メインコンテンツにスキップ

連邦捜査官が突入し無関係の家族の家を強制捜査、移民対策の暴走が招いた悲劇

記事の本文にスキップ

33件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 2025年4月、アメリカ・オクラホマ州オクラホマシティで、ある家族が移民・関税執行局(ICE)による強引な家宅捜索を受けた。​

 20人のバッジを付けた重武装の連邦捜査官たちが家のドアを破って突入したのだが、家族はこの家に引っ越してきたばかりで、完全な人違いだった。

 家族はれっきとしたアメリカ国民であり、まったくの捜査対象ではなかったにもかかわらず、突然の出来事により深いトラウマを抱えることとなった。​

 この事件は移民政策の厳格化が、一部の関係者たちにより悪い方向で暴走につながってしまったケースの1つと言えるかもしれない。

引っ越したばかりの家族に突然連邦捜査官が突入

 マリサ(仮名)さんと3人の娘たちは、落ち着いた環境を求めて、事件の2週間前にメリーランド州からオクラホマ州オクラホマシティに引っ越してきたばかりだった。

 彼らは治安のよさそうなオクラホマシティの北西部に家を借りた。夫は2週間後に家族と合流する予定で、この時点ではまだメリーランド州に留まっていた。

 だが、2025年4月24日の朝、武装した連邦捜査官20人が、突然マリサさん宅の玄関ドアを蹴破って突入してきた。

この画像を大きなサイズで見る
※画像はイメージです image created by MidJourney

 「あなたたちは誰?ここで何をしているの?」とマリサさんは尋ね続けたが、彼らは「この家の捜査令状がある」と言う。

 母親と娘たちはそのままの姿で外に連れ出され、雨の中、下着姿のまま待たされることになった。

彼らは着替えを許してくれなかった。娘にまで服に着替えるなと言ったんです。夫ですら、娘の下着姿を見たことがないのに…

捜査令状に記載されていた名前は以前の住人

 令状に記載されていた名前は、以前この家に住んでいた住人のものであり、マリサさんたちとはまったく無関係。唯一のつながりといえば、前住人宛のジャンクメールがまだ届いていたことくらいだったという。

 泣きながら「私たちはアメリカ国民です!犯罪者じゃない!」と何度訴えても、捜査官たちは聞く耳を持たなかったという。

彼らはとても不愛想で、乱暴で、無頓着でした。私たちは犯罪者ではないと訴え続けたのに、犯罪者のように扱った。私たち家族はただここにいただけで、何もしていません

「証拠品」として奪われた私物と貯金

 捜査官らは家の隅々まで捜索し、乱暴に荒らしながら数少ない所持品、携帯電話やノートパソコン、そして家にあった現金を「証拠」として押収して行ったという。

私は彼らが立ち去る前に言ったんです。

私の携帯を持って行ったでしょう? 私たちはここに引っ越して来たばかりで、お金もないんです。子供たちを食べさせなければならないし、ガソリン代もいる。

移動できるようにしないと。どうしてこんな風に私たちを置き去りにできるの? まるで捨て犬みたいに

 まるで凶悪犯のような扱いを受け、尊厳を踏みにじられた家族に対し、捜査官の1人は「ちょっと大変だったね」と言い残して去っていったという。

 私物や貯金をいつ取り戻せるか尋ねると、「数日で返すかもしれないし、数ヶ月かかるかもしれない」と曖昧な返答しか得られなかった。

 家族は今後、トラウマを抱えながら、何とか生きていかなければならない。

この画像を大きなサイズで見る
image credit:Pixabay

不法移民対策の強化

 マリサさんは、彼らが米国連邦保安官、移民税関捜査局(ICE)、FBIの連邦捜査官だと名乗ったと語った。

 ICEとは、米国内の多国籍組織及び外国人の犯罪およびテロ行為の調査を目的とした、国土安全保障省(DHS)に属する機関である。つまり不法入国者や不法滞在者を摘発する組織なのだ。

 おそらくはマリサさんの新居に以前住んでいた人物が、不法滞在者であり犯罪者であったということなのだろう。

 当局はまるで関係のない米国民のマリサさんたちが引っ越してきたことを把握しておらず、この日の強制捜査を実行したのだと思われる。

 ただし、後に連邦保安官局の広報担当者は、保安官が現場にいたことを否定し、「事前に作戦は認識していた」が、いかなる形でも協力しなかったと語っている。

この画像を大きなサイズで見る
アメリカ・メキシコ国境 image credit:Pixabay

 政権が代わってから、アメリカ国内に滞在する外国人への締め付けは厳しさを増している。

 マリサさん宅に捜査が入った翌日の4月26日には、フロリダ州で4日間にわたる大規模な取り締まりを行っており、約800人を逮捕したと伝えられている。

 さらに29日、ICEは6万6,463人の不法滞在者を逮捕し、6万5,682人の外国人を強制送還するという、史上最多の取り締まりを行ったと発表した。

 日本人も例外ではない。日本人留学生がビザを取り消されたニュースは記憶に新しいと思う。これまでは取り消しに至らなかった軽微な交通違反なども、今後は取り消しの対象になる可能性があることに留意しなければならない。

 マリサさんは、最後に次のように語っている。

もし私が武装していたら、どうなっていたんでしょう。最初は強盗かと思い、娘たちが誘拐されるのかと思いました。だって銃を私たちの顔に向けているんですよ。

せめて私たちを人間として見てくれませんか? 少しでいいから哀れみを持って、同じ人間、同じ国民、同じ住民に対してもう少し配慮してほしいです。

私たちだって他の人と同じように血を流すし、仕事もしている。本当に怖かったです。私たちの顔を見れば、どれほど怖がっているのがわかったでしょう?

なぜ話を聞いてくれないのですか?あなたたちの市民権は特別なのですか?どうしてあなたたちの安全だけが大事にされるんですか?私には奪われた娘たちを守る権利はなく、なぜそれをあなたたちだけが持っているんですか?

References: Feds raid wrong house, steal everything, leave / ‘We’re citizens!’: Oklahoma City family traumatized after ICE raids home, but they weren’t suspects

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 33件

コメントを書く

  1. 何をしてもミスはあり弊害はあるのは仕方がない

    デメリットだけ上げて良い政策を潰すのは犯罪だよ

    • -46
    1. 未成年の女性を下着姿で雨の中に放り出すのが、「良い政策」の「仕方がない弊害」だと???地獄に住んでるのか???

      • +25
      1. そりゃあ、治安側は、不法侵入の密入国者として扱ってるんだから、最大限捜査中は何もさせないようにしただけじゃない。

        • -14
        1. 理由も理屈もわかる。 トイレや着替えると称して証拠となるものや他の違法な物品を証拠隠滅する犯罪者は居るからな。
          しかしこのケースでは結果論として無実の人かつ未成年を酷い目に逢わせただけだった。
          犯罪者であってもあるいは犯罪者の家族に過ぎない女子供も居る状況では、女性捜査官の同伴の上で証拠隠滅させないよう監視しながら着替えさせるなど配慮は必要だろう。

          • +4
  2. アメリカ国民はなんであんな人を大統領に選んだんだろうなあ。
    もうご愁傷さまとしか言えない。

    • +37
    1. バイデン政権で国民の生活が無茶苦茶苦しくなったから
      ならトランプで良くなったかというと、まあ・・・

      • +16
  3. 捜査の不手際と違法移民に対する捜査の正当性は別の問題だよな
    味噌とクソを一緒に考えてはいけない
    違法移民に対する米国政府の対応の是非は切り離して議論するべき問題だ
    はい、マイナス評価をクリックしてどうぞ

    • +23
    1. そもそも不法移民側が犯罪を犯している背景賀有る訳で、捜査官も命がけだよ
      この家族は被害者では有るけど、根本的な原因は移民に有り、移民による被害者と言える
      捜査官に怒りをぶつけるのではなく不法移民を取り締まらなかった前政権や政党に怒りをぶつけた方が前進するかと

      • +2
    2. そんなネット民好みの単純化してたらマイナスは期待できん。もっと人道的で複雑じゃないと

      「犯罪を取り締まるのはいいことだから、超法規的措置も冤罪も手違いも仕方がない」と思ったら大間違い。雑に受け入れた数年後に雑に追い出すというのは、国家方針として一貫性がない上に人権上の問題がある。適法に行われなければ、国家権力に大義名分は無い。

      ほら、マイナス100回ぐらい連打したくなるだろ?

      • -1
    3. 実際「捜査する対象の住所を間違えた」や「住民が既に引っ越してるの知らないまま踏み込んだ」は不法移民相手じゃなくても以前から頻発してるし、カラパイアでも数年前の記事に例が紹介されてた覚えがあるからなあ。
      ちなみに自分の知る限り
      ・単なるホームパーティーをカルト教団の自殺集会だと間違えてSWATが包囲
      ・犯人の家を隣の家と間違える
      ・犯人の現住所ではなく実家の方に突入、当然犯人は不在
      ・強盗に入られた家と全く違う住所に駆けつける(911オペレーターが伝えた住所を警察が聞き間違え)
      ・犯人の家の裏口に回った別働隊が、裏口ではなく「裏にある別の家」の方に間違って突入
      ・犯人の住んでるアパートの別の階の部屋に突入
      ・犯人の住んでるアパートの隣のアパートの同じ番号の部屋に突入
      ・2ブロックも先の全然関係無い住所に突入
      ・別の州の良く似た地名の全然関係無い住所に突入(FBI)

      • +1
  4. 移民政策の暴走じゃなくて人違いで突入した捜査官の暴走では?

    ビザ取り消しも記事を読んだら軽微な犯罪が原因らしいし、今の日本の荒らされようをみると、限度は考えるべきにしても取り締まり強化自体は必要な事とも思えるけどね。

    • +25
  5. 怖い思いをした上に、下着姿で待たされた娘たちが可哀想過ぎる。仮に犯罪者や不法移民だったとしても、守られるべき尊厳はあるでしょうに。

    • +38
    1. 犯罪者には尊厳は制限されつべきじゃないかな

      それを言い出したら、違法行為をして拘束されるのは尊厳の否定、刑務所に入れられるのは尊厳の否定となんでも尊厳に結びつけて否定できるよね。

      • -6
  6. 間違った家に突入はトランプ前からちょいちょい起きてたやん

    • +20
    1. カラパの記事にもバイデンさん時代のが2つあるよね
      恐怖プラス1件は室内や物置を破壊されて、まだ謝罪も賠償もないとあったけど、その後どうしただろう・・・

      • +6
    2. バイデンの時はWHにFBIに司法省に教育委員会が結託して批判的人種理論とか虹色推奨とかDEIとかそんな極左教育方針に異論を唱えただけの極々普通の保護者達を公式にテロリストとして登録しとるからなあ。

      • +5
  7. >>泣きながら「私たちはアメリカ国民です!犯罪者じゃない!」と何度訴えても、捜査官たちは聞く耳を持たなかったという。

    そりゃそうだろ、違法密入国者でも同じセリフを言うと思うよ、言うだけで捜査が中止になるなら大声で叫ぶこともするんじゃない。
    感情に訴えるのではなく、論理的に自身が無関係であることを示す必要があるのに気が付かなかったから状況が改善されなかったんじゃないかな。

    • -9
    1. いい加減やめとけ。
      あまりにも見苦しいから。

      • +4
  8. アメリカって、普通に国民だと証明できる物が無さすぎるのが問題なのでは?
    社会保障番号しかないのはおかしいよね
    日本で言う戸籍にあたるものではないし

    • +4
  9. これ政権の問題じゃないと思います。気の毒な出来事だとは思うけどね、正直他人事でもある。

    それにアイスって昔からこうです。アイスの中でも銃器を持たなきゃいけない任務の方々はちゃんと理由あって銃器持ってるんですよ。それにアイスって平和な支援活動もしてるからね?

    • 評価
  10. 9.11以降、法執行機関の人達に余裕が無くなった気がする
    冗談をいうような雰囲気が消えた感じがある

    • +2
  11. この後どうなったんだろう。とても気になる
    まさかこれで何の賠償もされないわけじゃないよな?

    • +3
  12. いろいろとユルユルな国に住んでる私。徹底的さが一瞬でもうらやましいと思ったのは、これヤバいですね。気持ちの整理しよう。ちなみにカオスな街に住んでおります

    • +1
  13. ICEは身分証も令状も提示せずに不法移民と決めつけた人達を誘拐する組織だからなぁ

    • +2
  14. コメント欄には犯罪者擁護の犯罪係数が高いのがいるな

    • -3
  15. 「こんにちは。ゆっくりマリサだぜ」って誰か言ってると思ったのに

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

料理・健康・暮らし

料理・健康・暮らしについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

人類

人類についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。