処理班
西洋人は「骨」に対してあまり違和感を持ってないよね。
日本人だからなのか、自分としてはどんな事情があろうとも気持ち悪いんだけど・・・・
16. あ
骨なのに、いい表情してる。
うん、本当に。嬉しそうだ。
17. 匿名処理班
犬は1973年に亡くなってる。
これ以上の説明はもういいよね。
18. 匿名処理班
もやもやを適切に言葉にしてくれた16に感謝。同意。
19. 匿名処理班
すげぇな、全然怖くない
20. 匿名処理班
さすが博士だ
21. 匿名処理班
犬おっきいなぁ。
22. ちゃみ
説明文からてっきり、犬の骨格だけなのかと・・・・・・・。
23. 匿名処理班
で、美味しいの?
24. 匿名処理班
ウチは老犬がいて、、、 とにかく泣けてしょうがなかった…
パトラッシュとネロの事とか色々考え出しちゃって、もう今日は大泣き
25. 匿名処理班
犬の股関のアレには骨が入ってるのか…
26. 匿名処理班
死んでしまった二人には肉も皮も内蔵すらもないけれど、そこには確かな愛情と絆が残された
27. 匿名処理班
骨まで愛して
28. 匿名処理班
確かに笑ってるように見えるなwww素晴らしい。
しかし、犬でっけーなオイ…
29. 匿名処理班
死が二人をわかつまでなんてただの主観でしかないとよく分かる。
30. 匿名処理班
感傷なのかもしれんが、これで永遠に犬と寄り添っていけると思うと
目頭が熱くなるな
31. 匿名処理班
なんかシュールだな
32. 匿名処理班
30年近くも前に死んでしまったワンコと、骨になっても一緒にいたかったのか。
本当に大事にしていたんだね……。
これはこのポーズで展示することに決めた博物館の人も超GJだ。
33. 匿名処理班
白黒になると怖く見える
34. 匿名処理班
骨を保管して置く事に悪趣味と言われそうだ。
愛犬をはく製や骨格標本にするなんて、冷静に考えるとできないな・・
35. 匿名処理班
科学者らしい狂気に満ちた遺言
36. 匿名処理班
ブラックジャックにこうゆう話あったな
37. 匿名処理班
骸骨を見て感動に涙する日が来るとは。
死が二人を隔ててもって…死が二人を永遠に結びつけたと思う。
38. 匿名処理班
もちろんそれじゃあ片手落ちなんだけど、在りし日の写真が無かった場合もコメ欄はこのような状況だったかなーとか考えてしまうわけですがね。
39. 匿名処理班
俺も死んだら犬と飾られたい
40. 匿名処理班
人類と犬の絆は永遠だね
41. 匿名処理班
「西洋人だから骨をさらすことに全く抵抗がない」ってわけじゃないと思う
だからこその「死んでからも教師でありたい」って言葉だろうし
「愛犬と一緒(なら)」ってことなんじゃないかな
日本人でも十分に理解できる事情だと個人的には思うけどね
42. 匿名処理班
それでも、かなしい・・・・
43. 匿名処理班
すげーほんとに笑ってる
44. 匿名処理班
こんな嬉しそうな骸骨は始めて見た。
45. 匿名処理班
>4
クライドは1973年に亡くなっていると書いてあるだろ!!
46. 匿名処理班
愛とはある意味、狂気。
道徳、不道徳はおいておいてこれはこれで一つのカタチだと思う。
悪趣味かどうかはそれぞれの価値観次第だな。
47. sawatcho
ロマンチック。
48. 匿名処理班炊事係
いい話だ。とてもいい話だ。それは認めよう。
でもこの説明無かったら大型の獣に襲われてるようにしか見えない
49. 匿名処理班
こんな穏やかな雰囲気の骸骨は、初めて見た。
50. 匿名処理班
凄く素敵な骨格標本。肉がついていないのに表情というか気持ちが伝わってくる。
51. 匿名処理班
>科学者たちが遺体が腐敗していく過程を研究した
すげーな。
52. 匿名処理班
狂気っていうか…本当に何かを愛して
ずっと一緒に暮らしたことがある人なら分かると思うけど、
あれもうペットとか家族とかじゃなくて、
自分の一部みたいになってるんだよ
ペットロスっていうのは死ぬまでひとつであるはずの
自分の心の一部を生きながら引き剥がされてぽっかり失うのと一緒で
そこはもう何物にも埋められない訳だから
いつまで引きずってんだよ!とかいう話じゃないのよ
こういう感覚、他人には狂気じみてみえるとは思うけど
本人にとっては何の迷いもなくごく当然のことなんです
53. 匿名処理班
教師とか学者は変人が多い
しかしこの話は美談として素直に心を揺さぶられる
人は永遠に憧れるものだ
この先朽ちていくにしても、この人と犬はその永遠を手に入れたのだ
54. 匿名処理班
犬は先に死んでたって書いてあるな
55. 匿名処理班
4年前、海外ドラマのBONESの聖地巡礼がてらスミソニアンに行ってこれの現物を見てきた。今も展示されてるのかな。
56. 匿名処理班
せっつねぇな
57. 匿名処理班
ブラックジャックの話は確か恐竜の骨格標本と一緒じゃなかったっけ
この骸骨は全然怖くなくて一人と一匹で成仏して幸せなんだろうなーって感じがする